石垣島のまどかさんから、コロナ禍自粛見舞いメールとして、久々の石垣猫だよりが写真とともに届きました。
まどかさんが働くシーサー工房の看板猫「ディエゴ」くんの楽しいお話、そのままご紹介しましょう。
お元気ですか。
コロナ禍の自粛見舞いには、猫のお話が一番と思って、メールを。
私の勤めるシーサー工房は、コロナ禍で、去年の春に続き、またもや一時休業中。
この1週間ほどは新規感染を抑えられているものの、小さな島は医療がひっ迫。まだまだ用心すぎるくらい用心して暮らしています。
工房の再開をスタッフみんなで心待ちにしていますが、
いちばん出勤したくてたまらないのが、ディエゴです。
ディエゴは、とにかく工房が大好きなのです。
いつもレジ台の箱の中や、シーサー棚で、デーンとしています。
お買い上げのシーサーを包むのにとってもジャマなのですが、てんで意に介しません。
ディエゴがやってきたときのお話はしましたっけ?
6年前に、迷い込んだのか捨てられたのか、朝、出社すると、工房駐車場の車の下でにゃあにゃあ大鳴きしていた、キジトラの雄猫です。
痩せて人恋しそうで、話しかけるとゴロゴロ甘えます。
人懐こいので、飼い猫と思い、工房の人が抱っこして昼休みに近所を聞いて回りましたが、知ってる人はいませんでした。
その日は「おうちに帰りなさい」といい聞かせたのですが、次の日もまた朝から大鳴き。いかにも「助けてください。お願いです」と訴えているようなぎゃん鳴きです。
そのうち、工房に入り込み、キッチンのゴミをあさり始めました。
とりあえず保護して譲渡先を探そうと、家に連れ帰ることに決め、仕事が終わるまで、敷地内の社員寮に住むKさんの部屋で預かってもらうことにしました。
Kさんは、半年前に自分の猫を亡くした男性です。しぶしぶと預かってくれました。
仕事が終わって、Kさんの部屋に猫を迎えに行くと、猫は、まったりKさんとくっついて、ふたりでテレビを見ていました。
鶏肉をゆでてもらったようです。
Kさんは言いました。「この猫、ここが自分のうちって決めたみたいだから」
というわけで、猫はKさんの猫となりました。
ディエゴという名は、私がつけてやりました。
好きなメキシコの俳優、ディエゴ・ルナからとった名です。
ディエゴは、朝9時にKさんと一緒に、いそいそと出社してくるようになりました。同じ敷地内ですから。
うちの工房は、社員全員猫好きなのです。
Kさんは、そのまま作業所に入るのですが、ディエゴは、シーサー販売所のレジに我が物顔で居座ります。
ここにいると、お客さんが「きゃー、猫!かわいい~」とちやほやしてくれるからです。
お客さんがレジにいるディエゴをインスタなどで次々にアップするので、新聞社まで取材にやってきました。
「シーサーの中にいる、工房の人気看板猫」ということで。
最初、そんなにいい顔をしなかった社長も、「この猫はうちの看板猫でね」とまで自分から言い出すように(笑)。
ディエゴは、昼食時間とおやつ時間は、Kさんと自宅に戻り、またやってきます。
工房の猫は売り物を落とさない。それが通説ですよね。
でも、ディエゴは、シーサーがあろうがなかろうが、自分の寝そべりたい場所に寝そべって、売り物を落としては割っています。
一番エキサイトするのは、島に多いヤモリを見つけた時。シーサーの間を追いかけ、さっそうと走り回ります。
お客さんが「きゃー、きゃー」というのが、自分が走る姿がかっこよくてきゃあきゃあ言われてると勘違いしてるんです。
4年前に、ディエゴが1匹では寂しいのではと、Kさんはノラの子猫を迎えました。女の子です。
ディエゴは喜び、なめたりして可愛がりました。その子の名は、やはりディエゴ・ルナからとって「ルナ」になりました。
ところが、ルナが大きくなると、どうもディエゴはルナになめられてるというか、あしらわれているというか、完全にルナに見下されている感じになっています。
そう、ディエゴは、じつは気が弱いんです。
そのくせ、ちやほやされるのが大好きで、工房に来ると、お客さんから「かわいい~」といわれるので、とても気分がいいんです。
たまに、レジにディエゴがいても、まったく見もしないお客さんがいます。
