今回の「猫又トリップ」は、古都京都までやってきました。私は都内在住ですので猫又探しはおのずと関東近郊が主です。が、さすがにネタが尽きたー!ということで「関西猫又撮りまくるツアー」と題して関西出張を敢行!第一弾は京都の「猫猫寺」(にゃんにゃんじ)という面白テーマパークの看板猫「れん」の物語をお届けします。
接客上手な看板猫
「猫猫寺」は、関西の友人から「取材して欲しい」と前々からお願いされていた場所で、ここには「れん」という17歳の看板猫がいます。キジトラの女の子れんは、接客上手でおねだり上手。看板猫としての資質は十分で、貫禄もありました。
あん、お客さん?
さて、お仕事しますか!
いらっしゃいませーの笑顔がいいね!
最近はお客様のお見送りも。看板猫の自覚アリアリ!
オーナー兼飼い主の加悦順子(かや・じゅんこ)さんは猫フェルト作家でもあり、お店でチクチクと作業をしていると必ずれんがお膝にやって来ます。この時間はゴロゴロと順子さんのお膝を独占。家の中では他の3匹の猫たちに膝を取られがちなので、この時がれんと順子さんの濃密なスキンシップとなっているようです。ちなみに他の3匹の猫たちはお店に出る勇気はなく、接客をするのはれんだけなのだとか。
多頭飼いの中でもじっくりと対峙できる時間を作り、最年長の猫を特別扱いするというのは、当然のことなのかなと思います。とはいえ、やはり他の猫たちは嫉妬しているらしいのですが(笑)。
何か嫌な予感?
抱っこは苦手?
にゃんとも言えないれんのお顔とニコニコ順子さん。
一世一代の賭け
れんがこのお家に来たのは順子さんの友人からの緊急メールがきっかけでした。当時お外にいたれんは、どうやら人間に虐待されていたようで、「なんとかしなければ!」と思い保護した人がいました。しかし、その人のお家はペットの飼育が禁止の物件......。このことからも緊急を要したことが伺い知れます。そして、それからその人はどうしたのかというと、なんと子猫のために新たにマンションを契約!里親探しを始めるのですが、タバコの火を押し付けられたような跡があった子猫は中々人に心を開きません。そして、人に慣れなければ譲渡もうまく進まないのです。
3ヶ月が経った頃、「猫を保護をしたために家賃が厳しくなった人がいて、里親さんを早急に探してはるんだけど!」と友人から突然連絡を受けた順子さん。この出来事がすべての始まりでした。奇しくもその頃、加悦家では子供の頃から猫と過ごし、猫と暮らしたいと思っていた順子さんと、猫嫌いで断固反対姿勢を貫くご主人の間に一つの約束が交わされていました。
「今日から1週間のうちに、もしも『猫をもらわないか?』と連絡が来た時は飼ってもいいでしょ?」
順子さんはそんな一世一代の賭けに出たわけですが、なんと奇跡的にその日のうちに友人からの悲痛なメールが!一方、そんなことあるわけないと楽観視していた猫嫌いのご主人ですが、実際に子猫を見ると表情はほころびメロメロに。その可愛さたるや猫嫌いを一瞬で打ち消してしまうほどだったようです。そして、3年前に猫がテーマのお店の開業にも快く協力。今では「猫の仏像を作る!」となるほどの猫好きに。ちなみに19歳になる息子さんも新進気鋭の猫作家!猫の影響力ってやっぱりすごいですね。
順子さん作、れんの羊毛フェルトと。
後ろの猫の絵は息子さんの作品。
幸多き多頭飼育の日々
れんが来てから8年が経つ頃、れんと同じ保護猫の「チッチ」(9歳キジトラ・女の子)が家族に加わります。8年間、他の猫を見たことがなかったれんにとっては青天の霹靂(へきれき)!その驚きたるや、お漏らしをして「変な生き物来たー!」と逃げ惑ったほどといいます。「自分を猫と認識していなかったんでしょうね」とは順子さんの言葉。それでもれんは1年をかけて段々とチッチを受け入れていきました。その後、1匹、また1匹と増え、現在4匹体制の加悦家です。「家族が増えた分、幸せも増えた」との名言もいただきました。
まったりと
ゆっくりと時は流れる
しっかし、どこで撮っても絵になりますねー。
食欲旺盛
ご飯は1日3回(8時、17時、24時)、「ごはん、ごはん!」と前のめりで催促。すごく食欲があるというのは飼い主さんの心配のタネが減るというもの。実は1年前、痩せてきたれんを気に掛け、動物病院に連れて行った時に、腎臓機能の低下を指摘されたのでした。すぐに投薬とフードを腎臓ケアのものに切り替え、ドライフード+ウエットフードにして水分を補うなど試行錯誤の日々を過ごしてきた結果、現在は体重を3.5kgまで戻すことができました。今日も調子良くお客様の貢(みつぎ)物の、普段は口にできないおやつを独り占めしています。
看板猫はやめられないにゃー!
ちゅ〜る大好き。
グッ、ガッツポーズいただきました。
食べたらおうちに帰るにゃ。襖を開けろーの図。
時には人の手も借りたいニャー
8年間、猫知らずで、女王様気質に育ったれん。れんを筆頭にパワーバランスは保たれていたはずでしたが、最近一番下の小夏(8歳三毛猫・女の子)がトイレに入っているれんにちょっかいを出し始めたのです。今までなかった光景に順子さんはれんの老いを感じとります。でも何があろうと一番上は特別扱いでなければいけません。現在は猫の手ならぬ、人の手を借りてれんの威厳は保たれているそうです。いつまでも女王様でいて欲しい。順子さんの願いはただそれだけなのです。
お母さん、待ってにゃー
『猫』をご本尊とした世界初の本格的寺院型テーマパーク
猫猫寺(にゃんにゃんじ)
京都市左京区八瀬近衛町520
100名以上の作家さんによる犬猫グッズコーナーもあるよー
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
にょほほほ♥
れんちゃんシッカリ「いらっしゃいませ」
してるニャンね~(^^)
by にあ 2018-11-14 23:08
れんちゃんお仕事しっかりがんばっていてすごき生き生きしてますね~~
なんといっても笑顔がいい(^^♪
17歳、おしごと続けてながいきしてくださいにゃ~~
by あずにゃん 2018-11-15 10:21
にあさん
これぞ看板猫の接客をご体験ください!
by ケニア・ドイ 2018-11-15 16:32
あずにゃんさん
撮っているときは笑顔なんてわからないもの。
画面で見て「うおー!」と叫んでしまいました。
滅多に見られない猫の表情にただただ感謝です。
by ケニア・ドイ 2018-11-15 16:35
「これが私の役目なのよ!」というような堂々とした接客ぶりですね~。
ネコも人間と同じように、自分が必要とされているということが、生きがいになるのでしょうね✨
まだまだ頑張ってお仕事してね!
猫猫寺、行きた〰い(^o^)
by さび茶風 2018-11-15 17:43
さび茶風さん
「自分が必要とされていることが、生きがいに」
まさにその通りだと思います。
これから寒くなりますが、冬の接客術はどうなんでしょうね〜。
お客様の膝の上に乗ってくるのかな。
by ケニア・ドイ 2018-11-16 07:23