先週に続き、南房総の「猫好きの輪」訪問記です。
郊外の、とある「教室」を訪ねてみると......。
三毛猫のモモちゃんが迎えてくれました。
ここは、モモちゃんの定位置。
いつも教室の後ろのこの椅子で、まったりしているそうです。
よくよく見てみれば、黒い椅子の上にも、猫さんが。
クロちゃんがいました!
クロちゃん、教室をひと回りして、のびのび~~。
さすが、ここの猫さん。
さて、何の教室かわかったでしょうか?
そう、ここは、ちやこ先生のヨガ教室なのです。
広ーい前庭には、猫草がいっぱい。
裏山には、古い神社があり、道路の向こうには田んぼが広がる、のどかなところです。
それだけに、迷い猫やノラ生まれの子猫が時折現れ、行き場のない猫たちをほっておけないちやこ先生のところには現在6匹の保護猫が。
「2階で、ほかの猫たちがくつろいでいますよ」と、ちやこ先生に案内されて2階へ。
いたるところに、キャットタワーや猫ベッドが置かれた至れり尽くせりの2階。
寝室でまったりしていたのは、左から、ハナちゃん、レンくん、そして、さっきまで1階にいたクロくん。
そもそもは、この長毛レンくんが始まりでした。
現在6歳のレンくんは、迷子猫さん。
メインクーンに多いといわれる心臓肥大をはじめ、胃腸炎や口内炎などをもっています。
1歳の時には、あわやこれまでという状態になりましたが、病院での手当のほかに、ちやこ先生は、「気」や「ホメオパシー」など、できるかぎりの自然療法を尽くして、生還させました。
レンくんが2歳の時に迎えた生後2か月の保護猫が、教室にいた三毛猫モモちゃん。
ちやこ先生のご主人が,、モモちゃん育てに大いに協力してくれたので、モモちゃんは今でもお父さんが大好き。
キジ白のハナちゃんは、4年前、家の近くの原っぱで、母猫とはぐれたのか大鳴きしていた仔猫でした。
甘え上手でレンお兄ちゃんに可愛がられ、モモちゃんは面白くなさそうだったとか。
いまや、7キロの巨大女子になりましたが、レンお兄ちゃんが体調の悪い時は、添い寝や毛繕いなど、せっせと介護をするそうです。体調が悪い時のお兄ちゃんはとてもつれないのですが、それでも「お兄ちゃん大好き!」のハナちゃんです。
クロくんは、前の家にいた頃に、散歩時のハナちゃんを襲っていた(好きで)ノラでした。
ビビりのやせっぽちで、ベランダから勝手に家に入り込んでは昼寝をしたり、家猫たちのご飯を食べたり。
引っ越し時に置いてくるにはしのびず、大捕り物の末、家猫にしました。
去勢後の今も、疎ましがられながらもモモちゃんラブを貫いています。でも、好きなモモちゃんと一つ屋根の下でしあわせそうなクロくんです。
この日、会えなかったシロちゃんは、レンくんやモモちゃんの散歩時についてくるようになった猫さんでした。
毛に靴跡らしきものとか、ズルッとむけた傷とか、変な傷を何度もつけてくるので、緊急保護。でも、家に入れると、昼となく夜となく、大声で鳴き続けます。迷いに迷って、今は自由出入りとしています。猫庭(天井のある中庭スペース)にねぐらがあります。
シャムの血が入っていると思われるマロンくんは、去年の秋口に現れました。
猫たちの散歩を車の下からジーっと眺めている痩せた子でした。
雨の中をヨロヨロとどこかへ帰っていくその姿が可哀そうで、家猫に。
首や眼球に揺らぎが絶えずあり、獣医さんでは「たぶん仔猫の時の栄養失調からくる前庭疾患」とのこと。
どんどん栄養をつけて、体重が2倍になった今では、首の揺らぎは治まってきました。
「半年ほど家庭内ノラで、近寄るとシャーと威嚇。ある日を境に180度転換して超甘えん坊猫になったんです」と、ちやこ先生。
疾患を抱えての外暮らしはさぞ大変だったでしょうから、身構えるのが身についていたんですね。
先住さんたちの甘えぶりを見て、やっと「ここはぼくんち。甘えていいんだ」とわかったのでしょう。
「引きこもったときは、家に入れてもちっとも幸せにしてやれてないと、外猫にしようかと悩みましたが、思いとどまってよかった」と、ちやこ先生。
