「今日はお世話になります!」本日の主役、銀次郎の飼い主である室井さんと名刺交換をし、社名を見て思わず笑みがこぼれる。だって「株式会社CAT(シーエーティ)」ですよ!代表(飼い主)の室井さんも猫の魔法にかけられたんだなぁ。ちなみに業種は猫とは全く関係ないという。
すべは銀次郎から
転勤族ゆえに、猫は見る専門になっていた室井さん。その日も「マンションの下に可愛い子猫がいたよ」とご主人に言われ、猫好きDNAに突き動かされ、喜んで見に行ったのがきっかけでした。
そこには母猫と子猫4匹がいました。やんちゃに遊ぶ子猫たちのかわいさにしばし陶酔するも、明らかに動きの少ない、震える子猫に目が止まりました。
「かわいそう」
思うや否や、自然と体が動いて猫を保護し、動物病院へ連れて行っていました。そして、適切な処置を受けた子猫に一安心するも、次なる課題はこの子の行き先。獣医師さんから「助けたはいいけど、この子どうするの?」と問われ、一瞬詰まるも口を突いて出た言葉は「うちの家族にします」。今思えば、まさかと初めての連続だったのですが、後先考えずとっていた行動で、この後自身が望む最高の結果へと導かれます。ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)♪
銀色に光輝くこの男の子猫を「銀次郎」と命名、今年16歳を迎えました。私が近づいて挨拶すると、容赦ない猫パンチがっ! ひゃっ! 「この猫凶暴につき」不在時に頼むシッターさんも女性では手におえないこともあるとか。先に言ってよー。
遠目から撮影、銀次郎からのー
マンチカンのこうさく。(6歳・男の子)この可愛さはズルい。
今回の主役は銀次郎なのに......、ついついこうちゃんを撮ってしまう。。
銀次郎が4歳のとき、ご主人の転勤により家族で台湾へ。ただし、人間とは違い猫は「明日すぐに」ってわけにはいきません。検疫のためのワクチンの接種、マイクロチップの挿入など、海を渡るのは想像していた以上に「準備」が大変でした。
動きの多い銀次郎。
台湾で加速する猫生活!
台湾への移住という大きなハードルを越えて、室井さんと猫との関わりがますます加速するのです。「
極簡」という台湾で有名な猫シェルターのオーナーと出会い共感し、そこでボランティアするまでになります。室井家2匹目の猫「さくら」(10歳・女の子)はそこで出会った保護猫でした。生後数日で保健所に収容され、母親の初乳をもらってないため免疫力の低いさくら。シェルターで猫の感染病が蔓延したとき、「隔離しなくては危ない!」となり、室井家の2匹目の猫になりました。
ぽっちゃり体型のさくらちゃん♡
ちょっぴり臆病さんなんだ。
それぞれ日本語と台湾語(?)を母国語に持つ2匹の猫との奇妙な生活が始まり、室井さん一家の猫生活はさらに充実したのは言うまでもありません。
集合!猫の集合写真はむずかしいにゃ。
猫よりも室井さんが好き。
猫ご飯のこと
日本に帰国してから「ポンタ」(9歳・男の子)と「こうさく」(6歳・男の子)の2匹が家族に加わり現在4匹の大所帯になりました。4匹の年齢は様々ですが、ボランティアの経験がある室井さんは、猫が若いうちから食事に気をつけています。現在は銀次郎が高齢ということもあり、朝晩の2回、腎臓病対応の療法食であるドライフードの「ダイエテティクス キドニーキープ」(JPスタイル)を与えています。夜はおやつ的な役割で市販のウエットフード1袋を足し4匹でわけわけ。こうさくだけはまだ若いので、低リンになりすぎないように、こそーりヤングな食事を与えるなど配慮しています。
ぼくはヤングなので、もっとおやつをください!
お気に入りの場所でぐぅー
ぽんた(ロシアンブルー)が一番臆病な子だったな。
でも時間が経てば大丈夫。ケ・セラ・セラ、待つようになる〜♪
「なぜ銀次郎は長寿なのか?」
母親から十分な母乳をもらっていないさくらは他の猫たちと比べ病弱で、3年前には乳腺ガンの手術、2年前には腎臓ガンの手術で片方の腎臓を摘出するという大病を患いました。さくらをのぞく3匹は母親から十分な母乳をもらい室井家にやってきています。いまのところ大病なし。16歳の銀次郎にいたっては健康で食欲旺盛、夜の運動会も欠かさないとのこと。やはり母乳と健康の関係は無視できないように思います。
あのとき動物病院で両親から引き継いだ猫好きDNAに突き動かされ、安易に発したケ・セラ・セラ(なるようになるさ)♪は、今、何倍もの重みと責任感のあるポジティブな「ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)♪」へ。16年歌い続けた室井さんの歌声もひょっとしてご長寿と関係あるのかも?
今と
昔。保護して間もなくの銀次郎。
きみに出会えて良かった。
「
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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台湾のコと日本猫との間に国境はないですね。銀次郎くんの猫の長としての風格が伝わります♪それでいて外部の人間にこびないのに奥様にはあまあまな態度!飼い主にはたまらにゃい瞬間でもありますね。
現在の銀次郎くんと、保護した時の幼い銀次郎くんの写真、ちょっとセピア色になっていて16年という年月を物語っています。なんかじ~~んとしてしまいました。
ぽんたのエメラルドグリーンの瞳にひきこまれそう~~~(//^^//)
by あずにゃん 2017-05-10 14:25
銀次郎くんもさくらちゃんも、元気で健康体だったら室井さんの家族になっていなかったかもしれないんですね。
お世話が大変かもしれないと知りながら、迎え入れるのは簡単ではないと思います。
でも4匹ともみんな、穏やかでいい顔してます。シアワセな証拠ですね。もちろん室井さんも。
by ふ〜みん 2017-05-10 17:30
あずにゃんさん
そう国境はないのです!!ロシアンブルーのなのに名まえがぽんたっていうところが私もツボですw
by ケニア・ドイ 2017-05-19 13:15
ふ〜みんさん
そうですね。私が今「なんとかしなければ!」という思いにかられて保護する人が多いような気がします。
それがどんな結果になろうとも、そこには物語があり、意味があることなんだと思います。そういうのを記録できる機会に恵まれている私もシアワセなのかもしれません。
by ケニア・ドイ 2017-05-19 13:20