チャトラのシュシュちゃんは7歳。
パパとママと、5月で3歳になるミナトくんと暮らしています。
こんなにべっぴんさんなんですけれど・・・。
怒るとちょっとこわいんです。
猫のお姉ちゃんともっと仲良くなりたいミナトくんが、そーっと触ろうものなら、
「なにすんのよっ」と、シャア~~。
そんなわけで、ミナトくんとシュシュちゃんには、おたがい「間合い」というものがあるのです。
こんな具合に。
シュシュちゃんは、葛飾で拾われて、このうちの子になった猫です。
7年前のこと。
葛飾区在住のミナトくんのおじいちゃん(といっても、まだ若い)が勤めていた会社は大きな橋のたもとにあり、その会社では、毎朝、全員で会社の内外の掃除をするのが日課でした。
橋のたもとにある小さな公園に、生まれたてと思われる仔猫が落ちているのを見つけたのは、社長さん。
社長さんは猫がさわれない人でしたが、見捨てられず、経理部長に「保護するように」と指示。
朝礼で「仔猫を保護したので、どなたか面倒を見てください」と社員へ広報されました。
ミナトくんのおじいちゃんは、奥さん共々大の猫好きでしたから、すぐに家に電話。
ところが、当時高齢の猫が通院中で、最後の日々にストレスを与えたくないと、奥さんから「NO」の返事。
ミナトくんのおじいちゃんは、体温低下を防ぐために仔猫をてのひらで包んでやっていたのですが、他にもらい手もなく、やむなく仔猫を会社に置いて帰宅。
すると、奥さん、二人の娘(お姉さんのほうは結婚して近くに住んでいました)から、総攻撃で人でなし扱い。NOといったことを忘れて、「生まれたての仔猫をおいてきたら、すぐ死んでしまう。信じられない! なんで連れて帰らなかったの」というわけです。
すぐさま、その夜、仔猫は家に迎えられました。
やってきた仔猫の面倒をいちばんせっせと見たのは、近くに住む長女のかた。
生まれて2~3日で迎えた仔猫はなかなかミルクを飲んでくれず、とにかく生きてほしいと、シリンジを口に押し込む日々だったので、仔猫の口元は少し歪んでしまいましたが、とにかくいのちは助かりました!
長女の方が住んでいたマンションはペット禁止だったため、仔猫を迎えるべく、一軒家を買ってお引っ越し。
仔猫はシュシュと名づけられ、一人娘としてパパママから溺愛されました。
ところが、しばらくママがいなくなったと思ったら、赤ちゃんを大事そうに抱っこして家に帰ってきました。
「何なの、コレ」と、シュシュちゃんは、遠くから得体のしれぬ生き物を凝視したまま、固まっていたそうです。
パパまでも、赤ちゃんを抱っこして「可愛い、可愛い」とちやほやしています。
アタシだけにメロメロだったパパとママが・・・。シュシュちゃんは、その時からちょっと怒りんぼになってしまいました。
もちろん、シュシュちゃんへの、パパとママの愛情は変わりませんでした。
シュシュちゃんより後にこの家にやってきた赤ちゃん、ミナトくんは、とってもやさしく素直に、すくすく成長。
シュシュちゃんも「パパもママもアタシのこと、変わらず大事にしてくれる。アタシのほうが先だけど、この子も家族なんだわ」と認識し始めたようです。
日当りのいい窓際がシュシュちゃんの特等席。
「お姉ちゃんと遊びたいな・・・」
でも、まだまだ、何をするかわからない「ちょっとこわいお姉ちゃん」。
何回かひっかかれたりかみつかれたりしたけれど、お姉ちゃんが大好き。
お姉ちゃんと、もっともっと仲良くなりたいミナトくん。
猫じゃらしに、シュシュちゃんが食いついてくれて、うれしそう。
ときどき、お姉ちゃんのそばで、猫になってころがります。
「お姉ちゃん、こわい?」とミナトくんに尋ねたら、こんな答えがにっこりと返ってきました。
「シュシュちゃん、かわいい」と。
