暖かい冬の日差しをいっぱいに浴びて、縁側で日向ぼっこをしているのは、リラちゃんです。
もうすぐ18歳。
でも、まだまだ目ヂカラも食欲もふくよかさも衰えません。
リラちゃんのおうちの真ん前は、小道を挟んで、町の公民館です。
リラちゃんは、18年近く前、この公民館の玄関に捨てられていました。
まだ、手のひらに乗る小ささで。
ちょうど梅雨どき。
雨の中、公民館にやってきて、段ボールに入った仔猫を見つけたのは、小学生の男の子でした。
男の子は、仔猫を抱いておうちに帰りますが、お母さんに「元の場所に戻していらっしゃい」と叱られ、また、公民館へ。
仔猫を抱いたまま、置いていけずにいたところを、これまた公民館にやってきたおばさんに「どうしたの」と声をかけられました。
男の子から仔猫を引き受けたおばさんは、その子を飼ってくれそうな心当たりを訪ねますが、どこもダメ。
そうだ! あそこしかない。
公民館の前のおうちの前に立ち、ピンポーン!
出てきたのは、淳子(あつこ)さん。
「この子の行き場所は、もうお宅しかないの。お願い!」と目の前に仔猫を差し出され、さて困りました。
犬も猫も大好きな一家でしたが、その当時、アレックスというおじいちゃん猫がいたのです。
このおうちのお姉ちゃんが高校生の時、登校中にドブに落ちていた仔猫を保護。下校時まで学校の守衛さんが預かってくれて、カバンに入れられ持ち帰ってもらったワケアリさん。
保健所送り寸前だった捨て犬の先住犬「カーリー」と仲良く暮らし、カーリー亡き後は、一家の寵愛を独り占め。17年がたち、老衰が激しく、いつ死んでもおかしくない「見守り」状態になっていたのです。子猫なんて家に入れたら、アレックスおじいちゃんのストレスになって、たちまちぽっくりいっちゃいそう...。そう思ったものの、行き場のない仔猫を見捨てることもできず、淳子さんの口から出た言葉は......「いいわよ」でした。
子猫を見たアレックスは、「シャー、フーッ!(なんでお前が家におるのじゃ)」と、威嚇しまくります。
が、子猫は気にせず、後を追いかけまわし、よぼよぼのアレックスおじいちゃんを翻弄。
気がついたら、2匹は大の仲良しになっていました。
いつも一緒に遊びまくって、アレックスは大いに若返り、その後2年も長生きしたのでした。
アレックス亡き後、リラちゃんは、ますます甘えん坊に。
このおうちには、人間のお姉ちゃんとお兄ちゃんがいましたが、お兄ちゃんは学生の時から大好きだったサンバ音楽の道で自立。
お姉ちゃんが二人の姉妹のお母さんになると、なぜか長女のしのちゃんの次に自分を位置づけ、次女のえりちゃんに対しては「あたしのほうが上よ」という態度を崩さないのだとか。
しのちゃん、アタシ、えりちゃんの順番は、しのちゃんとえりちゃんがどんどん大きくなっても不動のまま。
きっとリラちゃんは、自分は3人姉妹の真ん中だと思っているのでしょう。
一家の18年に寄り添い、夫婦の年輪と、子供たちや孫たちの成長をずっと見てきたリラちゃん。
おばあちゃんになっても、自由気まま、マイペース、そして甘えん坊の、はつらつ猫生です。
淳子さんだって、負けてはいません。孫が大きくなった今もフォークダンス大好きのはつらつ人生です。
縁側にも、室内にも、「リラちゃん座布団」が置かれていて、「にゃあん(縁側に出る)」「にゃあん(中に入る)」と、淳子さんたちをあごで使うリラちゃん。
ごはん係は、淳子さん。
猫ベッドの湯タンポを日に3回取り替えるのも、淳子さん。
だけど、一番好きな場所は、お父さんの膝の上。
にゃーん、と甘えながら乗っていきます。
リラちゃんに甘いお父さんは、立ち上がりたくても、じっと我慢。
毎日の「ふたりの時間」です。
リラちゃん、花の18歳。
いい猫生ですね!
