昨年12月24日の道ばた猫日記でご紹介した「
うなぎちゃんの物語」。
きょうは、その続きの、うなぎちゃんと一緒に捨てられていたキジ白猫のその後の物語です。
昨年春に川土手に捨てられていた、生まれたばかりの3匹。カヨコさんに保護され、人々のリレーで、2匹が生き残りました。
カヨコさんにかーちゃんという名をつけてもらったサビ猫ちゃんと、らーちゃんという名をつけてもらったキジ白くんは、保護団体goens(ごえん)の預かり猫に。
カヨコさんは、亡くなった黒猫にも、たーちゃんという名をつけていました。
そう、小さな命だってかけがえのない「たから」だから。
2匹は、ミルクボランティア裕美さんのもとで、すくすく大きくなりました。
好奇心に満ちて人見知りしない、さび猫のかーちゃんに比べ、キジ白のらーちゃんは、かーちゃんの陰に隠れがちな、シャイボーイでした。
かーちゃんは、譲渡会で、さび猫好きなご夫婦に見染められ、8月に貰われて行って「うなぎちゃん」という新しい名をもらって、先住猫さんたちと仲良く暮らしています。
ナイーブならーちゃんは、譲渡会に出るたびに調子が悪くなり、魅力をアピールできないまま。
そんならーちゃんもひと月前におうちができました!
迎えてくれたのは、千葉市に住む、猫と暮らすのは初めての郡司さん一家。
お父さんとお母さんと小学1年生のまゆちゃんの、三人家族です。
ひとり娘のまゆちゃんのために子猫を迎えたいと、出かけて行った譲渡会。
らーちゃんは、もう9か月近くになっていましたが、いまだ人見知り。ケージの中で、後ろ向きに岩のように固まっていました。
そんならーちゃんを迎えたいと思ったのは、「娘のまゆも人見知りで、疲れると熱を出す子。似てるな~と」親近感を持ったお母さんでした。
トライアルを開始しても固まったまま、ご飯にも口をつけないらーちゃん。
「ピアノの下やソファーの下に潜ったりしながら、少しずつ探検をし始め、4日くらいで、何とかこの家に馴れてくれました。思ってたより早かったですね」と、お母さん。
正式譲渡となり、「タラちゃん」という愛らしい名をもらいました。
これは、やってきて4日目の写真。まだシッポが膨らんで緊張していますね。
2匹で飼うことをgoensさんからも勧められ、保護子猫の動画を折に触れ、送ってもらって数週間。
すごくやんちゃで、おもしろい女の子がいる、ということで、お見合いをしたのが、今年の初め。
生後3か月過ぎの三毛猫さんです。
高齢者のお宅で多頭飼育崩壊となり、保健所に送られたところをgoensに引き出された子猫たちの1匹でした。
他の子猫はみなカタカナネームだったのに、この子だけ、なぜか「みちこ」。
テレビドラマ「ドクターX」の女主人公大門未知子のように、我が道を行くきりりとした目つきの持ち主だったから。
やってきたみちこちゃんは、100年前からこの家に住んでいるようにくつろいで跳ねまわりましたが、タラちゃんはビビりまくって引き籠ってしまいました。
そんなタラちゃんにいっさいの忖度なく、「お兄ちゃん、あそぼ」とグイグイ行くみちこちゃん。
逃げ回りながらも、タラちゃん、みちこちゃんの食べ残したご飯をしっかり食べていたそうな。
3日目。攻めまくるみちこちゃんを、タラちゃんは、ペロペロ舐めてやったのでした!
