若林家の居間に通されて、最初に思わず私が発した言葉は、こうでした。
「えっ、猫ですか?」
大きい! なに、この猫離れした堂々感は。
「7・9キロになっちゃって、さすがにダイエット始めました。オレ様っぽく見えるけど、実はビビりなんです。ブリオといいます」と、若林さんが、紹介してくれました。
ブリオ? じゃあもう1匹の猫はアジオかサバオ?と、頭の中を?が飛び交います。
若林さんとは、10月に猫のいる美容室の取材で、出会いました。
(
https://sippo.asahi.com/article/13872340 の記事に、お店の常連として登場)
そのとき、「うちにも保護猫2匹いるんですよ」とお聞きし、会いに来たのでした。
こんなに大きいとは聞いていません(笑)。
ブリオ君は、4年前のちっちゃいとき、すぐそこの路地のアパート前で、黒猫のきょうだいと共にいるところを若林ご夫妻に保護してもらいました。
猫風邪で目も鼻もぐちゃぐちゃだったそうです。
あ、当時からとってもお顔が大きいですね。洋猫の系統と思われます。
黒猫ちゃんは、近所の方がもらってくださり、ブリオ君は若林家の末っ子となりました。
ブリオ君は鼻詰まりのためか、ご飯を食べずに痩せていくので、病院に10日間入院。生きるか死ぬかの瀬戸際だったとか。
退院後に若林家の末っ子として迎えられ、「brio(ぶりお)」という名をつけてもらいました。
スペイン語で、「生命力」の意味です。どうか元気に育ってほしいとの思いが込められています。
猫風邪ウイルスによる涙目は治りませんでしたが、ブリオ君は、すくすく大きくなりました。
先住さんは、犬と猫それぞれ1匹ずつ。
もともと若林さんは猫派で、奥さんは犬派。
奥さんの飼っていた犬のゴン太君亡きあと、譲渡先募集のサイトを見て見つけた猫に会いに行ったら、別のケージの奥に半年くらいの猫が猫風邪をひいておびえた様子でいたのです。
「だけど、僕たちが行くと、その子は、ゴロゴロ言いながら寄ってきて。公園で保護された子と聞きました。シッポの筋肉断裂かなんかでだらんと下がったままという障がいを持っていた。それで、その子を迎えました」
12年半前に迎えたその子が、「sola(ソラ)」ちゃん。スペイン語で太陽の意味を持つ「sol」から付けた名です。
便が出づらいので、トイレ時には介助をしてやり、2週間に一度通院しています。
「目つき悪くて写真写りが悪いんです」と若林さんは言いますが、いえいえ、とってもきれいな瞳の賢そうな猫さんですよ。
solaちゃんの後に迎えたのが、売れ残りのフレンチブルドッグ「luna(ルナ)」ちゃんです。スペイン語で月を意味します。
現在12歳というお年と、持病もあるので、一日のほとんどをひっそり寝て暮らす毎日だそう。
穏やかな犬で、猫2匹とも仲良し。
ルナちゃんのあと、ブリオ君を迎える前に、三毛猫の「tierra(ティエラ・地球の意味)」を迎えましたが、2年前に心臓発作のため7歳で亡くしています。
「7年前、犬猫が暮らしやすいように家の中をリフォームしたんです。床は、クッションマットで、キャットウォークや天井までのキャットタワーも作ったんですが・・・キャットタワーは歩いてくれず、タワーも3段目までですね」と、苦笑する若林さん。
きっと、ソラちゃんもブリオくんも、お二人とルナちゃんのそばがいちばん楽しくて居心地がいいのでしょう。
ところで、若林さんは、勤めていたIT関連の会社を辞めて、秋から新しいお仕事を始めたばかり。
ペットシッターのお仕事です。
「犬猫に関わる仕事がしたくなったんです」と、若林さん。会社勤めの奥さんが「通勤がいやになったのよね」と茶々をいれます。
情が細やかで、誠実な若林さんにぴったりのお仕事ではありませんか。
「今日は夕方、留守宅のウサギさんの面倒を見に行きます。いのちを預かるお仕事ですから、飼い主さんとの打ち合わせは綿密にします。家の鍵をお預かりしますから、信用あっての仕事ですね」
一番うれしい時は?とお尋ねしたら、こんな答えが。
「やっぱり『ありがとう』と言ってもらえる時ですね。散歩に行ったことのある犬が覚えていてうれしそうに迎えてくれるのもうれしい。猫はそういうことはなかなかないです(笑)」
ご自宅の3匹は、お父さんが家にいてくれて、さぞうれしいでしょうね~
「ソラがいちばんの甘えたがり。呼べば来るし犬みたいな猫です。ルナは、もう人間の子のような感じ。ブリオは、2匹の前では甘えないけど、一匹だけの時は頭をごっつんごっつんぶつけて甘えてきます」とのこと。
コロナ禍で大変な時期の船出ですが、ソラちゃん、ルナちゃん、ブリオくん、やさしいお父さんのお仕事が順調に広がっていくといいね!
