あれ、カーテンの陰に隠れてるのはだあれ?
かわいいお顔が二つ、透けて見えています。
お顔を見せてくださいな。
おっ、イケメンになりそうな予感。白黒の男の子の「まう」くんです。
こちらは、愛らしい黒猫の女の子。「れあ」ちゃんです。
2匹は、3月の終わり、2か月の時に、若いご夫婦の家にもらわれてきました。
ママの明希さんは、実家で猫を飼っていたので、ずっと猫が飼いたくてたまらなかったそうです。
パパの悠(ゆう)さんは、猫は初めて。
「こんなになつこい生き物とは知らなかった。もうカワイイのひとことです!」と、目を細めっぱなし。
「まう」というのは、ハワイ語で「永遠」という意味。
「れあ」というのは、同じくハワイ語で「幸運」という意味だそうです。
2匹合わせて「永遠のしあわせ」。お二人は、この名前を縁あって迎えた2匹につけました。
まうとれあは、同じ家で生まれた、とても仲良しの2匹。
でも、どうやら母猫は違うようなのです。父猫が同じ可能性があるので、もしかしたら、血は繋がっているのかもしれません。
2匹は、「多頭飼育崩壊現場」からレスキューされ、ミルクボランティアの墨田さん経由で、この家にもらわれてきたのでした。
このケースは、2月に深夜のニュース番組で放映されたので、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、NPO法人「ねこけん」が、SOSを受けて、33匹飼いの家から全頭レスキューした家の子猫です。
7年前に、行き場のない子猫を迎え、不妊手術を引き延ばしにしているうちに、死にかけた子猫をまた拾ってしまいます。いろいろな不運が襲って経済的に苦しくなり、手術をしないままにしていたら、室内で繁殖を繰り返し、7年後には33匹に増えていました。オス同士のケンカで生傷は絶えませんでした。ぎゅうぎゅうで暮らしていた33匹の、ことに出産した母猫のストレスは、どれほどだったでしょうか。行き場のない子猫にさしのべたやさしさがすべての始まり。最初の1匹、2匹の時に手術さえしていたら、誰かに相談していたら......と何ともやるせない思いにさせられる、そんなケースでした。
今年生まれの子猫は10匹いたそうですが、レスキューが入った時は、すでに5匹がオス猫に噛まれて命を落としていました。
生き残った5匹が、ミルクボランティアの墨田さん預かりとなり、里親のもとにもらわれていきました。
墨田保育園卒業直前の5匹の写真です。
左から2匹目と3匹目が、まうちゃんとれあちゃんでしょうか。
そんなわけで、「まう」と「れあ」の名前には、もう命の危険やご飯の奪い合いなどのつらい思いなどしなくていいんだよ、という、悠さんと明希さんの思いが込められているのだと思います。
まうくんは、獣医さんにワクチンを打ってもらいに行ったストレスで膀胱炎になってしまったくらいのビビリですが、プロレスごっこではれあちゃんに負けてはいませんし、おもちゃの横取りも得意です。
れあちゃんは、けっこう好奇心旺盛な女の子。
2匹揃うと、お決まりのカーテン登りやソファでの爪とぎ。
でも、可愛いからパパもママも許しちゃうのです。
墨田さんに愛情深く育ててもらったので、2匹とも、人間が大好きで、すぐにゴロゴロゴロゴロ。
眠くなったら、好きな場所で安心して眠れるし、
ゴハンの奪い合いはないし、
パパとママの愛情をふたり占めの毎日。
穏やかなしあわせがずっとずっと保障されています。
生きることのできなかった5匹の分も、やんちゃをして愛されて精いっぱい命を輝かせてほしいと思います。
来週も引き続き、この多頭飼い崩壊からレスキューされた子猫たちの今をご紹介します。
※お知らせひとつ。道ばた猫日記で紹介した「まんぷくちゃん」「浪右衛門くん」「しずかちゃん」の3匹が、今発売中の「猫びより」7月号特集「君の名(ニャ)は」に再登場です。まんぷくちゃんは文を、浪右衛門君としずかちゃんは写真と文を担当しました。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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こんなに可愛くて、素敵な名前の子達が、想像もつかないようなつらい思いをしてきたと思うと、なんともやりきれない思いで一杯になります。娘の病院にも同じような事情の子達を保護してる方がよく診察に来るそうですが、やはり同じようなことを言うそうです。可愛いと思う気持ちだけで飼い始めるのはいいけど、その子達をきちんと最後まで幸せにする自信がないなら、飼わないでほしいです。
ちゃちゃ子を連れてきたボスねこが最近、また来るようになったそうです。どこで何をしてたのか?彼にも彼なりの事情があったようです。
by ふみちゃん 2017-06-13 15:30
まうちゃん、れあちゃん幸せになって良かった。初めは猫助けしたのでしょうけどね・・・残念ですね。
でも、レスキューしてもらえて本当に良かった。可愛いさかり、カーテンもソファもボロボロになっちゃうけど、許せちゃうんですよね。うちのデカ猫達もそういう時がありましたね。でもすぐ大きくなってしまいました。懐かしいです。是非、是非、不幸な猫達がなくなりますように・・・
by ぺったんの母 2017-06-13 15:47
数日前に知り合いから相談を受けて、ノラ母さんが産んだ子猫の飼い主探しを手伝っていました。
