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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2018年09月05日

「まんまと取材されちゃった超ビビリのボク」

ボク、ことら。
5カ月の男の子。

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ここんちの子になって4か月たつの。
ノラ母さんから引き離されて、目が開いたばっかりの時、よそんちのガレージに、兄妹で捨てられた。
他の子は助からなかったけど、ボクだけ生き残って、はるばるここにもらわれてきたの。

ここで父さん、母さん、お兄さんに猫可愛がりされて、すっかり甘ちゃんしてるんだけど、ボク、ノラあがりだから、じつは、超、超、超ビビリなの。
ちょっとした物音にもびくつくし、お客さんなんてもってのほか。猛ダッシュで姿を隠しちゃう。

きょう、2階でぐうたらしてたら、お母さんに抱っこされて1階の居間に降ろされた。
そこには・・・・ボクの大の苦手の「お客さん」がいたんだ!!
ボクの「シュザイ」に来たんだって。聞いてないよう。

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ボクは、大慌てでお母さんの腕から逃げ出し、部屋の外に出ようとした。
「うわあ~あん、うおおお~ん(こわいよう)。ドアを開けて」って叫んでね。
そしたら、」そのお客さん、「にゃ、にゃっ?」ってあいさつしたんだ。
「ことらちゃんと遊びに来たんだよ~」って。
で、なんとなく逃げそびれちゃったんだ。

そのお客さん、うちのお父さんとお母さんが発行している、「自然通信」っていうミニコミ誌をずっと読んでくれてるんだ。河川や里山に生息する生き物の観察記録だけでなく、「世の中、ここがおかしい!」っていう義憤とかお勧めの本の紹介とか載ってるんだ。
で、ある日、通信を読んでて、お父さんの観察日誌の4月23日欄に目が吸い寄せられたんだって。

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そこにはこう書いてあった。
「読者経由で子猫が届いた。生まれたばかりで兄妹で捨てられていて、生き残った1匹という。目は開いているが、小鳥のように小さく掌に余るが、2日後には210gと元気になった」

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同じ号に「子猫がやってきた」というお母さんが書いた記事も載ってて、その写真を見るや、「これは会いに行かなくては!」と思って、ボクがこの家にすっかりなじんだ頃を見計らってやってきたらしい。
その写真というのは、お父さんが撮った写真で、ボクの愛らしさを存分にあらわしてた。だって、お父さんは、元カメラマンなんだ。

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お客さんは、ボクの前にこのおうちにいた「ゴン」先輩のことも、5年前のブログに書いてる。(道ばた猫日記「オヤジ猫ゴンちゃん」)
いまは空の上のゴン先輩は、それは雄々しいオトコだったらしい。 駅前で、おにぎりを拾い食いしてるとこを、お母さんに「ウチくる?」って声かけられて、ホイホイついてきたくせに、家猫になったら、エラそうに「メシ」「撫でろ」「出かける」と、アイコンタクトでお母さんをこき使っていたんだって。お母さんはそんな野生児ぶりに惚れ込んでいたから(何しろお父さんと結婚した人だからね)、「ことらも、ゴンのように大顔の逞しいオトコにならないかしら」っていってるけど、ごめん、ボク、ちょっとその路線、無理みたい......。

でね、「シュザイ」のオファーを聞いて、即座にお父さんとお兄さんは「ぜーったい無理!!!」って断言したんだ。ボクがお客さんの前に姿を見せて、写真を撮らせるなんて、ありえないことだったから。お母さんもそう思ったけど、、むげに断るのも悪くってこう返事をしたんだ。
「絶対に無理とは思いますが、ダメもとでいらっしゃってみますか?」って。
返事は「行きます!」だった。「これまで、何百匹と取材してきましたが、写真を撮らせてくれなかった猫はいませんでした」って、まるで根拠のない自信があったらしい。

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「でも、ことらちゃんは手ごわそう」と思ったお客さんは、家を出る前に、思いついて、猫じゃらしを手作りしてきた。
ふだんは、おもちゃなんて持参したことないんだって。

チラシの紙をクシャっと丸めて、麻ひもの先に結び付けただけの猫じゃらしを、机の下に潜んでるボクの目の前にポーンと放るんだ。
何、これ。このシンプルさ。
思わず、手が出ちゃった。

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チョイチョイと遊んでいるうちに、ちょっと楽しくなって、なんだか緊張がほどけてきちゃった。

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で、気がついたら、お客さんの手からおやつもらってたし、気がついたら、不覚にも抱っこされてた。
指でお腹を猫キックしてじゃれてきたから、お返しに猫キックしてやったさ。

肩抱っこまでされてるボクを見たお母さんが、「ありえない・・・」って、あわてて
2階にカメラ取りに行ったよ。
お母さんが2階に行ってるとき、お客さんはボクの耳元で殺し文句をささやいた。「なんて可愛い子でしょ。トモダチだよ」って。

お母さんは、「飼い主シュザイ」に対し、ボクが網戸を駆け上ることとか、カーテンにスリット入れちゃうこととか、壁やふすまで爪とぎをすることとか、甘噛み以上に噛みついてくることとか、破壊がひどいので寝室出入り禁止にしたこととか、そのくせお父さんには甘えて腕をチュパチュパ吸ってることとか、自分のことは単なる餌係と思ってるみたいとか、物音に飛びあがる超ビビリとか、みんなぶちまけてた。
「でも、すごくかわいい」って。