※ペットシッター「
「soltive(ソルティブ)」」
シッター・・・若林望
散歩や留守中のお世話など、千葉県市川市とその周辺のご依頼を受けています。
犬・猫・ウサギなどの小動物のほか、ご相談に応じます。
問い合わせは、070・8329・8794 まで。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ニャンと表現したらよい猫ちゃんか、三角お目めのブリオ君は幼い頃に比べると随分貫禄がついたね、四角のソラちゃんの目は神秘的、そして丸目のルナ君は甘えん坊、いやいたずらっ子かな?優しいご夫婦に看護されて元気に暮らせていけて幸せだね。家族みんなが揃って平穏な毎日でありますように。
by Y.M 2020-12-01 16:02
犬や猫に好かれそうな若林さんですね。
近ければ、うちのワル猫たちのお世話をお願いして、旅に行けるのに。(もう10年旅行をしてません。コロナが収束したら旅に出たい!)
by さび猫びいき 2020-12-01 16:50
個性豊かで存在感たっぷりの猫さんとワンさんですね。私も旅行になかなか行けません。近場に行っても、猫さん達が待ってると思うと、早々に帰ってしまいます。若林さんなら、任せられます!あー遠い!うちは、中国地方です。
by ちぃ 2020-12-01 20:54
>y.mさん
目の形には気が付きませんでした! ほんとだ、マルサンカク̻シカク揃い踏みですね。
縁あってひとつ屋根の下、どの目も可愛い。
by 道ばた猫 2020-12-02 01:09
>さび猫びいきさん
ワル猫だって、若林さんにゴロニャンしちゃいそうですね。
旅心、まだしばし封印ですね~ がまんがまん。
by 道ばた猫 2020-12-02 01:13
>ちぃさん
よくわかります。お出かけは行きはルンルン、帰りは猫たちのもとへ一時も早く帰りたい。
なのに、案外猫は素知らぬ顔で寝ていたり。
by 道ばた猫 2020-12-02 01:15
ぶりお君素敵!可愛い!言う事無し!目に焼き付きました。(笑)
わが家も旅に出られない・・・出ても一泊、近所で我慢の日々。かといってどうしてるか心配で心配で・・。みなさん同じ思いですね(笑)
とっても癒されるファミリーのお話ありがとうございました。
by ぺったんの母 2020-12-02 12:02
わぁー、ほんとだ、猫さん?大きなお顔で可愛い!!スパンク、思い出しました(こちらは犬ですが)スペイン語のお名前おしゃれですね!ペットシッターさんなんてすごいな、、需要もきっと多いですよね。素晴らしいお仕事ですね。
by とも 2020-12-02 17:15
>ぺったんのお母様
ブリオ君の顔幅は、これまで会った猫さんのベスト3に入ります(笑)。あと2匹は、「おじさん」と「ナッツ」くん。大顔の猫は今どき珍しくなりましたね~
by 道ばた猫 2020-12-03 00:25
>ともさん
えっ、もしかして「おはよう スパンク」? 四角いお顔で、お耳の黒いやさしい犬ですよね。でも、たしかにブリオ君、犬のぬいぐるみっぽい(笑)。
by 道ばた猫 2020-12-03 00:30
佐竹さん、そうです、そうです(笑)四角いお顔のお耳の黒いやさしい犬、スパンクです~!
ブリオ君は貫禄もあってゆったり大物さんですね♪
by とも 2020-12-03 07:53
「えっ、猫ですか?」(爆笑)
いかにも茉莉子さん好みのデカ猫さまですねぇ!
そういえば先週脱線ついでに触れた遭難しそうな私を助けてくれた猫さまに似てます!
デカ猫だったから森の中でも見つけられたんですよ。
...
ブリオさん、モフモフモッフ~ンぶりがぱねぇ感じで。
最近のウチのりんこりんに似てます。
正面からみるとハチワレがニンニクっぽいところもね。(笑)
....
若林さんちのまったりとした癒され感、あふれるほど伝わってきますよ。
私も猫さまと暮らすようになってからはとんと旅行には縁が遠くなりました~
今回もとりとめもなくすいましぇん。
by 才蔵 2020-12-03 10:15
>才蔵さん
りんこりんさん、ハチワレもっふもふさんですか。ブリオ君に会ったのは先々週で、先週は山のふもとでナナちゃんという17歳の三毛の大猫に会いました。世の中には大猫がいるもんだ(笑)。
by 道ばた猫 2020-12-04 00:43