そして、みちこは、みちこの「み」を残し、タラちゃんとラ行合わせで、「ミロ」ちゃんに。
今では、まゆちゃんを長女に、すっかり仲良し3きょうだいになりました。
取材の日、タラちゃんは、玄関すぐのガラス越しにびっくり顔。
「うわあ、知らない人がやってきたあ、どうしよう」
すぐに食器棚の上に上ってしまいました。
ミロちゃんのほうは、まったく平常心で、おてんばし放題。
「私は犬しか飼ったことがなかったので、猫が自由自在に上下移動することに、もうびっくり(笑)。それぞれ性格の違う子供が増えた感じですね。やんちゃはやんちゃで可愛いし、シャイな子が膝に乗ってきたりするのもとても可愛い」と、お母さん。
「にぎやかになりましたね」と、お父さんもまんざらでもなさそう。
「タラちゃんは目がカワイイ。ミロちゃんは色がカワイイの」と、まゆちゃんがチャームポイントを教えてくれました。
小さな弟と妹ができて、遊んでやったり、気にかけてやったり、ずいぶんお姉ちゃんらしくなったそうです。
ミロちゃんに攻めこまれぱなしだったタラちゃんも、最近はかなり反撃に出て遊ぶようになったとか。
夜は大運動会を繰り広げ、2匹で仲良く眠ります。
目も開かず捨てられていた3匹のうち、生き残った2匹は、それぞれあたたかい家族の元で、幸せをつかみました。
タラちゃんの名前、お気づきでしょうか。
「たーちゃん、らーちゃん」と、2匹の名が入っているのです。
ひとり声を限りに鳴き続けてカヨコさんに気づいてもらい力尽き旅立った、たーちゃんの分も、しあわせにのびのび生きて、と。
まゆちゃん、タラちゃん、ミロちゃん、いつまでも仲良くしあわせに。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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読みながらポロポロ泣いてます。
うちのサビ猫も、保護される前3日間、茂みで鳴き続けていたそうで、
保護されなかったらきっと・・・
黒猫ちゃんがつないでくれた2匹の命、
黒猫ちゃんの分まで幸せになって欲しいですね。
by さくら 2020-01-28 14:55
たーちゃんの分まで・・・とのご家族のお気持ちが、とても胸に沁み涙が止まりません。
我が家も遺棄された子、外猫の子の保護猫がいます。
たーちゃん、かーちゃん、らーちゃんのように、遺棄されれば間違いなく命を落とす乳飲み子。
このように小さいまま遺棄されることなく、世の中の猫達すべてが『温かい家族』に迎えられ、大切な一員として猫生を全うできる子になりますように。
保護猫や譲渡会・里親について、少しでも広めたいと改めて思いました。
今後も『道ばた猫日記』を楽しみにしています。
by くま 2020-01-28 16:06
「らー」
が
「タラ」に。
これはおいらもわかったぞ。
「たー」の名を葬るのは悲しいのうと
思っとったとこだったに。
しかし
「みちこ」
はミラならわかるが、なぜかロ。。
うーん気になる。
ここは女性陣が多いからピンとこないだろうが
ラーといったら忠誠心に熱い男
宇宙猿人ゴリの部下
ミロといったら
スコーピオンの黄金聖闘士
なのだに!
アニメ版ではなんと
あのシャアの声
池田秀一がやってるのだに!
脱線はいつもの事だから許されよ。
by ドラ猫マスター 2020-01-28 18:00
いいお家が見つかって良かったね~
最近知ったんですが
家の近所にも保護猫ボランティアの人がいました
常に猫が15~16匹いるんだとか
うらやましい(^_^;)
みんな幸せになれるといいなあ
by ぽん子 2020-01-28 18:44
タラちゃん、ミロちゃん、可愛いお名前を付けて貰って良かったね!みちこちゃんもなかなか女の子らしくて印象深かったですが。大門未知子が猫化するとミロちゃんのような物怖じしないコになるのね(笑)
by シーマン 2020-01-28 22:26
わぁー!今回も可愛くてたまらないです!!タラちゃん、もミロちゃんも美形さん♪性格が違うのもまたいいですね!ミロちゃん、からだの模様もおしゃれですねぇ。みんな違ってそれがいい!!タラちゃんもミロちゃん可愛がりにこちらもほっこりです。小さな命もかけがえのない「たから」ってほんとにいいですね。小さな命が幸せになって本当に良かったです、ありがとうございます。人間も猫もみんな同じかけがえのない命ですね。佐竹さんの文章と写真でいつも心が温まり洗われまた引き締まり自分のできることをきちんとしよう!と思います。
by とも 2020-01-29 07:00
しっぽボワ~ン&まん丸眼(まなこ)!
どんだけ緊張してるん?
4日めでそのしっぽの太さにビックリ。
猫さまにとって一番大切なことはなんだろう?と考えてみるに、どんな性格の猫さまにとっても「安心」できる環境かなと。
最後の2にゃんの安心しきった寝顔。
ホントによかったにゃん!
昭和の食いしん坊の私にとってはタラちゃんと言えばサザエさん、ミロと言えば牛乳に混ぜて飲む栄養ドリンク(緑パッケージのヤツね)なのだ。(笑)
最近あまり見ないけど今も普通に売ってるのかな?
