クマくんは、推定12歳くらい。
シェルターでは、新参の部類なのに、なんだかすごい存在感!
「クマは、どの猫からも一目置かれ好かれてるボス。みんなが見える場所にいつもいて守ってるの。何か物音でもすれば飛んでいく」と、千鶴子さんは言います。
大きくて、賢くて、思慮深く、やさしそう。
そして、女子にモテモテのクマくんなんです。
クマくんは、2年位前に、ひょっこり海岸に姿を現した猫でした。
捨てられたのか、流れてきたのか、悠然と餌場の仲間入りをし、たちまちボスになりました。
子猫をカラスが狙っていると、「ウ~~!」と威嚇して追い払うのを、千鶴子さんは目撃しています。
クマくんは、未手術だったため、同じころに現れた三毛姉妹のさっちゃん・カナちゃんと一緒にTNRをする(不妊去勢手術をして、元の場所にに戻し、面倒を見る)ことになりました。
手術をすませ、数日シェルターで休ませて、元の海辺に戻しました。
優しい漁師さんもいるので、安心な場所です。
ところが・・・なんと、クマくんも、さっちゃんも、カナちゃんも、次の朝、シェルター(千鶴子さん夫婦のご自宅)の塀の上にいるではありませんか!
シェルターからいつも車で道路を渡って、離れた場所に通っていたにもかかわらず。
もちろん、シェルターに連れてきたときも、海辺に戻すときも、車でした。
千鶴子さんは、びっくり。
「しようがないわね」と、押しかけ3匹をシェルターの仲間にしてやったのでした。
三毛姉妹のうち、シッポの長いほうはさっちゃん。
シッポの短いほうは、おとなしいカナちゃん。
手術後、早く海辺に戻りたがる猫だっていますが、クマくんたちは、数日滞在した屋根の下の共同生活が気に入ったのでしょうね。
シェルターの猫たちは、完全室内飼いですが、クマくんは、ときどき庭に出ていきます。
庭には、クマくんのことが好きで好きでたまらない、サビ猫のキミちゃんが待ち構えています。
庭におうちを作ってもらってる子たちもいるのです。
クマくんの後ろにくっついて離れないキミちゃん。
大きいクマくんのそばにいると、さぞ安心できるのでしょうね。
キミちゃんだけでなく、庭暮らしの雌猫たちは、みなクマくんに「お熱」だそうです。
さて、シェルターで、いちばん人懐っこい子は、チーたんという雌猫さんです。
ノラだったチーたんは、とあるおうちの飼い猫さんと仲良しでした。
ある日、通りかかった千鶴子さんは、こんな光景に出くわします。
仲良しの猫さんのあとをついて、そのおうちに入り込もうとしたチーたんが、その家の男性に思いきり蹴り上げられたのを。
「ギャーッ」と鳴いて怯え固まったチーたん。
「そのまま置いていくわけにいかないじゃない」と、千鶴子さん。
チーたんは、おうちの中で暮らしたくてたまらなかったのです。
シェルター見学の方にも、甘えて甘えて、膝から降りないチーたん。
そして、チーたんも、もれなくこのオトコが大好き!
