部屋に薩摩琵琶とお猫
「ミーコは父が山梨県で保護した猫」そう教えてくれたのは薩摩琵琶演奏家の水島結子さん。引っ越しはあれ、保護した当時も東京に住んでいたというのに、なぜ出会いが山梨県だったのだろうか?
山梨から東京へ、その距離200km
今から17年前、出張先の山梨県某駅で水島さんの父親とキジ白柄「ミーコ」(17歳・女の子)は出会いました。当時、水島家には2匹の猫がいたので、遠く出張先での外猫との触れ合いは、楽しかったに違いないと容易に想像できます。子猫ミーコの容姿に惹かれた父親は、すぐにごはんを献上するほど積極的で、癒しをもらったそうです。当然、そのままお家に連れて帰ったかと思いきや、保護したのは自宅に帰って3日後のこと。「やっぱり、忘れられない!」と家族に内緒で一人、ケージを持ってミーコをお迎えに行ったのでした。とくに何も聞かされていなかったという妹さんは大喜び! 学校から駆け足で自宅に帰って来たというほっこりエピソードも。猫歴が約30年になった水島さんも立派にその血筋を受け継ぎ、今では演奏会で猫を題材にした演目をするまでになりました。ご家族みなさんの猫愛を感じますね。
玄関で一人たたずむミーコ
何かと思えば、
ドアを開けろー!
お庭に出たいとのことでした
追う立場から、追われる立場へ
子猫のミーコ(のちに生後7ヶ月ぐらいと判明)は、傍若無人な態度で先住のシニア猫たちを圧倒しました。元々、外での厳しい生存競争の中で生き抜いてきた猫なので、それも仕方なしと理解しつつも、水島さんは先住猫たちを優先し、ミーコに家猫のルール「シニア=尊い」をゆっくりと時間を掛けて教えて行く作戦に出ました。猫たちだけに任せない、多頭飼育には人間の仲介が必須とのことでした。
ネムネムなって来た
おやすみなさい
そして現在、水島家には3匹の猫がいます。ミーコが10歳の時に「ハル」と「モモ」の姉妹猫が新たに加わりました。ミーコを保護したときよりも年齢が若く、母猫の愛情も知らずに育ったハルとモモは、当然ミーコに向かいます。しかし、「母性ゼロ」という子育て経験がないミーコは、どう接していいのかわからない状態で下の子たちを無下に扱います。気づけばミーコのお腹にはハゲができる始末。よほどのストレスだったのか、お腹の毛を舐め続け、ツルッツルの状態にしてしまったのです。それは17歳になった今でも健在で、以後フッサフサに戻ることはないようです。
それがなんだっていうお顔。ハゲは個性だ!
健康と食事
ミーコは元々腎臓機能が弱く、健康面は早いうちから気をつけていたそうです。今現在、気になることは連続でする「咳」。取材時にも咳のようなものをするシーンがありましたが、筆者が飼う猫のクシャミと比較すると、ミーコのそれはやはり咳に近いように感じました。しかし、動物病院に掛かるも原因は不明で、2ヶ月に1回の頻度で抗生物質を注射し対処しているとのことです。
また、食事は1日3回程度。7歳の姉妹猫とは違い、食は細めです。ミーコだけ「シニア用」フードで、ドライの大きい粒のものは食べやすいように細かくする工夫をしていますが、スープ系のウエットフードを好む傾向にあるせいで、5kg以上あった体重も今は3kgを切るまでに。「スープの上澄みだけを飲んで終わりにするのはやめてほしい」と水島さんは苦笑いするのでした。
レッドカーペットを上がって2階へ。足腰も丈夫だ
向かった先はお食事どころ
若いオトコと音楽と
薩摩琵琶演奏家の水島さんはご自宅で教室を開いています。これがご長寿の秘訣なのか? ミーコは若い男性のお弟子さんの稽古時に限り、顔を出すといいます。一方、年配の男性には興味なし。とりあえず触ることができた私は合格ってことでいいのかな? これが案外うれしかったりするのです。
琵琶と猫って似てるね
水島さんが薩摩琵琶を始めて間もなく家族になったミーコ。水島さんの唄と演奏をこの世で一番聴いているのはまぎれもない事実です。また「日本一、薩摩琵琶を聴いた猫」としても認定が下ることでしょう。音楽と猫の長寿に関係性はあるのか? これは興味深いテーマです。今後も様子を見ていきましょう。
琵琶を奏で、
猫を愛でる
そろそろ降りてと、ミーコは怒る!
そして、イチャイチャタイムはつづくのです
水島さんのインスタグラム:
@biwayunkoro
写真
猫又トリップライター紹介
ケニア・ドイ
1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。
http://kenyadoi.com
X
Instagram
ミーコちゃんの波瀾万丈の猫生を読ませていただきました(笑)
咳のところがちょっと気になりました。
ウチの亡くなった猫も咳をしていて定期的に受診していたのですが、結局肺腺ガンで亡くなりました。 何事もなく過ごしてくれることを願っています
by 総総 2020-10-08 12:28
>総総 様
ごらんいただきありがとうございます。ミーコの家来の琵琶ゆんころです。
咳をする時間が長くなっていてとても気になっています😿抗生物質を飲むとしなくなるんですが、すぐに吐いてしまって…毎週注射もかわいそうで涙
猫は内臓が弱めなのでケアしていってあげたいです。温かいお言葉ありがとうございました。
by 琵琶ゆんころ 2020-10-11 01:49