我が家には8歳の三毛猫がいます。そして、今回の旅は17歳の三毛猫がいるご家庭。
「うちより9コ上かぁ。」と未来に夢が広がるのと同時に、これから9年という長い歳月を想像し、あらためて自分も健康であらねばならぬと気を引き締めて勉強に行かせていただきました!
ぽわーん。
お土産はおいなりさん!?
三毛猫「みけちゅ」(17歳・女の子)が産ぶ声をあげたのは東京都港区麻布十番の民家の庭先でした。そこに捕獲に向かったのが、飼い主「あぐりな」さん(50代・女性)の妹さん。そこは妹さんの上司のお宅で、毎年春になると母猫が庭に子猫を産んで行くという話を常々聞いていました。「今年は5匹なんだぁ......。」しかし、お節介でネコ好きな妹さんがそばにいたのは幸いでした。妹さんは常日頃から野良猫問題を憂い、地域猫活動にも尽力している人だったからです。そして、大汗をかきながら捕物帖ばりに全員を保護し、妹さんはその子猫たちをまだ事情を知らぬ実家へと連れて帰るのでした。(のちに母猫のTNRも行ったそうです。)
靴の入っていた箱にギュウギュウに詰め込まれた子猫たち。その様はまるで「おいなりさん」のようだったとか(笑)。実家のお母さんもいつもとは違う超変化球のお土産に驚き、その可愛らしい「おいなりさん」に舌鼓を打ったのか舌打ちしたのか......。私は前者だと信じてお話を進めたいと思います。
玄関でカメラをセッティングして、望遠レンズで撮影開始!
はぅ!気づかれた!
当初、猫たちを譲り受けるにあたって、妹さんには考えていることが2つありました。1つ目は、いつも多頭で賑やかだった実家の猫が1匹になり母親が寂しそうにしていたこと、そして、2つ目は随分猫と離れた生活をしていた姉のあぐりなさんに「子どもも成長したことだし、そろそろ猫と暮らさない?」と提案したかったことです。「お任せください!」と上司宅へ向かったのは譲渡先がふんわりと決まってからなんですね。その後、妹さんの狙いは成功し実家に3匹、あぐりなさん家族は喜んで2匹を譲り受けたのでした。
妹さんは策士や!
少し後退。
さらに隅へと逃げるみけちゅであった。
猫合宿に始まった子どもたちの変化
あぐりなさんは4人家族。当時小学5年生(兄)と2年生(妹)の子どもたちにとっては初めての猫生活でした。多少の心配があったあぐりなさん。そんな時に実家の母親からこんな提案を受けました。「うち(実家)で猫合宿しない?」と。
子どもたちの夏休みを利用して、猫生活を体験させようというわけです。いざ!おばあちゃん宅へ――。子どもたちはトイレやごはんのお世話をし、お泊まりすることで猫との暮らし方も十分に学べました。また、ご主人も動物と暮らすのは初めてのことでしたが、人間の子育て同様に「どうすればいいの?」と積極的に参加。迎える準備は万全だったのです。もう素敵なご家族だなぁ。
マッサージしようか?
気持ちいいニャー!
なぜ手を止めるのだ!
やがて警戒心も薄れて良いお顔に。
生後約2ヶ月で迎えた「みけちゅ」と「たまにぃ」(女の子・14歳没)の2匹は、まさに子どもたちにとって救世主となりました。兄妹は幼い頃から身体が弱く、友達の何倍も通院や入院をしたりで、とくに娘さんは日々の不安から小学校に行くのを渋ったりしていた時期でもありました。しかし子猫を迎えると一変。明るく友達に自慢したり、担任の先生に猫がいる生活をお話ししたりと、自分が猫の世話をすることで何か自信がついたようでした。猫と暮らして広がる世界――、情操教育にひと役買った素晴らしい体験談ですね。
抱っこしてクロス!
