猫好きにはたまらない治療院が京都市西京区にある――。そんな噂を聞いて駆けつけると、ぷっくりと若々しいまだ4歳の看板猫「まろ」が玄関先でお出迎え。まさか、今回の取材は空振りに?
いえいえ、ご安心を!こちらには19歳の初代看板猫がいるのですよ。
初代看板猫はツンデレタイプでした
マイケルの面影を探して
野口治療院には3匹の元保護猫がいます。上から「ぷーすけ」(19歳・男の子)、「にゃあ」(8歳・女の子)、そして、先ほど出迎えてくれた「まろ」(4歳・男の子)。にゃあは極度の人見知りでお店に出ることはありません。結果、この日も出会うことが出来ず......。
愛想の良いまろは野口治療院のアイドル的存在。でもねー、今日は君が主役じゃないんだよー。
私が主役です!
僕も写してー!と、まろのアピールが強すぎる!(笑)
ぷーすけは野口倫代さんが地元のタウン誌の里親募集で見つけた保護猫。前年に先代の猫「マイケル」を亡くし、ようやく心が落ち着いて来た頃、マイケルにとてもよく似たキジトラ柄のぷーすけを見て運命的なものを感じたのです。すぐに保護主さんに連絡すると、当時は即日の譲渡で猫のごはんや人間用のお茶まで渡される高待遇。それまでに掛かった治療費の負担もなかったそうです。ぷーすけは一度、新しい家族が決まったのですが、飼い主さんの転勤に伴い出戻った過去がありました。そんな経緯を聞いて野口さんは、ますますぷーすけが愛おしくなったのです。
あの頃の思い出が蘇る。
うちに来てくれてありがとねー。
意外に猫あるあるな超怪奇現象!
生後3〜4ヶ月のぷーすけは自由奔放で、それはそれはやんちゃな猫でした。しかし、家族が少し手を焼いていた頃に不思議な出来事が起こりました。
ある日の夜、マイケルの祭壇から形見の首輪をくわえたプースケが突然、玄関に走り出しました。そして、玄関扉の方を向いて尻尾を膨らませ、背中を丸めて怯えた姿に。この様子を目撃していた野口さんとお父さんは恐る恐る玄関に向かい、ぷーすけを抱きかかえて扉の方を見ましたが、何もありませんでした。でも、ぷーすけは玄関扉の方を向いて、まだ小さい声で「にゃんにゃん」と鳴き続けていたのです。
そんな深夜の不思議な出来事をきっかけに、ぷーすけに驚くべき変化が起こります。イタズラがなくなり、テーブルの上の物を盗んで食べることも一切なくなったと言うのです。野口さんもお父さんも、これは亡くなったマイケルが叱ってくれたんだと今でも思っています。それからのぷーすけは本当に良い子で、後から家にやってくるにゃあの指導をするほどの成長ぶりを見せてくれました。
あの時は焦りました。と言っているとかいないとか。
「いたずらすると降りてくるよ!」若き日のマイケル(野口倫代さん撮影)
今は好きなフードを
先代の猫、マイケルには人間の食べる物を少しだけ与えていたと言います。享年10歳。「それが原因で早くに亡くなったのかなぁ......」と後悔と反省があり、今いる猫たちには猫専用のフードしか与えていません。ぷーすけの朝ごはんは総合栄養食の「エナジーちゅ〜る」(いなば)がメイン。夜はウエットフードで食いつきの良いものをローテーションで与えています。食欲はすごくあって、ドライより好きなウエットフードは1袋をぺろっと平らげます。ドライフードは「消化器サポート」と「腎臓サポート」(ロイヤルカナン)を混ぜて、いつでも食べられるように用意しています。消化器サポートは10歳の頃、「巨大結腸症」と診断されてから必須のフードで、便秘がちな猫は一度、病院へ診察に行くことをおすすめしたいとのこと。食事に関してはとにかくぷーすけが食べたいものをと、とくに療法食だけの食事に今はこだわっていません。30年来、信頼関係を築いてきた動物病院の先生にもぷーすけの食事に関しては「年齢も年齢だし、好きなものを与えてください」と背中を押してもらっています。
ウエットフードを各種ストック
床の間がお食事処に。
さあ、寝よ寝よ♡
撮影のお付き合いありがとうございましたー。
学ぶきっかけを与えてくれたマイケル
腎臓機能は年相応で、今すぐ何か手を打たねば!ということはありません。今年の春には脱水から痙攣を起こすこともありましたが、動物病院との相談の結果、経過観察だけで済んだのは幸いでした。晩年は毎日病院へ通っていた先代猫マイケル。点滴や投薬など辛い思いをさせてしまった経験と、その死を糧に野口さんは日々学び、そして成長してきた結果が今の19歳のぷーすけなのです。にゃあもまろもその後に続けー!と願うばかりです。そんな野口さんの直近の目標はご家族一緒にぷーすけの「二十歳の誕生日を祝う」こと。それもあと1ヶ月となりました。
野口さんからの喜びのご報告を楽しみに待つことにしましょう。
面白い模型を発見!
猫に効くツボ、
点が打ってあります。
マッサージ待ち?温灸などの恩恵も受ける野口家の猫たち、ご長寿に納得です。
■
のぐち治療院
京都市西京区桂野里町50-45
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
猫は、子供のときも大人になっても、お年寄りになってもかわいいですね✨
亡くなってからも存在を感じるというのは、本当にあるのでしょうか?私は初めての猫(今3歳)なので、経験がないのですが…。ぷーすけくん、マイケルくんに叱られたとしか考えられないですね(^-^)
by さび茶風 2018-12-16 10:19
さび茶風さん
本当に困ったときには亡き猫も助けてくれるんだと思います。
by ケニア・ドイ 2018-12-26 13:15
こんにちは! 京都ではお世話になりました。
年賀状見て、美っちゃんと話して、ここにきましたよ!(^^)!
これからもよろしくお願いします。
by 佐々原勇子 2019-01-09 12:23