「いつか猫と暮らしてみたいなぁ。」と日頃から言ってはいたけど、就業中にいきなり生まれて間もない子猫を持ってくるのは反則やん!? さぁ、この大事件! みにゃさんなら、どうします?
キョトン
突然始まった猫暮らし
友原加洋子さん(大阪市在住)は、ある日1匹の子猫を連れてきた友人の突発的な行動に固まりました。聞けば、その友人が内装工事で入っていたスナックで野良猫が子猫を産んだというのです。数匹いたきょうだい猫はママの知り合いにもらわれていったのですが、まだ1匹残っていました。そこで、友人なりに気を利かせて「猫と暮らしたい。」と言っていた友原さんの元へ運んできたのでした。
友原さんはそれまでの人生で、鳥を飼ったことしかありませんでした。なぜなら、両親が猫嫌いだったからです。両親が猫嫌いで猫と暮らせなかったという話は本当に多いです。うちもそうでした。「でも待てよ?これはチャンスなのかも?」生後2週間の子猫を実際に目にし、抱いてしまえばあとの祭。もう元の場所には戻せません。友原さんは覚悟を決めるのでした。その後、子猫を育てなければいけなくなった状況を社長に説明し、ひとまず就業中は社長のデスク預かりに。そして仕事が終わるとまたひと仕事。今度は子猫のために、いざ買い出しへ急げー! これが、慌ただしくも幸せな毎日の始まりでした。
安全地帯?
囲まれているのが安心なようです。
出てきた!
子猫用のウエットフードを用意すると、すぐにがっついてくれました。猫トイレも用意しました。ただ猫砂の量がよくわからず、最初、子猫は猫砂に埋もれ出てこられない状態に(笑)。どうやら多すぎたようです。一人暮らしの自宅にはパソコンがなく、まだまだ情報が簡単に取れなかった時代。しかし、猫の飼い方を知らないながらも努力と勉強を重ね、立派に育て上げました。そして、友原さん自慢の猫「メルモ」(女の子)は17歳と8ヶ月を迎えたのです。
おはよー!
一人暮らしでメルモとの同居を経て結婚し、現在は夫婦と3匹の猫の家族構成です。若干猫アレルギーがあったというご主人もすぐに克服し、メルモも絶大な信頼を寄せているよう。元々は1匹で終生飼育をしたかったと言いますが、メルモが13歳の時にある出会いがありました。
地域猫活動から多頭飼いに
猫と暮らしていくと、ふと外で暮らす猫にも目が行くようになります。これは、愛猫家あるあるかもしれません。友原さんが住む近所の公園にも当時から多くの野良猫がいました。
そのうち餌やりをしている方と仲良くなり、自身もボランティア活動を行うように。先輩ボランティアの指導の元、TNRをする地域猫活動は約6年目になるといいます。そんな中、公園で子猫を抱くある少女と出会いました。「どうしたの?」と声をかけると、段ボールに入れられた子猫2匹を見つけたというのです。少女は一時、自宅へと連れ帰るのですが、親に反対され、またこの場所に戻ってきたのでした。そして、少女の友だちも加わり、交代で子猫を大事に抱いていました。もうすぐ日が暮れるし、このまま放ってはおけないと思い、友原さんが連れて帰り面倒をみるからと少女に提案。その場はお開きに――。ボランティア活動を始めて、友原さんの考えに「新しい家族」を見つけるという選択も当然ありましたが、メルモが13歳になり、シニア猫と子猫の同居は難しいかなと半ば諦めてもいたのです。
メルモの大好物。それは「焼き海苔」。
しかし、子猫たちはひどく衰弱していました。1匹は猫かぜの影響で片目が見えないようでした。新しい家族に託すには忍びない、それに、兄妹でいた方が良いだろうとのことで考えを一変。友原家の家族に迎えいれることにしたのです。「メルモがまだ若ければ同居もあったかも。」と友原さん。今は居住空間を完全に分けてそれぞれが生活しています。ストレスは「ご長寿の敵」だと、メルモのことを思い早4年、「心を鬼にして」人間の都合よりも猫たちのことを考えて生活しています。そんな友原さんの思いに共感するドイでした。
2ショットね。
体調と食事について
メルモの病歴を伺うと、「おやつをあげすぎて、太りすぎで関節炎を......。」と反省の弁も。「茶トラは大きくなりますもんね。」とフォローしつつも、やはり関節炎の完治は難しいとのこと。しかし、頑張りました! 7kgあったという体重もいまは5kg台に。
とは言え、階段の上り下りも介助なし。
この目の輝きを見ろ!と。
食事は幼少期からウエットフードが中心でした。現在、療法食のドライフードも用意しているのですが、飼い主の思いに反して、いまだに市販のウエットフードくれくれ派! しかも同じものを続けてあげると食べないというグルメっぷり。しかし、我慢させるときを設けるのも大事です。結果、根負けして仕方なく食べるのだとか。人間と猫とのほのぼのした駆け引きが垣間見られたのでした。
この日もカリカリより「ちゅ〜る」を食べるメルモであった。
これからもずっと
初めての猫暮らしから地域猫活動を通し、仲間との交流が増え知識を蓄えてきた友原さん。メルモはベタベタするのがそもそも嫌いなのかな? 17年目にして、メルモとの距離感を完全につかんだ友原さんは、成人式を祝うのが目標とのこと。うん、メルモならいけそうな気がするー!
余裕っすね。
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
皆さんの頑張っている姿が文章の端々に見えて頭が下がります。
外にいる子を救う為に必要になるのは受診。お金がかかります。まずはこのことだけでも負担を軽減できないものかと思います。
by 総総 2019-06-26 16:09
本当に これからも、ずっと幸せに暮らしてほしいです。
私の知り合いの猫ちゃん、ご家族に愛されて20歳をとっくに過ぎました。現在も元気に暮らしています。ぜひここに登場してもらいたいのですが、どのように連絡を差し上げたらよいかわかりません。お知らせいただけると幸いです。
by さと 2019-06-26 18:29
就業中に子猫ですか…困るけど、嬉しい!かも。
自分から手を伸ばして、他の猫を迎えることは出来ませんが(今居る猫が許さないから)、来てしまった場合は仕方がない、と考えています。
でも、なかなか来ない(^-^;
‘’ストレスは、ご長寿の敵‘’ 心して生活していこうと思います。メルモちゃん、毛並み艶々で、目も生き生きとして若々しい!うちも、こんなご長寿猫になってくれたら嬉しいなぁ。
そして、ドイさんの取材を受けるのだ✨
今、4歳です。焼き海苔大好き女子です。
by さび茶風 2019-06-29 11:42