ふみさんは、3匹の愛猫と暮らしています。
「どの子も個性的で、どの子も可愛いんです」
そう言って、ふみさんは目を細めます。
赤トラ「りこ」ちゃんは、目千両の小柄美人さんです。
さび猫「ぼす」ちゃんは、フレンドリーなスレンダー美人さん。
三毛猫「らん」ちゃんは、「ミケコ・デラックス」の別名を持つふっくら美人さん。
いちばん大柄なのに、ビビりで、テレビの後ろに隠れています。
みんな一緒に同じ保護主さんのもとからやってきましたが、姉妹ではありません。
11年前の6月。
ふみさんは、当時、お姉さんのちかさんと一緒に住んでいて、16年一緒に暮らした大事な「にゃあ」ちゃんという猫を亡くしたばかり。
ペットロスにおちいっていました。
「猫を迎えよう」という、ちかさんの強い勧めもあって、里親募集サイトを眺め始めます。
ちかさんは三毛がいいと言い、ふみさんはトラ猫がいいと言い、ちょうどうまい具合に、三毛とサビトラの保護猫の「2匹一緒にもらってくれる方を希望」という募集が目に留まりました。
2匹は、姉妹ではありませんでしたが、同じ現場で保護された仲良し同士だったのです。
ふみさんは2匹とのお見合いに出かけます。
「すると、ツルツルっと赤トラ猫が出てきたんです。保護されたばかりの子でした。その子は亡くした子によく似ていて......」
写真で見た三毛猫らんちゃんとサビ猫ぼすちゃんは、1歳未満くらい。
「アタシも」と出てきた赤トラりこちゃんは、もうちょっと年上くらいでした。
ふみさんは、3匹一緒にもらうことに決めました。
そして、11年。
3匹は、次から次へと大きな病気になり、ふみさんはてんてこ舞い。
りこちゃんは、来た時から耳のけががなかなか治らなかった上、歯周病で段階的に歯を抜いていくことに。
そして、らんちゃんは、バルハイト結石、さらに肛門嚢の破裂で手術。
そしてまた、りこちゃんが歯周病が原因の「三臓炎」という厄介な病気に。入院して鼻から流動食の日々。
退院したと思ったら、リンパ腫の疑いで抗がん剤治療開始。
回復はしましたが、今も治療は続けています。
さて、今度はぼすの番。
歯石をとったときの麻酔のついでの検査で、リンパ腫が見つかります。
1年ほどの抗がん剤治療で、この前無事「寛解」と言われました。
「3匹とも、厳しい現場で生まれて、母乳もあまり飲んでなかったのかもしれません」
そう語るふみさんの10年は、病院通いの日々でした。
仕事も残業の少ない仕事に変えました。
「手もお金もかかるけど、保護猫をもらうということは、病気を持っているかもしれないという覚悟込みで引き受けるということ。
逆に、私が元気でこの子たちのお世話の出来ることがうれしい。24時間診療の信頼できる動物病院が、車で10分の所にあるので、安心です」
キャットタワーは、4台。仕事場から猫たちの様子を見られる「ペット・カメラ」も2台あります。
「だいたい3匹とも寝てる画像ばかり。動いたらレア画像です(笑)」
毎日のりこちゃんの皮下点滴と投薬、ぼすちゃんの投薬、そして毎月の通院は、ふみさんの「猫との日々」の一部です。
そんなふみさんの溢れる猫愛のおかげで、現在の3匹は、体調にはとくに大きな不安なし。
帰宅を、玄関で3匹揃って出迎えてくれます。
ノラのままだったら、きっとさぞかし短命だったと思われる、ぼすちゃん、らんちゃん、りこちゃん。
「可愛くてたまらない」と、猫ファーストを貫いてくれるふみさんと出会ってこその、今の穏やかで幸せな日常です。
ずっとずっと、揃って長生きするんだよ。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ひきとった子達が次々と大きな病気にかかったのに‥‥。敢然と立ち向かっていくふみさんの姿、尊敬します。
by 総総 2019-07-16 14:35
出ました別名w
「ミケコ・デラックス」
ドラキーと同じにゃん(^_^;)
やっぱり別名がないとイマイチ物足りないにゃん!
