もうすぐクリスマス。
今週は、いくつもの手によるバトンタッチで、しあわせの旅立ちをした
子猫のお話です。
主人公は、この子。黒猫くうちゃん。
いまは、千葉県のチエコさんちで、保護猫先輩2ひきと、楽しき日々を送っていますが・・・・。
お話は、2年前の8月にさかのぼります。
大阪の集合住宅に住むチャコさんは、猫が好き。
集会所の屋根の上で、子育てをしているノラの母子が気になって仕方ありませんが、いかんせんバリバリのノラで、手術することもできずにいました。
暑い暑い日、自転車置き場の屋根から、黒い子猫が落ちてきました。
これで、2匹目です。
8日前にも、「子猫が落ちてる!」と友人が知らせてきたので、1か月半くらいの白黒の女の子を保護したばかりでした。黒猫は、その子の姉妹に違いありません。
病院に連れて行くと、すでに離乳期に入っているとのこと。
「くうちゃん」と名づけ、白黒の「ちいちゃん」と共に里親を探し始めましたが、手を尽くせど、一向に見つかりません。
里親募集のツイッターを見たひとりが、千葉県に住むキミコさん。
知り合いのチエコさんに話すと、「黒猫ならほしい」とのこと。
チャコさんとキミコさんは猫好きが縁で知りあい、SNSで仲良くしている猫友達。同じ猫好きSNS仲間の、浜松在住のミキさんも「子猫を大阪から千葉まで連れて行くときは協力させて」と言います。
浜松でいったん休憩させるとして、大阪→千葉への子猫移送一大プロジェクトは立ち上がりました。
ところが、貰い手のチエコさんが「子猫をそんな距離移送させるなんてかわいそう」と、心が揺れて決心がつきません。
くうちゃんにけっして負担のないよう、細やかに細やかに計画は練られ、保護されて
1か月目に、くうちゃんは、大阪を旅立ちました。
大阪から浜松までの担当は、保護主のチャコさんです。ちゃんと新幹線の猫切符も買いました。
くうちゃんは、道中、本当にお利口さんで、怖がる様子もなく、静かに旅を楽しんでいました。
中間地点の浜松では、浜松在住のミキさんと茨城在住のマムさんがお出迎え。いったん駅から出て、ミキさんの車の中で、くうちゃんにランチをとらせ、ひと休み。
プロジェクトに参加はしなかったけれど「見守り隊」の猫仲間から、ひっきりなしに、ツイッターでエールが入ります。
「もう少し!」「がんばれ!」
チャコさんと別れ、くうちゃんは、ミキさんとマムさんに付き添われて、再び新幹線で東京へ。道中、とってもいい子でした。
東京駅では、千葉県在住のキミコさんがお出迎え。
ふたりから、くうちゃんを受け取って、いったん自宅で一泊させて疲れをとったあと、チエコさんちへ届けました。
お嫁入り道具は、チャコさんの愛情が詰まった「子育てノートや、お気に入りのカリカリ、おもちゃなど。
チエコさんちには、2匹の先住猫さんがいて、2匹とも保護猫。すぐに、くうちゃんを仲間にいれてくれました。
どこででも寝る三毛猫のチコ姐さんは、年齢不詳の元ノラですが、いい味してますね!
貫禄たっぷりですが、後輩には鷹揚で、チエコさんには甘えんぼ。
昨年旅立った、大好きなお父さんの遺影の前で、チエコさんがお経を読み始めると、立ち会うのが日課です。
大きなほくろがキュートな白黒のメイちゃんは、チエコさんの友人の庭にある日現れたノラでしたが、半年前にもらい受けたばかり。5月に来たので、メイちゃんです。
この家には、いかにも猫が暮らしやすい、なんとものどかな空気が流れています。
お日様の入り具合も、最高!
大阪の団地の屋根の上の、腹ペコ生活から、家猫に。
猫好きの輪がなければ、くうちゃんの今の生活はありませんでした。
くうちゃんと共に保護されたちいちゃんは、里親が見つからず、チャコさんちの子に。
くうちゃんたちのお母さんは今年も子猫を産みましたが、子猫たちは保護され、手ごわい母猫の手術にも総力を挙げている最中です。
11月には、移送大作戦に関わったメンバーが、大阪・浜松・茨城からもチエコさんちに集まり、大きくなったくうちゃんを囲んで、盛り上がりました。
パソコン作業や手作りの得意なミキさんが、移送プロジェクトメンバーの飼い猫と、里子に出した猫3匹をくわえて、17匹のクリスマスリースを作りました。
猫好き同士の優しいけれど揺るぎない友情と、「どの子もどの子もしあわせになあれ」という願いがこもっています。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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とてもステキなお話ですね。
心が暖まります。
猫好きというだけで、すぐに意気投合できることってありますよね。
by ふ〜みん 2017-12-19 16:39
こんな優しい輪がどんどん、大きく広がって、幸せなねこさんが、たくさん増えますように。虐待するような者が、入り込めない優しくて強い輪が広がりますように。
ぽんずも初めてのクリスマスを迎えます。この子も病院スタッフの優しさの輪がなければ、今頃は、空の上にいたと思います。今、お姉ちゃんのちゃちゃ子の所に来てくれて、可愛い弟になってくれたことを、本当に感謝しています。
by ふみちゃん 2017-12-19 17:14
優しい気持ちになりました。ありがとうございます。いつも思いますが佐竹さんの撮る猫さんたちは自然な良いお顔をしますよね。今回のくうちゃんももちろんですが先輩のチコ姐さんとメイちゃんのかわいさったら!チコ姐さん、ホントにどれもごろーんとしてますね(笑)
by さりゅ 2017-12-19 21:04
くうちゃん、可愛い!長い距離を愛情たっぷり守られながら来たのですね。みなさんの愛情と力に感激しています!
