「モモが旅立ち、新入りの犬スタッフと猫スタッフがやってきました。遊びに来てください」
そんなメールが舞い込みました。
去年2月の猫日記「
あたたかな場所その4・・・きららちゃん」でご紹介した三毛猫きららちゃんのいる、千葉県香取市のグループホーム「じゅらく」スタッフの優子さんからです。
さっそく行ってきました!
こんなかわいい三毛の子猫スタッフさんが、迎えてくれました。
名前は、りんごちゃん。
そして、もう1匹は、13歳のシニア犬で、名前は、トムくん。
耳がかなり遠くなっているようですが、フレンドリーな温厚そのものの犬さんです。
サロンの壁には、こんな貼り紙が。
2匹はほぼ同時にここに迎え入れられました。
じゅらくさんでは、ながいこと、老犬モモちゃんと押しかけ猫きららちゃんの仲良しコンビが、みんなを笑顔にしていました。
加えて、昨年夏から「福丸」くんという愛らしい保護猫がしばらく新スタッフとして加わっていたのですが、わけあって、福丸くんは、ホームを卒業。
そして、この秋、あの穏やかな老犬モモちゃんが、17歳半で天国へ。
モモちゃんは、少しずつ少しずつ衰えが進んで、サロンで眠るように息を引き取りました。
きららちゃんは、朝まで、冷たくなったモモちゃんのそばを離れなかったそうです。
モモちゃん亡きあと、きららちゃんばかりか、スタッフの皆さんも、ホームに入居なさっている方たちも、みんなしょんぼりしてしまいました。
モモちゃんは、みんなにとって「家族」だったのです。
台風19号襲来の前の晩、ホームに1匹の犬がお泊まりに来ました。
その犬、トムくんは、近隣のひとり暮らしの年配の方に飼われていたのですが、その方が入院してしまったまま家にはもう戻れないという状態に。
ご飯だけは、親族の方があげに行っていたそうですが、散歩までは手が回らず、雨の日も風の日も、外につながれっぱなし。
台風19号がくるのに外ではあまりにも可哀そうと、見かねたじゅらくのスタッフさんが、ホームにひと晩避難させてやったのでした。
モモちゃんにどこか似ているトムくんを囲んで、ホームの入居者さんたちが口々に言います。
「ここの子にするといいよ」
「モモちゃんは、この子に場所を譲って天国へのぼっていったんだよ、きっと」
それで、スタッフさんが理事長にかけあったところ、「いいですよ」という返事をもらったのでした。
なんて、話の分かる理事長さんでしょう!
さらに、行き場のない仔猫の話も耳にした理事長さんは、「その子もここで飼えばいいんじゃない?」と。
なんてなんて話の分かる理事長さんでしょうか!
というわけで、2匹は、亡きモモちゃんのくれた贈り物。ホームのみんなに笑顔が戻りました。
リンゴちゃんのためのリボンとおもちゃを、不自由な手で楽しそうに編んでいる方もいます。
作ってる最中に、ちょっかいを出して遊び始めるりんごちゃん。
可愛い毛糸のリボンが編みあがり、さっそく結んでもらったりんごちゃん。
「すごく似合うよ」と、言いたげなトムくん。
1分後には、やんちゃ盛りのリンゴちゃん、もう引っ張っておもちゃにしてしまいましたが。
仲良しのモモちゃんを喪って落ち込んでいたきららちゃんは、トムくんとはすぐに仲良くなり、毎朝の散歩も一緒に出掛けています。
ただ、チョロチョロ動き回るリンゴちゃんのことは、ちょっとばかりウザったく思っている様子。
それでもめげずに、きらら先輩の後をストーカーのように付け回すりんごちゃん。
きらら先輩の各部屋巡回にもこっそりお供します。
憧れの先輩にタッチできました!
きららちゃん、気がつかぬふりをしています。
この分だと、仲良くなるのも時間の問題でしょうね。同じ三毛猫だし。
入居スペースは建物の2階ですが、りんごちゃん、優子さんの胸元にちょこんと収まって、1階のデイサービス利用者の方々のところへ遊びに行くこともしょっちゅうだとか。
大人気だそうですよ。
動物がそばにいることは、リラックス効果も抜群、お年寄りの方たちに笑顔や発語を増やします。
退屈もしないし、認知症も予防してくれることでしょう。
そんなアニマルセラピー担当スタッフとして、身寄りのない犬や猫がホームに迎えられるのは、まさに1石2鳥のすばらしさ。
もちろん、じゅらくさんのように、細心の衛生管理があってこその動物との共生ですが、もっともっと犬猫のいるホームが増えていきますように!