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ボク、いっぺん2階に戻ったんだけど、また舞い戻ってきちゃったよ。自分でもあり得ない対応だったけど。
そんで、お客さんの足元でくつろいで、いっぱい写真撮らせてあげたの。

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帰るとき、お客さんは、言ったよ。
「ことらちゃん、きょうはとっても楽しかった。おおとらになった時、またシュザイさせてね」って。
「にゃっ(ああ、いいよ)」って答えちゃった。

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ビビリながらも、まんまとシュザイされちゃった初体験で、その後、爆睡しちゃったボク。
思うに、あの人、なんか同じ匂いがしたんだな。
生きとし生けるものが大好きで、オトナのくせに少年の時と同じように川でカニとたわむれ、里山でトンボを追っかけてるお父さんや、そんなお父さんに付き合って28年も変わらぬスタンスで「自然通信」を出し続けているお母さんと、おんなじの。
ボクがおおとらになったら、また会いに来てね。
今度は堂々とした写真を撮らせてあげるよ。


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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

もしかして、今週はコラムお休みなのかなと、寂しい気持ちでいましたが、
更新されていて良かったです!
茉莉子さん、ネコ語話せますから、どんなビビリさんでも大丈夫!最強ですよね(笑)
おおとらちゃんになった頃の取材も楽しみにしています!

by あべんぬ 2018-09-05 19:25

まさに、茉莉子さんマジック!
本当にかわいいことらくんでした

by ペンギン 2018-09-05 20:32

>あべんぬさん

台風が神戸直撃で、猫部でしていただくブログ更新作業が遅れました。ご心配おかけしました。
キジトラさんは、内弁慶が多く、かわいいです~

by 道ばた猫 2018-09-05 23:06

>ペンギンさん

ビビリのことらくん、ノラのままだったら、さぞ怖い思いをいっぱいしたことと思います。
のびのびできるうおうちの子になって、本当によかった。きっとお父さんとも猫語で話してると思います(笑)。

by 道ばた猫 2018-09-05 23:11

こんばんはー茉莉子さん♪
ごんちゃんの所だったんですね。もう、ごんちゃんの取材も5年前ですか・・・つい最近のようで時間がたつのは早いですね。
今週はコラムがないのかと、昨日チェックしてましたが台風の影響は関西地区は大変ですよね。

我が家の猫も、猫白血病のキャリア持ちのみかんも13歳でまだまだ元気ですよ♪
同じ時期にきたメスのマロンも同じく13歳になって・・・毎日2匹で闘っています(笑)
うちの猫達には「目指せ三十路!」って毎日聞かせていますよ~

ことらちゃんは、猫語をあやつるお父さんの所でよかったですね~ビビリなのはご愛嬌ですよね
ごんちゃんが空の上から、ことらちゃんの事を見守ってくれていると思いますよ~♪

by キリ 2018-09-06 01:43

にゃに、おおとら?
そりゃいかんニャ~
イケニャンのことらくんが、飲んべえの
オヤジになっちまうニャよ~

by にあ 2018-09-06 02:31

>キリさん

ゴンちゃんのことも覚えていてくださったんですね~。忘れがたいオトコでした。
みかんちゃんとマロンちゃん、お揃いで長生きしてね!

by 道ばた猫 2018-09-06 02:47

>にあさん

次に行ったときは「オヤジ猫ことらくん」になったりして……。
おおとらちょい前のちゅうとらあたりで、再会しましょうかねえ~

by 道ばた猫 2018-09-06 02:51

神戸が台風の被害、大変だろうな〜と思っていた翌日、北海道が経験したことのない地震の被害にあいました。私の住む札幌もライフラインなどあちこちみなさん苦労されているようです。我が家も昨夜やっと電気がとおるようになり、ことらちゃんの可愛い記事を読ませて頂きほっとしている次第です。うちのぺったん、りん吉、ゆいぽん、地震が起きた時はパニックになり大変でしたが、とりあえず皆無事で事なきを得ました。災害が起きるとニンゲンはもちろんですがニャンコ達の命をどう守ってあげたら良いのか考えさせられました。今年は天変地異いろんなことがあり大変な一年ですね・・・。

by ぺったんの母 2018-09-07 09:47

さすが、佐竹さん!!ビビリのことらくんもすっかり心を開いていますね♪猫って人を見る能力、人間より優れていると思います!!猫ってみんな尊いです(*^_^*)

by とも 2018-09-07 21:48

>ぺったんのお母さま

ぺったんちゃん、りん吉ちゃん、ゆいぽんちゃん、どんなにか怖かったでしょう。大変な時にコメントありがとうございます。どうか早く余震がおさまり、復旧が進みますように。すみかを失くす外猫がいませんように。

by 道ばた猫 2018-09-08 02:06

>ともさん

はい、この頃の人間界は、嘘をつくために言葉を使う人が多いので(笑)、私としては、猫語を話してる方が楽しいです。猫語、これ、案外、使ってると猫さんに通じますよ。

by 道ばた猫 2018-09-08 02:14

 取材のお話が来た時にはどうなることか・・・と思いましたが、さすが猫ちゃんとは以心伝心、たちまちことらも気を許しちゃって…正直ビックリでした。これまでどんなビビり猫でも1枚も写真が撮れなかったことはないとのお言葉通り、たくさんことらのかわいい写真を撮っていただきました。ありがとうございました。これでことらもちょっと成長できたかしら?と思っている母です。

by ことらの母 2018-09-08 11:17