洋子さんに抱っこされているキジトラくんは、BULAN(ブラン)くん。11歳。
BULANは、インドネシア語で、「月」の意味です。
このお腹は、一三夜の月くらいでしょうか...。立派な体格です。
そして、洋子さんのおうちにはもう1匹。
BINTANG(ビンタン)くん。9歳です。
BINTANGとは、やはりインドネシア語で、「星」の意味です。
おお、緑の星のような瞳!
2匹は、縁あって、このおうちに次々貰われてきて、兄弟となりました。
2匹とも、生まれたのは、インドネシアです。
洋子さんの旦那さま、伊史(よしふみ)さんのお仕事で、夫婦でインドネシア・ジャカルタに住んでいたころに出会いました。
「インドネシアには、町なかにノラや半ノラがたくさんいて、玄関先や路上でご飯をもらっていました。インドネシアの人たちは外で食べる習慣があるし、猫が好きですから、ゆるーい感じで、猫たちも外で暮らしていけるんです」と、洋子さん。
伊史さんが通う会社の野外食堂にも、残飯目当てにノラたちが通ってきていました。
その中に、まだ幼くて、なかなかご飯にありつけないガリガリの子猫が1匹。
「このままだとこの子は死んじゃいそうで。逃げて触らせない子でしたが餌でおびき寄せ、袋に入れてさらってきちゃいました(笑)」と、伊史さん。
さらわれたBULANくん。
しばらくは触らせなかったものの、やがてすっかり夫妻に心を許し、みるみるふっくら元気になっていきました。
その2年後。
現地の日本語新聞の片隅に、「子猫をもらってください」の記事が。
段ボールにきょうだいたちと共に入れられて捨てられていたのを保護されたのですが、保護した家には犬がいたため、譲渡先を探していたのでした。
「BULANに遊び相手がいた方がいいだろうし、1匹も2匹も同じだと、見に行って、犬の背中によじ登って遊んでいた1匹をもらってきちゃいました」と、伊史さん。
じつは、BULANくんのときも、2匹目のBINTANGくんのときも、洋子さんが日本への一時帰国から戻ってみれば、家に子猫がいた!という、サプライズだったそうです。
2匹は、ほどなく仲良くなり、まるで、最初っから兄弟だったかのように育っていきました。
長男のりょうすけくんも誕生し、一家は、ますますにぎやかに。
2013年に日本へ帰国するときは、「輸入」扱いで、2匹の検疫がけっこう大変だったそうです。
インドネシアで親しくなったイラストレーターの紀平桃佳さん(現在はアメリカ在住)が、こんな素敵な絵を、お餞別に贈ってくれました。
「ママとパパがぼくらを守ってくれる。ぼくらもママとパパをずっと守ってあげる!」と、2ひきになり代わってローマ字で書いてあります。
ママに抱かれているのは、まだ小さなりょうすけくんです。
そして、今。
りょうすけくんは、8歳のお兄ちゃんに。弟のじゅんやくんは、5歳です。
洋子さんをのぞきオトコだらけの賑やかな家庭で、2匹はのびのび暮らしています。
BULANくんはチュールに夢中なのに、BINTANGくんはまるで興味なし。
BULANくんは、ちょっとシャイなところがありますが、兄貴肌。BINTANGくんは社交的で、網戸開けの名人なんだとか。
ところで、インドネシアの猫と、日本の猫、どこが違うのでしょうか。
インドネシア生まれと聞かなければわかりませんね。
しいて言うならば、日本の猫より、ちょっとて足が長くてお顔がシュッとしているかな。目と目の間も離れ気味で、おおらかな感じ。
日本の獣医さんからは「毛並みが違いますねえ」と言われたそうですが、毛並みが少し密な気もします。
だけど、私の感想は、こうでした。
「猫の可愛さ、賢さ、いじらしさは、万国共通。可愛がられている猫の表情は、みな同じ!」
日曜日。
のんびりまったり、りょうすけ・じゅんや兄弟につかず離れず、2匹がくつろぐさまは、いつもの平和な光景です。
「ケンカしていると思えば舐め合ってる」と洋子さんが言えば、「逆だよ。舐め合ってると思えば、ケンカしてる」と、伊史さん。
ケンカするほど仲がいいのは、人間のきょうだいも猫のきょうだいも同じのようです。
守って、守られての、家族写真。
一家にずっとの幸せあれ。
そうそう、段ボール入りで兄弟たちと捨てられていたBINTANGくんをもらいに行ったときの話。
まだ貰われていないきょうだいが2~3匹いたそうです。
「今にして思えば、全部もらってきちゃえばよかったな」というパパに、「ええっ」と目をまん丸くするりょうすけくん。クスクス笑う洋子さん。
パパは、本気のようでした。
でも、きっと、きょうだいたちもそれぞれ幸せに暮らしていることでしょう。
これは、洋子さんがインドネシアからのおみやげにご両親にさしあげた猫人形。
