これは今から約20年前、大阪市の某食品スーパーの入り口で起こった出来事です。目に入ったのは「子猫譲ります」と書かれた張り紙の自転車。そこにはケージに入ったやる気に満ち溢れた子猫がいたのですが、なぜか人間の姿はありませんでした。その時、夕飯の準備のために立ち寄った岩井まさえさん(47歳)は、「ああぁー、可愛いぃー!」と買い物もせずに子猫を自宅へ連れ帰ったというのです。
玄関先から失礼します
これは運命の出会い?!
まさえさんは子猫との出会いを「神様がくれたチャンス!」と感じていました。それはご主人の連れ子であった猫を半年前に亡くし、ペットロス中の「ポッカリ空いた心の穴」を埋めるかのようなタイミングだったからです。ちなみに、新しい子猫を迎え入れることはご主人には相談する暇もなく、まさえさんの単独行動によるものです。
あんた誰にゃー?
あ、取材の方ね。どうぞどうぞ。
黒白猫で男の子、忍者のような見た目から「サスケ」と命名。後日、まさえさんは保護主さんからスーパーで声を掛けられ、「本当に助けられました。」と感謝されます。「え?見てたの?」と驚いたまさえさん。実は保護主さんはあの日、譲渡希望の女性と会う約束をしていたそうですが、ドタキャンされて本当に困っていたと言うのです。まさえさんが子猫を連れて行ったのは、保護主さんがちょうど電話でその場を一瞬離れていたときのこと。その後ろ姿を保護主さんは目撃していたのでした。運命に導かれたような不思議な偶然が重なり、猫の譲渡が比較的容易に済まされていたことが伺い知れて私も驚愕です。
カラーボックスIN!さすがの忍者猫です。
その後、岩井家は大阪から京都にお引越し。19歳と11ヶ月になるサスケを筆頭とした4匹の猫と岩井さんご夫婦、そして岩井さんの娘さん2人と暮らしています。事前の確認で家には4匹の猫がいるとのことでしたが、取材時はサスケの姿しかありませんでした。下の3匹は数日前から飼い主さんのただならぬ気配を感じていたのか、残念ながら私の前に姿を現すことはなく、サスケのみの撮影となりました。しかし、それもまた運命!主役はサスケなのですから万事OK!何の問題もありません。4匹の猫を想像し、ついつい私も心が浮き立っていたようです。
カメラ大っきいね。
ご長寿猫サスケの健康状態
「本当に健康です!どこも悪くない!」直近の健康診断で「優良」のお墨付きを獣医さんからもらうほど健康ご長寿のサスケですが、唯一気をつけることは「便秘」の問題です。
まさえさん、だーい好き!
サスケが10歳を迎えてからは頻繁に便秘に悩まされ、薬を処方されて下剤を飲ませることもありました。それでもダメな時は詰まっている便を掻き出す処置をすることも。このまま続くようだと外科的手術もあり得る状況の中、食事を見直し、色々と試した結果、「消化器サポート」(ロイヤルカナン)に辿り着きました。またシニア猫と暮らす友人から乳酸菌サプリをお勧めされ、フードに混ぜて与えています。健康とはいえ、2日に1回のサスケの便の状況を見守ること、それだけは怠ることはできないのです。
サスケの便、通称「サスケ便」。
猫たちの個性に合わせたサポートを
4匹の猫たちにもそれぞれの年齢や性格があり、すべて同じというわけにはいかないというのが多頭飼育の難しさ、楽しさであるとまさえさんは教えてくれました。寝室に引きこもっている猫「スージャ」(8歳・女の子)はいまだにまさえさん以外の家族がさわることはできません。そのためスージャとの個別の時間を作ってあげることが重要だと言います。この日、居合わせたまさえさんの長女(15歳)も「ヘリタ(末っ子7歳)より、サスケを大事にしている」と、サスケをおじいちゃん猫として意識した接し方を話してくれました。猫それぞれに合わせた手厚いサポートの大切さをあらためて感じた今回の訪問。母から子へ、猫又マスターの薫陶を受け、将来有望な猫又使いがこうして生まれて行くんでしょうね。
また来てなー
岩井夫妻のお店「キトゥンカンパニー」
「猫毛祭りin京都2019」のお知らせ
http://kittencompany.net
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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うちの16人中2人は保護猫で、その1人は保護時に鴉に襲われて、
左後ろ脚と尻尾の半分と右後ろ脚の指1本を食べられていて重傷だったそうです。
その後妊娠をされて飼えなくなったところを自身が引き取りました。
もう1人は生まれつき顔に障害有り左顎付近が変形しており、歯が出ています。
他はペルシャ、スコティシュ、ロシアン、アビシニアンです。
by 猫おやじ 2019-03-07 00:50
サスケ便、ツボった!
by りえぴょん 2019-03-07 17:54
猫との出会いは、運命なんですね。
飼い主さんに抱っこされている表情から、サスケくんが可愛がられて育った事がよくわかります。
白い靴下と綺麗な眼が印象的✨。19歳にはとても見えない若々しさ!私も見習いたいです。
by さび茶風 2019-03-09 14:44
猫おやじさんへ
16人!!大家族ですね。それに敬遠されがちな保護猫を受け入れるなんてなんて素敵な方なんでしょう。
by ケニア・ドイ 2019-03-12 10:32
りえぴょんさん
光栄です!
by ケニア・ドイ 2019-03-12 11:41
さび茶風さん
いつもありがとうございます。
私も同じく見習いたいです!
by ケニア・ドイ 2019-03-12 11:44
二年前に病気で死んだ猫も黒白ハチワレで、サスケといいました!
by みーこ 2020-02-16 13:57