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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2017年01月31日

共生の町・その4・・・「病気まるごとウチの子です!」

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もうすぐ14歳になる茶トラのマロンちゃん(オス)と、4歳半の白猫ふくちゃん(オス)。
ともに、渡辺家のワル猫コンビです。
ふくちゃんは白いから目立ちませんが、マロンちゃんは鼻先とおひげに何やら白いものをつけています。
なぜなら・・・・。

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いま、ママの食べてたケーキの、お皿に残ったクリームを、ふたりして舐めていたから。
ママは一日何回、「ちょっとぉ」や「こら、こら、こら、こら」をいっているかわかりません。
でも、この子たちが元気なのが何よりうれしい、ママの久美子さんです。

そして、渡辺家には、もう1匹。
お客さんがちょっと苦手な、人見知りの未来(みらい)ちゃん。サバ白の3歳の女の子です。

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マロンくんはここの長老。
渡辺家の上のお兄ちゃんが中学生の時、通学途中に公園でカラスが寄ってたかって箱をつついているのに遭遇。箱の中にいた生まれて間もない子猫たちを保護し、里親を見つけて、手元に残した1匹です。久美子さんが仕事の合間にも帰宅して授乳し、育て上げました。当時飼っていたワンちゃんがペロペロ舐めて下の世話を手伝ってくれたそうです。
いちばん新入りの未来ちゃんは、3年前の秋、ご夫婦で、久美子さんのお母さまのお見舞いに行った帰り、バス停に向かって歩いていた時に、通りを横断してくるまだ幼な顔の猫に遭遇。見過ごせなくて、保護しました。
その前年に姪っ子を若くして亡くしていたので、生まれ変わりのような気もして「姪が見られなかった未来を元気で生きて」という思いを込めて「未来」という名にしたそうです。

さて、今回の猫日記で、スポットライトを当てるのは、このふくちゃん。

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東関東大震災の翌年の2012年、警戒区域で保護されたお腹の大きい母猫が、シェルターで生んだ子たちの1匹です。
ちよだニャンとなる会が、千代田区と連携して受け入れ、首都圏で子猫たちの里親を探し始めたという新聞記事を、たまたま目にした久美子さん。
福島は、下のお兄ちゃんが野球でお世話になっている地だったので、すぐにニャンとなる会に電話。
迎え入れたのが、まだ3か月のふくちゃんでした。

ところが、ふくちゃんは、6月に来てすぐにカリカリを戻す状況が続きます。柔かいものでも、ダメ。
ニャンとなる会ゆかりのA動物病院で詳しい検査をもらった結果、「右大動脈弓遺残(いざん)」という診断が出ました。胎児の時の血管が残っているため食道が拡張している状態です。手術をしないと助からないということで、大学病院で8月に手術。
開腹してみたら、そのほかの動脈配置の先天性奇形も見つかりましたが、5カ月の小さな体でがんばって手術を乗り切りました。

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食道の拡張は元には戻らず、胃につながる穴も小さくて、術後も手厚いケアが必要です。
誤嚥性の肺炎にならないよう、食事の管理と、毛玉がたまらないようこまめなブラッシングに気をつけています。
ふくちゃんのご飯は、いろいろ試してみた結果、ペースト状の猫缶を、さらに水で柔らかくしたもの。
これを「立ち食い」させます。

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ケージハウスの上に餌皿を載せると、ちょうどいいあんばいで立ち食いができます。

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食いしん坊のふくちゃんは、すきあらば他の子のご飯を横取りしてしまうので、他の子のご飯タイムは、ふくちゃんをケージインしたり、他の子をケージの中で食べさせたりと、ケージが大活躍です。
ケージ = ご飯タイムなので、おなかがすくと、ケージに入ってご飯を待つふくちゃんです。

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じつは、譲渡後すぐに先天性の病気がわかったことで、ニャンとなる会からそれとなく「会に戻す」という打診があったそうです。
が、久美子さんは、言いました。
「うちの敷居を一歩またいだからには、どんな病気をもっていても、病気まるごとウチの子です!」と。

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ふくちゃん、ご夫婦に愛されて、手厚いケアを受け、みるみる大猫に。
「お気に入りの場所に他の子がいると、どかすほどの、オレ様ぶり。だから、別名『ジャイアン』なんですよ」

