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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2020年06月30日

里山のやんちゃ娘

先週に引き続き、南房総の猫さんシリーズその2です。

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このかわいいキジトラさんは、1歳になったばかり。
かなりの天然児で、野山遊びの大好きな女の子です。
名前はPONちゃん。

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PONちゃんが暮らしているのは、南房総の広々とした里山。山や畑や田んぼに囲まれた「ZUKOUSHITU」という木工所です。
ここは戸田ご夫妻の作業場で、肇さんは木工作家、晃代さんは、寄木アクセサリー作家なのです。

PONちゃんがここにやってきたのは、去年の5月。犬のJAMちゃんのお散歩をふたりでしていた時のこと。農道を歩くJAMちゃんが足を止め、道ばたで何か匂いを嗅ぐ様子。
近づいてみると、そこには、まだ目も見えていないような仔猫が!

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ちょうどふたりは「猫を飼いたいね~」と思っていたそうですが、「お金で買うのはイヤだったし、ネットで選ぶのもちょっと違うな」と、いつかどこかで出会う日を待っていたそうな。
そんな時、天から降ってきたような仔猫。(もしかしたら、カラスが運ぶ途中で落としたのかも)

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2~3時間おきにミルクを飲ませ、排せつの世話をし、育てました。
タヌキみたいに黒っぽかったのと、「カギシッポは幸せを招く」と聞き、フランス語で「橋」の意味を持つ「PON」と命名。
「ここを訪れた人が笑顔になって、地域の架け橋みたいな役割を果たしてくれたら」という思いも込められています。

PONちゃん、こんなに愛らしく、すくすく育っていきました。

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「あの頃はめっちゃ可愛かった。あ、今でも可愛いですけど」と晃代さん。
「(PONが)今イラっとしてますね(笑)」と肇さん。

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かくも愛らしいPONちゃんなのですが、半年を過ぎたあたりから、かなりのやんちゃぶりを発揮するように。
両隣(と言っても里山の隣は都会ほど近くない)」のお宅にも猫がいるのですが、PONちゃんてば、おじさん猫やおじいさん猫を追いかけまわして遊びはじめます。
自然豊かなその辺の茂みに分け入っては、トカゲやヘビやモグラやネズミをお持ち帰り。
「隣の猫はよくうちに食べに来るし、うちの猫も隣に食べに行きますよ」という、なんとものどかな環境なのです。

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怖いものなしの里山娘PONちゃん。べたべた甘えることはない自立・自由猫だそうですが、肇さんは言います。
「夜な夜な仕事をしていると、気まぐれに膝に乗ってくるときもあって、そんな時はなんとも疲れが癒されますね」

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今の季節、いちばん風の通る涼しい場所もよおく知っています。

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自分を最初に発見してくれたのは、JAMちゃんなのに、自分の方が「上」だと思っている様子。
JAMちゃんは、いたって温厚な14歳。ローカル新聞に「もらってください」と掲載されていた保護子犬4匹の、最後の1匹だったそうです。

さて、PONちゃんの取材は、梅雨の晴れ間でしたが、その1週間前のPONちゃんは顔を腫らしていました。

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茂みに分け入り、ヘビか蜂に刺されたもよう。運が悪いと命にかかわるので、すぐ動物病院に運び込まれ、抗生物質の太い注射を打たれる羽目に。
4日で腫れは引いて、取材日はけろっといつのも調子のPONちゃんでした。
そーっと頭を撫でていたら、肇さんがこう言いました。
「もっと力いっぱい後頭部をガジガジ撫でられるのが好きなんです。そのうち、ガブっと咬んできますが(笑)」

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PONちゃん、お父さんもお母さんもこう言ってるよ。
「南房総は、空気もきれいだし、自分のペースで生きることを許してもらえる場所。猫のように。この先、父が酪農をやっていたころの牛小屋を人が集まれるスペースにしたり、オリジナルなペット用品も作ったり、『ちょっと木工品を見に寄ったら、猫もいた』というような場所にできたら。PONには、やんちゃでいいからずっと元気でいてもらって、この場所がみんなの架け橋になるお手伝いをしてもらいたい」

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アジサイの葉陰で涼むPONちゃん、南房総の自然の中で、これからものびのび過ごしてね。

※zukoushituの作品は、HPでご覧ください。
 また、インスタグラムでは、PONちゃんがよく登場します。



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

>皆さま

zukouushituさんの南房総猫仲間のうち、「ただのびようしつ」さんが先月保護したばかりのテトちゃんのお話は、朝日新聞社WEBサイトsippoで連載中の「猫のいる風景」で紹介しています。よかったら、併せてお読みください。

by 道ばた猫 2020-06-30 13:19

PONちゃん、ご近所に出入りしている様子
自分の小さい頃みたい。近所の猫たちが、縁側で寝てたりご飯食べにきたりしていたあの頃
家の中で、飼う事が最適と云われている時
PONちゃんの自由と里山の自然が素敵に思う

