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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2019年08月27日

サボとプッチ

茶白のサボちゃんと(6歳・メス)と白黒のプッチちゃん(もうすぐ8歳・メス)。

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2匹は、先週ご紹介したノワールちゃんと一緒のおうちで暮らしていて、2年前の春先に、飼い主をインフルエンザで突然亡くしました。

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サボ(サボテン色だから)もプッチも、もともとの名前です。
そして、元のおうちにいたときと同じように、今のおうちで、のびのび愛されています。
サボちゃんは、ちょっとビビりさんだけど、甘えん坊の穏やかな猫。

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プッチちゃんは、やさしく穏やかな猫さんです。

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サボとプッチを迎えてくれた昌代母さんは、劇団四季の元団員さん。あの「キャッツ」の舞台も手掛けた舞台美術部員だったそうな! 今も、引きつづき舞台美術のお仕事をしています。
おうちの一階は、すべて、猫のために開放していて、細やかな猫愛がそこかしこに詰まっている猫仕様です。
2匹を迎えるにあたって、本や仕事道具など夫婦のモノは、1階には置かないと取り決めたそうです。とはいえ、猫たち、2階も自由に出入りしているそうですが。

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押し入れの中だって、ほら、猫たちの個室に大解放。これは快適!

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サボちゃんたちの運命が一変したのは、3年前の冬でした。
大流行したインフルエンザのために、飼い主(まだ40代の男性で、一人暮らしでした)が急逝。さぞ可愛がられていたと思われる5匹の猫たちは、いったんは保護団体に引き取られました。でも、おとな猫に新しいおうちが見つかるのは難しく、動物病院預かりとなった後、譲渡先が決まらなかった4匹は保護猫カフェ「鎌倉ねこの間」の預かり猫となりました。2年前の3月のことです。
預かり猫となったのは、クロ、サボ、チョビ、プッチの4匹。

昌代さんは言います。
「この子たちを迎えたのは、たまたま鎌倉ねこの間のチラシをもらった私が机の上に置いておいたのを夫が見て、ひとりで勝手に猫の間に出かけたことがきっかけなんです」
独身時代に劇団の庭で拾った「ぽん太」という猫を連れて、もともと猫好きだった竜太さんと結婚した昌代さん。
そのぽん太亡きあと、家には猫がいませんでした。
「ふたりの間で、猫をまた飼おうねという話が出ていたわけもなく...でも、どうも彼は、猫に囲まれて暮らしたかったみたいなんです(笑)」と昌代さん。

竜太さんは、ひとりで訪れた鎌倉ねこの間で、飼い主をなくしてやってきたばかりの4匹の境遇に心動かされ、つぶやきます。
「うちで、4匹とも飼えるかもしれない・・・」

ねこの間のオーナー永田さんにしてみれば、どこまで本気なのかわからない初めての客の言葉でしたが、竜太さんは本気だったのでした。
そして、「同じ家で飼われていた猫たちを離れ離れにするのは可愛そうだ」と、昌代さんの同意を取り付けます。
でも、夫婦そろっての次の来店までの間に、4匹のうち、「クロ」ちゃんがもらわれて行って「ノワールちゃん」に。

竜太さんと昌代さんは、残る3匹をトライアル申し込み。
ところが、4匹の時は「ねこの間」の新入りという運命共同体で身を寄せ合っていた猫たちでしたが、3匹でトライアルに入ったとたん、チョビとプッチが、顔を合わせれば取っ組み合いのけんかをする仲になってしまいました。
環境が何度も変わったストレスも大きかったのでしょう。
そのため、仕方なく、仲のよかったサボちゃんとプッチちゃんの2匹を譲り受けることになったのでした。
(ご安心ください。ねこの間に1匹戻ってきたチョビちゃんも、すぐにおうちが見つかり、たっぷりと可愛がられているそうです)

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サボちゃんもプッチちゃんも、「うちにおいで~」と言ってくれた竜太父さんが大好き。
お仕事から帰ってくると、膝の上でたっぷりと甘えます。

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キャットタワーは、お父さんとお母さんの共同制作です。
食事台や水飲み台も、ただの木の台ではなく、ビー玉やタイルをはめ込むなど、昌代母さんのさすがのひと工夫が。

