フェリシモ猫グッズの販売額の一部である「フェリシモの猫基金」、フェリシモメリーポイントの「動物たちの保護と飼い主探し支援」、 毎月ひと口100円「フェリシモわんにゃん基金」等でみにゃさまからご支援をいただいている団体さまの活動レポートです。
実施場所:東京都・神奈川県、およびその隣接県
今回ご報告するのは、今年2月、譲渡先から当会に戻ってきた1頭の保護犬の話です。大きな反省点もあり、私たちの団体にとってかならずしも名誉になる内容ではないかもしれません。
2009年9月1日、神奈川県のセンターから1頭のコーギーMIXを保護しました。メスで年齢は4歳程度と見られました。翌年1月、この子は当会から高齢のご夫婦に譲渡されました。
9年前に保護した当時。譲渡前。
同じ頃。まだ若く、やや神経質で、他の犬に対して狷介な面があった
譲渡にあたって唯一最大の不安はこのご夫妻の71、72歳という年齢でした。しかしこの子の気性(コーギー的な神経質さ、他犬との折り合いの悪さ)から、穏やかな環境のほうが望ましいと考え、飼育環境や飼育経験なども踏まえたうえで決断しました。担当ボランティアが比較的近所に住んでいたので、何かのときには応援も可能だろうと考えました。
結果として――数年後に老夫婦の夫が急逝し、この子のケアは高齢の夫人ひとりに任せられることになりました。さらに夫人は今年2月1日に転倒して手を二度目の骨折。治療の間1か月ほど会の担当ボランティアが預かりましたが、夫人が犬の飼育に自信を失ったことにより、結局、2月27日に正式に飼育を断念。当会がこの子を引き取ることになりました。
しかし譲渡後8年がたち、すっかり老犬となったこの子に、あらためて新しい飼い主様を見つけ、譲渡することは事実上困難です。この子の残りの生涯は当会でみとることになりました。担当ボランティアの自宅に引き取り、いまはそこで穏やかに暮らしています。
現在の姿。すっかり老犬となり、ボランティアのもとで穏やかに暮らしている
10年近く前に担当したボランティアスタッフが、老犬となったこの子を自宅に引き取ってケアする――というのはもちろん非の打ちどころのない行為です。
ですが一方で、この犬の立場になって考えてみると、何年も続いた不安定な飼育環境から無用なストレスを味わわせたばかりか、老いてのちにまったく違う環境で新しい家族のもとでの暮らしを余儀なくされたわけです。
さらに寡婦となった高齢の夫人にとっては、手を骨折するなど、犬の飼育が生活の大きな負担としてのしかかったに違いありません(一面で気持ちの支えとなっていたとしても)。
そこで、そもそも高齢のご夫婦にこの子を譲渡した私たちの判断が正しかったのかという点――高齢者への譲渡をどういう基準でおこなうか――から見直す必要があることに気づかされました。10年のスパンで考えれば、当時の判断が甘かった、あるいは間違っていた可能性は否定できないかもしれません。
しかし同時に、こうしたケースで老犬を躊躇なく自宅に引き取るようなボランティアの心持ちを、私たちが誇りに思うことは許されるのではないでしょうか――
<ご支援くださっているみなさまへ>
ここに書いた一例のように、私たちの活動には失敗もあり、停滞もあり、回り道もあります。
好きだからやっている活動ですが、そうしたことがボランティア自身の失意、落胆、孤立感につながることも正直あります。
私たちの活動の原動力は、もちろん犬の幸せな表情に尽きます。ですがもうひとつ、誰かが後押しをしてくれているのだという感触が、なにかのときの私たちの活動の大きな支えとなっています。
日常的な買い物の際に、犬や猫の救援活動に心を留めていただき、労をいとわずわざわざご支援の手を差し伸べてくださる多数の方々の存在に、私たちは強く励まされています。
これは単に物質的・経済的な話にとどまるものではありません。そのことをお伝えしておきたいと思います。ありがとうございました。
「Perro Dogs Home(ペロ・ドッグズ・ホーム)」
http://perro-dogshome.com