すごく残念な事に、今朝カラスにやられて、みんな亡くなってしまったとのこと。もう、こんな悲しい事がないようにと、ノラ母さんの避妊手術をしてくれる病院を検索しました。動物基金というところが、手術代を支援してくれるそうです。申請から手術までは少し待つようなのですが、こうした活動を多くの人が知っていれば、多頭飼育崩壊が減るかもしれません。人間も猫たちも救えるよう、情報を広めていきたいですね。
そして、救い出された猫たちをお家に迎え入れてくれる方たちに、本当に感謝ですね。
by ふ〜みん 2017-06-13 16:48
あの時の子たちなんですね。。とってもかわいい。幸せになれて本当に良かった。
優しいご夫婦のもとでずっと幸せに暮らしてね。 ねこけんさんはここのところ多頭飼育崩壊のレスキューが続いていますし時期がら子猫のレスキューも多いようで大丈夫かなと心配になるほどです。
猫を家族に迎えることの責任をもっと広めないといけないし知ってほしいですね。
by さりゅ 2017-06-13 19:38
前回、コメントにお返事頂きありがとうございました。
リボンのよく似合う、可愛い兄妹ですね。多頭飼育崩壊は悲しいけど、周囲の皆さんのご尽力で、幸せになった猫を見せて頂くと、本当にホッとして、こちらまで幸せな気持ちになります。
過去の『道ばた猫日記』を読み返していて驚きました。先日、友人と『花はなの里』を訪れた日に、たまたまランチに寄ったお店が、「プライベート・ビーチを持つ猫」で佐竹さんがいらしたお店『まるとし』さんだったのです。いつも房総をドライブする時に、幟が気になりつつも素通りしていたのに、この日は「寄ってみようか」となり、二人揃って「黄金アジフライ定食」を注文。サクサクのフライ、何種類もの新鮮なお刺身、オーシャンビュー…大正解でした。
残念ながら猫には気付きませんでしたが、次に寄る時はぜひ会いたいと思ってます。
by Sea-Road 2017-06-13 22:58
なんと可愛いまうくん、れあちゃん!まうくん、ほんとにイケメンになりそう♪
悲しい状況で生まれた子達だったのですね。
人間がつくりだす身勝手なことに猫を巻き込むなと強く思います。
まうくん、れあちゃんは今は幸せいっぱいですね!優しいご夫婦のお家で暮らせて本当によかったですね。可愛いさが写真からたくさん伝わりました。
by とも 2017-06-14 06:58
ママさんとパパさんの優しい温かなお人柄が伺える
まう君とれあちゃんの幸せ満面な表情、気持ち和みますニャ
人も猫さんも暮らしの中の環境が如何に大切かをしらされますね
身勝手な人間の行動は心が傷みます。
地球上の小さな命が安全な環境の下で
安心して暮らせる事を強く願わずにいられません。
まう君とれあちゃん、いつまでも元気で楽しく暮らしてニャ
不幸な小さな命に温かな手を差し伸べて下さる「ねこけんさん」に感謝♡
by イクラ 2017-06-14 08:12
>ふみちゃんさん
「飼ったら、不妊・去勢手術」・・・後延ばしにしたらダメ!
あらゆる手段での広報が大事なんでしょうね。
by 道ばた猫 2017-06-14 12:13
>ぺったんのお母さま
わが家は、代々の猫たちの爪とぎによるボロボロの柱がそのままです。
出先で障子が破れているお宅の前を通りかかると、親近感を感じます(笑)。
by 道ばた猫 2017-06-14 12:19
>ふーみんさん
仔猫たち、ほんとうに残念でしたね・・・。どうぶつ基金にはわたしも賛同して,個展や展示参加の時はいつも会場に募金箱を置かせていただいています。関心を持ってくださる方が増えています。それぞれができることを、とあらためて思います。
by 道ばた猫 2017-06-14 12:26
>さりゅさん
ねこけんさんは、4月に手術無料のねこけん動物病院を開院しましたね。レスキューが追い付かない状況を少しでも改善したいという決意からと思います。いい流れができますように。
by 道ばた猫 2017-06-14 12:30
>Sea-Roadさん
まるとしさんへ!!
海を目の前に、2階座敷でいただくアジフライ、おいしかったでしょう~
お店左の駐車場の奥に、たいてい猫たち寝そべってますよ~
by 道ばた猫 2017-06-14 12:35
>ともさん
この多頭崩壊のお宅は、いろいろと不運な事情が重なったようで…。捨てなかったということからも、なんとかしたいと思い続け、ついにSOSを出したのだと思います。室内飼いがかえって悲劇となってしまいました。
by 道ばた猫 2017-06-14 12:41
>いくらさん
助かった小さないのち、助からなかった小さないのちが、半々ということに胸がつぶれましたが、
まうれあコンビの全身から生きる喜びを受け取ることができました。
by 道ばた猫 2017-06-14 12:48
わが家の愛猫も「まう」です!ハワイ語にもマウという言葉があるのですね!
わが家のほうは古代エジプト語で「猫」を意味するマウです。
あと私は北海道に住んでいるのですが、アイヌ語でマウは「ハマナスの実」という意味になります。
これからは3つの意味を持つ名前になるのですね!永遠なんてとても素敵です!
レアちゃんも「幸せ」なんて素敵な名前ですね(^^)
by まうの同居人 2017-06-21 21:46
>まうの同居人さん
古代エジプト語やアイヌ語の「マウ」の意味を教えてくださってありがとうございます。
言葉の響きも、なんだか悠久的でやさしいですね~
by 道ばた猫 2017-06-24 00:38