このほかにも、一時保護しておうちを見つけた子もいます。
避妊されてはいたものの、見捨てられていた生後半年ほどのサクラちゃんは、一時保護し、昨年末にあたたかなおうちへ送り出しました。
カラスの軍団に命を狙われていたシャム風子猫ちびちゃんも、埼玉県にもらわれて、一家の愛情を一身に浴びてすくすく大きくなっています。
取材時にはやんちゃに走り回っていたさび猫の茶々ちゃんは、つい先日もらわれていったとか。
茶々ちゃんは、教室に面した、「猫庭」がお気に入りでした。
天井から太陽光が降り注ぎ、猫草もあるこのスペースは猫たちのリゾート地。
日光浴は、持病のあるレンくんやエイズキャリアのハナちゃんの健康にとってもいいはず。
「猫たちの健康のためには、人がまず健康でなければ」と言うちやこ先生の笑顔は、マスク越しにも、とってもあたたかくて素敵です。
あれ、モモちゃんが、散歩の準備をして、玄関先でスタンバイしてきます。
休日のお父さんと、いったんは出かけたものの、庭先ですぐにUターン。
小雨が降っていたのです。お父さんとの散歩が大好きなモモちゃんは、不服顔。
でも、いつもは、こんな楽しそうなお散歩をたっぷりしているんですよ。
幸せな猫たち。
ちやこ先生ご夫妻、ありがとうございます!
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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わけあって保護された皆が、今ではすっかり穏やかな表情に。ちゃこ先生ご夫妻の愛情あってのことと思うと、頭が下がる。これからもみんな元気で、三食、寝室、ヨガ訓練、お散歩等々付きの平和な日々が続きますように。
by Y.M 2021-06-08 16:22
みんな安心したいいお顔をしていますね。
猫庭もあって、お散歩にも行けて、幸せですね!
by ひじきママ 2021-06-08 19:00
猫ちゃん達もヨガ教室に参加しているのかな?良いインストラクターになりそうですが。
お散歩も楽しそうですね😄私も一緒に行ってみたいです。
by シーマン 2021-06-08 22:57
>皆さま
茶々ちゃんの保護のいきさつを書き漏らしました。
山の中のぽつんと一軒家の近くに捨てられていたそうです。
by 道ばた猫 2021-06-09 00:23
>Y.Mさん
ご主人は、もともとは猫はそんなにお好きではなかったそうですが、子猫育てスタッフとして参加するうちに、猫好きになられたようです~。
by 道ばた猫 2021-06-09 00:46
>ひじきママさん
ほんとうに! 猫は可愛がられて安心すると、目が丸くなり、体も丸くなりますね。
ひとめで、わかります。
by 道ばた猫 2021-06-09 00:48
>シーマンさん
まつわりつく猫さんは、出されてしまうようですが(笑)。
モモちゃんは、指定席で、おとなしく見ているか寝ています。
by 道ばた猫 2021-06-09 00:51
わあー、猫に迎えてもらって教室の後ろの席でまったり…素敵な教室ですね!お散歩準備のモモちゃん、可愛いですねぇ(*^-^*)
どの子も幸せそうでみていて癒されます。
ちやこ先生ご夫妻の大きくて温かい愛情も素敵です!
by とも 2021-06-09 07:16
思わず、わあっ!と声が出ました。
うちも6匹で、みんな、元野良さん。違うのは、うちは、狭いし、自然豊かと言うより、近くに国道。
みんな、辛い思いした分、幸せに暮らしてね。
by ちぃ 2021-06-09 20:24
>ともさん
教室の後ろで、モモちゃんたち「人間って体が硬いのね」なんて思ってるかも(笑)。でも、ちやこ先生はさすがのハツラツ動作でしたよ。
by 道ばた猫 2021-06-10 00:30
>ちぃさん
猫は広さより、とにかく段差らしいですよ。
ちぃさんちの保護猫さん6匹も、愛されていいお顔なんだろうなあ~~。
by 道ばた猫 2021-06-10 00:32