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昌代さん手づくりの猫ハウスは、居心地満点。ノワールちゃんが看板猫を務めるカフェ「チー坊ノワール」で今年4月に開かれた「黒猫展」でも予約注文を受け付け、大人気でした。

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外の風景も眺められるように、窓辺には、猫のための椅子が置いてあります。
爪とぎも、至る所に。
安心しきった猫たちの暮らしぶりをを見て、天国の元飼い主さんも、さぞ喜んでいらっしゃることでしょう。

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「ソファーもね、アタシたちの爪とぎなの。母さんたち、あきらめたの」と、サボちゃん。

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飼い主を失って、路頭に迷うこともなく、保健所送りにもならず、こうして5匹それぞれが、ふたたび愛され猫の暮らしができたのは、いくつものバトンタッチがあったからこそ。
おとな猫は、子猫と比べて譲渡先が見つかりにくいと言われますが、性格が確立していて、分別もついているなど、飼いやすい面もたくさんです。

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2匹をいとおしそうに見やりながら、昌代さんは言うのでした。
「4匹引き取ると彼が言い出した時は『えっ』と思いましたが、その時は4匹引き取る気になっていたわけで・・・・まあ、あと2匹くらいいてもいいかな」



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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

元飼い主さん、40代の若さで可愛い子供たちを残して本当に心残りだったことでしょう。
でも、4匹がすべて幸せな新生活を送れているのは天国にいる元飼い主さんの切なる願いが
すてきな新しい飼い主さんとめぐり逢う運命を切り開いたのかもしれないなーと思いました。

by みり 2019-08-27 17:43


「おうちの一階は、すべて、猫のために開放していて」

で、でけえ家だな(^_^;)

「猫たち、2階も自由に出入りしているそうですが」
そりゃそうそう

”家はあたちたちのもの!”

と思うのがネコなりよ。


「ぽん太」
これは由来聞かなくてもわかる(^_^;)

おいらの家は猫配慮全くしてないというか
そんなスペースはないだ!









無料休憩所&自動餌やり機より。。。

by ドラ猫マスター 2019-08-27 17:58

さすが舞台美術のお仕事されている昌代さん。
猫たちが主役の空間づくり、すばらしいですね!

by サビ猫びいき 2019-08-27 18:43

家も押し入れとこたつは占領されております
タンスは爪研ぎでズタボロ
もう好きにしておくれ(^_^;)

by ぽん子 2019-08-27 19:34

元飼い主さんに
大切に 大切に されてきた 猫ちゃんたち

新しいお家でも 大切にされて
元飼い主さんも 安心されたでしょうね

こういう お話聞くと
世の中 まだまだ捨てたもんじゃないなあ…って
思います


サンちゃん、待ってますよ

by さと 2019-08-27 19:45

若くして旅立たれた元の飼い主さん、大切に育てて来たニャンズが優しい方に巡り逢えた事にさぞかし安心されたのではないかと思います。これからもみんにゃ仲良くね!
しかし、侮るなかれインフルエンザ(汗)

by シーマン 2019-08-27 20:07

>みりさん

そうですね、元飼い主さんの思いが届いたのでしょう。ねこの間入りの前に1匹はもらわれたので、5匹全員新しい家族のもとで幸せになっています。

by 道ばた猫 2019-08-28 01:18

>ドラ猫マスターさん

明け渡さずとも、猫がのびのびできる空間さえあれば、それで十分だと思います。うちなんて、いろんなもの踏んだり落としたり乗ったりしながら、自由にやってます(笑)。

by 道ばた猫 2019-08-28 01:21

>さび猫びいきさん

そう、さすがでした。ただ、部屋の真ん中に置いてあるハンモックだけは、猫たちに不人気なんですって。揺れて安定しないからだそうな。

by 道ばた猫 2019-08-28 01:23

>ぽん子さん

>もう好きにしておくれ・・・・いいなあ。
 これって猫にとってはパラダイスでは?

by 道ばた猫 2019-08-28 01:27

>さとさん

ほんとうに、こんなふうに、どんな境遇の猫もセイフティ―ネットがある社会こそ、真の共生社会だと思います。早くそうなりますように!