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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今回も心暖まる記事ありがとうございます♪
寒くなって鍋の季節ですが、カセットコンロにはご注意ください。
着火と同時に愛猫が顔を近づけてきて・・・
ボン! 眉毛、ヒゲがチリチリと!!
私も以後気を付けます!!!
by ミンディー 2019-11-26 12:38
犬や猫が人間にとって、どれだけ癒しになるかりんごちゃんを抱くおばあちゃんの顔が物語っていますね。本当にこういう施設がどんどん、増えてほしいです。
ちゃちゃことぽんずに弟がやって来るまで、いよいよあと少しです。子供にとっても、生まれた時から、動物のいる環境は凄く大切だと思います。呑気な彼らに理解できるかは、微妙ですが。
by ふみちゃん 2019-11-26 13:56
りんごちゃん(^_^;)
どうして、りんごなんだ??
しかし三毛猫ってなんでアグレッシブなんだろな。(^_^;)
でも老人にはのほほんよりアグレッシブのほうが
間違いなく向いているはずだに(^_^;)
我が家のアグレッシブはデカイねずみ退治して
今は絶賛爆睡昼寝中だわ(^_^;)
by ドラ猫マスター 2019-11-26 14:03
我が家のピーちゃん(セキセイインコ)が虹の橋を渡ってしまい
淋しくて悲しくて・・・
命に大きい小さいなんて ないですね
どんなに癒されていたか
いなくなって
改めて 実感しています
アニマルセラピー
その力は 本当に大きいと思います
私たち 彼らに 支えられているんですよ
きっと・・・
by さと 2019-11-26 15:25
りんごちゃんですか
私の友達の猫の名前はみかんです(笑)
由来は小さい頃、頭のてっぺんにみかんのヘタみたいな模様があったんだとか
今ではもうすっかりなくなってイケにゃんになってます
私の仕事は介護士ですが
りんごちゃんみたいな猫のいる施設で働きたい
普通の施設は動物禁止
かなしい·····
by ぽん子 2019-11-26 18:46
私の職場では、飼い主の利用者さんと一緒に入所したトイプーちゃんが男性スタッフにベッタリで飼い主さんに寄り付かなくなってしまいました(苦笑)そんなこともあるんですネ〜
ニャンズは相変わらずマイペース
そんな姿にホッと一息ついてから業務を再開することあるあるです(笑)
by マム 2019-11-26 20:12
こんな可愛いスタッフがいるなら、毎日楽しく過ごせそうですね。長生き出来そう!
by シーマン 2019-11-26 20:13
りんごちゃん、何て可愛い三毛猫さん♪トムくんはお顔からして優しい(^-^)理事長さんも素敵ですね!入居されておられる方の笑顔もいいですね。手作りおもちゃやリボン、いいなぁ、こんな素敵なホーム、いつかお世話になりたいです。このような素敵なホームがたくさんになってほしいです。
きららちゃんもりんごちゃんを気にしている感じですね、りんごちゃん、手をかけている写真も三匹の後ろ姿の写真もどれもほんとに温かくてキラキラしていますね。今日もとっても心温まりました。
by とも 2019-11-27 07:23
>ミンディーさん
好奇心旺盛な猫さんなんですね~ 水、火、電気・・・飼い主が気をつけなければならないこと、いろいろですね。焦げたおひげはまたはえてくるのでしょうか・・・。
by 道ばた猫 2019-11-27 11:50
>ふみちゃんさん
ほんとうに、猫を抱いているときのいいお顔! 赤ちゃんから、お年寄りまで、一生を通して、こんな柔らかい愛らしい生き物がそばにいてくれたら、しあわせですよね~。
by 道ばた猫 2019-11-27 11:54
>ドラ猫マスターさん
たぶん、「りんご」は可愛いからで、「トム」はそれまでの名前かと。マスターさんちのアグレッシブさんは、ネズミを退治しちゃったんですか~? うちの猫は、大雨の後、庭に避難したネズミ2匹を家の中に保護し、添い寝して、また外に出してやりました…(後が大変でした、大洗濯)
by 道ばた猫 2019-11-27 11:59
>さとさん
ピーちゃん、今頃大空を自由自在に飛び回って、さとさんのこと見守ってますよ~。
ほんとうに、わたしたち、自分よりずっと小さくて短い無心な命に支えられて暮らしてますね。
by 道ばた猫 2019-11-27 12:02
>ぽん子さん
じゅらくの前理事長さんと現理事長さんは、お母様と息子で、大の動物好き。だからこそ、自然体で、ホームに動物を迎えられたんでしょうね。モデルケースになりますように。
by 道ばた猫 2019-11-27 12:05
>マムさん
げんきんなトイプーさん(笑)。飼い主さんにとっては、さびしいけれど、安心でもありますよね。
マイペースニャンズに囲まれて、お元気にお仕事励んでください!