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「それにしても、どうして猫って、こんなにそれぞれ面白くて可愛いんでしょうね。ワルイ顔して食卓狙ってたかと思うと、ポイント稼ぎに膝をフミフミしにきたり。もう毎日キュンキュンしてます! まさにしあわせをくれた猫たち。みんな、ほんとうにうちに来てくれてありがとう~」と、久美子さん。

昔は「猫なんて苦手」と言っていたというご主人ですが、今ではマロンくんが布団の上に乗ると、「動くとかわいそう」と、朝まで金縛りを我慢しているほどの、愛猫家の鑑だそうですよ。

久美子さんは、ちよだニャンとなる会の活動に共感して、いずれは高齢ネコの預かりなどお手伝いをしたいと思っています。
取材の間中、机の下のマロンちゃんは、久美子さんに撫でてもらっていました。

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無条件に愛され、のびのび暮らす猫を見るのは、ほんとうにうれしいものです。
久美子さん、これからも毎日ずっと、キュンキュンしてくださいね!


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

「病気まるごとうちの子」わかります。
病気だからいらないなんてありえない…
そんな風に見捨てられる子がいる現状が悲しいです。
ふくちゃん、素敵なママに出会えて良かったね!マロンちゃんも未来ちゃんも幸せそうな顔に思わずニンマリしてしまいました。

うちの茶トラさんもハンデが残るかもと聞いた時、それなら絶対うちに連れてくる!と心に決めていました。
ハンデは残らなかったけど病気を抱えて暮らすことに…それでもうちの子にしないという選択肢は一切浮かびませんでした。
その決断をしてから15年目を迎えました。
病気と上手に付き合ってまだまだ現役。
昨年6月に新たに保護したチビッコを一喝しながらマイペースに日々過ごしています。

by ちゃー 2017-01-31 19:09

うちにも白猫のふくがいます。
その子は最近保護して、今日耳の皮膚がんの切除手術をして、帰って来ました。
耳がほとんどない状態です。
ママさんの、うちの敷居を一歩でもまたいだからにはどんな病気をもっていても、病気まるごとウチの子です!の言葉にハッとしました。
そうだよ、この言葉の通りだよ!って。
不安が一気に吹き飛びました。
今日同じ白猫ふくくんの病気でも頑張ってる記事を見られたのが本当に奇跡のようです。
うちのふくも頑張ります。
ちなみに茶トラもいるので勝手にすごい親近感です。

by さく 2017-01-31 19:22

保護して一年半になるうちの男の子も、保護してすぐ連れて行った病院で、「この子はあなたの手におえないだろうから、今から保健所に連れて行きなさい」と言われました。
その半年前に猫との生活を始めたばかりの新米飼い主には、脳に障害を持っているだろう生後2ヶ月にくらいの子猫をどうして良いかわからず、色々ある度に何度泣いたか。
家族からも責められ、子猫を連れて家を出よう、と考えたこともあります。
が、この子を手放そう、とはおもえなかったのは、神様に託された子猫だから、と、自分に言い聞かせてきたから。

「病気まるごとうちの子」
確かにその通り!
今じゃ病気も含めて可愛くてたまらないし、他の猫よりスローペースな成長が嬉しくてたまらない。
この言葉にもう少し早く出会っていれば、あんなに苦しまなくても済んだのになぁ、と、泣きながら背景しました。

いつも励まされる記事をありがとうございます。

by 桜さくら 2017-01-31 19:53

ふくちゃん、とーっても素敵な家族に迎えられて良かったね(^-^)電車の中ですが、涙でうるうるしました。「病気まるごとうち子」・・本当に素晴らしい言葉ですね!私も団地住まいで猫と暮らすことはできず、その代わり小さい小さい動物とは暮らしてきましたが、その子たちのためなら例え火の中・水の中、どんなになってもどんなことがあっても大切な家族、でした。ふくちゃんもマロンちゃんも未来ちゃんも久美子さんもたくさんの幸せでいっぱいになりますようにと思います!!(きっと今もとってもお幸せですよね♪)久美子さん、未来ちゃんにお顔が似ていらっしゃるような・・・(*^_^*)
そしてみにゃさまのコメントの方々も素敵な方ばかりですね!猫ちゃんへの無条件の愛はこちらも読んでいて心がぽかぽか温かくなります。そして幸せな気持ちでいっぱいになります。・・・猫ちゃんはやはり偉大です!!

