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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2017年01月17日

共生の町・その2・・・しらたまちゃんとくろみつくん

人と猫の共生をめざす「ちよだニャンとなる会」ゆかりの猫さんたち2週目。
それぞれの過去をもち、家族となったしらたまちゃん(推定4歳半・♀)とくろみつくん(1歳・♂)のお話です。

まずは、しらたまちゃんのお話から。

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「猫を飼いたいね」と言い合っていた、タダシさんとユミさんご夫妻が足を運んだのは、フェイスブックでその活動に関心のあった「ちよだニャンとなる会」の譲渡会でした。
一昨年の秋のことです。
ユミさんは実家で猫を飼っていて、大の猫好き。タダシさんは、独身時代、車に乗り込んできた「かたくりこ」という猫を保護したことがきっかけで猫好きに。

その「かたくりこ」によく似た猫が譲渡会場にはいて、いったんはその子に心が動いたのですが...。
「猛烈アピールをしてくる子がいまして。ケージのすきまから、『アタシ!アタシ!』と、グイグイ頭を押し付けてくるんです。まあ、僕たちだけでなく、来る人来る人にだったのですが(笑)」
真っ白な毛に青い目のその子は、エリザベスカラーを装着していました。

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多頭崩壊現場から、ニャンとなる会が保護した猫たちの1匹でした。
保護時に皮膚炎を患っていて、番町いぬねこクリニックの神坂先生のもとで、1年ほど治療を受けて症状が軽くなり、ようやく譲渡会に出せる状態になった子だったのです。
そんな猫でしたから、譲渡先は、きちんと皮膚炎完治のための手当てをしてくれる相手ということになります。
タダシさんは看護師、ユミさんも医療関係の仕事です。ぴったりの譲渡先ということで、話が決まりました。

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野呂家にやってきて、「しらたま」ちゃんという可愛い名前をもらいました。
首周りをひっかくのがもう癖になってしまっているらしく、皮膚炎の悪化を防ぐため、ソフトなエリザベスカラーを逆向きにつけて暮らしています。
人間大好きのおっとりさん。地震や物音など気にせず寝ている、肝のすわったところもあるしらたまちゃんです。

しらたまちゃんが日中一人では寂しかろうと、2匹目を迎えようと考えたのは、しらたまちゃんがやってきて4か月目の去年2月のこと。
ずっとお世話になっていて、しらたまちゃんの性格など知りぬいている神坂先生に相談すると、「年下の猫がいい」と勧めてくれたのが、小笠原からきた生後半年くらいのキジトラの男の子でした。

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東京都の小笠原諸島には、島に持ち込まれた猫が繁殖して野生化し、島特有の希少種である小動物を捕食して、アカガシラカラスバトなどは絶滅寸前になっていました。
そこで猫の殺処分ではなく、「鳥も猫も救おう」と、2005年にノネコ問題に取り組む連絡会議が発足。東京都獣医師会が受け入れ先に名乗りを上げ、ちよだニャンとなる会でも連携して、現在も人馴れさせた後の譲渡を進めています。

しらたまちゃんは、多頭飼い時代、ゴハンもお水も人間の愛情も思うようにいかない環境にいたので、人への依存度の高い子です。そんなしらたまちゃんに合う猫として、なんと、元小笠原のノネコが選ばれたのでした。といっても、神坂先生のもとに、かなりソフトに変身してやってきたのでしたが。

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ノネコくんは「くろみつ」という、これまたおいしそうな名前をもらいました。
よく食べ、よく眠り、よく遊びます。
カミナリやちょっとした物音にビクついて、部屋の片隅に逃げるビビリさん。
思わず、タダシさんとユミさんは、こう話しかけてしまうのだとか。
「こんなビビリで、よく島で暮らしていたねえ。お前、ほんとうに小笠原のノネコだったの?」と。

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ノネコだった片鱗がうかがえるのは、虫は室内に入ってきたときに夢中で追いかけていたときや、水槽の鯉を狙っているときくらい。

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くろみつくんはしらたまお姉ちゃんにかまってほしくてしようがないのですが、お姉ちゃんは気が向いた時にしか遊んでくれません。
でも、よくお互いをグルーミングし合ったり、くっついて寝ていたりの仲良しさん。

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さいごに、タダシさんが話してくださったこと。

犬派だったタダシさんが猫好きになったのは、十数年前のある出来事がきっかけでした。
突然車の前に飛び出してきた猫を轢いてしまったのです。パニックになって、警察に連絡し、親切な警察官が即死の猫を段ボールに入れてくれました。
その子を供養した後、車になぜかノラ猫がスリスリするようになりました。
事故の数か月後、旅先の高速サービスエリアで、車に乗り込んできたのが、「かたくりこ」だったというわけです。「轢いてしまったあの子の生まれ変わりでは」と思い、アパート住まいで猫が飼えないのに保護。当時の彼女だった女性の実家で大切に飼われ、数年前に天寿を全うしたそうです。