by 道ばた猫 2019-11-27 12:08
>シーマンさん
老犬は穏やかな癒しに。やんちゃな若い猫は、日々の刺激と笑いに。
それぞれ役割分担ができている新入りスタッフです。きららちゃんは、別格の施設長。
by 道ばた猫 2019-11-27 12:11
>ともさん
このホームをよく知っている方が最後の写真に「モモちゃんの視線のような写真」とおっしゃって、ハッとしました。本当にそう思えます。ちゃんと引き継ぎできました!
by 道ばた猫 2019-11-27 12:14
動物たちと共に暮らす幸せ。おばあちゃんの笑顔が素敵です。最後の、動物たちの後ろ姿の写真からもこのホームの居心地の良さが伝わってきます。この世の中ぜんたいが、こうなるといいですね。
by ムヨク 2019-11-27 17:55
>ムヨクさん
世の中全体がこうなるといい…同感です! 人生の終末期にいる入居者の方々が、モモちゃんの死を悼みつつその思いが引き継がれていると感じ、新しい命を歓迎する・・・そのことにとても感銘を受けました。
by 道ばた猫 2019-11-28 01:17
佐竹さんのお返事に救われました。
ありがとうございます。
心から…ありがとうございます。
by さと 2019-11-28 06:54
トムくん、私が初めて飼った犬の晩年とそっくり。しかも同じ名前。
なんかとても懐かしく思いました。
ウン十年も昔の事だけど今でも鮮明に覚えてます。彼と散歩した日々、時間。
トムくんもみなさんに一緒に過ごす素敵な時間をプレゼントしてあげてね。
りんごちゃんのふわふわっとした毛触り、気持ちいいんだろうなぁ~(^_^)
動物の温かいぬくもり、動き、感情をまるごと受け止める時、人間も無意識に自分が生きてる事を確認できるんじゃないかって思うんですよ。
生きてる事の喜びを感じるというか...。
それがお互いの癒しになるのかなぁと。
そして共有した時間は思い出となっていつまでも残る...
どうかこれからもこの空間、時間が続きますように。
今回はどの写真にも感情を強く揺さぶられてなかなか選べない。
敢えてあげるならおばあちゃんの柔和な表情かな。
最後の3わんにゃんの後ろ姿もいかにも私好みなのよね。
by 才蔵 2019-11-28 11:38
りんごちゃん、きらら先輩を見習って、立派なスタッフ猫さんになっていくんでしょうね~。
トムくんも、穏やかで賢そう!3匹で、施設を笑顔でいっぱいにしてね。
犬や猫って、そばに居るだけで、不思議と心が落ち着きますよね。すごい存在です…。
by さび茶風 2019-11-28 17:32
>才蔵さん
お年寄りのホームに、シニア犬を迎えることは、その死をみんなで看取ること。「つらいのでは」と思う方もいるかもしれませんが、それって、「幸福に生きることは幸福に旅立つこと」を目の当たりにすること。すばらしいなあ!
by 道ばた猫 2019-11-29 03:53
>さび茶風さん
トムくんは、屋根の下で、みんなに話しかけてもらえる毎日が、楽しくて楽しくてたまらないようでした。りんごちゃんの半年後のスタッフぶりも楽しみです!
by 道ばた猫 2019-11-29 03:56
茉莉子さんのおっしゃる通りですね。
「幸せに生きる事は幸せに旅立つ事」。
生きものは必ずいつかは死にます。
その死をみんなで看取る、それは幸せな事なんだと思います。
幸せを共有した時間がほんの少しでもあれば、それは幸せな看取りになるのかなぁと。
先日、フランスの方の言葉を耳にしました。
日本人はなぜそんなに若い事ばかりに価値を見いだすのか?
少なくともフランスでは年を重ねた方が俗な言い方をすれば「もてます」よ。(^_<)(ウィンク)
ホントにその通り。
ワンちゃんも猫さまも人間もシニアにはシニアの良さってたくさんあります。
ゆったり感だったり貫禄だったり優しさだったり...。
そんな価値をみんなが認め合う世の中になってくれるといいなぁ。
by 才蔵 2019-11-29 14:24