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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

岩津さんに聞く!

2019年12月13日

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞いてみよう ~生きることを教えてくれた猫さん

みにゃさま、こんにちは。
今回は、訪問アニマルコミュニケーションにご応募くださったNさんのお宅に行ってまいりました。
いただいたご相談はこちらです。

はじめまして。
網戸のつっかえ棒を外したり、冷蔵庫を閉めたり、チェーンロックを解除したり、親機から子機に電話してきたり、日本語を喋ったり――と、みんなが信じないようなエピソードを数々残した、すごく頭が良くて宝物だった大切な猫「ちゃこ」が9月2日に21歳で亡くなりました。会社に行っている間に亡くなり看取れませんでした。悲しくて辛くて、今はただ時間がすぎるのを待つような生活です。ちゃこにかかりっきりだったのに、ヤキモチもやかず、ただただ良い子にしていてくれた後輩猫の「ふく」も、最近ご飯をあまり食べてくれません。ちゃことふくの気持ちを教えて欲しいのです。どうか宜しくお願い致します。

21年前のこと。
Nさんが当時住んでいたマンションの踊り場に、階段一段分の背丈もない子猫が佇んでいました。猫がいるはずのない場所にいるので、人形かと思い近づくと本物の猫。疥癬(かいせん)のため体中がかさぶたと出血でお顔も腫れていたので放っておけず、連れ帰り治療に励みました。疥癬が治るまでと決めていましたが、その子猫のあまりの健気さに心を打たれ家族として迎えることに。命名ちゃこ君。

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お迎え直後

そこから離婚という大きな転機もありましたが、頼もしいちゃこ君に支えられ助け合った21年間。
6年前には虐待されていたふく君をレスキューし、1人と2匹の3人家族となりました。
これまで健康で病気知らずだったちゃこ君でしたが、今年の夏に痩せてしまったので獣医さんに診てもらうと、「このまま衰弱していくと思います。早ければ2か月でしょう。」と突然の余命宣告。

しかしこの2日後、Nさんが会社に行っている間にちゃこ君はリビングで眠るように亡くなっていました。衰弱はしていたものの、当日出勤前の朝もお部屋の中を歩きお話もできていたので、まさかこんなに早く亡くなるとは思わなかったNさん。
心配でその日は半休と早退で、お昼前には帰宅したのですが間に合わなかったのです。
Nさんは、21年もの間一緒にいたのに独りで逝かせてしまったとパニックで泣き叫びました。その後も最期を看取れなかったという思いで胸が痛く、身体の一部が無くなってしまったような日々を送っていました。

Nさんのお宅に伺ったのは、ちゃこ君が亡くなった約2か月半後。
リビングに入るとふく君がお出迎えしてくれ、「今日はありがとう。Nさんをよろしくお願いします。」と頭と体を擦り付けてご挨拶をしてくれました。

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挨拶を終えいつもの場所に向かうふく君

当時よりは心が落ち着きましたとNさんは仰います。
ですが、まだ積極的に出かけるような気持ちにはなれず、かといって何もせず家にいるとちゃこ君のことばかり思い出してしまうので、ちゃこ君やお友達の猫のフェルト人形を作ったりと家で過ごすことが多くなったそうです。

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Nさん手作りのフェルト人形が並んでいます

Nさんとお話をしている時からちゃこ君をすぐそばに感じたので、全部聞いてくれているような気はしましたが、改めてちゃこ君に話かけてみました。

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「ちゃこ君、こんにちは。そういう訳だけど......。」と話し始めると、ちゃこ君が私の言葉に重ねる勢いで、
「お母さんに言って! ふざけてる場合じゃないよ。進んで。
やりたいことをして。ぼくが見せたでしょ。
時間には限りがあるよ。ぼくが見せたでしょ。
死ぬ気で進め!人の役に立て。ぼやぼやしてんじゃない。甘えるんじゃない。
みんなが待ってる。しっかり歩いて。籠るな。ぼくたちの時間は何だったの?」
と矢継ぎ早に話すちゃこ君。

この言葉にはNさんらしく輝いて生きていてほしいというちゃこ君の気持ちが溢れんばかりに詰まっていました。
看取れなかった最期のことを聞きたいと言うNさんに、
「そんなのどうだっていい。それより今だ!」と呆れるように叱るちゃこ君。
「一緒にいた時間は今とこれからの完璧な土台で神様からの贈り物。ぼくは今も君に何でもあげられる。
でも今の状態じゃあ、あげても全部無駄になる。」

