私の著書「
ぽちゃ猫ワンダー(河出書房新社)」の撮影でお世話になったことのある薗田家。そのときのテーマは「ぽっちゃり」でしたが、今回は15歳を迎えた「あき」(茶トラ・女の子)の「ご長寿猫」取材で再び潜入することとなりました! 前回(5年前)の取材では、ほとんど目にしなかった"マボロシ猫"のあき。さて今回はどうなるでしょうか?
美猫さんだー!
名もなき子猫との突然の出会い
あきは今年5月に虹の橋を渡った「はる」(15歳没、女の子)が薗田家に連れてきた猫。経緯はこうです。「そういえばさっきからはるの姿が見えないな。もしや? 脱走!!」薗田家は大パニックに陥りますが、ほどなくしてはるは家に戻って来ました。汚いドロドロの子猫を引き連れて......。 名もなき野良猫は奥様の幸子さん(愛知県清須市在住)の膝に擦り寄り、甘えてきました。そんな光景を見たご主人が、「家に入れてやれ。」と迎えたのがあきです。その汚れといったら耳掃除で「綿棒一箱分」を費やすほど。子猫はよほどお腹が減っていたのでしょう。ご飯をがっつく姿に、これまでの過酷な野良猫生活が容易に想像できました。ただ、よく食べるわりに成長しないあきの体を心配に思い、あるとき動物病院へ連れて行くと、「お腹の中に虫がいる」とのこと。すぐに駆虫の薬を与え、お尻から出てくる虫を生きたまま引きずり出すという恐怖体験もいまでは良き経験に。見た目と見えない部分のケアを施すと、あきはとってもキレイな美猫になりました。ちなみにあきという名前は秋口に保護したから。はるが薗田家にやって来てからその法則が適用され、あきの次にやってくる猫にもそれは受け継がれました。
あきは幸子さんが大好きなのです。
薗田家の日常風景を垣間見る。
前回の取材ではよそよそしかったあきも主役抜擢に奮起!
薗田家の猫たち
現在、薗田家には3匹の猫がいます。あきの後にやって来たグレー猫の「なつ」(8歳・男の子)は近所の河原に突如あらわれたところを幸子さんの次男が発見し、「カラスに連れて行かれては忍びない!」と保護(生後2週間程度)。その2年後には幸子さんの知人が駅前で保護したという茶トラ白の「チロ」(6歳・男の子)を旅行を理由に一時預かりしたのですが、それがまずかった。チロは譲渡会に参加するものの新しい家族が決まらないという事情も幸子さんの耳に入っていて、「なんで? こんなに可愛い子なのに!」と、預かってしまうともう手放せない可愛さで家族はメロメロに......。ここからは私の推測ですが信頼の置ける幸子さんの元にチロを任せたかったというのが保護主さんの思いだったのではないでしょうか。お話を伺っているとそんな気がします。その後、チロは1歳にして6kgを超える体重になりました。そして満を持して私の著書「ぽちゃ猫ワンダー」に抜擢されるほどのぽちゃ猫に!
再会したチロはさらに大きく成長し、ご長寿猫のあきの取材だというのにその存在感に魅了される私......。(いかんいかん! 今日はあきの取材だぞ!)
ストーカー猫のなつ。
あきには嫌われていると言う......。
チロはずるい猫だ。
どのシーンでも、
愛嬌爆発!
薗田家のムードメーカーっていうのがわかります。
バランスを保つ三猫の食生活
「若シニア」と言うべきでしょうか、あきの健康面に現状問題はありません。幸子さんに幼少期から振り返っていただきましたが、秋口に目の周りに「アレルギー」を発症して塗り薬での完治を繰り返すくらい。その他の病気での通院や投薬、食事制限もありませんでした。フードは3匹の猫の中で最も好き嫌いが激しいなつに決定権があるようです。それはなつが食べないと、一番下のチロが"猫"そぎ食い尽くしてしまうという心配があるからです。茶トラのオス猫は比較的大きいものですが、食いしん坊が多いのかしら?
お、大きいなぁ。
長寿猫と暮らす幸子さんの猫友から「歯がなくなった時のことを考えたら、ウエットフードも食べられた方がいいよ。」とアドバイスをもらい実行するも、みんなドライフードの方が好きなよう。獣医からも療法食を勧められ一時、切り替えたこともあるのですが、これもまた不評で......。現在は「シーバ(マース)」のドライフードが猫たちのメインフードです。これまで大きな病気がなかったのも幸いし、好みの一番はっきりしたなつを中心に考える食生活が、今の三猫にピッタリとはまっているようでした。
薗田家の猫、夏のフード・ラインナップ。
早く早く!チロに食べられちゃう!!
猫暮らしで大切なこと
その大きなガタイでボス猫に君臨したチロを中心に薗田家は回っています。そんな中で、あきはチロに毛繕いをしてあげるお母さん的存在です。あきは争いを好まない性格で平和主義、人間には幸子さんにだけ甘えるのだとか。愛用している毛糸玉をくわえては持って来て、「投げてー!」と遊びを催促する姿は、15年間前から変わることのないルーティーン。なので、あきが年を取ったという感覚は幸子さんにはまだまだないよう。そんな中でもご長寿猫に導く大切な言葉を私は聞き逃しません。「自分の生活の中に猫がいる。こちらからは必要以上に構わない。」それが猫暦35年、幸子さんと猫の付き合い方です。(自分、必要以上にベタベタしてました! 腹に顔を埋める回数を今日から減らします! すんませんでしたー!)
あきが大好きなもの。
15年間愛用の毛糸玉と
お尻トントン!で悶絶!!
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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あきちゃん、優しい人に巡り合えて本当に良かった❗️
猫への愛情とその子を受け入れて、その子の猫生に寄り添う姿を見せて頂きました。
ブログを読み終えた後には私自身が幸せな気持ちになりました。
不妊、去勢手術を受けることが当たり前になって欲しいです。
by 総総 2019-09-04 17:12
チロくん、一番目立ってますね~。大きいと存在感も大きいのかな。あきちゃん、目が綺麗な美猫さん!なつくんもしゅっとしたハンサムさんですね✨
うちもドライフード大好きで、缶も食べるんですけど、締めは必ずカリカリです。ご長寿猫はカリカリ率高めのような…うちも頑張ろうっと。
by さび茶風 2019-09-07 09:25
総総さん
猫を捨てないで!と言ってもなんでわかってくれないのでしょうね。
同じ人間なのにね。
by ケニア・ドイ 2019-12-20 14:08
さび茶風さん
歯石の問題もあって、若いうちはドライの方が多い傾向にあります。
ちなみにうちはドライとウエット両方です。
by ケニア・ドイ 2019-12-20 14:10