彩色はされていない木彫りだったのですが、「折り紙チェア」で知られるデザイナーである、お父様の笠松榮さんがささっと色を塗って、変身させました。
そう、BULANとBINTANGです。素敵ですね。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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インドネシアでも日本でも
キジトラ顔変わらないんだよなあ。
でもそれよりさあ
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猫は若くても老けてても
たいして顔変わらないんだよなあ。。。
そこは羨ましいぞ(^_^;)
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インドネシア語だと神秘的でいいねえ。
月と星
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星はチュールに食いつかないってのがすごい。
インドネシアにはチュールないのかの(^_^;)
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おいらのドラキーはチュールなど
贅沢なものはやらない(^_^;)
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一日カリカリ3袋のみ!
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でも人間の食べ物に無関心だ。
魚焼く匂いにも無反応。
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そしてカリカリ3袋だけを食べる。
もっとくれくれ言わない。
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そして外で動きまくるから
肉体はアスリートのようだ。
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人間より自己管理が出来ている猫というのも
これまた珍しいのではないかの(^_^;)
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星もそんな感じなのかしらん?
by ドラ猫マスター 2019-11-05 13:37
海の向こうからようこそ‼本当に猫の可愛さは、万国共通ですね。もしかしたら、人間より猫の方が国際交流が上手なのかもしれませんね
by ふみちゃん 2019-11-05 14:44
とってもいい家族写真!最高でしたよ。最後の写真の猫人形、私も欲しいです。どこかにあるといいなあ~。ブラン君とビンタン君にウリフタツ、写真と違ってまた味がありますね。それにしてもブラン君のお腹の毛はどうしたのかな?風邪ひかないでね!
by ぺったんの母 2019-11-05 15:22
検疫は本当に大変。昔アメリカから、ワンコを
連れて帰って来るのに書類と格闘。でも家族の為と頑張ったのを思い出した。にゃんずと家族の写真に心がほっこりしました
by 妖怪元気ババァ 2019-11-05 16:05
今回も可愛い可愛い!!本当に可愛さ賢さいじらしさ、万国共通ですね♪インドネシア、猫と人間の緩い感じもおおらかでいいなぁ。検疫、とても大変なのですね、無事に日本に一緒に戻られてなによりです。りょうすけくんやじゅんやくんの表情もいいなぁ(^-^)イラストレーターの方のイラストと言葉もとってもいいですね♪素敵なお話を今回もありがとうございました!
by とも 2019-11-05 18:58
猫の姿は人間と違って万国共通ですね(笑)
かわいいかわいい
オシャレな名前が似合う子っていいですよね
家のは
ぽん
だからなあ(^_^;)
by ぽん子 2019-11-05 19:21
2匹とも、優しいお顔してますね(^o^)。愛されているのが、見ただけでわかります。
どこの国の猫も皆、可愛い!!ですね~。前に台湾に行った時に見た、道端に寝そべっていた猫も、日本の猫と同じような顔してました。私は、その辺にちょこんと居るような猫が一番可愛いと思います。
兄弟そっくりの猫人形、素敵です✨うちの猫に似た人形欲しい…。
by さび茶風 2019-11-06 07:13
>ドラ猫マスターさん
そうそう。猫は若くても年とってもあまり変わらない!うらやましい限り!