30歳まで生きるのがノルマとNさんは常々ちゃこ君に言っていたそうで、その話をすると、
「けっ! 君は生きるのがノルマだ。」
幸せ? という質問には、「僕は幸せだから気にしないで。」ときっぱり。
Nさんは、ちゃこ君が亡くなってから生きる意味を見失いかけていました。それを知っているちゃこ君からの叱咤です。すべての言葉に「生きるんだ!」というNさんへの思いが込められています。
家族と言う身近な存在故に容赦なく厳しい言葉が次々と出てきますが、根底はNさんへの愛しか感じません。とめどなく溢れる愛。

「なんか違う。みんなのと違う。愛してるとかありがとうって言葉が聞けると思ったのに......。」と涙を流し苦笑しながらNさんは仰います。他のブログ記事と比べての言葉です。
確かに厳しい言葉ばかりですが、これぐらい言わないとNさんには伝わらないというちゃこ君流の愛情です。

言葉だけを聞くと厳しいかもしれませんが、仲介役の私にはNさんへの底知れぬ愛しか感じません。
お願いだからわかってほしい、ぼくがどんなに君のことを変わらず思っているかを。
お願いだから気づいてほしい、いつも一緒にいることを。
お願いだから約束してほしい、生きるということを。
すべてはその為の二人の時間だったでしょ?
Nさんへ、ちゃこ君の魂の叫びです。届いたでしょうか? Nさん。

生きることはちゃこ君の命と共に進むこと。
生を選ぶということは、ちゃこ君の命と愛を受け入れること。
笑顔でNさんらしく生きていく、その為のちゃこ君との21年間。
そして、その為に生まれてきてくれたちゃこ君。
「骨は残さないで。ぼくはここに居るから。」最後にちゃこ君は静かに言いました。

弟分のふく君についてちゃこ君に聞いてみました。
「傷つけちゃったね。」と、ちゃこ君を失ったふく君の心の傷を舐める様子が見えました。実際にできた傷を舐めて治すよう丁寧に、そして大切にふく君のふくよかなお腹を舐めていますが、ちゃこ君が生きている時は決してふく君を舐めることはなかったそうです。

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ふく君にとってちゃこ君は偉大なお兄ちゃんです

ここを舐めてもらったの? と体に触れて聞くと目をキラキラさせ嬉しそうに「うん」と頷くふく君。
心が癒えるには「もうちょっとだけね」とはにかんだ笑顔で言いました。

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ふく君お迎え時

話はちゃこ君に戻りますが、すごい写真を見せてもらいました。

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自宅に設置している留守番カメラから送られてきた1枚。
このカメラは動物の動きを察知すると撮影してNさんのスマホに写真を送ってくれるのですが、ちゃこ君最初の月命日の日、この写真が突然送られてきたそうです。わかりますか? 真ん中の緑色の上に茶トラの猫が映ってる!
「いつも見てるってことを伝えたかったんだ。」とちゃこ君。
そして更にびっくりしたのが、この写真を見ていると「THE虎舞竜」の「ロード」が流れてきたのです。ちゃこ君の声で......。「何でもないようなことが幸せだったと思う。何でもない夜の事、2度とは戻れない夜――」

ちゃこ君、その通りだね。何でもないような日々は決して当たり前のことではなくて、その輝かしい日々は二度と戻ってくることはないからこそ毎日を大切に生きなきゃいけないね。
Nさんへのメッセージの数々は直接言葉を受け取った私の心だけでなく、愛猫を見送り辛い思いをされている方や今動物たちと暮らしている人たちの心深くにも届くと思うよ、ちゃこ君。
Nさん、ちゃこ君、ふく君、ありがとうございました。



Nさんより後日談をいただきました。

ちゃこが亡くなってから、ちゃこの事ばかり考えてしまって、今いるふくをちゃんと見れていなかった、と反省しました。ちゃこの言葉を聞いて。。。今を大事にしなければいけないと。それから今迄以上にふくたんとラブラブになった気がします笑 外に出なきゃ。人と会わなきゃ。と随分出かけるようにもなれました。岩津さん。フェリシモさん。ふくたん、そして、ちゃこさん、本当にありがとうございました。
また余談ですが、ちゃこにお供えのお花を3日に一度くらいサイクルで変えていました。それが岩津さんに来て頂いた日に供えた生花が 一か月枯れずに まだ咲いているのです。なんかちゃこは賢いとかの域ではなく「魔法使い」の域なんじゃないかと思ってきました笑


フェリシモ猫部からのお知らせです。
今年から「岩津さんに聞く!」コーナーのブログ更新は、月一回、第二金曜日になります。
次回のブログは2020年1月10日(金)公開予定です。
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写真

アニマルコミュニケーター岩津さんに聞く!

