「もう、どうしてそんなにじっとしてないの」
お母さんにギュッとされているのは、「蒼(そう)」ちゃん。
生後4か月、この家に来て2か月の男の子です。
この蒼ちゃん、もうちょっとの間も目が離せないやんちゃ坊主。
床の上にないかが落ちていれば、すぐにカジカジ。
目に入るもの、すべてがおもちゃ。
ご飯は、先輩たちよりキモチ盛りがよくしてあるのに、パクパク大急ぎで食べ終わると、華ちゃんのお皿に突進。華ちゃんは譲ってあげます。
「なんてやんちゃな子を、ママは連れてきたんだ・・・・」と、風ちゃんはいつも目が真ん丸。
「ほんと、毎日がにぎやかすぎるわ」と、華ちゃん。
「こんなにやんちゃになるとは、あの写真に騙されました・・・」と、ママの裕子さんは笑います。
蒼ちゃんは、道ばたに捨てられていた子です。
目が開いたばかりのとき、新聞紙に包まれ、紙の箱に入れられて、ひとりぼっちで捨てられました。
通りかかったサラリーマンの方が見つけて、警察署に届け、その警察署から連絡を受けて、ミルクボランティアの由梨さんが引き取りに行きました。
警察のロビーに響き渡るほど、声を限りに鳴き続けていたそうです。
グレちゃんと仮の名がつき、由梨さんの家で、他の預かり保護子猫たちときょうだいのように遊びまわって育ちます。
譲渡先募集の写真に、ひと目惚れしたのが、裕子さんでした。
これが、ひと目惚れされた当時の写真。
濡れた目の子犬のような、しおらしい愛らしさ。
裕子さんは、3匹目に迎えた「陸」くんという猫を、愛らしい盛りにFIP(猫伝染性腹膜炎)で亡くして、慟哭の哀しみからようやく立ち直ったところでした。
陸くんも、へその緒が付いたままの状態で救出された仔猫。
「難あり」で売れ残っていた風ちゃんに、多頭崩壊からやってきた華ちゃんという、2匹のワケアリ先住猫の険悪な仲を取り持つために迎えられた陸くんは、
2匹の仲をみごとに取り持ったところで、天国へ旅立ったのでした。
陸くんを失ってぽっかりとあいた空間。そこに、グレちゃん改め、蒼ちゃんは迎えられたのです。
でも、4匹目の子は、想像だにしなかったやんちゃ坊主でした。
ほんのちょっとの間もじっとしていません。
床の上になにも置かないようにしているものの、裕子さんは、目が離せません。
飛び乗って、テーブルの上のものを舐める蒼ちゃん。
「テーブルの上はダメって言ってるでしょ!」
叱っても言い聞かせても、聞いちゃいません。
天衣無縫。馬耳東風。ケロリンパのパ。
風ちゃんと華ちゃんからの教育的指導が入るのはしょっちゅう。
おとなしく指導を受ける蒼ちゃんですが、終わると、ケロリンパのパ。
叱られても、ウザがられても、天真爛漫を貫いています。
「こんなにやんちゃで大変な子は珍しいんじゃないでしょうか」と、ママは諦め顔。
きっと、天国の陸ちゃんが、「ボクのこと思い出してママが泣き顔になる暇がないよう、うんと手のかかる賑やかな子を送り込んだんだよ」って、言ってそうな気がします。
「そうかも・・・。これから蒼がどんな風に大きくなっていくのか楽しみ。我が家に新しい風を入れてくれたこの子に感謝しています」と、裕子さん。
お孫ちゃんとも、仲良く遊んで、すくすく大きくなあれ。
人間の子も、猫の子も、思い切り遊んで、丸ごと愛されて、思いやりのある優しい大人になっていくのだと思います。
ひとりぼっちで捨てられていた蒼ちゃん。
おうちができて、きょうだいができて、みんなに愛され、まさに、ハツラツいのちの塊です。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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これに尽きる!
