南房総猫シリーズその3です。
先週ご紹介の野生児PONちゃんのいるZUKOUSHITUさんがこんなことを。
「スペインタイルの絵付けをやってる樋口まなみさんとこも、5匹猫がいますよ。みんな保護猫だって」
ZUKOUSHITUさんが、すぐに了解を取ってくださいました。
「ただし、5匹全員がいるとは限りません。みんな自由に過ごしているので」とのこと。
PONちゃんに会いに行ったたその足でもう1軒、わくわくしながら、やはり山に囲まれた里山のおうちを訪ねます。
わあ、前庭のシロツメ草の上に、器量よしの三毛さん。「この子はミー」と、まなみさんが教えてくれました。
「ミーは、箱が大好きで、すぐに入るんです。箱、持ってきてみましょうか」と、まなみさん。
ミーちゃん、もじもじ。
「えー、初めて会った人の前で、箱の中でくつろげるわけないじゃない」と言いたげで、結局入りませんでした(笑)。
母屋の外階段にいるのは、チーちゃん。堂々たる白い雄猫です。
「この子は、とっても性格がよくて、みんなと仲良しで、新入りでも誰でもみんな受け入れるの」と、まなみさん。
そういう猫が、ドン!といるのって、平和ですね~。
チーちゃんは、ことにミーちゃんと仲良しで、近寄っておでこをペロペロ舐めてやっています。
山野辺の道ばたで涼んでいるのは、シャムっぽいチビちゃん。
風の通り道をよく知っています。
母屋のベランダでシエスタ中だったのは、茶トラのチャーくん。
「これで4匹ですね。トロはきっと山だわ。彼女が最古参で、とっても気が強いんです」と、まなみさんは言います。
会津ご出身のまなみさんの「これまで」は、お聞きするだけでも思い切りがよくて痛快です。
勤めていた都内のデザイン会社を「消費をあおるだけの仕事はもう嫌」と退職し、しばし旅三昧。国内はもちろん、海外80数か国を回ったそうです。
この体験から、「食べてこそ生きていける」ことを思い知り、いつの日か農業をやりたいという思いを胸にためていました。
ITのお仕事をなさっている旦那さま、ふたりの娘さんと共に、この地に移ってきたのは、なんと、長女の小学校入学1週間前!
広ーい田畑つきの物件でした。
「何とか長女入学の前にと、農業ができる地を東西探し回っていたある日、房総に来たついでに有機農業で有名な三好村に立ち寄ったところ、山々に囲まれた広々とした田畑の風景に一目ぼれしたそうです。
里山暮らしには、猫がいなきゃ。ジブリの大好きな長女が黒猫がいい!というので、墨田区の保護主さんから子猫をもらい受けました。
ほどなく、近くの公園に子猫2匹共々捨てられていた若き母猫「トロ」ちゃんを保護し、子猫たちはおうちを見つけて送り出しました。
ところが、トロが余りにも気が強くて、家に居つかなくなった黒猫さんはやむなく会津の実家へ。今は、ご両親の寵愛を一身に受ける毎日だとか。
先住猫を追い出した、このトロさん、この後やってきた、ゴミ箱に棄てられていた生後3~4日の子猫だった白猫チーちゃんのことは、母親がわりで、それはそれはよく面倒を見ました。
7年前には裏庭に捨てられた三毛のミーちゃん。
6年前のチビ、去年のチャーも、保護猫です。
というわけで、樋口家には、トロ14歳、チー13歳、ミー7歳、チビ6歳、チャー1歳と、柴犬もいて、毎日にぎやか。
まなみさんは、農業をしながら、ここから東京に3年通って、以前から興味のあったスペイン絵付けの講師資格を取りました。その後、現地バレンシアでも短期滞在して絵付けを学びます。
敷地内に小さな工房を持っていますが、山に囲まれた地ゆえ湿度が高くて、焼き上がりに難あり。去年、ちょっと離れた場所の古民家を見つけ、少しずつリノベーションを進めてきました。
近々ギャラリー工房としてオープンです。
「誰でも立ち寄れる場所にしたい」と、セルフカフェも併設とか。
https://r.goope.jp/libera/
まなみさんの作品には、スペイン・南房総共通の、心地よい風と陽光があふれているようです。
まなみさんご自身が、心地よい風を心身に取り込みながら、ご自分の人生を絵付けなさっているからでしょうね。
「そうだよ~、ボクたちアタシたちもね」と、猫たちも言っているような。
「どの猫も太っちゃって」と、キミたち、まなみさんに言われてるよ~
チーちゃんが軽トラの上から、見送ってくれました。
緑と光がいっぱい。また来たいな。
後日、会えなかったトロさんの写真をまなみさんが送ってくださいました。「我が家で一番の器量よしです」と。
そして・・・私は見つけてしまいました。まなみさんの作品紹介写真のなかから、こんなお皿を。
海辺の古民家民宿の看板猫たちだそうです。
ベージュの猫が「ソイ」、黒猫が「おはぎ」、白猫が「とうふ」だなんて、なんてそそるのでしょう。
まなみさんに負けず、「行きたいと思ったら、行く!」を近々実行する予定です。
来週は、ZUKOUSHITUさんがもう1軒紹介してくださったボタリズムコーヒーさんの黒猫ネロちゃん登場と、続きます。お楽しみに。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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可愛いですね!