by とも 2017-01-31 20:30

ふくちゃん、とっても可愛い(ジァイアン)ですね。病気をものともせずに頑張る姿は本当にりっぱです。人間なら悲観して良からぬことを考える人もいるのに。いい年して、何かにつけてすぐにいじける私はおおいに見習いたいです。

by ふみちゃん 2017-01-31 21:56

>ちゃーさん

病気と上手に付き合って、15年、まだ現役。何よりですね!
穏やかに暮らせることが猫にとってもいちばんの幸せと思います。

by 道ばた猫 2017-02-01 10:04

>さくさん

さくさんちの白猫ふくちゃんが、無事手術を終えて戻ってきた日に、この記事を読んで元気をもらってくださって、うれしいです。ふくちゃん、ドラミちゃんみたいに可愛い猫さんなのでしょうね! それも個性。元気でね。

by 道ばた猫 2017-02-01 10:08

>桜さくらさん

猫は、愛情を注いだ分以上に、注ぎ返してくれると思います。病気をもって生きる姿が、幸せにはいろんな姿のあることを教えてくれるはず・・・。巡り合ってよかったですね!!

by 道ばた猫 2017-02-01 10:13

>ともさん

はい、猫はやっぱり偉大です! 見事です! あっぱれです!
かなわないなあ~っていつも思います。皆さんのコメント、ほんとに素敵で励みです。

by 道ばた猫 2017-02-01 10:18

>ふみちゃんさん

神さまは、「猫からいろいろ教えてもらいなさい」と、人間のそばに猫を置いたのかもしれませんね~
のんびりがんばることとか、起きてしまったことはくよくよしないこととか。

by 道ばた猫 2017-02-01 10:24

海外では、食道拡張症を抱えた犬や猫も、普通の子と同様に飼われていますね。
「ベイリーチェア」と呼ばれる、専用の食事用テーブル付き椅子も一般的です。
日本ではまだ認知度が低いようですが、これから知られてくるかもしれませんね。

by ららねね 2017-02-01 20:04

茉莉子さん、先日は葛飾地域猫の会の写真展に来てくださって、ありがとうございます。
余り、ボランティア希望の方などはいらっしゃなかったようですが、地域の方に少しでも活動を知って頂けるいい機会でした。
私たちも参加したばかりで、何をしていったらいいのか手探りですが、猫達の幸せのためのお手伝いが出来ればと思います。

病気まるごとうちの子、言うは易しですが、しっかり向き合って素敵ですね。
家では個性豊かな3匹に振り回されて、時に怒鳴ってしまって自己嫌悪になったりの毎日です。
でも、本当に猫を見ていると、色々気付かされることが多いですね。
この間の写真展のつぶやきは、猫目線で秀逸でした。
これからも、猫たちのために出来ることからやっていきたいと思います。

by るな 2017-02-02 00:26

>ららねねさん

ベイリーチェアっていうんですね! 知りませんでした。教えてくださってありがとうございます。
日本でも普及して、食道拡張症の犬猫さんたちが暮らしやすくなるといいですね~

by 道ばた猫 2017-02-02 03:40

>るなさん

るなさんちのように、猫たちのためにご夫婦で参加なさって、できることから、って素敵です!
路地猫を見守る葛飾区の下町性が、いい動きをつくっていくといいですね~ 

by 道ばた猫 2017-02-02 03:46

皆さま、沢山の温かいコメント有難うございます。
茉莉子さま、素敵な記事を有難うございます。

ニャンズ最高(*^▽^*)

by 3ニャンママ(久美子) 2017-02-10 16:16

はじめまして
保護猫を10匹家族に迎えています
読ませてもらいビックリしました。
ふくちゃんがウチの、ほたると同じ症状なんです。検査した結果の身体の状態も全く同じです。現在生後11ヶ月の女の子で食べては吐いてしまい身体が小さいので大きくしてあげたいです。
退化してなくなるはずの血管手術も終え、吐かずに量が食べれるようになる回数も増えましたが皆と同じご飯は難しそうなので、久美子さんと同じ方法で食べさせているんです。
読み進めて本当に驚きました。
全て同じ感じなんです
そして久美子さんが言うように私も、病気の子であっても家に来たからには大事な家族の一員だと一生懸命生きようとしている、ほたるが愛おしくてたまりません。
同じ境遇の子がいた事と、そして、とても幸せに暮らしている事に嬉しく思いました。
私も前向きに頑張って守って行こうと思います。

by にゃんこファースト 2021-05-09 05:39