[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

みにゃさまと一緒につくる連載、「保護猫しあわせ物語」。
Vol.64は、長い時間をかけて家猫になった「ママ」ちゃんのお話です。

８年ほど前から、きじとらの成猫を見かけるようになった。
しかし、猫と暮らした事のなかった私は、気になりながらもただ見ているだけだった。



その後、愛護センターから子猫２ニャンを迎え、さらに家の勝手口に飛び込んできた迷い猫(生後２ヵ月くらい)を迎えて、成猫のきじとら猫までは迎え入れる余裕はなく、やはりしばらくは眺めるだけだった。
しかしある時、そのきじとら猫のお腹が大きい事に気がついた。
お腹の中の子に栄養をとられるのか、毛並みの状態はあきらかによくなく、痩せ細っていた。
私の中にあった、無責任にご飯はあげられないという気持ちはすっかり消え去り、気がつくとうちの子たちのご飯を食べさてしまっていた。
きじとら猫は、出産直後の数週間は姿を見せなかったが、ある時白猫を連れてきた。



うちの子たちが白猫であったため、縁を感じたが、きじとら猫が白猫を可愛いがっている姿を見ると、きじとら猫からその子を引き離して保護する勇気は出なかった。
結局、10ヵ月くらいで親離れしてから、大雪の日に１ニャンで鳴いているその白猫を保護し、「ネロ」と名付けた。そして、ネロがうちの子になってから、今度はきじとら猫をさくら耳にして、避妊手術の傷が治るまでは玄関で過ごしてもらった。



それまで私はそのきじとら猫に触れた事がなく、長い間外で暮らした猫に触れる事も不可能だと思っていた。
しかし、そのきじとら猫はとっくに私を信用してくれていたのだと思う。濡れタオルで体を拭かせてくれたり、爪切りさせてくれたりした。そして、その数日の間に玄関に置いたトイレも覚えてしまった。
病院の先生からは歯の状態が非常に悪く、栄養状態もひどいと言われた。
年齢は10歳くらいだろうと......。
私は迷ったけれども、そのきじとら猫をリリースする事にした。
長い年月を外で過ごしたその子をうちの子にする事が幸せなのだと、自信を持って言えなかったから。
ただ、家の玄関の窓は常に開け放して、玄関の中のトイレや水、ご飯はそのまま置いておいた。
いつでも帰ってこられるように。
それからさらに２年ほどたった頃から、きじとら猫は１日の大半をうちの玄関で過ごすようになった。
台風の日や大雪の日など、きじとら猫の安全のために窓をしめて玄関に閉じ込めても、出して欲しいと大鳴きする事が減ってきた。
これなら家の中でももう暮らせるかもと思い、ようやくうちの子に迎える決心がついた。



実はうちの子たちが来るもっと前から知り合いだったきじとら猫。
時間はかかったけれど、今では息子のネロと家の中ですっかり寛いで過ごしている。
名前はネロのママだから、「ママ」なんだけれど......。



外で過ごした過酷な時間以上に、今度は家の中で幸せな時間を過ごして欲しいと思う。


（ママ／推定12歳　ペンネーム: かよさんより）

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スタッフより

みにゃさまからの、「保護猫しあわせ物語」を募集しています。

保護される前、または家に迎え入れる前のエピソード（Before）と、家に迎え入れた後しあわせに暮らしているエピソード（After）の2つを盛り込んでお送りください。
ご応募いただいた作品はリサイズや加筆修正等させていただく場合がありますのでご了承ください。

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