人出を避けて、秋の里山をひっそり歩きたいとにやってきたのは、印旛沼のほとり。
小林牧場内の一般開放の雑木林を散策したあと、ふらりと立ち寄ったのは、道路から奥まった古民家の和食処。その名も「かくれ里」。
なんとなんと、入り口の緋毛氈の上に、どっしりと座っているのは、サバ白の猫さん!
この大きさは、雄猫のようです。
彼と遊んでいたいのをぐっとこらえて、「後で遊ぼうね」とささやいて、店内へ。
店の中からも、猫さんが見えます。
お店のお兄さんに聞くと、「さとちゃん」という名だと教えてくれました。
4歳ぐらい。ノラ母さんが産んだ子で、今はここの看板猫として、スタッフからもお客様たちからもかわいがられているそうです。
店は、ご夫婦と娘さん息子さんの家族経営で、とても気持ちのいい、あたたかな接客です。
「さとちゃんは、ランチタイムが終わって甘味処の時間になると、毎日必ずこうやって入口の所にやってくるんです」と、女将さん。
でも、心得たもので、入り口から中へは、入りません。
この古民家は、元はハム工場、その後は機織り教室だったのを、古材を集めて改築したんですって。
食べ終わって、お店の方に了解を得て裏庭までいってみます。奥には陶芸工房の蔵があり、その奥は、広い畑と、栗林と、原っぱ。
おやおや、さとちゃんのトイレタイムに出くわしました。おてんとさまの真下で悠々、気持ちがいいだろうなあ(笑)。
さとちゃんは、お店のお兄さんと一番仲がいいそうです。
爽やかお兄さんが、言います。
「あと2匹、さとちゃんのあとに居ついた子がいるんですよ。あ、そこにいるのが『だんなちゃん』です」
だんなちゃんは、さとちゃんとは、お母さんが同じの異父兄弟だそう。
だんなちゃんには、そっくりのキジトラお嫁さんがいるそうで、その名も「およめちゃん」! 別名、だんなちゃんより赤っぽいので「あかちゃん」。
およめちゃんは恥ずかしがりやで、そっと木陰に隠れていました。
およめちゃんは、だんなちゃんと2匹してここにやってきてすぐに子供を産み落としました。
育った子猫たちにはおうちを見つけ、1ひき「むすめちゃん」だけ、ご自宅に残したそうです。
近くにはうっそうとした山林があって、そこに住み着いた野生の猫が、流れてやってきたのではという話でした。
ご一家は、「印西地域猫友の会」の会員となり、猫たちの避妊去勢や、子猫のおうち探しに尽力なさっています。これまでに、4匹、3匹、5匹と、計12匹のノラ生まれ子猫たちのおうちも見つけました。
ラブラブのだんなちゃんとおよめちゃん。
さとちゃんは一匹おおかみタイプで、ほかの猫とつるむことは苦手なようですが、大好きなお兄さんがいて、さとちゃんファンのお客さんがたくさん。
可愛がられてうれしくなると、頭ゴリゴリ、甘噛みしてしまう、なんともわかりやすいさとちゃんです。
「かくれ里」のランチメニューは、月替わりの創作料理。早くもクリスマスランチをいただきましたが、お味にも盛り付けにも大満足。
敷地内には、ケヤキや桜、モミジ、栗の木など、里山ならではの樹木がたくさん。この日は、紅葉が始まったばかりでしたが、今頃は、すっかり色づいていることでしょう。
敷地奥の広場では、ときおり「里マルシェ」が開かれるそうです。
「また来てね~」と、お店の前のひだまりでゴロンゴロンしながら見送ってくれたさとちゃんでした。
それにしても、「さとちゃん」「だんなちゃん」「およめちゃん」「むすめちゃん」という素朴ながら愛情たっぷりのネーミングに脱帽です。
※食事処「かくれ里」
千葉県印西市滝883-20 ℡047・697・0288
火曜~日曜(第3日曜は休み) 11:30~15:00
14時半~は、甘味処「お花坊」に立て看板が変わります。
夜は、予約ディナーのみ。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
Instagram
和食処とあって美味しそうなご馳走がいっぱい、だからみんな健康優良児なんだ。平和な里山で暮らしているからか、何処となくのんびりした雰囲気が伝わってくるネコちゃんたちだね。広い広いトイレも素晴らしい。
by Y.M 2020-11-24 17:02
さとちゃんみたいな看板猫ちゃんがいたら、思わずお店に入りますね。
和食処らしく、美味しそうなお料理ですネ。
ダンナさん、オヨメさん、ムスメさんの名前がユニークですネ。
栗の木やもみじ、桜の木に囲まれた ひろーいひろーいトイレが羨ましいです。
by チセママ 2020-11-24 18:53
さとちゃんや、だんなちゃん、およめちゃん。お外でまったりゆったりのんびり、いい光景ですね。さとちゃんの看板猫姿やお兄ちゃんに甘える姿もいいなぁ。だんなちゃん、およめちゃんのラブラブ姿もたまりません(*^-^*)写真からとっても幸せな時間が流れているのをかんじます。お料理、美味しそうですね♪
by とも 2020-11-24 19:47
クリスマスランチ、素敵な盛り付けで食べるのが勿体ない位ですね。
だんなちゃん、およめちゃんとラブラブで微笑ましい💓ふたりのむすこちゃんも見てみたかったです。
by シーマン 2020-11-24 19:48
さとちゃんは何故さとちゃん❓みんな福々しくて良いお顔💕
多古町の井戸山に猫のいる「やすんば自然園」なる場所あるのですが、
佐竹さんに是非取材してもらいたい場所です。
by まこちゃ 2020-11-24 21:22
何て素敵なお名前❗️猫さんにお名前つけるのってすごーく考えますよね。どの仔にも、色々な意味があって愛情感じます。
by ちぃ 2020-11-24 21:53
>みなさま
すみません!甘味処「お花房」を、「お花坊」と誤記してしまいました。お詫びして訂正いたします。
by 道ばた猫 2020-11-24 22:38
>Y.Mさん
狸さんもときどき猫ご飯の残りを食べにくるそうですが、猫さんたち、知らんぷりというか、見て見ぬふりだそう。のどかですね~~。
by 道ばた猫 2020-11-25 00:58
>チセママさん
月替わりのランチ、そそりますね~。
畑がピンクのじゅうたんになるという桜の季節にぜひ行ってみたい!です。
by 道ばた猫 2020-11-25 01:01
>ともさん
クリスマスランチの、トマトのワイン煮や野菜のキッシュ、おこげご飯などすべておいしかったです!
