「こんにちは。覚えている?」
「もこ」(キジトラ白・男の子)と私は2年ぶりの再会になります。でも、残念なことに前回の猫又取材「
生きる力と生かす力」でご紹介した猫たちは虹の橋を渡ってしまいました。今回、再訪したのは、もこが15歳をゆうに超えたから。しかし、もこは2年前の私との出会いを覚えているわけもなく、ぐーぐーぐー......(寝息)。
もこ、15歳と8ヶ月。
もこが家族になるまで
もこと近藤明美さん(東京都在住)の出会いは、動物病院の診察室の中でした。元々、その病院では保護されて治療した猫の譲渡活動も盛んに行われていたようです。先住猫の診察中にも関わらず、ケージから前脚を出してきたり、あくびをしながら鳴いてきたりと愛想を振りまく子猫を目にした近藤さん。「すぐに新しい家族が決まるだろう」とその日は病院をあとにします。
しかし、数日が経ちあの子をやはり迎えたい! という思いがフツフツと湧き上がってしまった近藤さん......のご主人!(そっちかーい)動物病院前に段ボール箱で遺棄されていたもこは近藤家の子になったのです。おめでとう!
足もと、軽やかに。
キャットタワーにやってきた。
ここなら全てが見渡せる。
格好いいよ、もこ。
思いがけない災難!?
前回の取材で登場した「ちょび」と「ぱっち」の年上2匹がもこの親代わりとなり、猫社会を学んでいきました。しかし、先住の2匹がベタベタに仲が良く、もこが孤立することもしばしば。そんな家族の憂いの中、タイミング良く子猫の譲渡募集を知り、長毛猫「むく」(12歳・女の子)を新たに迎え入れたのでした。
これが大当たりでした。むくは、男の子であるもこのおっぱいで育ったようなものだと思い出し笑いをする近藤さん。出るはずのないおっぱいを吸われまくり、もこの乳首はかさぶたとなり病院送りにされたのです。これには獣医も大笑い、とんだ里帰りとなりました。
むっくむくのむく。
いまでも大の仲良し。
好きなように生きて欲しいから
「食欲はあります」もこの食事は「ピュリナワン グレインフリー」のドライフードがメインで家族のイベント毎にウエットフード(シニア用)のご馳走も。もこは腎臓が悪く、一時は腎臓フードに切り替えたこともあったそうです。しかし、もこの食いつきが悪いとみるや無理強いするのをやめました。それは「好きなものを食べさせて、好きなように生きて安らかにいって欲しい」という近藤さんの考えがあってのこと。また15歳は何が起こってもおかしくない猫年齢だと捉え、「15歳を迎えられてうれしい」と、現状にただ感謝するのでした。
今日は取材の特別な日! ということで全猫にウエットフードが振る舞われた。
ラッキー! とがっつくのが「とろ(1歳半・男の子)」。
最長老のお皿を狙う末っ子の「よもぎ(4ヶ月・女の子)」。ええ度胸しているな。
食べ足りない? では追加のオヤツを。ソマリの「うーた(8歳・男の子)」も参戦。
猫たちのためにできること
2年の間に3匹の猫が亡くなり、新たに3匹が加わり近藤家の猫暮らしは8匹の大所帯でにぎやかさも以前と変わりはありませんでした。ただ世代交代はあって、体の一番大きい1歳半の「とろ」(男の子)がリーダーとなる中で、もこの気になる立ち位置は? というと完全に"おじいちゃん"! そんな話を伺っていると何かを察したのか、急にもこがキャットタワーに駆け上がり、「まだまだ動けるぜ!」と私に見せつけてくるから不思議です。(前回の取材時もそんなアピールが)しかし、張り切りすぎたようで、少しして後脚を引きずるような歩き方に......。そして、それに気づいた近藤さんは「このあと病院行こう」と即決しました。ほんの少しでも気になったらすぐに動物病院へ、夜間診療もやむなしです。「何かあったら後悔する」という近藤さんの言葉が、看取った猫たちと今いる猫たちに対する誓いのメッセージに聞こえたと同時に、ご長寿猫を育む理由も私は手に入れたような気がしたのでした。
穏やかな性格のもこ。ひと癖もふた癖もある下の子たちをよろしくね。
とろは若干1歳半でリーダー格に。気が強そうな顔をしておる。
うし柄の「うしくん(1歳半・男の子)」にたくさん遊んでもらいました。
ちょっと臆病なよもぎ。同じ柄のとろから色々学び中。
お知らせ
みにゃさま、あけましておめでとうございます。
さて、今年より猫又トリップが月一回(第一水曜日)の更新に変わります。
テーマは変わらず、これからもシニア猫を追い求めて行きますので引き続きよろしくお願いいたします。
ケニア・ドイ
【告知】
日本全国津々浦々、ケニア・ドイによる黒背景の出張ペット撮影会「ドイブラック」が神戸の猫カフェ「猫の屋おでん」(1Fギャラリースペース)で開催!
開催日:2020年2月11日(火・祝日)
開催場所:神戸市灘区天城通3-1-2
撮影料金:1ポーズ30分6,000円(税別)
詳細はドイブラックインスタページへ(
@doi_black)
ご予約・お問い合わせは「猫の屋おでん」まで
インスタアカウント(
@nekonoya_oden)|nekonoya-oden@hotmail.com
「猫又トリップ」が書籍になりました。
『
ご長寿猫がくれた、しあわせな日々』
15歳以上のご長寿猫と、その家族が奏でる28の物語をお届けします。
試し読みはこちら
(ΦωΦ)
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
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えっ、月一になっちゃうんですか? ちょっとサビシイ…。ケニアさん、今年はカレンダーもないからサビシイですよぉ…。
by りえぴょん 2020-01-08 22:34
私も月一、とても寂しいです。きっとお忙しくていらっしゃるのですね。我が家の猫達との暮らしに、とても参考にしているので、ぜひこのまま続けて欲しいです。
by ぽん 2020-01-10 02:20
月一更新はとても残念です…。
毎回ご長寿猫さんのお話が楽しく、そして何よりも参考にしていました。
写真も素敵で楽しみにしておりました。
せめて月2回更新はどうでしょう??
by ミギ 2020-01-10 15:45
何かあったら、後悔する。私も心掛けていきます。多分猫との生活は、今居る一匹とだけになると思っていますので…。
シニア猫さんの暮らし、とても勉強になります。
月一回は寂しいですが、これからも楽しみにしています。よろしくお願いします!
by さび茶風 2020-01-12 11:43
りえぴょんさん
月イチになって、パワーアップ!写真多めでお送りします!
by ケニア・ドイ 2020-02-04 10:52
ぽんさん
ご参考にされているなんて、ありがとうございます!
月イチになりますが、このまま続けて行きますので何卒ご了承くださいませ。
by ケニア・ドイ 2020-02-04 10:56
ミギさん
いままで隔週で連載してきました。
他にも連載があり、ひぃー!ってなる前に少し余白をいただくことになりました。
これからも続いていきますので応援よろしくお願いいたします。
by ケニア・ドイ 2020-02-04 11:02
さび茶風さん
いつもコメントありがとうございます。
私もたくさんの飼い主さんから学びをいただいております。
これからもフェリシモ猫部をよろしくお願いいたします。
by ケニア・ドイ 2020-02-04 11:11