by 妖怪元気ババァ 2020-06-30 16:58

それぞれの生きる場に合わせた生活があるのですね。うちのように、道路が近くにあれば、外には出せないけど、PONちゃんのように、自由にお外に出られる環境にあれば、それも幸せ。お外をじーと

by ちぃ 2020-06-30 20:22

眺める姿をみると、やっぱりPONちゃん、羨ましいな。二つに文章が分かれました。すみません。

by ちぃ 2020-06-30 20:25

運命の出会いがここにもありましたね。PONちゃん、これからも優しいお父さんとお母さんと仲良くね!私も運命の出会いがないかなぁ。

by シーマン 2020-06-30 20:36

>妖怪元気ババァさん


私が子供の頃も、よくご近所の猫やノラさんが、勝手に縁側で寝てました~
それが許される地域なら、残ってほしい風景ですね。

by 道ばた猫 2020-06-30 23:28

>ちぃさん

ニンゲンの子どもも同じですね。都市部ではもう外遊びは危険だけど、里山ならいくらでも。
都市部の猫も、臨海学校とか林間学校とかあれば楽しいでしょうね。

by 道ばた猫 2020-06-30 23:31

>シーマンさん

きっと思いがけない時に、運命の出会いはやってきますよ~。
保護猫譲渡会で「運命の出会い」をした人もたくさんいますし。

by 道ばた猫 2020-06-30 23:35

ネコさんたちがお隣のお家のご飯を食べたり、食べにきてくれるなんて、ほっこりしますね。我が家は完全に室内飼いなので、そんなのんびりとした南房総での暮らしがちょっとうらやましいです。インスタもフォローさせていただきました。今後のPONちゃんも見守らせていただけたら嬉しいです♪

by あべんぬ。 2020-07-01 06:29

わぁ、一枚めの写真、なんて甘ったれで可愛い姿なのでしょう!!「あの頃」はまたとびきり可愛いですね!!ぬいぐるみみたい。今も可愛いです!!おてんば娘さんには自然がとっても合いますね♪
JAMちゃん、すごいですね。小さな命が繋がりましたね。二匹とも戸田ご夫妻の家族で幸せですね(*^-^*)
PONちゃん、顔を腫らして…おてんばさんは可愛いですが大事に至らず良かったです。
今回も素敵なご家族と写真をありがとうございました!毎日頑張れます!

by とも 2020-07-01 08:11

私の子供の頃も近所のニャンコが定期的に泊まりに来てました。(笑)懐かしい風景です。
自然に囲まれてニャンコも人間も幸せいっぱいですね。

by ぺったんの母 2020-07-01 13:58

「猫のいる風景」拝読しました。
車窓から見つけた命。やっぱり、テトちゃんは
お家とお二人を、選んだのかしら。台風被害・コロナと大変な状況だけど、テトちゃんのおかげで、お店は、ただの美容室ではなく、やすらぎの場所になっている
では…

by 妖怪元気ババァ 2020-07-01 14:52

>あべんぬさん

都市部に住んでいる者にとっては、PONちゃんとの日々は、「日本昔ばなし」のようにおとぎチックですね~。インスタでのポンちゃんの成長ぶりが楽しみです。

by 道ばた猫 2020-07-02 00:14

>ともさん

そう、コアラのぬいぐるみみたいですよね。ぬいぐるみと違うのは、1枚目の写真では、PONちゃん、お父さんの腕に爪を立てています。2枚目の写真では、指をかじっているんですよ~(笑)

by 道ばた猫 2020-07-02 00:17

>ペったんのお母さま

私が育った山口の家でも、猫が入り込むすき間がいくらでもあって、よその猫が雨宿りしたり、泊まっていったり。ルールはなくても「地域猫」してました。

by 道ばた猫 2020-07-02 00:20

>妖怪元気ババァさん

sippo記事も読んでいただき、ありがとうございます。
テトちゃん、最近はおうちで夜ハッスルして、お父さんお母さん寝不足だそうです(笑)。

by 道ばた猫 2020-07-02 00:23

PONちゃん、順調に見事な野生児のクソガキに育ってますね。(失礼(笑))
南房総の里山の自然が猫さまも人間もワンちゃんも各々の個性を育んでくれてますね。
皆さんコメントされてるように昔はそんな光景がどこにでも転がっていたのに、今の日本ではとても貴重な存在に。
どうかいつまでも続きますように...。
今回はいかにも温厚そうなJAMちゃんに抱っこされながらもちょっかいを出すやんちゃなPONちゃんの写真に特に惹かれました!
. . .
追伸:
shippoは以前から愛読してるのでテトちゃんの事はすぐに気付きましたよん!
猫さまはやはり幸せの循環を呼ぶよね。

by 才蔵 2020-07-02 17:47

>才蔵さん


PONちゃんが、クソガキじゃなく、ワイルド・ビューティーと言ってよ!って言ってます(笑)
JAMちゃんも、対照的で、ほんと可愛いですよね。犬と猫のいる暮らしいいなあ(はるか昔)。

by 道ばた猫 2020-07-03 09:27