by おふく 2020-07-07 20:35
もじもじしてる三毛ちゃんをはじめ、みんな可愛いです。
もしも房総に行くときがあれば、ギャラリーに寄りたいです。
by さび猫びいき 2020-07-07 20:42
素敵な暮らしですね。トロさん、美猫‼️さすがに目力ありますね。最後の猫の絵皿気に入りました❗️工房に猫、いいですねー。
by ぺったんの母 2020-07-08 00:00
素敵!素敵!暮らしもまなみさんの人生もまなみさんの作品もまなみさんも猫さんたちみんなも!!自然に囲まれて緑とひざしが見ていて気持ちよくて心が洗われます。いいなぁ、いつかこんな暮らししてみたいなぁと(なかなかできない現実がありますが)ほっと心休まる時間になりました。
両親の実家が福岡の柳川・大牟田で今回の大雨の映像は心が痛みました。避難勧告が出ても家の猫や犬を置いて避難所にいけないというお家も多かったようです。動物と共に避難できることが当たり前の設備、環境であってほしいですね…被災地の猫たちも心配です。
by とも 2020-07-08 08:16
>おふくさん
それぞれに個性的で可愛いですよね~。まなみさんが保護した子猫の中には、なんと三毛の雄猫もいて、ご近所にもらわれ、それはそれは可愛がられていたそうですが、取材の4日前に天国へ旅立ったばかりでした。
by 道ばた猫 2020-07-08 12:30
>さび猫びいきさん
ぜひぜひ! 絵付け体験教室もあるようですよ。(要予約。ただし空きのある時は随時。コロナ対策で、現在は一回4名までに限定)
by 道ばた猫 2020-07-08 12:44
>ぺったんのお母さま
トロさん、さすがの目ヂカラですよね! 会いたかったけど、裏山にお出かけのようでした。半分山猫?(笑)。
by 道ばた猫 2020-07-08 12:46
>ともさん
降り続く大雨・・・被災地の方々のご無事を心から祈ります。そして、その町で暮らしていた動物たちの無事も。ペット同伴の体制が一日も早く全国で確立しますように!
by 道ばた猫 2020-07-08 12:51
スペインタイルって色鮮やかですねぇ!
色つきに湿度が影響するんですね。
ウチの猫どもの絵付けもやって欲しい、と思ったのは私だけではないはず。きっと人気出るんじゃないかな!と。
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みんにゃ里山でのびのび自由に暮らしてるいい顔してるよね。やっぱり里山はそこで暮らす生き物を元気にするにゃん。
今回はいかにも猫さまらしいもじもじっぷりの表情のミーさんに思わずウフフ(*´∀`)♪
飼い主さんと白コラボで見送ってくれたチーさんの写真もいい感じだよね。
あんな見送りされたら、またすぐにでも行きたくなっちゃいます!
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蛇足の愚痴ぐち:)
以前から全国各地の避難所の住環境がひど過ぎると思ってました。地べたに蓙(ござ)みたいなところではお年寄りや身体が弱ってる人にはつら過ぎる。プライベート空間皆無。ペット同伴避難もしかり。
今回のコロナ禍での避難でその環境が少しだけ改善されたのが、せめてもの救い?
by 才蔵 2020-07-10 08:17
>才蔵さん
ほんとうに、避難所の居心地は、最低限度プライバシーが守られてペットも可に、全国統一してほしいですね。災害大国なのだから、後回しにせず。
by 道ばた猫 2020-07-10 23:56
まなみさん行動力あるパワフルな方ですね
皆、のびのびと素敵に暮らしていて。トロさん
14才とは思えない元気さ、自分を持ってる
強さでしょうか
避難所の事、過去の事例をいかさない縦割り
行政のせいかしら?中越地震、東日本大震災の
避難所の様子と、間隔を空ける配慮位で
変わらないように思う。
by 妖怪元気ババァ 2020-07-13 09:10
>妖怪元気ババァさん
「自分のしたいこと」に正直で肩の力の抜けた人は、相棒として、猫の方も一緒に暮らしやすそうですね~。妖怪元気さんだって、新潟から川口の猫展示まで駆けつける自由さ、負けていませんよ!
by 道ばた猫 2020-07-14 00:02