私はひたすら車を西へ走らせました。奈良県の世界遺産法隆寺をスルーして、会いに来たのは16歳の「マロン」。連載初の猫種であるブリティッシュショートヘアに、どんなお話が聞けるのか期待が膨らみます。
動物が大好きな井上夫妻。これまで犬猫分け隔てなく共に過ごし、現在は16歳のマロン(男の子)とラブラドール・レトリバーの兄弟てつ・まる(8ヶ月)の合計3匹がいます。
マロンは先代のアメリカンショートヘア「太郎」(15歳没)の相棒にとブリーダーさんから譲り受けた猫です。最初の頃は牽制し合い争う2匹でしたが、時を経て仲良く、まるで兄弟のような関係に。猫の多頭飼いが上手く落ち着き、今度は小型犬のキャバリア(福、12歳没)を迎えようという話に。犬と猫の多種多頭飼いも上手く折り合いがつくと、今度は大型犬のラブラドール・レトリバー(ノエル、9歳没)にも着手! あっというまに奥さま念願の「動物に囲まれた生活」がにぎやかに実現するのでした。
腹にはニャンコ柄?
ハート柄?
マロンを中心に生活は踊るのだ。
マロンの名前の由来は見た目でもわかるまろ眉。仮名で「まろ」と呼んでいるうちに、いつものまにかマロンに昇格。本当は「栗」という漢字表記が正解なんだとか。太郎の分のごはんまで食べ、すくすくと育ったマロンですが、体重は最大でも4.6kgとやや肩透かし。そこは奥さまがしっかりと食事の調整・体重管理をされていて、オーバーウエイトは免れているとのこと。さすが看護師!(私の中のブリショー像は5〜6kgは優に越え、ふくよかなイメージ。いままで見てきたものは錯覚だったのか......)
奥さまの職業が看護師というのは、やはり猫のケアにもアドバンテージになると思います。
小ぶりです。
でも
食べることが大好きです。
ケアしていてもそこは生きもの、何があるかわからない。実はこの取材の前に、たいへんなことが起こっていました。
ついこの8月にマロンのお腹に水が溜まっていることがわかり、深夜に救急病院へ駆け込むことになります。検査の結果「拘束型心筋症」「膵炎」「胆嚢炎」「リンパ腫」と一度にいろんな病名が付く緊急事態。生死をさまよい「いよいよか」と入院1週間で自宅に連れて帰る決意をします。ごはんも食べず、排泄もしなくなったマロンのために摘便、導尿に必要なキットも病院から持ち帰りました。「やれることはすべてやる」とリビングで一緒に寝るためのマットレスも購入、準備は整いました。
しかしお家に戻ると......、ヒョコヒョコ......とトイレの方に。あれ?「シャー」ってひとりでおしっこを。そのうち大きい方も介助なしにこなしました。
あの頃は絶望的で「取材自体を断ろうとした」というマロンがいま私の目の前にいます。テーブルだって椅子を使えば登れる、トコトコ歩いてキッチンの方、シンクの上の食事場にだって辿り着けます。食欲も旺盛でこの日はおやつのチーズをたいらげました。「あれはなんだったんだろう」と相当覚悟していたご主人も首をかしげます。なんだったんだろう?取材のために心を整えてくれたのか?だったら相当ありがたい。とにかく峠は通り越し、薬接種は必要ながらも以前のマロンに戻り、夫婦に笑顔も戻りました。看護師の奥さまの経験が有効に活かされたことだと思いますが、自宅に引き取ったことで安心して元気が戻ったのかもしれません。やっぱり家が最高!という気持ちは人も動物も同じなんですね。
モットチーズヲクダサイ。
でも食べるのがちょっとヘタ。お皿からチーズがOB。
こちらはシンクのご飯どころ。
上からどや顔!
アメショーの太郎が子猫の頃から病弱だったため、井上家ではわりと早い段階から療法食がメインとなっていました。現在の食事は「消化器サポート」(ロイヤルカナン)のドライフードと市販のお気に入りウエットフードを適量。夜ごはんだけはウエットフードに食欲増進用の「鹿の匠丹波ふりかけ粉」(EGサイクル)を小さじ1杯ふりかけて。う、美味そうです。猫の体に合うもの、噂で聞いて良さそうなものを試す。我が子のために奔走するのは親の努め、みんにゃ同じですにゃ。
これがパワーフードなのかな?ふりかけってごはんが進むよね。
法隆寺よりも私は猫、マロンを勝手に世界猫遺産に認定しよう!井上家ではむしろそれ以上の価値、これからもかけがえのない存在であることは間違いありません。
そうなん?なんかありがとー(関西弁で)
「
じゃまねこ」(マイナビ出版)好評発売中!
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
最初あれ?ご長寿猫・・・終わったかな。なんか子猫のように見えるケド??
それくらい最初の写真があどけない子猫のような、小ぶりな感じだったのでそう思ってしまいました(*^_^*)
わんこもいて、ご夫婦にめいっぱい愛されて三途の川なんかまだまだ先の事っていう感じです。これからも猫又めざし猫生をたのしんでほしいです。
ほんとにお腹に猫と♡が!!
by あずにゃん 2017-10-04 13:42
マロンくん、まろ眉が可愛いですね♡
白猫の子猫に見られる(こともある)、キトゥンキャップを思い出しました。
元気で、長生きしてほしいですฅ(=・ω・=)ฅ
by ひろちゃん 2017-10-05 15:26
あずにゃんさん
終わらないですw
まだまだ知りたいことがいっぱい!人間と同じで歳を取れば子ども返りが起こるようです。
これがまた堪らなく可愛い!長生きしてほしいですね。
by ケニア・ドイ 2017-10-10 11:32
ひろちゃんさん
キトゥンキャップですか、はじめて知りました。
ちなみにうちの白猫は気づいたらクリーム色になっていました。
by ケニア・ドイ 2017-10-10 11:35