今回一番印象的だったのは、ミロちゃんの首輪。
柄on柄をセンスよく着こなしてるよね~。
センスいいと言えば3にゃんで「たから」のネーミング。
蛇足ながら天下の「嵐」は芸能界に嵐を巻き起こすのと紅白とかの名簿で最初に名前が出て忘れない、だとか。
私が昔住んでた所は一度聞いたら忘れないように「いろは壮」だった。(笑)
by 才蔵 2020-01-29 14:49
6枚目の写真、ミロちゃんの背中にそっと添えたタラちゃんの前足がたまりません!男の子の方が柔軟性があって、優しいですね。
なんて幸せな猫だんご。憧れの猫だんご…。
by さび茶風 2020-01-29 17:06
>さくらさん
お母さんから引き離されて路傍に捨てられた子猫の心細さと恐怖はどれほどでしょうね…。
そして、助けてもらう子は、一握り。むごい犯罪です。
by 道ばた猫 2020-01-30 02:24
>くまさん
保護したカヨコさんも、「タラちゃん」という名になったいきさつを知って、感激のあまり、大泣きしたそうです。すべての猫が生まれてきた命を全うできる世の中になりますように。
by 道ばた猫 2020-01-30 02:28
>ドラ猫マスターさん
たーちゃんの名を名残惜しく思ってくださったんですね。ありがとうございます。
タラ・ミロで、可愛くて語感がいいからじゃないでしょうか。私、「みちこ」が気に入ったのですが(笑)
by 道ばた猫 2020-01-30 02:32
>ぽん子さん
15~6匹ですか! にぎやかだろうなあ~
うらやましいけど、たいへんだ。たいへんだろうけど、うらやましい……。
by 道ばた猫 2020-01-30 02:34
>シーマンさん
大門未知子が猫化したような子なら、うちにもいましたっけ。
2年前に23歳で、旅立ったナツコは、まさに、きりりとした目の我が道を行く猫でした。
by 道ばた猫 2020-01-30 02:37
>ともさん
ほんとに、どの子もどの子も、子猫も老猫も、美猫もぶちゃ猫も、はっちゃけ猫もいじけ猫も、ああ、なんて猫はかわいいのでしょう!!
by 道ばた猫 2020-01-30 02:41
>才蔵さん
昔住んでいたのは、いろは荘でしたか。私、アパートの表札を撮ることに凝った時期があって、「ドレミ荘」「すみれ荘」とかロマンチックなのから「モラル荘」「元気荘」なんてのもあったな…。
by 道ばた猫 2020-01-30 02:46
>さび茶風さん
どうも雄猫の方が新入りにやさしい、というのはよく聞くところです。そして、新入りをもらうなら、寒い季節がいいとも。新入りが寄りそっても、うっとうしがらないからですって。
by 道ばた猫 2020-01-30 02:49
ミロちゃんの絵の具で描いたような三毛柄にくぎ付けでした笑❗️タラちゃんと仲良しで良かった。良かった、良かった‼️
by ぺったんの母 2020-01-30 12:09
さすが茉莉子さん、話題の引き出しいっぱい持ってるよねぇ~(笑)。
いろは壮の次に住んだ所は「ドゥエル○○」。
これはオシャレかもしれんけど書きにくく読みにくく正直住人泣かせだったな!
蛇足の蛇足でした。(苦笑)
by 才蔵 2020-01-30 17:27
命を大切に思うリレーで守られて、幸せの輪が広がる。素敵なお話。タラちゃん私はサザエさんと思ったが、たからつながりとは意味深
でも、皆に愛されるのは間違いない!
ミロちゃん君の瞳は百万ボルト(年がばれる)
美猫だね。大小のニャンモナイトにほっこり
川口のアクタの写真展拝見
by 妖怪元気ババァ 2020-01-30 17:58
>ぺったんのお母さま
ほんとに、ミロちゃん、日本画に出てくるような色合いの猫さん。
そばに、菜の花とか、モンシロチョウでも添えたくなりますね。
by 道ばた猫 2020-01-31 00:28
>妖怪元気ババァさん
あれ? 一万ボルトだったような気が…。(お互い年がバレる)
写真展、来てくださったんですか! ネロ君に会えましたか。
by 道ばた猫 2020-01-31 00:37