ものつくり作家の猫さん4週目は、キュートなまめちゃんのお話です。
まめちゃんは推定11歳の元ノラです。
白黒猫は愛嬌がありますが、鼻周りまで黒いといっそうご愛敬ですね。
「まめちゃん」と名を呼ぶと、可愛い声で「にゃあん」と返事をしてくれます。
「モノトーン猫って言うとちょっとおしゃれだから、そう呼んでます(笑)」と、飼い主の菊池洋子さん。
刺繍の布小物や毛糸の編みぐるみなどの手作り作家さんです。
洋子さんとまめちゃんとの出会いは、9年前の夏。
犬派で、猫を飼ったこともない洋子さんは、当時、緑もノラ猫も多いのどかな土地に暮らしていて、庭にときたま出没する猫たちにうんざりしきっていました。
花壇をトイレ代わりにしていくからです。
「それで、猫を見れば、追い払ってたんですよ。その中の1匹が、若い白黒のメス猫でした」
その猫だけは、追い払っても追い払っても去らないばかりか、網戸をガリガリひっかいて「入れて、入れて」と鳴くのです。
これが、家に入りたがっていた頃のまめちゃんです。
余りにもめげないし、よく見れば可愛い顔をしているし、で・・・。
ある日、そっと網戸を開けて見たら、家の中に入ってきて......洋子さんの膝の上にちょこんと乗りました。
「か~わ~いい~~!のなんの。 今までのこと、ごめんね、と(笑)」
その日から、まめちゃんは日参してくるようになりました。洋子さんの膝の上に乗り、10分ほどすると満足した様子でスーッと帰って行きます。
仕事から帰ってきて窓を開けると、「待ってたよ~」とばかりに塀の向こうから走ってくるまめちゃん。
「3週間くらい飼おうか飼うまいか迷いましたけど、ボスっぽいオス猫に怯えきっている様子を見て、決心がついたんです。念のため、ご近所に飼い猫かどうか聞いて回り、ノラらしかったので、うちの子にしてしまいました!」
まめ、という名は、「豆粒みたいにちっちゃいから」と、旦那さまがつけました。
お膝の上が大好きなまめちゃん、家猫になったら、そりゃあ甘えんぼになったでしょうね?
「それが・・・一緒に寝られる、って楽しみだったのに、うちの子にしたとたん、膝にも乗らなくなっちゃったのは、どうしてなの? でも、犬と違って、まるで手がかからずラクなのにはびっくり。お互いに自由にやってます」
マンションへの引っ越しも、何の問題もありませんでした。
いたずらはとくにはしない、というまめちゃんですが、ときには、こんなショットも。
11歳になった今、腎臓の持病があってお薬を飲んでいるものの、高い所にもひらりと上る身軽なまめちゃんです。
もともと刺繍が好きで、刺繍をした布で小物も縫い始めたという洋子さん。猫の編みぐるみなどを作り始めたのは、2~3年前から。
「まめがきっかけで、犬派から猫派になって、猫の魅力がわかってきたら、猫ものを作りたくなったんです」
毛糸の編みぐるみの「お花ねこシリーズ」は、これまで54匹生まれました。
「さぶお兄ちゃんが大好きな、ひな」
「お祭り大好きな たび」
「ツンデレのブリジット」など、それぞれに、名まえとキャラクターが書かれた小さな札が添えられています。
ギャラリーで「さぶちゃん」を気に入って、おうちに連れて帰ってくれた小学1年生の女の子から届いた絵手紙を、洋子さんはうれしくて部屋に飾っています。
「猫たちのものがたりの続きを、その家で紡いでいってもらえたら、とてもうれしい」と、洋子さん。
まめちゃん人形は、まだ作ったことがないそうです。よそのおうちに行くのが、洋子さんはさびしいのかな。
「まめがうちの子になって9年半。自由に歩き回っていた外の世界から、家の中に入れてしまったけど、キミはしあわせかな。それが、ずっとずっと気になっているんです」と、洋子さん。
まめちゃんのこのお顔が答えだと思います。
「アタシが選んで、このおうちって決めたんだから」って言ってますよ~。
そして、まめちゃんは、こんなカギ尻尾の持ち主。きっといろんないいことを、これからも、もたらしてくれるに違いありません。
洋子さんの作品は、あきる野市のギャラリー、ネオ・エポックにて9日まで開催の「Knit and Cat展」で展示販売しています。
★・‥... お知らせ2つ
・本日4日夜7時より、BSテレ東(7ch)で放映の「まさはる君が行く! ポチたまペット大集合!」に、道ばた猫日記「あたたかな場所その4」でご紹介した、老人ホームのきららちゃんが登場です。仲良しの老犬モモちゃんとのお散歩シーンもあるそうですよ。「2週間のおとうと」などで何度かご紹介の、通い猫虎之介のいる松山庭園美術館も紹介されます。
・道ばた猫日記「
しあわせをつかむまで...狂暴猫」でご紹介した、まさはる君のその後を再取材した記事を、sippo連載の「
猫のいる風景」で書いています。まさはる君の、すっかり甘えん坊に変身した抱っこ写真をぜひ見てやってください。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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まめちゃん、かわいい!いつまでもちっさくて子猫のようです。
お膝乗りはまめちゃんの作戦だったのでは( ̄▽ ̄)♪
ころりと猫好きにさせてしまう猫の魔力、まめちゃんのカギしっぽでがっつり引き寄せられたのかも??
by あずにゃん 2018-12-04 12:19
私もお膝乗りは、まめちゃんの作戦だと思います。家猫になるために、きっと小さな頭を一生懸命つかって、思いついたのではないでしょうか?作品も素敵ですね。一体として同じ顔の子がいなくて、本当に命が吹き込まれていますね近くなら毎日でも通ってしまいそうです。
by ふみちゃん 2018-12-04 13:17
そりゃあ押しかけネコで
「入れて、入れて」
って言ったんだもん
「アタシが選んで、このおうちって決めたんだから」
はまさにそのとおり!
