猫ともだちのK林さんから「15歳以上の猫がいた!」と情報を得て、コンタクトを取った先は個人宅ではなく、保護猫専門の「シェルター」でした。
連載初の猫シェルター潜入取材に、ワタクシ、心踊りまくりです!
猫シェルターってなーに?
部屋へ案内してもらうと、ずらーりと並ぶケージの山がっ! ここは一般的に猫シェルターと呼ばれる保護猫専用の施設で、20数匹の猫たちはこの場所で「社会化」(人馴れ訓練)し、新しい家族に出会えるチャンスを伺っています。保護された猫のうち、まだ人間に慣れていない猫や先住猫と馴染めない猫たちはケージで過ごし、一方譲渡会にも参加できるような落ち着きがある猫たちは部屋の中で自由に過ごしているようです。
脱走防止の扉から。
ころーん。人馴れした一部の猫たちが歓迎してくれました。
運営者の竹内美根子さんは長年、外にいる猫のTNR活動に取り組んでいました。TNRとはTrap(捕獲する)、Neuter(不妊手術する)Return(元に戻す)の頭文字をとった略語で、飼い主のいない猫が地域猫としていきていくための手助けをする活動です。自治体から不妊手術の費用が出るようになった7年間(平成17〜24年)の実績は「1304匹」で、それ以前より、しかも自費で仲間と活動をしていたというから頭が下がります。そんな竹内さんがシェルターを作ったのは今から6年前で、目的は2つ。ひとつは「未来ある猫の里親探し」です。保護した猫を自宅で預かるにも限界があるため、多くの猫を保護でき、さらに猫を移動させることなく譲渡会も開催できる場所としてこの形を選びました。拠点ができたことで猫ボランティアさんの負担もずいぶんと減り、コミュニケーションが増えたことで活動が盛んになったという利点も。
もうひとつは「高齢猫、病気の猫の保護」です。こちらは最期まで「看取る」ために、健康な猫とは「完全隔離」の別の部屋で保護しています。猫に配慮して取材もNG。現在は20数匹の猫がいるそうです。「不幸な猫を幸せに」がモットーで、それが生きがいだという竹内さん。名まえに「ねこ」が入っているのももはや偶然とは思えません。
取材を通して竹内さんの真摯な活動に触れる機会を持てたことに、感謝することしきり。
里親さん募集中の猫たち。
地域猫から家猫になったチコ
推定17歳の「チコ」(女の子)がこちらに来たのは今から3年前。外でも雨風はしのげる場所はありましたが、「そろそろお年だし、寒かろう」、冷暖房完備のここで余生を過ごして欲しいとシェルターに迎え入れました。年齢的に譲渡は無理、しかし「隔離するほどでもない」ため、今は取材OKの猫部屋でのびのびーっと過ごしています。
カラフルボックスがお気に入り、キジトラのチコちゃん。
幸いチコはここの生活にもすんなりと順応できたそうです。「マイペース」で「我が道をゆく」性格も関係しているでしょうが、ずっと見守り、生後8ヶ月頃のTNRから交通事故で入退院(7歳頃)までお世話した竹内さんとチコの「信頼関係」があってのことだと思います。
だらーん。ストレスのない生活。
ケージの猫は絶賛人慣れ訓練中!
イカ耳ちゃん、早く慣れようねー。
食事が一番大事
一説によると外で暮らす猫の寿命は4〜5年。しかし地域猫として監視、管理できていれば、その寿命は格段に伸びると竹内さんはいいます。まさにチコが地域猫として13年生きてきたことがなによりの証。そこでもっとも大事だったことはやはり「食事」を摂れる環境にあったということ。
現在、シェルターでの食事は「胃腸が敏感な成猫用」(ロイヤルカナン)のドライフードがメインで市販のウエットフードも補助的に与えています。ご寄付でいただいた「ちゅ〜る」(いなば)もチコに限らず、みーんにゃ大好き!また人間の食べる生のマグロ、鰹のなまり節を安く仕入れることもあって、ここの猫たちはその恩恵を享受しています。うらやましい!
ごはんは業務用の15kg!
