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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

猫又トリップ

2021年06月02日

偶然保護した猫の恩返し!? TNR活動を支えてくれた感謝の10年

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おしゃべりが大好きな猫

 今にも倒壊しそうな家の敷地に住み着いていたメス猫が子猫を産んだようだと聞き、この辺りでTNR活動する五十嵐さんはトラップケージを仕掛け、猫たちの捕獲に成功するのでした。母猫と子猫4匹、おまけに捕獲予定のなかった大人の三毛猫もトラップイン! 見るとこの三毛猫も不妊手術済みの印である耳カットがなく、御一行はいつもの動物病院へ――。


外猫生活の終わりは獣医の言葉から


 三毛猫のお腹を開いて見ると意外な事実が判明。なんと、すでに手術済みだと獣医が言うのです。キレイな手術痕から「飼い猫だったのではないか」との推測も。一方、口内環境は悪く、歯は1本だけ。それに貧血と栄養失調もありました。獣医の見立てでは推定10歳、「外ではもう可哀想だから家で飼ってくれないかな」と懇願され、腹を決めたと話す五十嵐朋子さん。(東京都在住)こうして三毛猫は元いた場所にリリースされることなく五十嵐家の一員になったのです。三毛猫の名前は「はなこ」に決定。由来を聞くと「歯がない子」だから「はなこ」とユーモアたっぷりの五十嵐さんでありました。

 さて、五十嵐家に来て約10年のはなこ。取材ではキャットステップを軽快に渡り歩き、ジャンプする姿も多く見られました。「本当に20歳?」と筆者はその若さに衝撃を受けたのでした。

_K7A4335.jpg 「じゃあ、部屋の中を紹介するよー」

_K7A4261.jpg 20歳のジャンプ!

_K7A4302.jpg ケージの上にはマットが。ここで寝るんだよ


ワケありの大人猫さん、いらっしゃい


 2009年頃から個人でTNR活動を始めたと言う五十嵐さん。今は「ワケあり」の大人猫を積極的に招き入れ、自宅を「終の住処に」と活動をシフト。その背景には、シニア猫やエイズキャリア猫たちの譲渡先は簡単に見つからないという事情が。しかし、五十嵐さんは、シニア猫の性格が出来上がっている点、子猫のようなヤンチャな破壊行動もなく、おっとりと静かである点などがウェルカムだったと言います。自分にとって無理のない、行動できる範囲を模索した結果、シニア猫が自然と増えていったという流れです。

 また、新しく迎え入れた猫をはなこが教育的指導。「外猫から家猫化」プログラムを確実に実施し、社会化にも貢献! この家で最長老になったはなこに、未だに歯向かう猫はなく、リスペクトされているとのこと。ピラミッドの頂に君臨している感じ、ありありでした。

_K7A4354.jpg 次はキャットウォーク行くよ

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はい、肉球見てみ

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端まできたら上に登るよ

_K7A4756.jpg そして美猫の「ゆず」をお披露目

_K7A4827.jpg はなこ、降りまーす

_K7A4853.jpg めちゃ元気!


猫だって歯が大事! ポイントは専門医


 はなこもそうだったように、五十嵐さんは外で猫を保護した際には必ず歯を治療してから家に迎えるそうです。多少金額が掛かってでも、それは初期にやっておくべきだと。そうすれば猫は健康でいられて、コストパフォーマンス的にも良いのではないかという考えです。最近は家の近所に歯の専門病院を見つけ、別のシニア猫の骨の腫瘍検査とその元凶の疑いのある歯を抜歯してもらったのだとか。常にアンテナを張って、猫の病気や症状によって動物病院を使い分けることが大事なのだと五十嵐さんは言います。はなこが12歳の時に襲われた病「扁平上皮癌」は手術の上手い先生の元へ、ウンチが詰まる猫の場合はあの病院へといった具合です。「どうすれば適切な病院が見つかるのか?」と言う私の問いには「SNSで質問する」との回答。すぐに行動、至ってシンプルだ!

_K7A4237.jpg おーいお客さんだよー

_K7A4224.jpg ちゃんと挨拶してー。はーい! とサビ猫の「葵」


気になるシニア猫たちの食事


 はなこは昨年末の健康診断で「健康優良児」とお墨付きをもらいました。五十嵐さんは、はなこが少し痩せてきたのを心配していたのですが、悪いところがなく一安心だと。そこで気になるシニア猫たちの食事ですが、「ユリナリーS/O オルファクトリー」、「消化器サポート 可溶性繊維」(共にロイカナ)のドライフード混ぜで、便と尿に配慮した構成でした。

_K7A4495.jpg うまうまだぜ

_K7A4505.jpg ベッドの下からこんにちは(サミー)

_K7A4485.jpg 別の子現れる(小夜)

_K7A4511.jpg 今度は誰かな?(グイン)

_K7A4513.jpg そこへ急に割り込む、はなこ

_K7A4516.jpg 「あの人は安全だから」とでも言ってくれたのかな


はなこという存在に感謝


 最後、五十嵐さんに今後心配な点を伺うと、はなこに続く後継者がいないという問題が挙げられました。ここまでの保護活動が順調だったのは、ひとえに面倒見の良いはなこがいたからこそ。猫たちの母親役であり、学習指導員であり、「はなこがいないとほんとに困る」と。また、10年という長い間、家の猫たちの中でも一番長く連れ添ったはなこは、五十嵐さんにとってもかけがえのない存在に。小さい体なのに、なんて大きな猫なんだろうか。

_K7A4198.jpg はなこの後継者は誰なのか?

_K7A4629.jpg はなこと同じ三毛柄の「りー」か?

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それとも長毛種の「モコ」か? 楽しみですね(写真右:瑛)




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猫又トリップライター紹介

ケニア・ドイ

1972年兵庫県生まれ。ほとんど犬猫カメラマン。著者に「ぽちゃ猫ワンダー」(河出書房新社)、「じゃまねこ」(マイナビ出版)がある。新刊「ご長寿猫がくれたしあわせな日々~28の奇跡の物語~」祥伝社より絶賛発売中。現在、黒背景で行うペット撮影会「ドイブラック」を全国で展開中。

http://kenyadoi.com

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カテゴリ: 猫又トリップ
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