先週の記事に、「香箱を組む猫の後ろ姿が好き」というコメントをいただき、香箱座りってこれまでにどのくらい撮ったかなと、改めて見返してみました。
案外あるようで、正真正銘の香箱は意外と少ないような。
というわけで、今週は、猫の「香箱」特集です。
カフェ・バーのミルクちゃん。
眠くなってきて、前足を胸の下にお行儀よくしまって、うとうとし始めました。
猫の香箱座りとは、前足を畳んで、胸の下にしまい込む座り方。
単に「箱座り」と言ったり、「香箱を組む」「香箱を作る」とも言います。ポイントは、前足の先を内側にして胸毛にしまい込んでいるかどうか。
「香箱」とは、お香を入れておく蓋つきの箱のこと。風流なネーミングですね!
英語では「キャットローフ」...つまり、なんと、猫の塊(かたまり)というそうな。 食パン一斤の、背がこんもりした丸四角い形にたとえられ、猫が安心しきったときに見せる姿として愛でられています。
そう、前足を折りたたむということは、折り畳み式のテーブルのように「当面は使わない」という、くつろぎの姿。
目の前で、香箱を組んでくれてることは、逃げる準備をするような脅威がなく、安心してもらっている証拠です。
香箱は子猫のうちはまだ組めません。
幼かった頃のこはるちゃんのように、生後数か月までは上手に組めず、また、いつでも駈け出せるように、前足はちょこんと出していることが多いのです。
やがて、誰に教わるわけでもなく上手に組めるようになり、いっちょ前の猫さんらしくなります。
美術館の通い猫、瀬奈ちゃんが、香箱座りを覚え始めたころ。可愛いですね!
美術館の新入りララちゃんも、広いお庭で遊ぶときは、いつでも駆け出せるように前足をしまいきっていません。
海辺の町の丸ポストの上にいた猫さんも、いつでも飛び降りられるよう、前足をしまっていません。
この界隈のボス猫シマちゃんも、片足を完全にはしまいきっていない香箱もどきです。
やはり、外界は危険がいっぱい。いつでも危険に対応できるよう、香箱を組むには至らないのでしょう。
長毛さんは、前足がちゃんとしまってあるかどうか、わかりにくい!
香箱を組む形は、猫にとっては、保温にもなるし、内臓を守る体勢です。
たいていの猫にとってはリラックスしている姿なのですが、老いたり、かなり具合が悪くなってくると、丸まって寝ることができなくて、香箱の姿勢をいつもとるようになることもあります。
重い病気を抱えていた、ギャラリーの看板猫風ちゃんが、そうでした。
なので私は、外で会った猫さんが香箱座りをしていると、安心しきっているのか具合が悪いのか、いつも気になります。
海辺のこの子は、元気なリラックス組で、ひと安心。
この寺猫さんは、さすが由緒ある山寺の食客猫。きちっと前足をしまい込んだ、端正な香箱を作っていました。
牧場の猫さん。馬がすぐそばを通ってもたじろがぬ、余裕の香箱。安心できる環境なのがわかります。
まゆくんは、外猫時代にひどい虐待に遭い、足を骨折しましたが、おうち猫になって、しあわせな香箱猫となりました。
全盲のてつおくんは、外猫時代に車にはねられて、一瞬で視力を失いましたが、今は、気の合う仲間たちと一つ屋根の下。
てつおくんの香箱座りは、安心としあわせの象徴のように思えます。
最後は、喫茶店の看板猫トラちゃんの、圧巻の香箱。
これはもう、香箱座りというより、岩石座りといったほうがいいのかも。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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先日、娘の友達が我が家に来た時、
我が家の猫の香箱座りを見て、
えーっ!足は?足はどうした?