「キモチ盛りがよくしてあるwww」
「こんなにやんちゃになるとは、あの写真に騙されました・・・
珍しいんじゃないでしょうか」
珍しくないだ!
そりゃおいらも同じ(^_^;)
来た時は2階の階段も降りられなかったのに
今は2階のベランダから庭に飛び降りやがる(^_^;)
by ドラ猫マスター 2019-11-19 18:02
蒼ちゃん
いっぱいやんちゃして
いっぱい愛されて
大きくなあれ
あら~! 蒼ちゃん
うちの子に
そっくりだ
by さと 2019-11-19 18:56
蒼ちゃんきっと嬉しいんですよ
家の子もやむを得ず知人の家に預けたことありましたけど
1日でホームシック(^_^;)
帰ってから嬉しかったらしく
じゃれまくりの跳びはねまくり(^_^;)
蒼ちゃんも愛情たっぷりくれる人に出会えて嬉しかったんですね
by ぽん子 2019-11-19 19:07
ケロリンパのパ(笑)って表現するんですネ!
蒼ちゃんが伸び伸びとやんちゃできるのも、大きな愛に包まれて萎縮することなく暮らせる環境があるからこそ!
そして天国の陸ちゃんからの申し送りを忠実に守っているからなんですね
やんちゃもさることながら、3ニャンズの仲良しっぷりにも目が離せなくなりそう(笑)
by マム 2019-11-19 20:13
可愛い~。一目惚れしないでいられませんね。どの子もみんな、辛い日々をケロリンパのパと忘れて、幸せでありますように。
by ふみちゃん 2019-11-19 22:27
蒼ちゃん、やんちゃ坊主で可愛いですね!好奇心いっぱいなお目目ですね。華ちゃん、風ちゃんのちょっと呆れたようなお顔がまた可愛い~(*^_^*)捨てられたときは本当に濡れたお目めの子犬のようですね。たまらない可愛さ。でも捨てられていたということは悲しく許せないです。裕子さんのお家で暮らせて幸せですね。ほんとに陸くんが悲しみいっぱいで過ごす時間ばかりにならないようにと賑やか元気いっぱいの子をと配慮してくれたのでしょうね。
今回も素敵な写真と文章で温かい気持ちになり元気になりました(^-^)
by とも 2019-11-20 07:43
蒼ちゃん おぬしなかなかやるのぅ
先輩の教育的指導もママさんのしつけも
ケロリンノパなんて\(^_^)/でも、お孫さん
には、優しい様子。暴れん坊将軍が名君に
変身するかも…蒼君期待していいかしら
by 妖怪元気ババァ 2019-11-20 10:12
>ドラ猫マスターさん
猫は、生まれ持っての本性より飼い主に似ると言いますから、マスターさんとこの猫もうちの猫も
飼い猫に収まらないノラ気質ということでしょうか・・・。
by 道ばた猫 2019-11-20 10:53
>さとさん
そっくりなんですか! 蒼ちゃんは、なんと抜け毛がカールしてるそうで、「セルカーク・レックス」がちょっと入ってる疑惑も。なんで捨てられたのやら。
by 道ばた猫 2019-11-20 10:56
>ぽん子さん
そう思います! 由梨さんちでたっぷり可愛がられ、そのまま、裕子さんちで可愛がられ、人も猫も大好きな天然ちゃんに育ってる。幸せですね~
by 道ばた猫 2019-11-20 10:58
>マムさん
ケロリンパのパ、というのは、私の出まかせ言葉です(笑)。
いつも思うけど、おじさん猫は、子猫にやさしい。おばさん猫も最終的には大目に見る。猫って度量広いなあ。
by 道ばた猫 2019-11-20 11:02
>ふみちゃんさん
毎日毎日、楽しくてたまらないちびっ子ギャングの蒼ちゃん。
はてさて、どんなオトナ猫さんになるのか、楽しみです!
