横浜中華街の路地裏に捨てられた小さな生命との出会い。
アクセサリーを買いにきたはずの夫婦が、宝石以上の宝物を手に入れることになろうとは。
黒猫るび
キジ白のちび太
横浜中華街での「まさか!」
小林夫婦はともに動物が大好き。犬がいいな、いやっ、猫もいいな、いつか一緒に暮らせるといいな、そんな想いを膨らませる日々でした。そんな二人に運命の出会いは突然に。
アクセサリーを買おうと、デートで訪れた馴染みの横浜中華街。裏路地を歩いていたところ、ご主人のひでさんはぽつんと置かれたダンボール箱に気が付きました。おそるおそる覗き見ると、そこには小さな黒猫が......。「こいつだ!」とひと目惚れしてしまったひでさんに対し、突然のことで少し躊躇したという奥さまのあやさん。しかし、すぐに「連れて帰ろう!」ということになりました。そして気が付けば「アクセサリー」購入資金は子猫のためのトイレ、猫砂、フード等「猫の飼育費」に変わっていました。
黒猫は「るび」(現在20歳の男の子)と名付けられ、小林家待望の猫生活がはじまるのです。近くで見守ってくれていた人がいたのか、保護したとき、るびの爪はキレイに手入れされ、ノミも付いていないベストな状態でした。生後2〜3ヶ月で子猫用のフードからスタートできたのも初めて猫を飼う夫婦にとってはありがたいことでした。そういう思いがわき上がるのは、次にやってくる猫(ちび太・19歳男の子)が離乳していない猫だったからです。
ん?わしのこと?
はじめての多頭飼育、しかも乳飲み子
るびを保護して1年も経たないうちに自宅近くの公園で4匹の兄妹猫を発見。幼い子猫たちを当然放っておけるはずなく保護することに(うち1匹がちび太。1匹は死産、2匹はその後里子へ)。まだ目も開いていない乳飲み子の世話などしたことがないひでさんでしたが、奇しくも当時は休職中。幸いにも2〜3時間置きのミルク給餌が可能で、哺乳瓶を使い見事に育て上げるのです。
出会いは必然なのかなと、私も思ったりしてしまいます。
小林さん宅には現在4匹の猫がいます。(ほかの2匹は隠れてしまって写真はありません。)ちび太がやってきたとき、先住猫のるびが「毛づくろい」などして子猫たちの面倒をよく見てくれました。4匹になるとは想像していなかったのですが、その経験から多頭飼いに積極的、好意的です。とはいえこれ以上増えるのは大変だと「外猫がいるような場所には極力行かない」とひでさんは心に決めているようです。わかる、その気持ちわかるわぁー。
太陽がいっぱい
約1年前から「聴力」が落ち、20歳になったるびの耳、今では全く聴こえていないようです。確信したのはあやさんがお皿を落として割ったとき。蜘蛛の子を散らすように逃げた3匹の猫たちに対し、るびだけが無反応だったことからでした。しかし、当のるびはなんのその、さらに視力と筋力も弱くなったというのに、この家で一番の威厳と輝きを放ち、まさに「太陽」そのものなのです。
日向ぼっこが日課
太陽の子は太陽の下で寝るのだ。
食事場所にはロイヤルカナンのカリカリが。るびはカリカリ専門で、ちび太はウエットフードを好みます。そのときに食いつきが良いものを十分に与えることで人間の食事を「盗み食い」することもなくなりました。若いころはパンや乳製品、焼き魚に食いついていたそうですが。
2匹は引っ越しを3回経験し、2010年にこのマンションに越してきました。もちろん猫の「飼育可」の物件は第一条件ですが、購入の決め手は「日当り」です。2匹がご長寿なのは小林家がいつも日当りにこだわってきた結果ではないでしょうか?太陽が一番の健康サプリ!光を浴びて、宝石のような輝きを放つ猫たちがここにいました。
よく構い、
よく遊ぶのも大事。
猫は代わりのいない宝石。一生ものです。
......................................................................................................
あやさんのブログ
【猫にチュウしてチューハイ日和】
http://ameblo.jp/ronojimechi/
......................................................................................................
「
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
アクセサリーよりも猫…。
とても素敵なお話です。縁あって家族になった猫たちは、まさに宝物ですもんね〜。
by ふ〜みん 2017-04-13 00:32
ペットがファッション化に繋げられる悲しい今
保護されたひでさんとあやさんの温かな優しいお人柄に胸打たれました。
本当に代わりのない宝石、小さな命ですね
by イクラ 2017-04-13 08:17
ふ〜みんさん
とても優しいご夫婦でした。コメントありがとうございます。
by ケニア・ドイ 2017-04-13 08:39
イクラさん
猫は色も柄も様々。宝石を撮るのと同じだなーと思いました。動くけど…
by ケニア・ドイ 2017-04-13 08:50
まるでサッシの宣伝のような写真の数々・・・!
猫の毛は(特にクロネコさん)日向の下でみるとまた色味が変わってきらきらと絶妙な色合いを醸し出しますよね。
ちび太くんも「わし」が似合わぬとても19歳とは思えないかわいいお顔。長生き更新してまたここに登場するかも???
by あずにゃん 2017-04-14 16:41
あずにゃんさん
サッシの広告ですか?私もCMやりたいですw
猫も人間と同じ、とくに黒猫の場合は白髪と言えませんが、色がうすくなる傾向があるようです。
それもまた楽しいですよね。この連載の最高齢は24歳なので、25歳になった猫さんにはもう一度再訪したいと思っております。
by ケニア・ドイ 2017-04-19 17:00