今は、スリリングな関係だけど、これからどんどん二人の仲はちぢまっていくことでしょう。
ミナトくん、もう少し大きくなったら、シュシュちゃんを抱っこした姉弟写真を撮らせてね。
お知らせひとつ。
本日火曜夜20時より、BS日テレ「わんニャン倶楽部」で、「サチの子育て奮闘記」特集が放映されます。
当ブログにたびたび登場している里山のさっちゃんと新入り謙治くんとの心温まるお話です。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ミナトくん、猫が嫌いにならなくて良かったです。よく子供の時に、犬に噛まれて犬嫌いになったりする人っているけど、引っ掻かれてもめげないとはすごい。これからも時間をかけて、ゆっくりと仲良しになって欲しいです。お姉さんも本当は仲良くしたがってるかもしれないですし。
by ふみちゃん 2017-03-21 15:47
ミナトくんとシュシュちゃんの間合い
徐々に縮まっていくことでしょうね。
ミナトくんの笑顔がとても素敵。
シュシュちゃんが
大好きな気持ちがこぼれてるもの。
うちの孫と猫の間合いも
同じくらいです。
お話を読んでいて重なりました。
ほんわかするお話とお写真
ありがとうごさいました。
by よーこ 2017-03-21 15:55
いい話ですね
うちにも甘えん坊がいます、これからもっと仲良くなれたらいいなと思っています
by 夜凪華吹雪 2017-03-21 19:23
シュシュちゃん、とーっても可愛いのに怒るとなかなかのお顔に(笑)
ミナトくんの笑顔がいいですね♪ミナトくんもちょっと怖いけど可愛いお姉ちゃんがいて良いですね!(人間もそういうケースは多々あるかしら!?)
これから里山の子、さっちゃんの「サチの子育て奮闘記」観ます~!このために残業せず(少しでも残業するとリアルタイムで観られなくて)定時にあがりました(^-^)楽しみです♪
by とも 2017-03-21 19:39
また朝一番に泣いてしまいました。 ミナト君の笑顔がとても素敵 心が見えそう!
シュシュちゃん、すばらしい家族に囲まれて幸せやねー!
by あい 2017-03-22 00:35
>ふみちゃんさん
そう、お姉ちゃんも仲よくしたがってるかも。ちっちゃい子は予測できない動きをするからビビってるだけかも、ですね。
by 道ばた猫 2017-03-22 07:09
>よーこさん
お孫さんと間合いが同じですか。少しずつ仲良くなっていく、というプロセスを自分でつかんでいくのは、いい体験ですよね!
by 道ばた猫 2017-03-22 07:12
>夜凪華吹雪さん
夜凪さんちの甘えん坊ちゃん、どんな子なのかなあ。
うんと甘えん坊させてあげてください!
by 道ばた猫 2017-03-22 07:15
>ともさん
ケンジくん、なんとも愛らしかったですね。
(マル秘情報)もっとちびっ子がやってきましたよ~
by 道ばた猫 2017-03-22 07:18
>あいさん
ほんとうにミナトくんの笑顔はすてきです。みんなに愛されてるのがよくわかるおおらかな笑顔。
シュシュちゃんもしあわせですね~
by 道ばた猫 2017-03-22 07:21
佐竹さん、ありがとうございます!本当にケンジくん、愛らしくてたまりませんでした!!マル秘情報、ありがとうございます!!もっとちびっ子がやってきたのですね♪花はなの里はすごいですね♪
「ありのまま、見守るように」は本当にそのとおりですね!
by とも 2017-03-23 19:51
>ともさん
もっとちびっ子、と思ったのですが、どうやら謙治くんと同じくらいの子たちでした。
さらに、野性味あふれるメス猫さん「とわ」も里山猫の一員に。これから、紹介していきますね~
by 道ばた猫 2017-04-01 01:30