お嫁入り道具も素敵なこと(*^_^*)
心がポカポカになりました!!
by とも 2017-12-20 07:17
すごい絆ですね。感動です!くうちゃん良かったね。表情をみても幸せが伝わってきます。私も350キロ離れたオホーツク海を見渡せる港町に夫と車で2か月位の子猫を友人宅まで届けた経験があります。やはりノラちゃんの子供だったのですが保護して里親をさがしたのですがうまくいかず、遠い街にすむ友人に託すことに・・・男の子だよ~と伝えると、当時小学生だった友人の息子が”み~太”と名付けました。しばらくして友人から電話がきて、病院に連れて行ったら女の子だったよ~!!と(笑)。いまさら名前を変えるのもなんだからとみ~太のまま、現在16歳のおばあちゃん猫になりました。・・・まだまだ元気な様子です。くうちゃんの移送プロジェクトのお話、懐かしく読ませて頂きました。
by ぺったんの母 2017-12-20 09:59
新幹線の中、おひざにちょこんと座っているくうちゃんの目がキラキラしてること!どこに行くのかワクワクしてる良い表情でかわいいですね。
愛のリレー素敵です。これからも家猫として愛情いっぱいもらってね(*^^*)
by はなこママ 2017-12-20 12:13
猫を飼ったこともなかったチャコさんが、落ちて来たくうちゃんを「なんとか安心できる里親さんのもとへ送り出したい!」その想いに感動し、突き動かされてみんなで一致団結。無事移送プロジェクトを決行できたあの日が、まるで昨日のことのようです。
くうちゃんのおかげで、猫仲間との結束が強まり、当時より堅い絆で結ばれています。
猫を保護して、里親探しに困り、見ず知らずの人に譲りその後連絡も取れず…という話もよく聞きます。難しいかも、と思われる状況でも、信頼できる人に託せたということが何よりの安心であり、今の関係にも繋がっています。里親探しに苦労している方に、困っていたら手を差し伸べてくれる猫好きの輪が広がりますように。
小さなくうちゃんが繋いでくれた、大きなご縁に、本当に感謝です✨
by kimiko 2017-12-20 21:43
>皆さま
記事中、私の勘違いがありました。くうちゃんがやってきたのは2年前で、メイちゃんは今年。
ですから、くうちゃんを迎えたのはチコちゃんで、チコちゃんとくうちゃんの2匹が幼いメイちゃんを迎えました。お詫びして訂正いたします。
by 道ばた猫 2017-12-20 23:36
>ふ~みんさん
猫好きって、すぐに和気あいあいになりますね!
とくに、ぶちゃむくれや年寄り猫を「かわいい~」っていう人、大好き(笑)。
by 道ばた猫 2017-12-20 23:41
>同感です!
優しくて強い絆が幾重にもできて、猫たちを守る社会になりますように。
ぽんずちゃん、初めてのあったかいクリスマス、もうすぐですね!
by 道ばた猫 2017-12-20 23:44
>さりゅさん
チコちゃん、ごろーんとしてかわいいでしょ。お母さんの経読みに立ち会う時も(笑)。
10歳はとっくに超えているそうですよ~
by 道ばた猫 2017-12-20 23:47
>ともさん
お嫁入り道具、本当に愛情がこもってますよね。
それにしても、長旅のくうちゃん、いい度胸でした!
by 道ばた猫 2017-12-20 23:49
>ぺったんのお母さま
350キロと幼い時に旅して、男の子から女の子へ(笑)。
みー太おばあちゃん、なかなかのドラマですね! 長生きしてね~
by 道ばた猫 2017-12-20 23:52
>はなこママさん
「くうちゃん、旅をする」って絵本の中の、1場面みたいですよね。
どの場面も、大事にされてることが伝わってきます!
