[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

「夜空」くんは、推定3～4歳。
悲惨な多頭飼育崩壊現場に保護団体が入ったとき、床に積もった糞の上を逃げるたくさんの猫達の中、ただ1匹、足元に駆け寄ってきた若い子でした。



漆黒の毛並みは夜空色。右目は満月、左目は雲がかかった乳青色だったので、「夜空」というロマンチックな名前をつけてもらいました。
左目の視力はありません。
いかにも邪気のない顔立ちに一目ぼれされ、もらわれていったのは、介護関係の仕事をしている彩乃さんと、お母さんの敬子さんが暮らす家。
そこには、2匹の先住保護猫がいました。



サビ猫のてんちゃん。7年前に、彩乃さんの職場に居つき、保健所送り寸前を保護した、ちょっぴり気難しくてナイーブなめす猫さんです。



5年前にやってきたのは、ふっさふさの毛並みを持つイケメン、一之丞くん。
彩乃さんが通りかかった工事現場に、ぐったりしゃがみ込んでいたノラの子猫でした。

一之丞くんは、新入り夜空くんのお兄ちゃんとしてよき遊び相手になりました。
てんちゃんも、しつこくされない限り、我関せずのあねご格。



彩乃さんのベッドで、3匹仲良く日向ぼっこをする、平和な日々が続いていたのですが・・・。



今年7月。ある日突然、お母さんの敬子さんが、こんなちびっちゃい子をお持ち帰り。
「うちは、3匹でもう限界」とあれほど自分で言っていたのに。



てんちゃん、びっくり。



一之丞くん、びっくり。



夜空くんも、びっくり。
じつは、敬子さんは、夜空くんを迎えてから、車を運転中に道を横切るノラの子を、それぞれ違う道で2度ほど見かけていました。
「もう、うちは3匹でいっぱい」と、連れ帰ってやりたい気持ちをぐっと抑えたそうです。

その子たちにはもう会えませんでしたが、その道を通るたびに、横切った子たちの姿がよみがえり、救ってやらなかった自分を責めていました。
「もし、3度目に町をさまよう子に出遭ったら、今度こそは連れて帰ろう」と、心の中で決めていたのでした。

7月3日。実家近くに車でさしかかったとき、ひと月たつかたたないかの小さな痩せた猫が、チョロチョロっと道ばたから出てきてきました。
思わず停めた車のまん前に、ちょこんと座り、こっちをじっと見ています。
まるで、敬子さんの車が来るのを待っていたかのように。
車から出て、抱き上げたその子のいたいけな軽さ。どこかの縁の下にでも潜んでいたのか、ホコリやら虫の卵らしきものをいっぱい体にくっ付けて。獣医さんに連れていくと、ノミがいっぱいでした。

「4匹目なんて大反対でしたけど、もう拾ってしまったのなら仕方ない。世話してみれば、可愛いし」と、彩乃さん。



てんちゃんは、相変わらず知らんぷりを決め込みましたが、マイペースで穏やかな一之丞おじちゃんは、おおらかに新入りを受け入れました。



弟ができていちばん喜んだのは、夜空くん。
夜空くんは、多頭飼育現場で、ちっちゃい子との共同生活にも慣れているし、優しい性格なので、弟が噛みつこうが引っ掻こうがされるがまま。
プロレス遊びのいいお相手になってやります。

子猫の名前は、「五条」と、彩乃さんの妹がつけました。
てん（１０）、一之丞（１）、夜空（4）とみな数字が付くので、夜空の次で5をつけたかったんですって。

やってきて3か月の五条くん、可愛い顔して、とってもとってもやんちゃなのです。ジャンプの達人。



敬子さんや彩乃さんの手も、すぐにおもちゃにしてガジガジ。



先輩のトイレは、砂遊び場に。
敬子さんたちが珈琲を飲んでいると、ハイジャンプしてこぼしてしまったり。



それで、ティ―タイムなど、おとなしくしていてほしい時は、ケージ・イン！
しおらしい顔つきになってしまいます。



「ここから出してよ～～～」と、目で訴える五条くん。
コーヒー飲み終わってからね、やんちゃ坊主さん。

「いまは、細くてよく動いて、目が離せないけど、大人になったらどんな猫になるのかしら。少しはどっしりしてくれるのかしら」と、彩乃さん。
「4匹は大変だけど、猫達は刺激があって楽しそう。これからも、仲良くのびのびとやってほしいです」と、敬子さん。

夜空くん、やんちゃな弟の教育、よろしく頼んだね！



それにしても、五条くん、小さな体を張って車を停めるとは。
ちゃんと自分で飼い主を選び、ノラ生活からハイジャンプしたんですね。

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