by 道ばた猫 2019-08-28 01:29

>サンちゃん、待たせてごめんね。涼しくなったら、会いに行くからね。

by 道ばた猫 2019-08-28 01:30

>シーマンさん

そうなんですよ。他人ごとではないと、つくづく思いました。
うちの子はビビりで、食べ物の好みがうるさくて、人見知りだから、余計切ないです。

by 道ばた猫 2019-08-28 01:37

佐竹さんの本 みんな読ませていただいています
時には涙しながら
時には微笑みながら

そして この日記も・・・
猫ちゃんを通して
私も佐竹茉莉子さんという
すてきな人に出会えました

サンちゃん ありがとうございます
首を長~くして 待っています♡

by さと 2019-08-28 07:35

わぁ~!サボちゃん、プッチちゃん。猫さんたちが自由にのびのび暮らせてとーっても素敵なお家ですね!!一枚目のきりりとした目でカメラをみている2匹の表情もいいですね~~。前の飼い主さんが突然亡くなられて混乱してしまったでしょうが今はみんな幸せでうれしいです。そのうちの一匹がノワールちゃんだったのですね♪
今日もうれしくて温かい気持ちになりました。

by とも 2019-08-29 07:14

やっぱり兄弟、姉妹ってどこか顔つきだったり醸し出す雰囲気とでもいうのか似るんですかね?!
サボさんとプッチさん、そしてノワールさんは似てますね。
品とでも言ったらいいのか、ずっと愛されて育って、今も愛されているのがよくわかる表情してます。
よかったね!


今回は正直ちとキツいです。
ウチは(メゾネットでもない)普通のマンションで明け渡せる階などあるはずも無く...
猫どもに窮屈な思いさせてるかも...とか。
元の飼い主さんがインフルエンザで急逝されたというのもとても他人事とは思えません...。
ウチの猫どもは超ビビりで、超内弁慶で誰にも心を開いてはくれないかも...とか。

私自身ちと夏の疲れを溜め込んじゃってるんだと。
こんな時は猫どもに愚痴ったり、黙って添い寝してもらうのが一番かも。
そんなに都合よく振る舞ってはくれないけどね。(・_・;

潜り込む感あるあるの猫ハウス。
ウチでも人気あるある間違い無しだと思います。
ただてっぺんのボンボンは初日でなくなることも間違い無しだと(^^;

by 才蔵 2019-08-29 13:55

5匹全員新しいおうちが見つかって良かった!
今回もあったかいお話、有難うございます。まだまだ優しい人はたくさん居るんだな~と、私の気持ちまでポカポカしてきます✨
サボちゃんの、「母さんたち、あきらめたの」に、「私もとっくにあきらめたよ~」と言いたくなりました(^-^;。


先日、カフェドアクタさんで、ネロくんのお顔を拝見してきました!寝起きだったせいかぽーっとした感じが可愛かったです。ママさんにもいろんな話を聞かせていただきました。私が口下手なのと、新幹線の時間もあって、あまり長くは居られなかったのが残念でした。今度は、時間に余裕を持って行こうと思います。

by さび茶風 2019-08-29 19:56

>さとさん

本をみんな読んでくださってる・・・! ありがとうございます。
巡り会えば会うほど、当たり前のことなんだけど、どの子も世界で1匹の特別にかわいい子で、どの子にもドラマがありました。

by 道ばた猫 2019-08-30 01:14

>ともさん

サボちゃんもプッチちゃんも、ひたとこちらを見て、話を聞くんですよ~。 前のおうちでも、今も、いっぱい話しかけてもらっていることがよくわかりました。

by 道ばた猫 2019-08-30 01:17

>才蔵さん

5匹には全く血のつながりはないそうで、前の飼い主さんは、それぞれ身寄りのない猫を引き取ってくださっていたようです。一緒に暮らすと似てくるのかな。夏の疲れ、添い寝してとってもらってくださいね~

by 道ばた猫 2019-08-30 01:22

>さび茶風さん

ネロ君に会いにアクタへ! 新幹線でとは、ママさんもさぞ喜ばれたことでしょう。
来年1~2月に、アクタさんで、私の猫展示をさせていただくので、よかったら、再訪ぜひ!

by 道ばた猫 2019-08-30 01:26