こころちゃんは、キジ白のメス猫。もうすぐ6歳です。
飼い主のYさんが撮った写真は、どれもリラックスしてごろんごろんしています。
家族の一員としてたっぷりと愛情を受け、穏やかに暮らしていることがよくわかります。
でも、こんなこころちゃんには、とてもさびしい時代がありました。
こころちゃんは、飼い主のいない猫から生まれ、3か月くらいのときにちよだニャンとなる会に保護された子です。
6か月くらいの可愛い盛り、、あるご夫婦にもらわれていきました。奥さんは実家でもずっと猫を飼っていた猫好きということで、先住猫も1匹いる環境でしたので、ニャンとなる会では心配なく送り届けたのでした。
ところが、3年たったある日、そのご夫婦が突然、こころちゃん(当時は別の名)をつれて預かり主だった方のもとを訪れ、こう頼みました。
家を建てるのだけれど、その間、ペット可の家が借りられない。ペット可の借家が見つかるまで預かっていただけないか、と。
預かり主さんは断り切れず、毎月1回、一家で(お子さんがふたり生まれていました。先住猫は『逃げていなくなった』とのこと)面会に来ることを条件に引き受けます。
預かるにあたり、餌は一日何回どのくらいの分量であげているのか尋ねたところ、「一日に、とかじゃなく、大きなお皿に大量に入れて、なくなったら入れる」とのこと。
聞けば、こころちゃんは猫部屋でひとり暮らしていて、3年以上たつのに人になれている様子がまるでないのです。面会に家族が来れば、逃げます。
しばらく様子を見たニャンとなる会では、愛情を充分に受けていないネグレクトだと判断、こころちゃんを戻してもらいたいと申し出ました。
旦那さんは、ホッとした表情を見せ、「じつは持て余していた」といったそうです。
この若夫婦には赤ちゃんが次々生まれて、気がついたらこころちゃんのことがないがしろになっていたのかもしれません。
でも、猫は無条件に愛されるために、家庭に迎えられるべきで、赤ちゃんと同じです。こころちゃん、お部屋にいつもひとりぽっちで、どんなにさびしかったことでしょうか。
上の写真は、戻されたばかりの、こころちゃん。無表情でとても暗い顔をしていたと、ニャンとなる会の方は言います。
こんどこそ、猫可愛がりされるおうちをみつけてあげなければ!
第3のニャン生を明るいものにしてやらなければ!と、ニャンとなる会では考えました。
「引き受け先探しています」というニャンとなる会のフェイスブックを読んで、こころちゃんのことが気になったのが、猫を飼うのは初めてのYさんと家族。フェイスブックには、愛情を十分に受けなかった」といういきさつも、前の里親さん了承のもとに書かれていました。
会いに行くと、こころちゃんはまだ寂しそうな影はあったものの、ニャンとなる会や獣医さんのケアで、かなり表情が和らいでいました。
そこで、こころちゃんを譲り受けるために、ペット可のマンションにお引っ越し。こころちゃんは、第3のニャン生をスタートしたのでした。
来たばかりの時の写真は、緊張がうかがわれます。
Yさんは、ニャンとなる会ゆかりの、かかりつけの獣医さんに毎日写メールで報告し、何かにつけて相談に乗ってもらいました。
表情が乏しかったこころちゃんが、今では、怒ったり甘えたり。心がどんどんほどけていっているようです。
「ゴハンが遅いと、怒って『ゴハーン』と言います(笑)。名前を呼ぶと走ってきますし」と、Yさん。
「こころ」という名を付けたのは、Yさんですが、「つらいことがたくさんあっただろうけど、これからはこころ豊かな次の猫生を過ごせるように」という思いが込められています。
こころちゃん、まだまだYさん家族以外には警戒心あらわで、お客さんが来ると、パッと逃げてしまうそうです。
タワーの上での写真を撮らせてはくれましたが、その目が「なんで、このひと、あたしのうちにいるの?」と、Yさんに訴えています。
帰宅時には、どんな迎え方をしてくれるのかお聞きすると・・・・。
「出かけるときも寂しそうな顔しないし、帰ってもとくに歓迎するようでもありません。どっちかというと、僕たちがこころの家に帰ってきているという感じ。それでいいんです。くつろいで、楽しく気ままに過ごしてくれれば」
そしてこんなお話も。
「やってきて間もない2月頃、本を読んでたら、いきなり膝の上に乗ってきて。なつかれた~とすごく喜んでたら、春になったとたんに乗らなくなった。ネットで調べたら、猫は寒いと膝に乗るらしい(笑)。でも、それでいいんです」
言葉の端々に、こころちゃんへのおおらかな愛がこぼれます。
「僕たちの知らないさびしいこと、つらいこともあっただろうに、自分の意志やライフスタイルをもってこうしてゆったりと暮らしている。そんなこころを見ていると、いろいろなことを教えてもらい、僕たちの人生も豊かにしてもらってるのを感じます」