7~8年前には、車のエンジンルームに子猫が迷い込み、今では、ユミさんの実家で高級カツオ節を食する女王様猫になっているのだとか。

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「何気に、もう1匹いてもいいかな・・・・という気がしないでもないんです(笑)。その時はまた神坂先生にご相談するつもりです」と、ユミさん。

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3匹目の名前は「あんこ」でしょうか、「かんてん」でしょうか。


写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

シロップときな粉も候補に入れてください!

by 桜さくら 2017-01-17 16:51

あずきと大福も!(私の家の猫の名前ですw

かたくりこ…その名前は思いつかなかった
けどすごいかわいい名前ですね

しらたまちゃんにくろみつくん
彼らに幸あれ!

by 名無し 2017-01-17 18:12

凄く可愛くて、何とも美味しそうな名前ですね。三匹めを迎えるなら、白玉もちと黒蜜のみつ豆もぜひ候補にしてください。この子達がずーっと幸せでありますように。

by ふみちゃん 2017-01-17 19:08

「あんみつ」も候補に!(笑)
このお家なら、みんな幸せに過ごせますね(ΦωΦ)

by まりお 2017-01-17 21:09

ネーミングセンスが最高です! 「かたくりこ」って、ひらがなで書くとこんなにかわいいんですねぇ。。
優しいご夫婦とずっと幸せに暮らしてね。 3匹目のお名前も楽しみです。

by さりゅ 2017-01-17 23:59

今回もとても素敵なお話をありがとうございます!

by とも 2017-01-18 07:14

途中で誤って送信ボタン押してしまいました。しらたまちゃんもくろみつくんも素敵な方にみつけてもらえて幸せに暮らしていて心がほっこりしました。タダシさんの出来事もすごいですね。偶然とは思えない猫とのつながり……そして猫は人間を見る能力もすごいんだろうなぁと思ってしまいます。猫は偉大ですね!

by とも 2017-01-18 07:25

>桜さくらさん

シロップちゃん、きなこちゃん、かわいいですね~
譲渡会にいたかたくりこちゃんに似た子は、「きなこ」という名で参加していて、もらわれていった先では「モナコ」ちゃんになったんですって。

by 道ばた猫 2017-01-18 12:09

>名無しさん

あずきと大福!おいしそう~ 
それにしても「かたくりこ」って、なかなか思いつきませんよね~(笑)

by 道ばた猫 2017-01-18 12:12

>ふみちゃんさん

みつ豆もかわいい!!
3匹目が来たら、しらたまちゃんは「ふーん」って感じで、くろみつくんがはしゃぎそうですね~。

by 道ばた猫 2017-01-18 12:19

>まりおさん

はい、幸せ間違いなし。タダシさんはニャンとなる会の活動を知って、「猫は人間の手が温もりが必要な生き物」なのだと思うようになったそうです。

by 道ばた猫 2017-01-18 12:27

>さりゅさん

ほんとうに「かたくりこ」ってひらがなで書くと、なんともたまらなく可愛い響きですね。だいたい5文字の猫さんって、あんまりいないですよね(笑)。

by 道ばた猫 2017-01-18 12:34

>ともさん

猫の、人の本質を見抜く能力って、すごいと思います。
もう、毎日うちの子たちに見抜かれてタジタジです・・・・。こいつ、ちょろいな、と。

by 道ばた猫 2017-01-18 12:37

マリコさん、私事ですが、ぺったんのことが大好きだったちー子が昨日逝ってしまいた。2.3日体調を崩していて入院させましたが手遅れでした。9歳でした。生粋のノラの血筋一度も抱かせてくれなかったちー子、入院の前日弱った体を夫や私にゆだねてくれ、初めて喉をゴロゴロ鳴らしました。もっと早くさわれる努力をすればよかった。後悔ばかりです。腎臓の数値と血糖値が異常になってました。早く治療していれば・・・。ぺったんがうちに来てから、ちー子のニンゲンにたいする頑な態度は随分ほぐれてきていたので、もう少しで抱っこできるねと言っていた矢先でした。しかも亡くなったちょうどその頃、私の母が体調を崩して施設から病院へ入院という事態に・・・まるでちー子が母の身代わりになってくれたように思えてなりません。今は空からみんなのこと見守ってくれることを願うだけです。

by ぺったんの母 2017-01-18 17:18

>ぺったんのお母さま

ちー子ちゃん、最後の最後だったけど、ニンゲンにゴロゴロ甘えられてよかったね。(私にも経験があります。シャーハーとしか言わなかったノラが最後にゴロゴロ言ってくれたこと。どんなに拒絶の態度を見せる子でも、こころの奥で人間の愛を求めていると知ったこと)。
きっと、ちー子ちゃんは、お母さまのこともみんなのことも、見守ってくれますよ。会うことはなかったけど、可愛い可愛いちー子ちゃん、安らかに。

by 道ばた猫 2017-01-18 21:13