by 道ばた猫 2017-12-20 23:55
>kimikoさん
「ちいさなくうちゃんがつないでくれた大きなご縁」・・・取材できて幸せでした。
それにしても、プロジェクトK、みなさん、いいお顔してたなあ~~。
by 道ばた猫 2017-12-21 00:00
当時はチャコさんの強い思いを少しでも支えたくて…そして何より黒猫くうちゃんに幸せになって欲しくて、自分にできる事をやらせてもらっていました。
…でも移送作戦が終わり、ふと気付いてみたら、私の手元にはかけがえのない猫友の絆が残されていました✨
くぅちゃんの幸せへのお手伝いをしたつもりが、自分が幸せにしてもらってたんです。
一人では限界があっても、仲間がいて協力があれば、なんとかできる❗️
そんな事をくうちゃんとチャコさんから教えてもらいました。
私にとってこの経験は宝物です。
このようなステキな文章にまとめ上げてくださった佐竹さんには感謝感謝です✨
by ミキ 2017-12-21 09:58
佐竹さん この度はくぅちゃんのお話を記事にして頂きありがとうございました。
千葉のチエコさんのお宅で大事にして頂いて本当に幸せです。くぅちゃんとってもきれいなお嬢さんになりました。
近くでよい里親さんが見付かるならそれに越した事はありません。出来るならそんな距離を移動させたくありませんでした。
私は保護団体にあたったり、市の里親会を調べたり動物病院にポスターを貼ったりSNSや友達に声を掛けましたが納得のいく里親さんが見つかりませんでした。
コクシジウムがあり、先に保護した仔猫とは隔離しなければならず別々に世話をしました。狭い部屋で、猫風邪の目薬とコクシの薬とトイレの徹底処理生活はくぅも私も限界がきていましたが 里親さん探しに妥協は出来ませんでした。
くぅを、せっかく助けた命を簡単に里親に出す事がどうしても出来なかったんです。
千葉なんて遠い!何かあってもすぐ駆け付けられない!と断る所でしたが、チエコさんは長年保護ねこさん達を何匹もお世話をしてきた方で、里親さんには申し分の無い方だとみんなが背中を押してくれました。くぅの生涯を預けるんだから大事にしてくれる申し分の無い里親さんが居るなら千葉までだって届けるわ!と立ち上がったくれました。
あの日力を借してくれた茨城のマムさん、浜松のミキさん、千葉のキミコさんから行動する勇気と力を学びました。素敵な人達と出逢えてよかった!感謝の気持ちを生涯忘れません。
そしてくぅを家族に迎えて下さったチエコさんありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
長々とすみませんでした(;´д`)
by 大阪の母 チャコ 2017-12-21 16:24
あの日の朝、目覚めてすぐに「今日は一大プロジェクト決行の日!」とツイッターで呟いたところからスタートしました。今でも鮮明に覚えています。
くぅちゃんのシアワセのために夢中で集中してみんなな気持ちを1つにして計画を練った日々…。
あれから2年3ヶ月が経ち、成長したくぅちゃんとの再会が叶い、感無量でした。
「黒猫は一味違うのよネ!」と愛情たっぷり育ててくださっているチエコママにもお会いすることができ、あっという間の時間でした!
小さな小さな子猫のくぅちゃんは私たちに大きな大きな♡愛を教えてくれました。
出逢いに感謝!ご縁に感謝!
先週に引き続き、嬉しく有り難い『道ばた猫日記』をありがとうございます。
佐竹さんの猫好きならではの視点で書かれている優しくあたたかい文章と猫さんたちの魅力的なお写真1枚1枚がどれもこれもステキで毎回引き込まれています。そして何回も読み返しています♪
by マム 2017-12-21 20:39
>ミキさん
1匹の子猫をしあわせにしたい。その思いで、心を一つに行動に移したプロジェクトKのメンバー、ほんとうにすてきです! 猫もみなさんも、みんないい顔!
by 道ばた猫 2017-12-22 08:48
>チャコさん
そもそもくうちゃんのしあわせは、路上に落ちてきたところを、猫を飼ったことのないチャコさんが保護して懸命に育て始めたところから始まったのでした。心から感謝。
by 道ばた猫 2017-12-22 08:52
>マムさん
黒猫は一味違う・・・チエコさんのことば、うなづけます!
ひっそりと賢い、というか。サビ猫さんもそうだけど、いじらしい猫が多いですよね~
by 道ばた猫 2017-12-22 08:56
ちゃこさんは、イイ人が多いですね~
…アハハ。
私は「ケンちゃんチャコちゃん」から引用しただけですが♪
佐竹さんの黒猫、さび猫の考察、私見と同じです。
私はブラックスモーク 女の娘と一緒に暮らしています。
by ちゃこ 2017-12-23 19:53
>ちゃこさん
ケンちゃんチャコちゃん、懐かしい! 四方晴美さんですね~って、年がばれる(笑)。
ブラックスモークの子は、のんびりの子が多いような気がしますが・・・チャコさんちのスモークさんは?
by 道ばた猫 2017-12-25 01:00