こころちゃんとYさんたち、いい感じで波長が合って、これから長い年月をかけて揺るぎない絆が結ばれていくのに違いありません。
もっともっと甘えんぼさんになる予感が・・・・。
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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猫と一緒に生活をするのであれば、最後まで愛情と責任を持ってもらいたい・・・
猫に癒されるのも間違いではないけれど、猫たちが暮らしやすく、安心できるような環境を整えてあげたいです
by ずずず 2017-01-24 11:48
猫は無条件に愛されるために家庭に迎えられるべき…本当にそう思います。
by 名無し 2017-01-24 12:57
むごいことを平気でできる人が、まだまだいるのだなと悲しくなりました。一方で、こころちゃんの表情がいまはとても柔らかで、安心できる家族のもとへ移ることができて良かったとも。これからも、たくさん愛情をもらって、健やかに暮らして欲しいです。
by 名無し 2017-01-24 14:07
私も元保護猫と暮らして居ます。3代続けて保護猫です。
文章上「猫を飼ってます」と書く時がありますが、
本来は「暮らしてます」「一緒に生きてます」と思っています。(って書きたい)
どうしても「飼う」という感覚の方が多いような気はします・・だから、こころちゃんのような「彷徨い」を強いられる子が出て来てしまうのではないでしょうか・・。
by zero19641213 2017-01-24 15:18
ご飯も寝る場所も与えてるんだから、責任は果たしている、と当たり前のように主張される方がいます。
でも、時々、日も当たらない家の裏や排気ガスでむせるような道路脇など、環境が良くない場所に繋がれっぱなしの犬や、
今だに家に閉じ込めるのはかわいそう、と言って、街中で事故の可能性もあるのに、出入り自由な飼い方をされている猫もいます。
もし自分がその犬や猫だったら、という想像力で、彼らが快適に安心せて暮らせるよう愛してやってほしいものですね。
by 桜さくら 2017-01-24 16:14
こころちゃん、穏やかな表情になってなんて可愛いんでしょう。
我が家のはなちゃんも保護猫ちゃんで、巡り会えた幸せに感謝する毎日です。
私もはなちゃんを飼っている、という言い方には違和感があるので一緒に暮らしている、と言いたいですね。
はなちゃんはいつも一番心地よい場所で幸せそうに寝ています。その姿を見るのが私たち家族の幸せです。
1日でも長く一緒に暮らしていたいと願うばかりです。
by はなママ 2017-01-24 17:14
猫が嫌いな人や興味のない人には、猫には感情がないと思う人もいるようですが、とんでもない、猫にも感情はしっかりあります。こころちゃんがどんな扱いをされていたかは、表情でわかります。言葉で訴えることができないから余計に可哀想です。こういった扱いをする人は猫は飼ってやってる、と思うんでしょうね。なにか言われると忙しいとか、子供に手一杯とか、言い訳するんです。命を預かることの意味がわかってないんです。今は優しい家族に出会えて良かったです。こんどこそ幸せになって欲しいです。
by ふみちゃん 2017-01-24 17:43
猫ってすごいですよね!
愛情をかけたらかけた以上にこちらに返してくれるというか。
猫の居ない人生は考えられない。
猫に励ましてもらって色々頑張れてます。
猫ってなんでこんなに可愛いんだろう。
すべての猫にありがとう
by シルポートSD 2017-01-24 22:26
こころちゃん、寂しかったね!悲しかったね!我が家の福にゃんと同じ柄
動物は話せないだけでみんな心があります!本当にそんな人には飼ってほしくはないですね(怒)
でも今はとっても幸せで良かった‼
こころちゃんこれからの猫生はきっと幸せだよ
by 福ママ 2017-01-24 23:13
とっても幸せな優しい顔になりましたね。こころちゃんかわいいです。優しいご家族ともっともっと楽しい時間をすごしてね! うちの子も膝に乗ってくれないんだよなー
by さりゅ 2017-01-25 00:45
こころちゃんとそっと見守りご家族のあたたかい愛情にナミダです。
猫部屋で一人にされてどんなにかつらかったか・・・自分の子供をそんな風に育てるのですか?と聞きたい。逃げ出した先住にゃんもいまはどうしているのか・・・でもここでこうやって巡り合わせて保護でたことはこころちゃんにとって本当にいい結果になりましたね。
頑張って生きてきてよかった。これからうんとしあわせになってね!!