うちの菜っ葉も、チュールなど無関心でカリカリと魚スープのみ。明け方4時ころ、耳元で、第一回目のカリカリを要求するのは勘弁してほしい・・・。
by 道ばた猫 2019-11-06 08:30
>ふみちゃんさん
ほんと、猫の方が草の根の国際交流上手かも。
つかず離れずの、距離の取り方も一枚上手。ストレスのある付き合いはしませんよね(笑)。
by 道ばた猫 2019-11-06 08:33
>ぺったんのお母さま
猫も一緒の家族写真っていいですよね。私の子どもの頃の写真にも、さりげなく猫が写っています。
ブランくんのお腹の毛は「生えてこないんです」って洋子さんが言ってましたが、なぜだったか・・・。
by 道ばた猫 2019-11-06 08:37
>妖怪元気ババァさん
そ、そのハンドルネームは…! はさておき、ワンちゃんも、狂犬病やらいろいろ検疫が大変なんですよね。無事、一緒の帰国、お疲れさまでした。
by 道ばた猫 2019-11-06 08:40
>ともさん
桃佳さんのイラスト、絵も素敵だけど、贈る言葉に祝福がこもっていて、ほんとうに素晴らしいお餞別。
ママとパパ、って、ママの方が先なのも素敵!
by 道ばた猫 2019-11-06 08:43
>ぽん子さん
いやいや、外国の方からすれば、「ポン、とは何て心地よい響きのしゃれた言葉なんだ!」って思われるのでは? あ、私もそう思います。
by 道ばた猫 2019-11-06 08:45
>さび茶風さん
5枚目の、ブランくんがやってきたばかりの細い目の写真が、里山の子さっちゃんこと、サチが里山にやってきたときのお顔にそっくりで、胸打たれました。可愛がられて、みんな目が丸くなっていく。
by 道ばた猫 2019-11-06 08:49
可愛がられている猫の表情は、皆同じ…
本当にそうですね
まん丸おめめの
優しいお顔
コメントにいつもお返事いただき
ありがとうございます
お返事いただけて
嬉しい私です
by さと 2019-11-07 06:14
>さとさん
こちらこそ、いつも優しいコメントをありがとうございます。
先週花はなの里に行ってきましたが、あっこちゃんの目がずいぶん丸くなっていました~
by 道ばた猫 2019-11-07 21:57
BULANくんはほれぼれするようなキジトラさんですねぇ!
夏目漱石が弟子に「I love you」を日本語に訳す時は「月がとてもきれいですね」とでも言えばいいんだよ、と言った逸話を思いだしました。
そんな思いを込めてBULANくんに言いたい。
「月がとてもきれいだね。」
BINTANGくんもいい顔してるねぇ。そのまぶしい白い部分にほれちゃいました。
イラストも素敵!兄弟そっくりの置き物も素敵!芸術家っていいなぁと思うんです。こんなにも素敵に愛を表現できて。
今週は寒暖差が大きいけどお日さまが顔を出してる日が多いようでホッとしますね。
被災地でもこんな日が続きますように。
by 才蔵 2019-11-08 04:02
>才蔵さん
ほんと、芸術家って、こんなにも愛を表現できて素敵ですね! 桃佳さんのイラストは、よく見ると、ママがブランくんの腕に手を絡め、ビンタンくんと手を繋いでる。パパは、ビンタンくんに寄りかかって、ブランくんに足を預けてる。愛だなあ~~。
by 道ばた猫 2019-11-09 01:15