岩津 麻佳

2014年、ひょんなきっかけからアニマルコミュニケーターとしての活動を開始。落ち着いた語り口と外見からは裏腹に、動物たちのエピソードを時にユーモア交えて語ってくれます。

HP

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みにゃさまのコメント

写真すごいです!
そして、ちゃこさん、伝える力が素晴らしく、分かりやすくて羨ましいです。力強い!
当方、賢すぎて早口で喋るこの世に居ない猫(ミルク)とのコミュニケーションに苦労しとるので…

by たまき 2019-12-13 13:04

そうやってお写真に写ってくれて、ちゃんとわからせてくれてよかったですね。
命は短しだからちゃんと生きよう。

by チャトライン 2019-12-13 14:54

そうなんだ ・・・ って 思いました。
わたしの誕生日の翌日に逝ってしまった ぶらっきぃ ・・・ まだ 毎日涙~ なのですが
そうですね 彼もそばにいてくれるんだ ・・って。 しっかり生きよう !

by みけにゃんこ 2019-12-13 16:41

開いてやっぱり読めない、お家帰って読もう。。
電車の中で開いて、進んで。で涙腺崩壊。
やっぱりお家帰ってから、ちゃんと読みます。
全ては愛なんですね。

by 名無し 2019-12-13 19:29

Nさんとチャコくん、夫婦みたいな兄妹みたいな。
フェルト人形かわいいな。辛い気持ちで作ったかもしれないけれど、チャコくんを愛しく思っていた気持ちに溢れてますね。
写真もかわいい、すごい!
帰ってから読んだけども、涙が溢れて止まらないー私もにゃんずだけでなく、いつかくるお別れを後悔しないように毎日を感謝してしっかり進んでいきたいです。

by 名無し 2019-12-13 23:03

私の話かと思いました。
一昨日、22歳の子を亡くしました。
人生の半分を一緒に生きました。
最後は、本当に最後の最後に
多分…看取れたと思うけど
だけど、看取れたら看取れたで
もっと早く帰ってくれば…
もっと早くから寄り添えば…
と、より多くを求めて悔やむだけだと気付きました。
でも、充分に生きて旅立つ子達には
もう、それはどっちでもいい事だったのですね。
最後の一瞬より
一緒に生きた長い長い時間のが大事…
本当にそうですね。
息を引き取ってから、しばらく
彼女の亡骸をいつも通りに抱いたまま、
いつもしてた通りに、しばらくうつらうつらしていたら
なんと、夢にすぐに現れたのです。
もう少し元気で、太ってたときの姿で
甘えてきたのです。
最後のご挨拶かと思っていたけれど
覚えていて欲しかったのは、そっちの時間
この幸せな姿を覚えていてね!
と、伝えてくれていたのかな
偶然にも、この記事を目にしたのは
彼女のメッセージなのでしょうか。
亡くなった直後は、その直前の事ばかり悔やんでしまうけれども
それよりずっと長い長い、大切な時間があったんですよね。
チャコ君に気付かされました。
ありがとう。
でも、明日、お骨にするまでは、もう少し泣かせてね

by ねーね 2019-12-14 00:07

#生きることを教えてくれたちゃこ君

この記事が掲載された日に花が急に枯れました。まるでこの日を待ってたみたいに。
息子で恋人で旦那でお兄さんでお父さんで親友だったちゃこ君。。彼の言葉が同じ辛い思いをしてる方達に届いてるなぁってまた、泣いてます。でもこれは嬉しい涙なんでちゃんと進んでます。ほんとにありがとうございました

by N 2019-12-14 09:05

皆さん、コメントありがとうございます。
上のNさんのコメントにもありますが、ちゃこ君が代表して言ってくれた天国に帰った猫さんたちのメッセージが多くの方に届いたのだと感じました。

でもねちゃこ君、人間は大好きであればあっただけお別れの後に涙が出るものなのです。必ず前に進むから、大好き分の涙は許してね。

by 岩津 2019-12-14 13:52