おいらは
ネコの表情でなんとなく
幸せなのかストレスありなのか
分かるようなレベルになってきたような
気も!する(^_^;)
しかし身体より目の感じと目つきが
「まめ!」
って雰囲気バツグンだよね(^_^;)
by ドラ猫マスター 2018-12-04 13:31
まめちゃんのかぎしっぽ、♡の形?まさに幸せを呼ぶかぎしっぽかも・・・きっとまめちゃんなしの生活は絶対考えられないでしょうね。うちもそうですから。少しの間悩んで保護したけれど、今は幸せいっぱいもらってますよね。もちろん苦労もあるけれど・・・。良かったねまめちゃん!
by ぺったんの母 2018-12-04 15:25
まめちゃん!呼べばお返事してくれるとか、カギ尻尾とか、かわいすぎますね!
今夜の「ポチたま」拝見しました。モモちゃんとキララちゃんのお散歩にほっこり、
松山庭園美術館の人馴れまで時間のかかった仔猫に里親さんが決まった瞬間に涙しました。
by あべんぬ 2018-12-04 22:00
も~お、まめちゃんたら
自分がカワイイことを
充分に承知のうえで仕掛けおったニャ~
洋子さんのお膝を籠絡したのちは、
今度は釣ったサカナにゃ
エサはあげにゃい……とばかりな
つれない素振り(;-_-)=3
魅力的なオンニャとぐうたら亭主の
二役を使いこなすにゃんて、
まめちゃんたら悪女ニャ~(≧∀≦)
でも洋子さんのお膝で、しっかり甘えて
抱っこされるまめちゃんが、
写真で見てるだけにゃのに、
あまりにも、しとやかな風情で
こちらも胸キュンキュン♥
by にあ 2018-12-05 00:20
(きゃ~も少し続きます~)
ふにゃ~。。。
まめちゃんの勝ち~(^^)
by にあ 2018-12-05 00:23
>あずにゃんさん
そうですね~ あのかぎしっぽで「このひと!」って思った洋子さんの心をガッチリ引き寄せたんですね!それにしても追い払われてたのに、見抜く力が凄い!!
by 道ばた猫 2018-12-05 10:51
>ふみちゃんさん
うちにも、以前、1週間通ってきて、8日目に出て行かなくなった猫がいました。毎日、間取りやら、先住猫の性格やら、家人の甘さなどチェックしたんだと思います。チェック万端、23歳まで長生きしました。
by 道ばた猫 2018-12-05 10:56
>ドラ猫マスターさん
おお! 猫の表情で気持ちがわかるようになってきた? それはかなりの「猫の味方」。
たしかに、可愛がられると、猫の目はどんどん丸くなりますよね。ストレスがないと、ケンがない。そしてなぜか飼い主と似てくるような(笑)
by 道ばた猫 2018-12-05 11:02
>ぺったんのお母さま
迷っても、やっぱり「うちの子にしてよかった~」は、共通項ですよね。
それこそが、猫の魅力。可愛い子を眺めるより、個性的な子と一緒に暮らすことが一番!
by 道ばた猫 2018-12-05 11:06
>あべんぬさん
「え、ほんとに?」って里親さんに名乗り出てくださった方に思わず聞いた館長さんの涙に、胸がいっぱいになりました。「その後」の先住さんと一緒の暮らしぶりの放映もうれしかったですね~
by 道ばた猫 2018-12-05 11:11
>にあさん
はい、まめちゃんの勝ち! ニンゲンは、猫にかなわない。
お膝の上のまめちゃんは「ウニャ~(抱っこ、嫌いニャのにい)」」と文句言ってるんです(笑)。
by 道ばた猫 2018-12-05 11:16
まめちゃん、してやったり(笑)可愛い可愛い☆洋子さんのお家の子になれて良かったね♪うれしくて可愛くて温かい気持ちになるお話、今回もありがとうございました!
by とも 2018-12-06 18:41
>ともさん
ほんと、カワイイ「してやったり」。
猫の、自分で運命を変えるチカラ、相手の本質を見抜くチカラ、順応するチカラは、人間の比ではありませぬ。
by 道ばた猫 2018-12-07 09:31
こんな愛嬌のあるかわいいお顔で膝に乗られたら、どんなに猫が嫌いな人でも心が動きますよねー。まめちゃん、とても11歳には見えないです。
白黒猫ちゃんは、幼く見えるのでしょうか…。
by さび茶風 2018-12-07 17:43
>さび茶風さん
まめちゃん、パッと見では1~2歳くらいにしか見えませんでした。顔の輪郭や丸い目、小ぶりの体のせいかな? 可愛いおばあちゃんになってずっと長生きしてほしいですね~
by 道ばた猫 2018-12-08 06:02