でも三匹ともなかなか健康維持大変だにね。
そういや、あいつ
今はサマータイムなのか
夜討ち朝駆けなんだによ。
顔見ない日もたまにあり。
そうアスリートドラキーは
室内外オールラウンダーなのにゃん、
周囲の環境が良いから成り立つ果報者なりよ。
まりこ本ちゃんと買ったぞ!
それと来週は
ネコ太閤
とも言われる
備中松山城ネコ城主
さんじゅーろー
の本も出るだ!
いつか本物の殿に拝謁したいにゃん!
by ドラ猫マスター 2019-07-16 14:53
命を大切にする、ってこういうことなんだろうなあ…
みんなで、この尊い命を守っていく
ホロリとしてしまいました。
by さと 2019-07-16 18:50
どの子も美人さん♪
大変だろうけど
手のかかった分可愛かったりしますよね
by ぽん子 2019-07-16 18:51
猫と暮らしている人にとって、24時間診療で信頼出来る動物病院が近くにあるのは、とても心強いですね。ぼすちゃんが昔飼っていた猫に似ていて、少しキュンとしてしまいました。
by シーマン 2019-07-16 19:49
わぁ!とびきりの美人
さんばかり!大きな病気をして猫自身もふみさんも大変でいらしたと思いますが写真からも穏やかで幸せで優しい空気、時間が伝わってきます。
これからもずっと長生きしてふみさんを癒してほしいなと思います(*^_^*)
by とも 2019-07-17 01:18
三毛猫はときどきでっかい子がいますね。うちのミーコさんもそうです。首周りから、他の猫と違います。ミケコ・デラックスさんに親近感。
by ミーコ・デラックス 2019-07-17 01:49
>総総さん
たぶん、3人の子どもを持ったお母さんと同じ気持ちではないでしょうか。
時間やお金の損得関係なしに、できうる限りのことをしてやりたいという…。多くの猫飼いがそうであるように。
by 道ばた猫 2019-07-17 01:53
>ドラ猫マスターさん
夜討ち朝駆けドラキーさんは、自由猫なんですね。
いい環境で、何よりです。「まりこ本」お買い上げありがとうございます!
by 道ばた猫 2019-07-17 01:56
>さとさん
ふみさんはこう言ってました。
「無理やりの過医療はせず、猫たちのクオリテイー・オブ・ライフをいちばん考えてやりたい」と。
覚悟込みの深い猫愛と思いました。
by 道ばた猫 2019-07-17 02:01
>ぽん子さん
そうそう、手のかかる子、過去のある子ほどかわいいものかもしれません。
「どうしてそんな性格になっちゃたの?」って子も、すごくかわいい!
by 道ばた猫 2019-07-17 02:04
>シーマンさん
サビ三毛さんは、温厚な子が多いですね。
ぼすちゃんは、やってきたとき、1匹だけ全然平気で、他の2匹は後をくっついて歩いていたそうです。
by 道ばた猫 2019-07-17 02:08
>ともさん
3匹3様、毛色も性格も大きさも違う美人さんたちですが、、
3姉妹共通の「深い緑の瞳」がとっても印象的でした!
by 道ばた猫 2019-07-17 02:12
>ミーコ・デラックスさん
そう、濃三毛さんには時々、肝っ玉母さんのような堂々たる三毛さんがいます。
で、案外と、ハニカミ屋(笑)。
by 道ばた猫 2019-07-17 02:15
サビトラ何て柄もあるんですね、家には黒サビがいますけど、この子も可愛いですね、そしてこの子もフレンドリーなタイプなんですね、サビは人間好きなな子多いですよね、家の猫もよく人にくっついてきます
by アツシ 2019-07-17 08:53
猫ファースト!