ずっとずっとお達者でね。
お知らせひとつ。゜・。。・゜★
松山庭園美術館で展示していただいた、写真・絵・詩で綴る「草上の猫たち」展。
遠方よりはるばるのご来場、ありがとうございました。
引き続き、明日30日(水)より2月23日(土)まで、川口市のカフェ・ド・アクタにて
展示いたします。
お休みは、月・火・および第2・4日曜です。
こんなクレヨン画も待ってます。お近くの方は、ぜひ。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
Instagram
リラちゃん、なんて気高い女王様でしょうか。年齢をかさねても、美しさも可愛さも色褪せない、年々おばあちゃんになってゆく私、見習わないといけないです。
娘夫妻も結婚して初めての新年を迎えました。来月はママが、韓国の友達の所に出かけます。ちゃちゃことぽんずはパパと初めてのお留守番です。
by ふみちゃん 2019-01-29 13:26
アレックスおじいちゃん、最後の2年間を若い娘と楽しく過ごせてよかったね~。
リラちゃんは、人間より速いスピードで年をとりながら、家族の歴史を眺めてきたんですね。
こうして紹介してもらうと、猫も人も「愛し、愛され」という循環の中に生きていることがよくわかりますね!
by 寒がり猫 2019-01-29 14:12
ネコ
ダンボール
子供
ド定番だが都市伝説ではないだにね。
いつも日本のどこかで見かける光景なのかも
しれんだに。
「そうだ! あそこしかない」
こういう瞬時のヒラメキが最高だに。
そして老いたネコは若造に刺激されて
長生きするのも、かなり定番(^_^;)
そして
ドラキーも今おいらの膝の上(^_^;)
人間の心はさっぱりわからんだにが
ネコの心はかなーりわかるだによ
(^_^;)
リラちゃんめ!(^_^;)
by ドラ猫マスター 2019-01-29 18:24
リラさん、本当に素敵なお顔をされてますね!
きっとたくさんの愛情をもらって穏やかに生きてきたんですね。
これからも健やかに長生きしてほしいです。
でもリラさんの長生きの秘訣も知りたいですね。
by まあぼんた 2019-01-29 22:21
今を去ること十数年前、
ウチのムスメの先代が
18才で天寿を全うしましたニャ(/_・、)
でも、同じ年齢のリラちゃん(にゃんてステキなお名前♥)
スッゴい若々しくってビックリニャ~♥
まだまだイケるにゃよ~♪
まずはオリンピックイヤーめざして
ギャンバるニャンニャン(≧∀≦)
by にあ 2019-01-30 00:18
リラ様様ですね♪なんとまぁ気高くて目ぢから満点の素敵なお嬢様なのでしょう(*^_^*)
18歳とは立派ですね!愛情いっぱいの年月でリラちゃん、幸せな猫生で私もうれしくなります。幸せのおすそわけをありがとう!これからもお元気でいてね。
そして……川口のカフェドアクタさんですね♪伺います!カフェドアクタさんの黒猫さんに会うのも楽しみです♪
by とも 2019-01-30 07:18
>ふみちゃんさん
ちゃちゃ子ちゃんとぽんずちゃん、初めてのパパとのお留守番、さぞ甘やかされるんだろうなあ(笑)。
ママも、よい旅を!!
by 道ばた猫 2019-01-30 08:00
>寒がり猫さん
すべての猫さんが、愛し愛されの循環の中に一生を終えられる日が来ますように!
猫にそんな一生を送らせるということは、人もそう生きられるということですものね。
by 道ばた猫 2019-01-30 08:04
>どら猫マスターさん
人の心はさっぱりわからんが猫の心はかなーりわかる…同じくです。
全部わかるのは、きっと猫だってカンベンだけど(笑)。
by 道ばた猫 2019-01-30 08:07
>まあぽんたさん
リラちゃんの長生きの秘訣……なんでしょうねえ。思うに、家族の一員として、自分らしくのびのび暮らしてきたことではないか、と。
by 道ばた猫 2019-01-30 08:11
>にあさん
リラちゃん、まだまだイケますよね!
人間に例えるなら、草笛光子さんの境地かな?
by 道ばた猫 2019-01-30 08:14
>ともさん
アクタさん来訪、ぱったりお会いできればうれしいです。
昨夜展示準備しましたが、まだまだ飾れそうで、絵を描いては増やしていきます~
by 道ばた猫 2019-01-30 08:18
リラちゃん、幸せな猫生ですね!そしてその周りには幸せな人生。穏やかな表情から、溢れる愛情をいっぱい受けてきたことが想像出来ます。
前々回のミミちゃんもそうでしたが、何故自分を姉妹の真ん中だと思うのでしょうか。しかも、リラちゃんが来た後に生まれた姉妹の真ん中に…。
猫のこころ、摩訶不思議~。
by さび茶風 2019-02-02 10:45
>さび茶風さん
ほんとだ~ ミミちゃんもそうでしたね! なんだろう...誰かに頼りたいし、誰かにちょっと威張ってみたいし、で、真ん中に決ーめた!かな?
by 道ばた猫 2019-02-03 00:57