どーなっとるん⁉️
と、猫に迷惑がられながらも、じっくり観察していたそうな、笑。
猫と暮らしてない人からすると、びっくり⁉️な姿なんでしょうね。
我が家では、香箱座りしてる猫の胸元に指を突っ込んで、何分そのままでいさせてくれるか、
を母娘で競い合ってます。笑
by 桜さくら 2021-03-30 10:59
巻頭のミルクちゃんを見ていて、香箱姿の周りには、平和に時が流れているなと思いきや、最後に出てきたトラちゃんにはガーン(衝撃的)。でも、香箱手習い前~香箱もどきも含め、個性豊ネコちゃん達には見飽きることがない。
by Y.M 2021-03-30 16:12
香箱座りも猫さんによって様々ですね。
最後の看板猫トラちゃん、多少の事には動じない様な貫禄がありますね!
by シーマン 2021-03-30 21:42
瀬奈の懐かしい写真どうもありがとうございました。毛が短くて別猫の様ですね。瀬奈の様に成長したら、こんなになりました。特集も面白そうですね。虎之介もウーちゃんを抜いて、美術館で1番大きくなりました。
by 虎之介と瀬奈の母 2021-03-31 00:23
>桜さくらさん
えーっ!足はどうした? 可愛いですね~~。
それにしても、さくらさん母子は、面白いゲームをやってるんですね(笑)。
by 道ばた猫 2021-03-31 11:09
>y.mさん
あ、名前間違えてました、ドラくんでした。ドラちゃんの香箱は、岩石座り?山座り?溶岩座り?
新しいネーミングが尽きそうですね(笑)。
by 道ばた猫 2021-03-31 11:13
>シーマンさん
香箱って最初にひらめいた人のセンス抜群ですね。大事なものを抱え込んでいるような。そういや、うちの猫には、よくテレビのリモコンを、香箱の中に隠されました(笑)!
by 道ばた猫 2021-03-31 11:16
>虎之介と瀬奈のお母さま
あ、それ、いいですね!いただき。
近々、「こんなに大きくなりました」特集をやりましょう!
by 道ばた猫 2021-03-31 11:20
いまは亡きギャラリーKの看板猫「風ちゃん」。最後に会ったのは7年前でしょうか。彼女が遊んでいた雑木林にはさわやかな風が吹き渡っていました。いつかまた訪ねて「風ちゃん」をしのんでみたいです。
by ムヨク 2021-03-31 16:12
久しぶりにまゆ=うに君とカンタ君の写真を見て、猫活動に奔走していたあの頃を思い出しました...
by kaoringo 2021-03-31 17:23
>ムヨクさん
雨上がりの雑木林で、風ちゃんがナラの木に一気登りして見せてくれたのが、昨日のことのようです。
あの丘はいつもいい風が、心の中まで吹き抜けていきますね~。
by 道ばた猫 2021-03-31 23:42
>kaoringoさん! お久しぶりです。猫の保護活動は一休みなのですか。
うにくんになったまゆくん、元気にしているでしょうか。カンタ君も中学生くらいかなあ。すてきな一家
でした。
by 道ばた猫 2021-03-31 23:47
いいですねぇ♪香箱特集、みんな可愛いーー!あの座り方でのんびりまったりリラックスしているかと思うとうれしくなります。ただ、外猫さんの中には体調不良でその格好になっている子がいるかもしれないのですね…外猫さんたちがどうかリラックスしていて香箱姿になっていることを願います…
ボス猫シマちゃんも、さすがボス顔ですねーー、みんなどの子もいいなぁ。
by とも 2021-04-01 06:57
>ともさん
それぞれの香箱、楽しんでくださってありがとうございます!
ちなみにうちの猫は香箱を組みません。いつもどさっと脚を投げ出しています(笑)。
by 道ばた猫 2021-04-02 10:32
英語で猫の塊とは…香箱の方が風流な呼び方ですね。日本人らしいというか。
普段は安心して眺めていますが、予防接種の後、飲まず食わずで香箱で丸一日過ごされると、心配で周りをウロウロしてしまいます。
年に一回の事ですが、毎年9月になると落ち着かないです…飼い主の方が(~_~;)
by さび茶風 2021-04-03 20:15
>さび茶風さん
予防注射のあとは、だるい猫さんも多いようですから、香箱組みは「じっとしてたい」という防御態勢なのかも。コンパクトで熱の逃げない形なので、冬の外猫の香箱を見ると、可愛いだけじゃなく、ちょっとせつないです。
by 道ばた猫 2021-04-04 00:18