東京の八丁堀で開業する「高橋医院」。ともに人間の内科専門医である高橋宏樹さん、友乃さんご夫妻の家には3匹の猫がいて、うち2匹が15歳以上です。きっと、医師と暮らす猫たちならではのご長寿アドバンテージがあるに違いない!と、期待が膨らみます。お話を伺いながら、色々と勉強させていただきたいと思います。
長女「ローズ」(15歳8ヶ月・女の子)
次女「デイジー」(15歳5ヶ月・女の子)
念願の猫暮らし!
猫好きなご夫妻の病院は猫モチーフのグッズでいっぱい!「ここは動物病院?」と見紛うほどというから、猫好きにはたまりませんね。そんな猫愛あふれるご夫妻の、猫と暮らせる住環境が整ったのが15年前のこと。医師として超多忙だった時期が過ぎ、時間と心にゆとりが生まれた頃でした。猫のいる生活が当たり前の環境で育ったという奥様の友乃さんに、念願だった猫暮らしのチャンスが再び訪れたのです!夫妻は早速インターネットでブリーダーさんを探し、長女ローズ(ソマリ)と出会ったのでした。さらに猫が居なかった時期を一気に埋めるかのように、3ヶ月後にはデイジー(ロシアンブルー)も迎え、あっという間に多頭飼育になりました。2匹は歳も近かったので、関係は良好。病気をすることもなく、長い間平穏に暮らしていたのです。3匹目となる楓(かえで・トンキニーズ)を迎えるまでは......。
ナイーヴで繊細、
距離を詰めるのに時間が掛かるタイプのデイジー。
一番人懐こいと思いきや、
神経質な一面も併せて持つローズ
3匹の気になる関係
楓が仲間に加わったのは、ローズとデイジーが9歳の時でした。それまで均衡を保っていた高橋家のパワーバランスが、少しずつ傾き始めたのです。楓との新生活でローズはおしっこを我慢して膀胱炎になり、デイジーはお気に入りの寝床を盗られる始末......。「2匹がもう少し若いときに迎えていれば状況は変わっていたかも」と少し後悔するご主人。でも、楓を迎えた理由のひとつでもある"シニア期に入った2匹の身体を活動的にする"という狙いはうまくいったようで、楓と暮らすようになって2匹が以前よりも活発になったという喜ばしい事実もあります。
ただ、楓はちょっぴり女王様気質。この日も自分が主役じゃない取材が気に入らなかったのか、姉たちに必要以上にちょっかいを出していました。一見、問題がありそうな3匹の関係ですが、お互いにとってプラスになる部分も大きいらしく、楓の存在が今ではご長寿猫たちのいい刺激になっているようです。
デイジーの天敵!
シャー!なんで私が主役じゃないのよ!
もっと私を撮りなさいよ!三女「楓」(6歳・女の子)の主張。
ごはんについて
猫の食事はご主人、宏樹さんの担当です。シニア組には「エンジングケア白身魚(ニュートロ)」を20g、「腎臓ケアk/d(ヒルズ)」40g、「エイジング12+(ロイヤルカナン)」20gの3種類をミックスして計80gに。(2匹の1回分)割合は腎臓フードを多めにして栄養バランスを整えています。
若猫の楓は「室内猫用アダルトチキン(ニュートロ)」25g、「室内で生活する生猫用(ロイヤルカナン)」25gの計50g。
3匹合わせて毎日5種類ものドライフードをしっかり計量するあたりは、医師という職業が影響されているのでしょうか。大変そうに見えますが、緻密な計量の大きな利点は、体重の増減が少ないということだそうです。現にローズもデイジーも、ともに長年3.5kgあたりをキープしています。これは素晴らしいですね。
ちなみにうちは目分量......。お恥ずかしい限りです(汗)。
パッケージを切り取り、グラム数を記入。
こちらがごはんセット。ドライフードがメインです。
椅子を使って、
シンクに侵入!ごはんまだー?
モグモグタイムに突入です。
美味しかった?
猫たちとの距離感
ローズが12歳の時です。歳のわりには落ち着きがなく、活動的になったことに異変を感じ、もしかして「甲状腺」に問題があるのでは?と動物病院へ連れて行ったことがありました。幸い何も悪いところはなく、それから3年経っても高橋家の猫たちは、みな病気知らず!元気に過ごしています。でも、長寿に繋がる何か特別なことをしたわけではありません。ただ、今のままの食事と環境で彼女たちの好きなようにしてもらい、調子が悪いときは助けてあげるというスタンスを続けているのだそうです。
猫は好きでしたが一緒に暮らしたことがなかったというご主人の宏樹さんも、15年にも渡る研究のような猫たちとの生活を経て、最近ようやく接し方がわかってきたそうです。それまでの道のりは長かったと、宏樹さんは振り返ります。秘訣は、人間の気持ちよりも猫の気持ちを優先すること。こちらの都合で、手を出したり抱っこしたりするのではなく、彼女たちが寄り添って来たら十分に可愛がるというものです。一方、奥様の友乃さんは自分の都合で「これがあなたたちの義務だからね」とお構いなしに抱っこやキスをします(笑)。猫たちもそれをよくわかっているんですね。ご夫妻の緩急のつけ方がとてもいいバランスを保っていて、思わずほっこりしてしまいました。
そう、猫が来てから撫でるのです。
それがご主人の流儀。
飼い主として大切なこと
病気の症状や薬の知識、注射や点滴のスキル、乳がんチェックの触診など、ご夫妻の内科医としての十分なアドバンテージも、高橋家の猫たちが健康なご長寿猫でいられる理由のひとつであると感じるのですが、さすがに調子が悪いときは専門である動物病院の助けが必要になります。それは、私たちと変わりはありません。時間をかけたフードの計量も触診も手間のかかる歯磨きだって、医師であるかどうかは関係なく、実は私たちにも出来ないことではないんですよね。つまり、飼い主としての力量の違いは、豊富な知識以前に、まず必要なことをきちんとやるか、やらないか。高橋ご夫妻と猫たちの暮らしを拝見し、そのことにあらためて気づかされた今回の旅でした。
シャキーン!
ガブッと!
ローズはまだまだ遊び足りない感じ?
お気に入りの場所へ。
デイジーはウトウトタイムに。
今日は主役じゃなかったけど、楓さんが15歳になったらまた来るからね!
毎週土曜日は猫ネタで勝負!高橋医院のブログ、取材当日の裏側は
こちら↓
「
左利き肝臓専門医ブログ」
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
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(ΦωΦ)
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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フードの3種類ミックスに、そういう手もあるのかー!と目からウロコでした。
高齢とはいえローズちゃんははきはきしてそうで、デイジーちゃんはいじらしげな様子がとっても愛らしいです!
by いずみん 2018-08-03 00:22
いずみんさん
はい!確かにミックスして与えている家庭は少なかったような気がします。
それぞれのキャラクターが写真に出せて感無量!ありがとうございます!
by ケニア・ドイ 2018-08-14 14:30