チコちゃん、ペローンです。
先ずは知ることから
「こういう活動をしていることを多くの人に知って欲しい」と竹内さんは切に願っています。仕事をもちながら、直近データで年間「115匹」の譲渡を達成、3日に1度の頻度で里親さんのおうちへ猫をお届けと大忙しなうえに緊急の連絡で深夜に捕獲へ奔走することもあるということ。このような保護活動を優先するがゆえに「広報活動」の時間が足りず後回しになっているのが現状なんだそうです。
みにゃさんの住む地域、最近、野良猫を見る機会が減っていませんか? 不妊手術のマーク「さくら耳」にカットされた猫を見かけることはありませんか? 竹内さんのように、地道に活動されている方々のおかげで猫を取り巻く環境も少しずつ変わってきています。
私にできること、みにゃさんにできること、まずは正確な情報を知るところからです。猫部とともに猫と人間にとってよりよい未来へ。
シェルターから卒業した猫たちがなんと商品パッケージに採用!
野良猫からモデル猫へ!こんなシンデレラストーリーを私はもっと見たい!
「
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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シェルターの運営、譲渡、お世話、読んでいて頭が下がります。それも仕事をしながら。
猫さんたちはみんなのんびりと余生を過ごしているのが猫さんたちの表情からもわかります。愛情もたっぷりだから元気で長生き、なんでしょうね。
こういった保護活動と、ボランティアが地域に根付くことを願ってやみません。どうかお体に気をつけて!
あ、ドイさん、東京のNPO法人ねこけんさんご存知ですか?そこにも保護猫のなんと!25歳の猫又な三毛さんがいるそうですよ!!
by あずにゃん 2017-06-07 16:43
初の猫シェルター訪問、おめでとうございます。
天候の悪い時は、外猫さんたちの事が気になります。交通事故の心配もありますし。チコちゃん本当に良かったですね。
個人で保護活動をするのも、それを組織化する事も、大変な事だと思います。竹内さん、頭が下がります。
私の身近にも、個人でTNR活動をしている方がいます。私も手伝える事があるかなと、考えています。
by ふ〜みん 2017-06-08 17:33
モデルしたりテレビに出るにゃんこは
ストレスもあり短命がちですよ。
by さや 2017-06-12 23:27
あずにゃんさん
自費でこれだけのことができるのか?私にはとうていできないことです。
でももし10年20年後にもまだこのような問題があるなら、何か行動していたいです。
ねこけんさんの情報ありがとうございます!
by ケニア・ドイ 2017-06-22 10:35
ふ〜みんさん
チコちゃんは本当にラッキーです。よく生き延びて来れました。
地域に根ざしてコツコツと。
ぶれないリーダーは今日もどこかで活動しています。
by ケニア・ドイ 2017-06-22 10:42
さやさん
そうなんですか?
by ケニア・ドイ 2017-06-22 10:45
はじめまして!保護ねこボランティア活動お疲れさまです。本当に有り難くて頭が下がります🙇♀今…知り合って約4年以上の外猫さんが、いよいよ最後を迎えようとしています(泣)体はガリガリに痩せ細り目も見えないようです。道路の真ん中で倒れ込んだり散歩中のワンちゃんに避けもせず近寄って行くので、とても心配です。うちは、ペット不可のボロアパートで、ナイショでもうすぐ22歳になる高齢猫がいるので連れて帰る事ができません。でも、縁合って知り合った子なので心配です。どうしたらよいでしょうか?最後の供養は、してあげるつもりで覚悟はしていますが…私が居ない間、車に引かれるんじゃないか?とても心配しています。
by 名無し 2020-11-10 14:00
縁合って、4年近くお世話した外猫ちゃん…もう長く持たないと思います。うちには、もうすぐ22歳の高齢猫がいます。しかも本当はペット不可のボロアパートです。連れて帰る事も出来ず…ただただ、この子が車に引かれる最後を迎えないか(泣)心配でたまりません。
by 葛飾区小菅のトロル 2020-11-10 14:05
ご飯を食べるようならご飯をお腹いっぱい食べさせてあげ続ける事です。寒い日は湯たんぽを置いてあげたり高齢猫やもう看取り間近な猫はお腹がいっぱいで暖かい場所に居ればトイレぐらいしか移動しません
by 名無し 2021-11-26 07:42
私の近所には野良さんの世話をされてる多数の方々や無償,低額で去勢、避妊をしてくれる理解のある獣医さんがいらっしゃいます。寝床が不明の本当の野宿の野良さんたち大小便の問題はあるようですが、栄養の良い食事とお水をあげているみたいで、みんな奇跡なのか10年以上生きていますね、私が知っている猫も今年13歳で凄く元気です。
by wasaki 2023-01-28 00:42