れいなちゃんは、この春から小学校1年生。
ちょうどその頃、かわいい弟がやってきました。
その弟は、ちょび髭をたくわえていました。
れいなちゃんにとっては、触るのも暮らすのも初めての猫です。
だけど、その子は、やってきた次の日から、ゴロゴロと喉を鳴らして、れいなお姉ちゃんとすっかり仲良くなりました。
「あのね、猫が欲しいって言いだしたのは、ママ。それで、パパもれいなも大賛成!したの」と、れいなちゃんが教えてくれました。
新しいおうちに引っ越したら、猫を迎えようということだったのですが・・・。
引っ越し直前、ママがネット上の譲渡先募集の写真で、1匹の猫に一目ぼれ。
「もう、ちょび髭にやられちゃいました」と、ママ。
ご夫婦で、その子が保護されている、館山市のNPO[ドリームキャット」へ。
「あずき」と仮の名がついたその子は、写真通りのキュートな子でした。
夫の重男さんと共に「ドリームキャット」として、海辺の猫たちの保護譲渡を続けている千鶴子さんが、あずきちゃんを保護したのは、まだ寒い2月頃。
「海辺で見守っている猫たちの餌場に、生後半年くらいの雄猫がいつの間にか紛れ込んできたんです。疥癬(かいせん)という皮膚病で顔は赤むくれ、猫風邪で目はぐちゃぐちゃの、酷い状態でした」
人懐っこいその子は、すぐに自宅シェルターに保護できて、疥癬や猫風邪の治療を始めることができました。
しばらくは隔離していましたが、皮膚炎や風邪も治り、先住猫たちと一緒の部屋に。
あずきくんは、人も猫も大好きで甘え上手という性格はなまるの子で、みんなと仲良くできました。
お見合い後、すぐにトライアルが決まって送り出した後。
これまで何匹も何匹も送り出してきて、この子も絶対にしあわせになるとわかっているのに、千鶴子さんの心には、ぽっかり穴が開いたようだったといいます。
「どの子も可愛くて、送り出すときは安心と共に寂しさもあるんですが、甘えん坊のあの子は、格別の寂しさでしたね」
さて、トライアルが始まった日。
放課後の学童保育から帰ってきたれいなちゃんは、おうちに可愛い子がいるのにびっくり。
名前は、あずきくんのままになりました。
あずきくん、初日は鳴き続けて、誰かを探し回ってているようでしたが(たぶん、千鶴子ママ)、次の日から打ち解けて、ゴロゴロ甘えるようになりました。
そして、正式譲渡。
もう、れいなちゃんは、あずきくんが可愛くてなりません。
どんなところが可愛い?と聞いてみると......。
「肉球とか、ちょび髭とか、白い靴下はいてるとことか、ベロをしまい忘れてるときとか、遊ぶのが大好きなとことか、ゴロゴロ甘えるとことか、あと、クッションの上で日向ぼっこしたままコテンと寝ちゃうときとか...」といっぱい挙げてくれました。
困ったところは?と聞いてみました。
「腕とか嚙んでくること。ママは、首とかほっぺとか耳たぶとかめっちゃ噛まれてる(笑)。段ボールもボロボロにしちゃう。でも、あずきはまだちっちゃいから。れいなの弟だから」
なんていいお姉ちゃんでしょう!
れいなお姉ちゃんは、触り方も、とっても優しくて上手です。
「触り方は、ママ教わったの」
「あずきは、昼間は寝てて、朝と夜は起きてる」と、れいなちゃん。
ママが教えてくれました。「れいなとふたりで、いつも夜の大運動会をするんです」
走ったり、ジャンプしたり。楽しそうですね~。
猫やリスなどの動画も、二人で仲よく観るそうです。
「あずきの不機嫌なときなんて見たことないですね」と、パパ。
「ほんとに、性格のいい子です」と、ママ。
あずきくんは、れいなちゃんの可愛い弟ととして、すっかり家族の一員になっていましたよ。
れいなちゃんは、最高のお姉ちゃんです。
千鶴子さん、ご安心ください!
「ずっとずっと元気でそばにいてほしいね」
パパとママとれいなちゃんの願いです。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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ちょび髭が目と目の間隔を一層広く見せ、遠くを見つめるその瞳と相まって哲学者の雰囲気一杯のあずきちゃん、肉球のちょこ黒もチャーミングで、保護された頃の辛かった過去を感じさせない。れいなちゃん一家の深い愛情に包まれて、これからも甘える素直さに一層磨きがかかっていくことだろう。
by Y.M 2021-05-18 16:23
れいなちゃんがあずき君をとっても可愛く思っていることが、写真やれいなちゃんの言葉からよく伝わってきました。そうだね、猫さんって、かわいいところだいっぱいあるね。うちの猫さんたちも、捨て猫だったけど、可愛いところがいっぱいあります。
by ひじきママ 2021-05-18 17:04
可愛い弟との生活を楽しんでいる様子がひしひしと伝わって来て、とても微笑ましく思いました。これからも姉弟一緒に仲良く成長していけると良いですね!
by シーマン 2021-05-18 19:55
子どもにとって、動物と暮らす事は、本当に沢山の事を教えてくれます。うちの子ども達は皆、成人になり、独立しましたが、家に帰ってくると、先ず、猫さん達にご挨拶。独立後に保護して家の仔になった猫さんも、全く警戒しません。体や言葉から、猫好きが溢れてるんでしょうね。
れいなちゃん、あずきちゃん、きっと、ずーっと仲良しですね。
by ちぃ 2021-05-18 20:08
>Y.Mさん
そうなんです。あずきくん、きっと堂々たる猫になることでしょう。保護主さんは「とても賢い猫だった」と言っていましたから、賢さが顔に出ているのでしょう。
by 道ばた猫 2021-05-19 10:10
>ひじきママさん
その通り! どの猫さんもチャームポイントがいっぱい。それを毎日確認しているだけで、しあわせですよね~~。ちなみにうちの黒猫は、強気と弱気が交錯するところ(笑)。
by 道ばた猫 2021-05-19 10:14
>シーマンさん
やってくるまでのいきさつも含めあずきくんを迎えたことは、6歳のれいなちゃんにとって、小さな命に対する責任感というか、とてもいいことだったと思いました!
by 道ばた猫 2021-05-19 10:21
>ちぃさん
犬も猫も、安心できる人をすぐ見抜きますよね~~。
家に帰ってくるとまず猫さんにご挨拶する息子さんたち、素敵です!!
by 道ばた猫 2021-05-19 10:23
猫が一緒にいてくれて
ささやかな日常ですが
まぁ、よか日常ですねぇ~♪
by ミンディー 2021-05-19 20:04
ああ、可愛い可愛い!ちょび髭、たまらない可愛らしさですね!!れいなちゃんととってもお似合い♪保護されたときの姿は心が締め付けられそうですが今はもうあまえん
by 名無し 2021-05-20 06:52
すみません、途中で誤って送信となってしまいました。あずきくん、甘えん坊の姿がたまりませんね!これからもれいなちゃんと仲良し姉弟でいてくださいね♪みていてとっても気持ちがなごみます(*^-^*)
by とも 2021-05-20 06:55
>ミンディーさん
いつもと変わらぬ安心の日常、そして、そばに猫がいてくれれば御の字。
そんなことを改めて思わせるコロナ禍ですね・・・。
by 道ばた猫 2021-05-20 10:53
>ともさん
はい、れいなちゃんとあんず君の仲良し姉弟ぶりは、ずっと見ていたいほどでした。
猫と暮らすって、子どもにとって、いいことだらけのような。
by 道ばた猫 2021-05-20 10:55