そんな時、ディエゴは、みるからにショックを受けてしょんぼりします。
後で、フォローがたいへん。
「いまのお客さん、猫が苦手なんだよ。大丈夫、ディエゴは可愛いよ」って。
ですから、去年の春、コロナ禍で、1回目の一時休業になったときは、事情が分からないディエゴは1週間、毎朝、会社の前で開くのを待っていました。
いつになっても開かないので、ずいぶんしょんぼりしていました。
再開したときは、本当にうれしそうに出社してきたものです。
ルナは、完全室内飼いで、会社には来ません。
今回の休業は、去年で学習したのか、ディエゴは1~2日工房の前で佇んだだけで、あきらめました。
じつはKさんの部屋には、もう1匹いるんです。写真をまだ撮ってなくて、見せられないのが残念。
3年前の冬に、工房にそーっと入り込もうとした、ガリガリで薄汚れた白い猫です。
餌をやってもシャーシャーというので、最初は「シャー子」と名付けました。
その子も保護しようとしましたが、結局Kさんが引き受けてくれました。家に入るなり、甘えんぼに大変身しました。
シロッコという名になりましたが、歯がなくて、猫エイズのキャリア。かなりのおばあちゃんのようです。
シロッコは、けっして2度と外に出ようとはしません。よっぽど外の生活がつらかったんだと思います。
段ボールの中でいつも寝ているそうです。
余生を安心して室内で過ごせて、ほんとうによかった。
早くコロナが収束して、ディエゴがお客さんに囲まれてきゃあきゃあ言われている毎日に戻るのを、ディエゴとともに待ち望んでいます。
そんな日が戻ったら、また、工房に遊びに来てくださいね!
「きゃー、かわいい!」って、ディエゴに言ってやってください。
鼻の下を長くしますから。
うちの猫たちのことは、また今度ゆっくりとお話ししますね。
ウイルスに十分にお気をつけてお過ごしください。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
Instagram
なんかいろんな猫生と人生がキュキュキューッと詰まったお話ですね。
ショックを受けちゃうディエゴくんがなんともかわいい(笑)
3匹とも幸せ掴んでよかった!
それぞれの個性がよくわかるお便りにほんわかしました〜さ、あと少し、仕事がんばりまーす!
by 16にゃんず 2021-02-09 15:11
いつかこの工房に行って、デイエゴ君に会いたいなー。
色合い鮮やかで、気持ちが元気になるシーサーですね!
by さび猫びいき 2021-02-09 20:38
沖縄は守礼の邦。人の気持ちを汲み、表情豊かに暮らすディエゴは本当に沖縄猫らしい。ルナもシロッコも、すべてを受け入れてくれた、まどかさん初めシーサー工房の皆さんからも、持って生まれたおもてなしの心が伝わってくる。自然豊かな空気の澄んだ地にはコロナは似合わない。コロナが収まって、お客で賑う日々が一刻も早く来ますように。
by Y.M 2021-02-09 21:03
きっともうすぐこの騒ぎも収まる!
沖縄へ堂々といけるようになったら、会いに行きたいなあ。
鼻の下長く伸ばす猫に会いに行きたいなあ!
by ネエ 2021-02-09 21:04
猫さんと一緒にお仕事、なんて羨ましい!毎日楽しいでしょうね。私もディエゴくんに可愛い〜ってきゃあきゃあ言いたいです😄
by シーマン 2021-02-09 23:19
しぶしぶだったKさんが、いつの間にやら三匹も!に、ニヤニヤが止まりません。
コロナ禍は猫にまで及んでいるのですね。
ディエゴが少しでも早く、猫店長に復帰出来ますように…
by 名無し 2021-02-10 05:52
素敵なお手紙と写真。
差出人の石垣島のまどかさんの書かれているように
『コロナ禍の自粛見舞いには、猫のお話が一番』ですね。(#^.^#)
ルナちゃんも綺麗なお顔ですね。
もし私が工房にお邪魔出来たらディエゴに全力でちやほやします。
楽しいブログありがとうございました。
by みり 2021-02-10 09:00
>16匹にゃんずさん
ニッポン各地津々浦々、困った猫をほっとけないという、同じ魂を持った人はいるんですよね~。
お仕事の合い間の元気補給になったでしょうか?