千鶴子さんご夫妻の海辺のシェルターは、海辺では暮らせない猫たち(母親のない子猫、病気や怪我の猫、高齢の猫など)を引き受けていますが、中には、こんな「押しかけ組」」や「ほっとけなかった」組も混じって、毎日にぎやかに平和に明け暮れています。
TNRをせっせとした結果、8年前には80匹いた海辺の猫たちは、現在20匹に。
大雨の日も、厳寒の日も、千鶴子さんは海辺にご飯を運び、体調を見て回ります。
ちょっといつもと違うことがあったら、漁師さんがすぐに知らせてくれます。
臨機応変、1匹1匹にあった「海辺の猫の一生」を見守っている、千鶴子さんご夫妻に心から感謝です。
※お知らせ
あさって2日~12日の期間の予定で、鎌倉佐助の閑静な路地にあるギャラリー「チー坊ノワール」にて、毎春恒例の「黒猫展」が開かれます。
今年はかなり迷われたそうですが、「・マスク着用 ・3部屋構成のため、一室を少人数に ・窓を開けての展示 ・アルコールを用意 」など、コロナ対策を徹底し、ようすを見ながらのスタートです。
私は、写真やミニブックで参加しています。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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わー、本当に凄い存在感ですね。まるで、ライオンキングのシンバのようです。モテモテで、もう~‼って感じです。それにしても、千鶴子さんご夫妻には本当に感謝です。なかなか、ここまで行動できる人は、そうはいません。気まぐれに何度かご飯をあげて、それで自己満足に終わることは、私でも出来ます。漁師さんが、協力的なのも、わかります。近頃は暗いニュースばかりで気が滅入ることが多いですが、かなりほっとできました。
by ふみちゃん 2020-03-31 17:05
クマくん、見た目も心も素敵なオトコですね!皆、クマくんと一緒にいるとホッとするのでしょう。これからも皆のクマくんでいて欲しいです。
そしてチーたん、人間に酷い事をされても人間を好きでいてくれて嬉しいです。
by シーマン 2020-03-31 21:07
>ふみちゃんさん
痛みを知るものが、他の痛みも救う。
人も猫も同じだと、つくづく思います。
by 道ばた猫 2020-04-01 01:15
>シーマンさん
惚れてまうやろ~って言いたくなるクマくんでした(笑)。
どんなことされても、人間を好きでいてくれる子っているけど、天使。
by 道ばた猫 2020-04-01 01:20
クマくん、顔も内面もイケメン~!モテモテですね、素敵!!さっちゃん、カナちゃん、クマくん、千鶴子さんの塀のところにいるなんて。やっぱり猫はすごい!!シェルター暮らしになれてよかったね。千鶴子さん、本当に素晴らしい活動をしてくださりありがとうございます、です。キミちゃんにチーたん。これまたなんとも可愛い!クマくん大好きなのが微笑ましくてたまりません。「道ばた猫日記」にくると連日のコロナウィルス報道で滅入っている気持ちがとっても明るく幸せになります。猫も人間も安心して幸せに暮らせる日常になりますように。
by とも 2020-04-01 08:25
クマくん、惚れてしまいました♡(笑)
無骨な感じがなんともいえません。チャラくないし!大好きです。
そして、
チーたんの記憶から酷いことされたことがどうか早く消えてくれてることを願います。
蹴り上げるなんて絶対許されることではありません!
千鶴子さんに助けてもらって本当に良かったです。
みんな幸せになってくれますように・・・切に思います。
by ぺったんの母 2020-04-01 10:23
うーん、クマ君惚れてしまう!
颯爽と長い毛を海風になびかせ、弱い子を
守ってたのかしら。そんなクマ君も千鶴子さんに、甘え頼りたくなったのか…
沢山の猫さんを保護しておられるシェルター
運営は、どうなのでしょう。
微力ながら、お手伝いできる事は、あるでしょうか?
by 妖怪元気ババァ 2020-04-01 11:01
クマくん、カッチョイイね~
彼女二人もつれて帰るとは・・・☆☆☆♪
by ミンディー 2020-04-01 20:55
>ともさん
顔の大きい雄は、動物界では持てるそうですが、クマくん、足もふつうの猫の2倍くらいありますからね、
頼もしいですよね!
by 道ばた猫 2020-04-02 00:37
>ぺったんのお母さま
チャラくないし、平等にやさしいし、弱気を守り、実行力アリ。
ニンゲンのボスもかくあってほしいですよね~
by 道ばた猫 2020-04-02 00:41
>妖怪元気ババァさん
私は、時たま猫缶やタオルや古毛布をもっていきます。
NPO法人ドリームキャットのHPに、支援いただきたい物資のことなど載っています。
by 道ばた猫 2020-04-02 00:45
>ミンディーさん
漁港に現れる10歳過ぎまで未去勢だったクマくん、流れ者だったとしたら、さぞ、各地の雌猫にモテたでしょうね~
by 道ばた猫 2020-04-02 00:47
クマくん、イケメン!ロックスター感すらありますね!(笑)そりゃモテるのもわかります!
そしてチーたん。さぞかし怖かったことでしょう……それでも人間を嫌いにならないでいてくれてありがとう!自分たちの生活だけでも大変なはずなのに、ネコたちのケアを休まずされているみなさまにも、本当にありがとうございます!と心から思います。
by あべんぬ。 2020-04-04 10:24
>あべんぬ。さん
メス猫さんたちの気持ち、わかりますよね(笑)。
非常時には弱きものにしわ寄せが・・・一日も早く平常の日々が戻りますように!!
by 道ばた猫 2020-04-06 10:40