by 道ばた猫 2019-11-20 11:06
>ともさん
保護されたばかりの時の顔は、ほんとにしおらしいお顔でしたものね。
騙されるのも無理はありません。こうして、猫は人をだまし、幸せにするのです(笑)。
by 道ばた猫 2019-11-20 11:11
>妖怪元気ババアさん
猫は幼児をどこか守る風なのは、不思議ですね。
同じ目線の動物としてシンパシーを感じるのかもしれません・・・。
by 道ばた猫 2019-11-20 11:13
新聞紙にくるんで捨てるなんて許せないです。でも、創ちゃんはそんなつらい経験も何のその!天真爛漫ですくすく育っていますね。もっと、もっと幸せになってね。うちの子達もみんなお外にいた子、内弁慶、チョービビりさん、やたらお猫良し、いろいろですがみんなぬくぬくと幸せにしています。3にゃんもみな仲良くね!!
by ぺったんの母 2019-11-20 12:56
ケロリンパのパ
が気になって夜の寝付きが悪いので
由来と意味を教えてくれろ?
( ̄~ ̄;)ウーム …
by ドラ猫マスター 2019-11-20 16:45
>ぺったんのお母さま
「やたらお猫好し」の猫さんに会ってみたい! もしかして茶トラもしくは茶白の雄猫さん?(笑)。
みんなぬくぬく。いいですね!
by 道ばた猫 2019-11-20 23:58
>ドラ猫マスターさん
す、すみません・・・。深い意味も由来もなく。ケロッとしてる、という語感の言葉をダメ押しというか強調しただけで・・・。「これ以上ないくらいケロッとしてる」とでも言いましょうか。ほら、「あれれのれ」とか「あちゃちゃのちゃ」とか、おじいちゃんがよく言ってませんでした? 言わない?うちだけか(笑)。
by 道ばた猫 2019-11-21 00:10
「陸くんの贈り物」のお話は読むたびに涙します。最後にある夢だった猫団子を叶えたイラストも大好き!あのお宅にまた新しい物語が始まったのですね。
ウチもチビクロ一家が来た時に「あーこねこってこうだった!」とてんやわんやだったことを思い出しました。
そしてうかつにモノを置けないその部屋がキレイになったことも(笑)
しあわせな猫団子がそろそろ見られるかな?
by 16にゃんず 2019-11-21 08:02
蒼ちゃん、名前間違えてごめんなさい。うちのやたらお猫よしはキジトラのぺったんでした(笑)
時々空気が読めないところがあって、りん吉に怒られること多々ありです。茶色い子は憧れです!
なにせキジトラ軍団ですから(笑)
by ぺったんの母 2019-11-21 10:13
ケロリンパのパのインパクトがパネェ!
もう他の事が何も頭に入ってきません。(笑)
私は一瞬うつみ宮土理の昔のニックネームだったかしらん?!
茉莉子さんのオリジナルだったんですね。(笑)
「レレレのレ」は確かバカボンのパパに出てくるおそうじおじさんでしたよね。(笑)
蒼くんの毛色は日本では珍しいですね。(ヨーロッパに多かった気が...)
私はロシアンブルーが大好きでその血統が混じってるのかしらん?と思いましたが「セルカーク・レックス」ですか?!
ぜひ会ってみたいっす。
やんちゃできるのは幸せの証し。
どんどんやっちゃえ~(^_^)
ウチの黒助のやんちゃ時代にはテーブルに置いてあったグラスをふたつ割られた事が。
私は猫飼い師匠にこってり怒られました。(苦笑)
しばらくして、また黒助がテーブルに突っ込んできました。
私はなんとかしなきゃと思い、迫ってきた黒助を前にテーブルのグラスを手で抑えました。
黒助は「やべぇ!」という顔をして急ブレーキをかけてぶつかるのを回避。
その時の顔は何年たった今でもよく覚えてます。(笑)
by 才蔵 2019-11-21 12:07
>才蔵さん
風ちゃんの蒼ちゃんへの指導は、両手でしっかり抑え込み、首根っこをガブリ。おとなしくなったところで、舐めてあげます。蒼ちゃん、うっとり顔。ママと早くに離されたんだものね。
by 道ばた猫 2019-11-22 02:32