by あずにゃん 2017-01-25 12:04
こころちゃん、ごろんごろんしてお顔も穏やかで可愛いですね!戻ったときの写真のお顔は本当に無表情で目もビー玉のようで体温が低いように感じます。今は愛情たっぷりのところで暮らせて本当に良かったですね。たくさんの幸せが運ばれてくると思います(*^_^*)
by とも 2017-01-25 21:00
こころちゃんが段々と幸せな顔になっていくのが嬉しかったです。
ウチの子にとてもよく似ているので、涙してしまいました。
独りぼっちでよく頑張ったね・・・ってこころちゃんに言いたいです。
これからは、温かい家族の下でいっぱい幸せになってね。
猫がいてくれるだけで本当に今、幸せです。毎日が満たされています。
その気持ちがわからない人、ないがしろにする人に猫を飼う権利はないです。
by リン 2017-01-26 06:32
>ずずずさん
ほんとうに。猫を家庭に迎えるときは、健やかなるときも病めるときも、終生変わらず溺愛します、と誓ってほしいものです。
by 道ばた猫 2017-01-26 11:27
>名無しさん
人間の子だったら、社会に送り出さなきゃいけないから、親に溺愛されると本人が困るでしょうが(笑)。猫はいいと思います~
by 道ばた猫 2017-01-26 11:33
>名無しさん
ニャンとなる会の方も、こころちゃんは戻ってきたときと今とでは、まるで表情が違うとおっしゃっていました。愛されると、目が丸くなるんですよね~
by 道ばた猫 2017-01-26 11:35
>zeroさん
一緒に生きている、暮らしている。まさにそうですよね!!
うちも、保護猫ばかりですが、よくぞ巡り合って、一緒に暮らしてくれました。そんな感じです。
by 道ばた猫 2017-01-26 11:40
>桜さくらさん
相手の気持ちになってみる。世の中のすべてのことの基本ですよね。
一緒に暮らす以上、たくさん話しかけなくちゃあ、ね。
by 道ばた猫 2017-01-26 11:45
>はなママさん
はなちゃん、いちばんいい場所で気持ちよく寝ているんですか。目に見えるようです。
うちも、それぞれに、その季節でいちばん気持ちいい場所を確保してます~
by 道ばた猫 2017-01-26 11:49
>ふみちゃんさん
前の里親さんはご夫婦は、子どもたちと猫が仲良く、情緒豊かに育っていくせっかくのチャンスを無駄にしましたね。もったいないことです。
by 道ばた猫 2017-01-26 11:52
>シルポートSDさん
同感です!!
猫って、なんでこんなにかわいいんだろう。なんでこんなにみごとなんだろう。なんでこんなにけなげなんだろう~
by 道ばた猫 2017-01-26 11:55
>福ママさん
はい、こころちゃんはこれから、ますます平和な日々を過ごしていくと思います。どのくらい甘えんぼさんになるか、楽しみですね~
by 道ばた猫 2017-01-26 11:58
>さりゅさん
うちは、みんな膝の上が好きで、(寝るとおなかの上)てこでも降りてくれないのが、非常に困ります・・・。
by 道ばた猫 2017-01-26 12:01
>あずにゃんさん
猫は、お気楽に、家族のみんなから声掛けしてもらったり、撫でられたり、そんな暮らしがいちばんしあわせではないでしょうか。
by 道ばた猫 2017-01-26 12:06
>ともさん
目は口ほどにものを言い。ホントにそうだと思いました。
猫は猫らしく。お気楽でぐうたらで甘えんぼでいなくちゃ!
by 道ばた猫 2017-01-26 12:10
>りんさん
幸せな猫のいるところ、幸せな家族あり。
幸せな町猫のいるところ、幸せな町あり。
いつだって、双方向なんですよね~
by 道ばた猫 2017-01-26 12:13
こころちゃん、ちゃんとみてくれる方が見つかってよかったですね(^^ゞ
里親探しは慎重にしないと、猫が可哀想ですよね。
今日から4日間、葛飾区堀切地区センターで、地域猫活動の紹介と写真展を開催します!
家の旦那も外猫写真を初出展してます。
猫と共に生きていきたいですね(^o^)v
by るな 2017-01-27 09:53
我が家も1歳の幼子と2歳のキジトラにゃんが一緒に暮らしています。
猫部屋にひとりで…。想像しただけで我が家のにゃんこが「出してー!かまってー!」と鳴く姿が…(/ _ ; )
うちのにゃんこは、クローゼットに自分から入って気づかれず閉められただけでも一大事です(*_*)
お子さんに気を遣ってたのか…それぞれの家庭で事情はあるでしょうが、こころちゃんにはつらい時間でしたね。
こころちゃん、これからはいっぱい甘えて幸せになってね(*^_^*)
by くーまま 2017-01-27 18:58
>るなさん
葛飾区の地域猫さんたちの写真、どの子もみんな個性的でした! 下町には下町ならではの猫事情があると思いますが、みんなで猫を見守る町としてモデルケースになれるくらい、皆様の努力が実を結びますように!
by 道ばた猫 2017-01-29 20:44
>くーままさん
猫のお兄ちゃん(お姉ちゃんかな)と一緒にすくすく育つくーままさんちのお子さんは、とっても幸せですね! もちろん、人間のきょうだいがいる猫さんも!
by 道ばた猫 2017-01-29 20:47
あの、皆様にご質問なのですが、私の家では猫を飼っていて、家族でとても可愛がっていたのですが、
一昨日猫の機嫌が悪く、私、なにもしていないのに、猫が激しく噛んできて、流血したんです。
そしてそれを家族に話したら、全員私が悪いと言ってきたんです。猫が好きなのはわかりますが、流石にこれは、、、と、思ったので、ご相談させて頂きます。 皆様、これ、私が悪いんでしょうか?
by 綾音 2022-07-26 22:01