[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

かの子ちゃんは、1歳7か月の三毛猫さん。
お父さんとお母さんに可愛がられて、神奈川県内でのんびり暮らしています。



お母さんは、陶芸作家の水野育子さん。
育子さんとかの子ちゃんとの出会いは、昨年の7月。神奈川県のどうぶつ病院の一角で開かれた保護猫団体による譲渡会場でした。



動物好きの育子さんは、結婚して新居をもったのを機に、子猫を飼いたいと願っていました。
旦那さまはさほど猫に興味はなかったものの、「そんなに言うんならいいよ～」という感じで賛成してくれました。
おふたりは仕事の休日がずれるので、それぞれが休日に譲渡会を回ってみては写メールで「こんな猫がいた」と送りあっていましたが、なかなか「この子！」という猫に巡り合えずにいました。

育子さんの望みは、三毛猫さん。
その日の譲渡会には、お目当ての子がいたのですが・・・。

ふと、あるケージの前で足が止まります。
そこには、3か月くらいの猫がゆるーりと寝そべっていました。その子も三毛猫です。
仮の名前は「ころっこ」ちゃん。
保護地は、青い海で人気の、沖縄のとある島です。



貼り紙にはこうありました。

「海に投げ捨てられ、溺れそうになったところを、船の船長さんに助けられました」
「今は元気にすくすく育っています」

2行で書くと、まるで日本昔話のようですが、海に投げるなんてとんでもない非道。そして、やさしい船長さんが通りかかるなんてまさに奇跡。

ころっこちゃんは寝ころんだまま、、ケージ越しに、育子さんのショルダーバッグのひもにじゃれついてきました。 生まれて間もなくひどい仕打ちをされたのに、こんなにフレンドリーなのは、きっと保護してくれた船長さんや、つないでくれた保護団体の方々がやさしかったからでしょう。
「ケージの中で退屈して遊びたくてたまらないようでした。それで、お目当てだった子より、この子のほうが気になって・・・。『じゃあ、ウチにくる？』ということに（笑）」

育子さんから事後報告されて「ひとりで勝手に決めるな」とブツブツ言っていた旦那さまも、やってきた子猫の愛らしさに、すぐにメロメロに。
ころっこちゃんは、かの子ちゃんになりました。背中の模様が鹿の子（かのこ）模様に似ていたからです。



かくして二人の寵愛を一身に浴びて美しく成長したかの子ちゃん。
朝は5時にパパを起こして、ご飯をねだるそうです。ママはけっして起こさないのだとか。
たっぷりゆったり愛されている子の多くがそうであるように、かの子ちゃんもお客さん苦手の箱入娘。
この日も、窓辺でくつろいでいたところをおじゃまして、身構えられてしまいました。





愛知県瀬戸市の育子さんの実家に行くときも車で同行します。実家で暮らす15歳のサビ猫「春」ちゃんがかの子ちゃんを見て隠れてしまうのをいいことに、いつも「我が家」みたいな感じでくつろぐのだそうな。
そうそう、この春ちゃんも、川で救われた猫さんだそうです。長生きしてほしいですね。

かの子ちゃんは、帰省中に、こんな事件も引き起こしたとか。
お父さんが採取したご自慢の大きなスズメバチの巣（もちろん、空です）にビニール袋をかぶせて置いてあったのですが、その取っ手に首を絡ませて走り回り、巣はバラバラに壊れてしまい・・・でも、お咎めは無しでした。

ふだんも、好奇心旺盛。遊ぶのが大好き。
「遊べ～　遊べ～」とばかりに鳴くそうです。
「制作中など、よく「家政婦は見た」みたいに物陰から、『遊べよ』とこっちを見てます。思いきり猫じゃらしを振ってやると、張り切り過ぎてよく一回転してますね（笑）」



動物好きの育子さんの作品には、いろんな動物がモチーフになって登場しますが、猫もたくさん。
鼻筋のスッとした神秘的な美三毛さんの作品は、かの子ちゃんがモデルです。



「これ、アタシがモデルなのよ」



育子さんのふるさと瀬戸市では毎年9月に「せともの祭」が盛大に開かれますが、全国公募の「招き猫100人展」に、育子さんは毎年入選しています。
これは、今年の入選作。愛知でおなじみのモーニングセットがテーマです。
トーストもあんこも玉子も、みんな陶器。かの子ちゃんもびっくり！



はるばると南の島から、命を繋がれてやってきた子猫。
家にいるほうが「今、寝てるよ～」「こんな面白い格好してるよ」なんて他愛ないショットをラインでしょっちゅう送りあうほどに、ふたりから可愛がられ、
陶器や磁器にもそのいのちを刻み込んでもらって、しあわせに暮らしています。



助けてくださった船長さん、おうち探しに尽力してくださった方たち、ありがとうございます！



「アタシ、長生きするから、いつか化け猫の作品も作ってほしいな～」って言ってそうなかの子ちゃんでした。

※先週から引き続き、あきる野市のギャラリー・ネオ・エポックで開催中の「ニットアンドキャット展」に出品中の、ものつくり作家さんと暮らす猫をご紹介しています。
来週も続きます。

「KNIT and ＣＡＴ」展・・・12月9日（日）まで。月曜休み。

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「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。


『猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。


『里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。


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