連載始まって以来の再訪問。前回伺った時(
見えない糸が見える家)、加藤家には3匹の猫がいました。最年長のきじトラ「マロン」を中心に、バランスのとれた関係性を築いているなぁと感心したのを今でも覚えています。しかし今回は2匹の猫しかいません。なぜなら長女のマロンが1年前に虹の橋を渡ったからです。(享年19歳)
猫たちの心の拠り所「マロン」が亡き今、2匹の猫たちの生活にどんな変化があったのか? ペットロスを乗り越えようとする奥さまの恵利子さんの言葉に耳を傾けながら撮影させていただきました。
アビ(18歳)
性格が丸くなったアビ
前回の取材当時は13歳で、取材対象でなかったルディが15歳に、16歳だったアビは18歳(ともにアビシニアン・女の子)になっていました。
アビが加藤家にやってきたのは生後5ヵ月のとき。ペットショップ生活が長かったせいなのか(?)先住猫マロンとの距離感がうまくつかめず、人間に対してもどこか遠慮がちで懐くのにも時間が掛かったそうです。そんなこともあって「もう少し早い段階からアビシニアンを飼うとどんな性格なんだろう?」と興味がわき、迎えたのがルディでした。感情がストレートに出せないアビに対して全身で甘えてくるルディ、甘え方にも違いがあっておもしろい。
ルディ(15歳)
父親的存在だった「マロン」が亡くなり、猫の関係にも変化が。マロンにべったりだったルディが仕方なしに(?)アビを頼るように。一定の距離を置いていたアビも次第に「シャー」と怒ることをやめ、寛容になっていきました。しかし恵利子さんはこうも分析します。「3人兄弟の真ん中は影が薄い。でも2人になってからアビの献身さが見えるようになったのかも」と。なるほどなぁー!
抑え込み?
ちょっと早めの療養食
マロンの腎臓機能が弱ってからみんなの食事が強制的に「腎臓サポートセレクション/ドライ」(ロイヤルカナン)に。基本ドライフードで副食にウエットフードを与えるのはルディが大の「カルカン」好きだから。
早い段階からさりげなく療養食に切り替えられたおかげで2匹ともども腎臓に異常なし! マロンの置き土産はとてつもなく大きかったのです。
なにかをペロンと。
あっ、ミルクっすね。
若いころに比べると「アビは足が弱くなった」と恵利子さん。大好きだった屋根裏へ続くはしごにも登らなくなり、テーブルに登るのにも補助椅子(マロン愛用)が必要になってきたそうです。前回訪れた時には、じゃらしを追いかけ回し、ジャンプまで披露してくれたのに。いまも見た目はあのころと同じなのに、飼い主さんにしかわからない、わからなくてはいけない猫の変化があるようです。
マロンも愛用していたミニチェアがなんともかわいい。
アビは今でも遊びたがり。
でも寝ながら遊ぶ!省エネにゃー!
私は見てるだけーとルディ。
見た目で言えば、ルディも「目が見えない」なんてこれっぽっちも感じない生活ぶりです。この連載でも目が見えない猫が数匹登場しているのですが、いつかまとめることができたらいいなと思っています。
聴覚や臭覚などで感じること、それにほんの少しの手助けがあれば。
マロンの影、マロンのおかげ
かつては4kgはあったという2匹の体重。いまは3kg台ですが、「体重がある方が長生きする」とは猫又マスター・恵利子さんの証言。これは要チェック!
聞けば、基本の食事のほかにも猫が興味を示す食べものはなんでも与えていて、アビの最近のお気に入りおやつが「あんこ」だって?!
チーズや納豆、発酵食品が好きなアビと、バターパンや生クリーなど乳製品が好きなルディ。ミルクに関しては2匹とも大好きで、最近アビの方がとうとう紅茶(ミルクティー)に目覚めてしまったらしい......。紅茶もたしなむいい大人猫に「仕方がないわねぇー」と笑って過ごす恵利子さん。これはダメ!と決めつけるのではなく適量ならばOK!とすればストレスなくお互いに楽しい! さらに体重を維持するためにも大事なことなのかなぁと思ったりします。
そして、部屋中どこにでもマロンの影が。2匹が健康でいられるのはきっとマロンのおかげなんでしょうね。居なくてもわかる存在感を感じ得ずにはいられない。
晴れた日は日光浴。
ビタミンビタミン♪栄養補給にゃ。
飼い主・恵利子さんのブログ【きじとらとアビシニアンズ】
マロンが患った「慢性腎不全」のことなど、ためになる情報がたくさんです。
http://ameblo.jp/kawaiimaron/
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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