リクエストに応えるということ
この日の取材は私からの「明るい部屋で撮影したい!」というリクエストにお応えしていただき、リビング中心での撮影になりました。普段のみけちゅは日向ぼっこもせず、日の当たらない部屋に引きこもりがちでごはんの時だけリビングにやってきます。基本フードは「回復期ケアa/d チキン味(ヒルズ)」の缶詰でそれ以外でもペースト状のものがお気に入りのようです。またドライフードは「粒の小さい」もので食べやすさ重視で選んでいました。みけちゅの体重は2kgないそうで、欲しがったらその都度与えるようにして、あまりにも食べない時は強制的に与えているとのこと。動物病院にもストレスになるだろうと最近は通っていないらしく、「みけちゅのやりたいように、リクエスト通りにしてあげたい。」と目一杯甘やかすと同時に、シニア期における飼い主さんの覚悟のようなものが垣間見えるのでした。
食べたいときに食べる。
うみゃー!
キレイキレイにね。
はい美人!
後日談
取材から数日後、あぐりなさんからこんなご報告を受けました。
「お天気の良いリビングで撮影していただき、みけちゅなりに楽しかったのか、気分がよかったのか、あれからリビングに1日に何回も来ています。それまでは裏の日の当たらない部屋で寝たきり生活でしたのに。」
みけちゅさん、思い出しましたか? 日向ぼっこっていいものでしょ?
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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みけちゅさんが、日向ぼっこの気持ち良さを思い出し、リビングで家族と過ごす時間が増えて、ドイさん、いい仕事しましたね。笑
我が家は5歳と4歳、ご長寿猫さんとの触れ合い方や、歳をとっていくことの受け止め方など、毎回とても参考になります。
ありがとうございます。
by さくら 2019-04-03 10:09
とても、いいお顔しています!見ているだけで癒されます。
by ルミっぺ 2019-04-03 10:34
みけちゅ、日向ぼっこ気持ちいいよね〰️
良かった良かった
いつまでも元気でいてね
by ケイちゃん 2019-04-03 13:00
さくらさんへ
ありがとうございます。自分でもうれしく思います。
by ケニア・ドイ 2019-04-03 14:47
ルミっぺさん
いろんな表情が撮れました。ありがとうございます。
by ケニア・ドイ 2019-04-03 14:48
ケイちゃんさん
家って広いんだ!って思い出したようで良かったです。
by ケニア・ドイ 2019-04-03 14:50
ドイさん、写真変わりましたね。何となく。以前にも増して動物がイキイキとしているように見えます。素人だから何となく感じただけですが。私は最近、引っ越しをしました。部屋を選ぶ上で大事な事は、日当たりです。そこだけは絶対に譲れませんでした。猫さんがひなたぼっこできないなんて、あり得ないですから。
by ミャーちゃん 2019-04-03 16:55
うちには、15才の男の子がいます。
21才の子から随分長い間15才迄迎えなかったので、楽しんでいます。
5才の女の子とも仲良くて、嬉しいです。
by あにこ 2019-04-03 20:15
ミャーちゃんさん
そ、そうですか?撮り方は変わってないですが、セレクトが変わったのかも知れませんね。
うちの三毛猫は日向ぼっこが好きなんですが、クリーム色の猫は日向ぼっこに興味なし。
なんなんでしょうね?不思議です。
by ケニア・ドイ 2019-04-04 06:38
あにこさん
10歳差で仲良しですか。いいですね〜
by ケニア・ドイ 2019-04-04 06:40
猫は歳を重ねると、なんとも言えない味のある優しいお顔になりますね。気に入らないことがあるとすぐ噛みつくうちのコも、いつかは穏やかな優し〰いにゃんこになってくれるかな~。
高齢猫も少しの刺激は、生活に張りが出て○なんですね。今回も素敵な写真に癒されました!
by さび茶風 2019-04-04 19:08
さび茶風さん
すぐ噛み付くのですか?多分、それは一生続いて行くでしょう。(笑)
普段通りが良い、ちょっとの変化もあり、なのだと思いますよ。
by ケニア・ドイ 2019-04-05 13:22