机に用意された2冊のノート。聞けば、愛猫が腎不全と診断されてから書き記したものだそうだ。「あぁ、大事にされているんだなぁ」この子はシニア猫になるべくしてなったんだと、ものの1分で理解する私でした。
19歳には見えないジュニア。
レコーディングノートは2冊目に突入。
元々、奥様の美樹さんが飼っていた茶トラ猫「ジュニア(正式名:Junior)」(19歳5ヶ月・女の子)とシャムミックス猫「ゴマ」(10歳・女の子)。一緒に津禰鹿(つねか)家(京都市在住)に嫁ぎました。中学2年の時から猫と暮らしはじめ、猫歴ゴリゴリ30年という美樹さんに対し、ご主人の貴さんは初めての猫暮らしだったと言います。しかも、いきなり2匹と同居! 戸惑いはなかったのか尋ねると、答えはやはり「何をしていいのかわからなかった」と。しかし、6年が経過した今、その暮らしにも変化が――。「何をしていいのか」ではなく、「何もしなくていい」ことがわかったのだそう。そうだ、猫はこちらから寄って行かずとも、あちらからアクションを起こしてくれるもの。ゴマの方が先に慣れ、今はご主人の膝にやってくることもあると言います。ただし、ジュニアの方はいまだに少し距離を感じているようで......。ご主人の猫道はまだ始まったばかりなのです。
美樹さん大好き、抱っこ好きー。
事前にアポを取る理由
美樹さんは取材を前に今回の主役であるジュニアに「明日取材が来るからお願いね!」という具合に「アポイントメント」を取ったと言います。さらにアニマルコミュニケーターにも相談し、念押し。「頑張る!」と言ってくれたジュニアはこの日隠れることもなく、撮影に快く応じてくれました。(ちなみにアポを取っていないゴマは速攻で隠れた!)
とは言え、初見はおやつで誘ったのは内緒です。
やる気スイッチ入ったかな?
美樹さんは普段からよく猫たちに言葉を掛けていると言います。「言い聞かせたらわかってくれる」と強く信じる事例がジュニア6歳のころです。大腸炎にかかったジュニアに獣医から粉薬が処方されました。しかし、フードに混ぜて与えるも、なかなか食べてくれません。そんな時です。「これ食べへんかったら治らへんよ!」と言うと食べてくれたのでした。
よく話しかけること、
触ってスキンシップ。気持ち良いニャー!
ようやく普段の生活スタイルに。
体調管理のために
ジュニアの現在のフードは療法食の「k/d(ヒルズ)」、「キドニーケア(ドクターズケア)」がメインで1日の給与量は50gが目標です。また3.1kgの体重を減らさないように総合栄養食のオヤツで機嫌を取るなどして体重管理にも気をつけていました。療法食になったのは「腎不全」が見つかってからです。2017年4月12日から始まったと言う前述のノートはこの時から。実家で飼っていた先住猫を腎不全であっという間に亡くした経験もあり、ジュニアの体調管理のためにレコーディングを始めたのでした。
ごはんは欲しがったらあげると言うスタイル。
美への追求。食後のお手入れは欠かせません。
余白をまだまだ書き記していきたい。
こんちはー!緊急参戦のゴマ。ノートはゴマの成長にきっと役立つ。
病気と闘いながら
ジュニアは若いころに、細胞腫を切除する手術を2度しています。どちらも良性で回復はしていたものの、2017年11月26日、耳の後ろにしこりを発見、変な胸騒ぎがして急いで病院へ。検査の結果、「肥満細胞腫」(悪性)と診断されたのでした。また他の臓器にも転移があり、手術は困難、そして17歳と高齢のため手術は見送り内科的治療へと選択を余儀なくされました。そして、抗がん剤治療を諦め、セカンドオピニオンで見つけた「丸山ワクチン」。こちらに賭けてみたのが本当に良かったと......。余命数ヶ月と言われたこともあったのに、半年、1年と延び、もうすぐ2年が経過しようとしているのです。
ジュニアの生命線。
よく食べ、よく動く。
3日に1回のワクチン注射と皮下点滴、腎不全の錠剤「フォルテコール」が欠かせなく世話が焼ける毎日ですが、人間の体調が悪い時は優しく寄り添ってくれて、見ているだけでも癒されるという猫たちの存在を思えば、そこはお互い様なのです。「ストレスなく元気に暮してくれれば」そんな美樹さんの思いがヒシヒシと伝わる今回の取材、ご夫婦のサポートがあればこれからも大丈夫! ジュニアの20歳のバースディをお祝いしたいなぁ。
ホントに19歳?
大事な大事な家族なのです。
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
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(ΦωΦ)
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猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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猫は、ニンゲンの言葉が解っているのでは?と思うことが、私も度々あります。変なこと言えませんね(笑)。
ジュニアちゃん、19歳には見えません。なんと若々しい!病気になっても、飼い主さんの努力と判断力、猫の生きる力で、余命も引っくり返せるものなのですね。とても勉強になりました。
by さび茶風 2019-11-02 14:33
さび茶風さんへ
気づいたら20歳に。なんてことになりそうな気がします。
by ケニア・ドイ 2019-11-22 13:46