長男に喘息があるとわかり、猫との暮らしは半ば諦めていたという松本智恵さん(埼玉県在住)。それから15年が経過した頃、駅前の商業施設にペットショップがオープン。そこでバーゲンセール中の子猫と目が合い、かつて猫と暮らしていた楽しい記憶が一気に蘇りました。
「この子、うちで飼おうか?」
キョトン
家族の一員になったハルとレオ
松本さんの愛猫「ハル」(スコティッシュフォールド・16歳・女の子)は家族で相談した結果、満場一致で迎え入れた猫。高校生になった長男の喘息が治っていたのも幸いでした。幼い頃から猫がいる環境で育った松本さんにとって猫は大事な家族の一員です。「猫が私の子守りをしてくれた」と言うほど欠かせない存在だったのです。(ちなみにご実家はお米屋さん。ねずみ対策に「猫は必須!」ですよね。)
念願だった猫との暮らしはやはり楽しく、1年後には「レオ」(スコティッシュフォールド・男の子)が加わり、多頭飼育が始まりました。
逃げも隠れもしない、大人しいハルです。
(ニャニャ!だーれ??)お互いのセリフ。
新顔は年の離れた妹
後から来たレオは11歳で旅立ちました。晩年は腎臓を悪くし、メスを入れての検査に自宅での補液や投薬。食事にも気を使いましたが家族の願いは叶わず......。
そして、4年ほどハル1匹で過ごした後、松本家に新しい家族が加わります。茶トラの「チャコ」(5ヶ月・女の子)です。数日前に避妊手術をしたということで「エリザベスカラー」でのご登場。来客は少々苦手なようで、私が近づくと部屋の隅に隠れてしまいました。でも、チャコの話題になると自分のことだとわかるようで、こちらが気になるのかひょっこり顔を出して遠目に見る姿も。
チャコはマンションの駐車場に親子で姿を現した地域でも新顔の猫でした。松本さんの住む地域は、住人が協力してTNRや餌やりなどを行う「地域猫」活動が盛んなところです。新顔のチャコも「すぐに保護して検査を!」とケージを持って向かった松本さんと長女。草むらの茂みで弱っていたチャコは素手で簡単に捕獲することができました。それからすぐに動物病院へ連れて行き、チャコは生後2ヶ月と判明。避妊手術が可能な月齢まで一時的に預かり、育てた後は地域猫として外へ戻すつもりでいました。一緒に飼うにはハルとの年齢差があまりにもあることや、ご長寿猫にストレスを与えてしまうのではないかという懸念があったからです。「やはり2匹目は難しい......。」
しかし、それでもチャコを松本家の猫として育てることになったのは、今まで保護猫を迎え入れることを拒否して来た長男の意外なひとことでした。
「うちで飼うしかないなぁ。」
数日前に避妊手術。エリカラは過ごしにくいにゃ。
チャコとの年齢差16歳。
人間の歳に換算すると約70歳差!
ひ孫の存在なのかなぁ??
一方、寝耳に水のハルは怒りました。来る日も来る日も、チャコのケージに向かって「シャー!」と威嚇。さらに、チャコの気配さえも気に障るようで長女の部屋に籠城もしました。しかし、3ヶ月を経て、仕方ないと諦めたのか徐々に受け入れる方向へと変化。不意打ちで襲いかかるチャコ対ハルの結果、なんと無理やり動かされたハルが健康に!執着がなかった「食」にも好影響をもたらすのです。
怒ってる怒ってる。カメラに...。
食事について
ハルは少しの量を数多く食べるタイプ。お腹が空くと、真夜中であっても早朝であっても容赦なく飼い主を起こしに来ます。それでもハルの食べたい欲を大事に考えている松本さんは、体重が落ちないようにとどんな時間でも対応するようにしています。
ごはんは「腎臓サポート」(ロイヤルカナン)と「腎臓ケアk/d」(ヒルズ)のウエットタイプがメイン。療法食はレオの時の経験が活きました。また、ハルはチャコの食欲に刺激され、「食べなきゃ!」と負けじとお皿に群がるようになったのです。
食べたい時が食事時!
あたちも欲しいにゃー。そろりそろり。
健康で長生きするために
気になる腎臓は良好ですが、ハルの場合は肝臓と甲状腺が悪く薬を処方されています。現在は1ヶ月に1回のペースで血液検査をし、3ヶ月に1回は心電図をとるため(心雑音があるため)に病院へ通っています。「長生きさせたかったら、いいごはんを食べさせなさい。」ハルが若い頃から通う病院で受けたアドバイスです。それを実行したからこそ今があります。信頼できる動物病院を見つけることはご長寿猫とその飼い主さんにとって大切なことです。そして、年中無休で対応してくれるというのも飼い主さんにとってはありがたいことですね。
でも病院は嫌いだニャー。
16歳と5ヶ月。若々しい見た目から「おばあちゃん」とはまだ言い難く、その目力の強さで「私の目がまだ黒いうちは」とでも言っているかのようなハル。まだまだ世間知らずのチャコのご指導を私の方からもひとつよろしくお願いいたします。
強い!
ハルにヤンチャするとレオもやって来るよー。
1年後、どうなるのか?見てみよう。
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■猫キルト作家|松本智恵さんのHP
TOMONECO FACTORY
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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『バーゲンセール』
この言葉は聞き捨てなら無い。命はお金でやりとりするものではないと"強く"思います。 そんな言葉を軽々しく使わないで欲しいです。
by あいももここきなこの飼い主 2019-02-06 18:54
あいももここきなこの飼い主さん
私も聞きたくない言葉です。切なくなります。
しかし、これは事実。書かないでいいことなんだろうけど。。
ご意見、ありがとうございます。
by ケニア・ドイ 2019-02-07 07:48
生き物をバーゲンセールと書くことが悪いのではなくて、行っていることが悪いのです。
ひいては生体販売をすることが悪いのです。
日本も早く動物愛護が進むことを
by 名無し 2020-05-17 12:10