by 道ばた猫 2021-02-10 16:08
>さび猫びいきさん
「米子(よねこ)焼工房」の」シーサーは、古典的なものから思い切りファンキーなものまで、すごくエネルギッシュなシーサーたちです。各家の守り神ですものね。ディエゴに会えたらいいですね!
by 道ばた猫 2021-02-10 16:11
>Y.Mさん
元気なシーサーも、マイペースの看板猫も、石垣島によく似合いますね~~。
おっしゃるっとり、コロナは似合わない、太陽が似合う場所です!
by 道ばた猫 2021-02-10 16:14
>ネエさん
ほんとうに!
一日も早く元通りの生活が、どの土地にも戻りますように!沖縄行きが早く実現するといいですね~
by 道ばた猫 2021-02-10 16:17
>シーマンさん
ディエゴくんは、スタッフの作った段ボールの「店長席」がいたくお気に入りのようで(笑)、
行けばたいてい出会えるそうです~
by さび猫びいき 2021-02-10 16:20
↑ さび猫びいきさんへのコメント返しを間違えてお名前に書いてしまいました。
シーマンさんへ、です。
by 道ばた猫 2021-02-10 16:23
>名無しさん
しぶしぶだったKさんが、いつしか3匹!
まどかさんの策略のような気がしないでも……(笑)。
by 道ばた猫 2021-02-10 16:25
>みりさん
はい、猫好きさんを元気づけるのには、幸せな猫の話がいちばん!
道ばた猫日記でも、がんばりま~す!
by 道ばた猫 2021-02-10 16:29
この方の文章好きです! ぜひもっと読みたいです。
by てる 2021-02-11 02:53
シーサーがとても魅力的で、ぜひ購入したいのです。 どこで買えますか?
by てる 2021-02-11 02:57
わー!ディエゴくん、Kさんと暮らせてやったねですね♪気弱で褒められるとつんのぼせちゃうところ、また可愛いですねーー!ルナちゃんもまた可愛いこと!シロッコちゃんも家族になれて幸せね(^-^)早く早くコロナが収束してディエゴくんがたくさん鼻の下を長くのばせる日々になりますように。
by とも 2021-02-11 09:55
>てるさん
まどかさんの自宅には、個性的な猫が3匹いるそうですから、また楽しい猫だよりをもらえるでしょう。
この工房は、石垣市にある「米子(よねこ)焼き工房」で、通販もしています。おおらかで陽気なシーサーが人気です。HP=yonekoyaki.com/
by 道ばた猫 2021-02-11 10:17
>ともさん
ほめられるとのぼせる猫、オス猫に多いですよね~(笑)。わかりやすい。
いつまでも元気で看板猫がんばってほしいですね!
by 道ばた猫 2021-02-11 10:24
ありがとうございます! 早速見ました。 目を見張るかわいくて、見たことないシーサーがいっぱい。
表情や色、形がすばらしい。すっかり虜になりました。
by てる 2021-02-12 08:31
去年この米子焼き工房にいきました!ディエゴ君…男の子だったのか…ちょっとお腹がおっきいと思い(すみません!)女の子で赤ちゃんがいるのかと…しかも自分のブログで赤ちゃんがいるかもみたいな事をかいてしまいました…本当にすみません(ここで謝らせてください汗)
猫アレルギーなのでさわれないのですが猫が大好きです近くによってきてくれて本当に可愛かったです…ずっと見ていたらさわらんのかい!みたいな感じで去られました(笑)なでなでしたかったです~また会いにいきたい。
by クロミ 2021-03-24 19:45