ページ内を移動するためのリンクです。
ここからメインコンテンツです

[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2017年04月26日

クロとクリン

休日の昼下がり、とある公園でBBQを楽しむ林夫妻のもとに小さな黒猫があらわれました。野良ネコが産んだ子猫でしょうか。ご飯が欲しいのか?遊んで欲しいのか?猫を飼ったことがない夫妻には猫の気持ちがわかりませんでした。でもひとつわかったのは「子猫はかわいい」という自分たちの気持ち。二人は顔を見合わせます。この猫、いったいどうする?

kd20170426-1.JPG
クロ(18歳・男の子)

kd20170426-2.JPG
クリン(18歳・女の子)、青い首輪が素敵。




クロとの出会い


出会いは兵庫県明石市のとある公園。子猫(後のクロ)はBBQにいきなりあらわれて、食事の席に。おかわりをねだる割に体を触わるのはNGで「あら現金な子」と自然と笑顔があふれます。楽しいひと時を過ごした後、日も暮れたので、「またねー」と猫に声をかけ、その場はあっさりお別れ。林夫婦は自宅へと戻りました。しかし、家についてみるとふつふつと涌き上がる黒猫への思い......。奥さまのすみさんはあのかわいい子猫のことが頭から離れません。たまらずご主人の芳彦さんにこうたずねるのです。「ねー、あの猫うちで飼ってもいい?」

kd20170426-3.JPG

次の日、玄関には覚悟を決めてリュックをしょったすみさんの姿がありました。芳彦さんは反対することなく、「また会えるといいね」と送り出しました。
さて、現地につくとそこには昨日見た猫の姿が。「見つけた!」と息巻くすみさんに戸惑ったのか、距離をとり逃げる黒猫。木の上に登ったりと、なかなかつかまってくれません。
しかし、すみさんはこの猫と暮らしたいという強い思いで、粘り強く交渉(?)した結果、ついに捕獲に成功するのです。それはつまり、愛情が伝わったのではないでしょうか。そんなクロは気づけばもう18歳になりましたが、今でも出会いと捕獲の記憶だけはとても鮮明に、昨日のことのように思い出されます。そりゃそうだろう、どちらにとってもインパクト大な出来事だったのですから。

kd20170426-4.JPG
キリリとクロ。



猛勉強と2匹目の猫クリン


晴れて林家の一員になったクロですが、お二人とも猫を飼った経験がありませんでした。まずは本やインターネットで猛勉強。完全室内飼いの大切さを知り、「猫は構っちゃいけない」とか爪切りの方法など猫を飼うために必要なことを学びました。そして充分自信がついたタイミングでクロの相棒を探すことになりました。クロと暮らすようになってから2ヶ月後、インターネットの里親募集から写真で一目ぼれした「クリン」を迎え入れ、スピード多頭飼いを実現!
保護主さんの説明によるとクリンたちきょうだいはゴミ袋に入れられて捨てられていたそうです。そんな境遇にも林夫妻は強く心を動かされたのでした。

kd20170426-5.JPG

学んだ知識を生かし、最初は部屋を分けて、くっつけたり離したりしながら、時間をかけて2匹は仲良しになりました。今では2匹とも18歳のご長寿猫、林夫妻の猛勉強のたまものです。

kd20170426-6.JPG
一緒にいると安心。



性格の違い


人見知りのクロ、甘えん坊のクリン、それは取材当日にも顕著にあらわれていました。ソファーの奥に隠れて出てこないクロ(こ、困るー!)、出てきても私と一定の距離を取ります。一方、クリンは人が大好きで興味をもって私に接してくれました(ホッ!)。多頭飼育では、猫それぞれの性格の違いがわかって面白いですよね。

kd20170426-7.JPG
溶け込むクロ。



ご長寿ならではの心配


10歳を越えたあたり、クロは尿路結石になりました。それまでは塩分の高い「煮干し」をおやつに与えていたということですが、これを期に食事を徹底的に見直し、動物病院がおすすめする「療法食」に切り替えるのです。これまで同じ食事を摂っていた2匹ですから、それはクリンにとっても良いことでした。

kd20170426-8.JPG

食事の甲斐あって完治した尿路結石の次は「甲状腺機能亢進症」の疑いがあるクロ、肛門線に難ありのクリン、年を重ねるごとに動物病院のお世話になる回数は増えていきます。「実際に飼ってみると大変、病気のことが......」と心配のタネは尽きることはありませんが、それは2匹を愛しているがゆえ。それ以上に楽しい時間、心のゆとりを猫たちはもたらしてくれます。悲しい時は慰めてくれる優しいクロ、よく膝にのってくる人なつっこいクリンに林夫妻はメロメロなのです。

kd20170426-9.JPG



伝えたい! 素晴らしき猫生活!


私はこの連載を通じて60匹以上のご長寿猫を取材させていただきました。共通して言えることは、みにゃさんとても協力的で好意的。シニア猫の話には、当然大変な思いもあるわけですが、そんな素振りは一切見せず、いつだってニコニコしてお話ししてくださいます。「責任感持って終世飼育」は当然のこと。長く飼うとなると大変なところもあるけれど我が子は可愛い、猫との暮らしは素晴らしい!と教えてくださるみにゃさんに改めて感謝です。
次はどんな飼い主さんに会えるのか? 私の楽しみはさらに続きます。

kd20170426-10.JPG
ころーん。



jamaneko-w280.jpg
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!

写真

猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

X

Instagram

カテゴリ: 猫又トリップ
  • ツイート
  • いいね!

みにゃさまのコメント

すてきな出会いですね~~(^^)そしてつやつやな★くろねこさんです。
後から来たクリンちゃんもお顔が丸くてほんとうにかわいい!
家族として共に暮らせる日が一日でも長く続きますように・・・!
いま、見つけましたが動じない猫、からクロネコさん続きですね~~~~
まだまだ連載、楽しみにしていますね!!

by あずにゃん 2017-04-26 14:01

クロさん、お顔は真っ黒なのにヒゲが白いんですね

by ふ〜みん 2017-04-27 17:41

途中で切れちゃいました。
今回も素敵な運命の出会いのお話ですね。
黒猫さん続き、ホントですね。
うちの子たちも黒多めなので、写真の撮り方の参考になります。

by ふ〜みん 2017-04-27 17:46

あずにゃんさん
よくぞお気づきになられた!偶然黒猫が続きました。
黒猫最強説?浮上?旅は続きます。

by ケニア・ドイ 2017-04-28 11:38

ふ〜みんさん
ひげの色、どうだったんですかね?
黒かったのが白髪になったのか。うちにいた黒猫は白いひげだったような気がします。
黒猫は溶け込まないように撮るのがコツです。一部溶け込んでますが…

by ケニア・ドイ 2017-04-28 11:42