なんて素敵な響きなんでしょう(^_^)
しかも三匹みんな美ニャン‼
治療通院大変だと思いますが、それもまた猫好きなら乗り越えられますよね^_^
そんな我が家も猫ファーストの会、会員です。
by まあぼんた 2019-07-17 12:36
我が家の状況とシンクロすることばかりで、ふみさんと3匹との日常が眼に浮かぶようでした。自分も、残業なしの自己申告制のシフトの仕事に替えましたし、病気持ちのシニア猫たちの定期的な通院はしながらも、毎日穏やかに暮らせることを最優先に考えています。あ!まりこ本、あたしも買いに行かなくっちゃ!(笑)
by あべんぬ 2019-07-17 16:00
猫ファースト!
元々我々猫飼いは猫さまの下僕ですから当然ですよね?(^_^;)
でも言うは易し行うは難し。
ふみさんの実行力と持続力はすばらしいです。頭が下がります。私も見習いたいです。
三にゃんとも美人猫ですねぇ。もう惚れちゃいそうです。みんにゃ顔もいい表情してますね。(^o^)v
ところでさっそく( *´艸`)「寄りそう猫」拝読しました。
まずビックリしたのは写真がキレイ!(^_^)
どの猫さまもキレイな毛並みがよくわかります。やっぱり毛並みや幸せそうな顔の表情をちゃんと見せてあげたいですもんね?!
それだけでも充分手に入れた価値のある本です。
毎日パラパラめくるだけで、幸せをほんの少し分けてもらった気分になれます♪
by 才蔵 2019-07-17 16:15
3匹それぞれに可愛いですね! 引き受けた以上は、どんなことも受け入れて出来る事はしようと思っていますが、簡単なことではないですよね。でも、猫がそばに居てくれれば、なんだってやっていけそうな気がします。猫って、すごい!
by さび茶風 2019-07-17 21:08
>アツシさん
くっついてくる黒さびさん、可愛いですね!
サビは三毛の一種だそうですから、雌猫ばかりなんですよね。で、温厚な性格が多いそうです。
by 道ばた猫 2019-07-18 00:23
>まあぽんたさん
猫ファーストの会!
少なくとも道ばた猫日記の読者の方は全員会員になりそう(笑)。もちろん、私も!
by 道ばた猫 2019-07-18 00:25
>あべんぬさん
病気の猫、老いた猫、心閉ざす猫・・・そんな猫こそ大切にする人を、心から尊敬します。
人間社会も同じですけど。
by 道ばた猫 2019-07-18 00:28
>才蔵さん
おお! うれしい感想をありがとうございます。
そうなんです。今度の本は、猫の表情がよくわかるような鮮明なものを載せたいと心しましたので。
by 道ばた猫 2019-07-18 00:31
>さび茶風さん
ほんとうに!
猫が私たちに示してくれる「無償の愛」を、少しでも猫に返せるのは、一緒に暮らす喜びですよね~
by 道ばた猫 2019-07-18 00:35
まりこ本「寄りそう猫」購入させていただきました~
すべて再取材・再撮影されたのですね・・
全ページがカラー写真となり、猫たちの表情も一段と鮮やかです。
静かに訴えかけてくる
感動しながら拝読させていただきました!
by しろくま1124 2019-07-18 18:54
失礼しました。
「静かな中に熱い思いを訴えかけてこられる1話1話を、感動しながら拝読させていただきました!」
・・慣れないスマホからで、まことに申し訳ありません・・(汗)
by しろくま1124 2019-07-18 18:59
>しろくまさん
いつも温かなエールをありがとうございます!
今度の「まりこ本」(笑)は、寄りそう形の多様さがテーマです。みんなみんなかけがえのない「愛の物語」です。
by 道ばた猫 2019-07-19 05:31