プラス看板猫に、里景色で、満腹でした(笑)。
by 道ばた猫 2020-11-25 01:10
>シーマンさん
お兄さんが、むすめちゃんの写真をスマホ画面でみせてくれたのですが、やはりキジトラの美人さんでした。およめちゃんは、キジトラというよりキジ三毛というのかな。
by 道ばた猫 2020-11-25 01:12
>まこちゃさん
やすんば自然園! 多古はよく行きますが知りませんでした。(今日も隣の冨里まで行ったのですが)
調べたら、めくるめくような異世界!魅了されました!閉園ちゅうのようですが、ぜひ訪ねてみたいです。教えていただいてありがとうございます!
by 道ばた猫 2020-11-25 01:20
>ちぃさん
なんか昔ばなしみたいで、のどかで平和な名前ですよね。
老猫になっても「およめちゃん」と呼ばれて可愛がられるのね、いいな。
by 道ばた猫 2020-11-25 01:26
ラブラブのだんなちゃんとおよめちゃん、うちの在りし日のチー子とぺったんみたいです❗️さとちゃんも味があって猫好きにはたまりませんね~。
by ぺったんの母 2020-11-25 06:38
広葉樹の森ってやっぱり美しいですよね~♪
私はある山林を活動拠点に10年ぐらい森林ボランティアをやってました。だからついつい森に目がいっちゃいます。
春は植林、夏は下草刈り、秋は枝打ちや間伐とどの作業も楽しかった~。マイヘルメットが自慢でね。(今は防災用として持ってます。)
冬は雪が1mは積もる所だったんでスノーシュー履いて森を駆け巡るんですよ。普段より少し高い視点で森の姿も違って見える。
梅の林の剪定も普段は脚立が必要な所に簡単に手が届いてちょうどいいんですよ。(笑)
...
さとちゃんのトイレタイムの写真を見て、同じ事してたんでつい思い出して興奮しちゃいました!
(一応言い訳すると、山での作業は行き来に時間かかるんで、どうしても催しちゃった時は仕方ないんですよ。)
とても気持ちよかったのは事実です。(笑)
by 才蔵 2020-11-25 10:47
>そうですか、ちーこさんとぺったんさんにそっくり…。愛らしい猫さんたちだったんですね。女将さん曰く「さとは、前は可愛い顔をしてたんだけど、黒猫とけんかして噛みつかれ引っ張られた顎が伸びちゃって、不細工になっちゃった」とのことですが、シュッとしたいいオトコと思います。
by 道ばた猫 2020-11-25 20:12
>才蔵さん
スノーシューはいて雪山を駆け巡る・・・楽しそう!
伊藤整さんに「森へ」という詩があります。「森へ分け入って原始人になろう」というような。大好きな一編です。
by 道ばた猫 2020-11-25 20:21
伊藤整さんですか。渋いですね。~私も読んでみたいです。
...
実際、雪が積もってなければ森を駆け巡るのはとても難しい。
私は森林ボランティアを始めて登山がいかに楽か知りました。登山道があるってありがたい事なんだなって。
道なき森林を登り降りするのがいかに大変か。
もう作業する現地にたどり着くだけでヘトヘト。
マジで遭難するんじゃ?と焦った事も何度か。
1度ヤバイと焦ってた時、何か動いた気配。熊?と思い見たら大きな牛柄の猫さま。真っ赤な首輪をしてたんで飼い猫だと思い必死でついてったんですよ。すると猫さまはつかず離れず導いてくれて猫さまの飼い主の裏庭に無事たどり着く事ができました。
正に恩猫さまさま。
それ以来ますます猫さまには頭があがらず日々下僕として一生懸命使えてます!(笑)
...
だから森林を駆け巡る事ができる冬は嬉しさも倍増。雪のおかげで普段よりいっそう明るいしね♪
by 才蔵 2020-11-29 05:37
>才蔵さん
赤い首輪の猫さん…いや、猫様…ドラマですねえ!
私は猫さんに、町では喫茶店に2度客引きされ、里山では蛇のいる場所に2度案内されました(笑)。
by 道ばた猫 2020-12-02 01:20