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[猫ブログ] いろいろな連載と、ときどきお知らせ。

道ばた猫日記

2021年06月01日

海辺の猫が人生を変えた

郁美さんは、北海道・小樽生まれ。
今は、南房総の漁港近くで、2匹の猫と暮らしています。

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ラグドール風の美女、しおちゃんは4歳になったばかりです。

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もう1匹のよもぎくんは、しおちゃんのきょうだいですが、押し入れの奥に隠れて出てこないので、あとで郁美さんに写真をお借りすることにしましょう。

郁美さんは、「猫と暮らす」と生活は思ってもいなかったそうです。南房総に来るまでは。

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「そもそも、ワーキングホリデイを利用してフランスに行こうと思っていたんです。その前に、1年くらいすむつもりで南房総にやってきたら、猫たちに出会ってしまいました(笑)」

最初は、内陸部の農家住まい。そこで、農家の猫が産んだ子猫に出会い、「だいふく」と名付けて暮らし始めます。

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マスカット色の目のだいふくちゃんは、2年で旅立ってしまいましたが、その後も道ばたで、放っておけない状態の子猫に出会ってばかり。
この辺は、まだまだ野良や未手術の放し飼いが多いのでした。ご飯ももらえたり、もらえなかったり。

放ってはおけず、「猫可」の海辺のアパートに越してきて、保護しては譲渡先を探し続けました。

しおちゃんに出会ったのは、ちょうど4年前。
ぎゃあぎゃあっと、子猫が泣きわめく声に早朝気づき、窓を開けると、路地を挟んだ目の前の家の塀をめがけ、生後ひと月ちょっとくらいの子猫が必死にジャンプしているではありませんか。
外に出ましたが、姿を見失いました。
午後に仕事に出かけるために車を出したとたん、道ばたにしゃがんでいる子猫を発見。
目ヤニで目がつぶれていたため、「シャー」と威嚇はされたものの保護できました。

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子猫の目を拭いてやったら、きれいなブルーの目でした。
薄い毛色で、塩対応だったので、前に飼っていた「だいふく」にちなんで「しお」と名付け、もう少し育ったら譲渡先を見つけるつもりでした。

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その1か月後。
またまた近くで子猫の鳴き声が。
外に出てみると、しおちゃんによく似た2匹が、サビ猫母さんと一緒にいました。しおちゃんのきょうだいに違いありません。猫風邪をひいているらしく、目はぐしゃぐしゃ。
このままでは命は持たないと、母さん猫が餌に気を取られているすきに、2匹を保護。

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それが、この2匹。
ダルメシアンみたいな粒々模様の雄猫は「よもぎ」、白黒で小粒な雌猫は「豆」と名付けました。そう、みな「だいふく」つながりです。

豆ちゃんは、神奈川県にもらわれていきましたが、よもぎとしおは、猫風邪や目の治療もあって譲渡が進まず、どんどん愛おしくなる2匹を見て、郁美さんは思ったのでした。
「2匹なら、自分で飼える」

そうして4年。

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海外に行くことはずっとお預けですが、行きたいと思わなくなったとか。
「だって、一泊2日の外出でさえ、早くこの子たちの元へ帰りたいと思ってしまうんです」
一緒にいる時間をできるだけ長くとりたいと、仕事も在宅に切り替えました。

外で出会ってしまった子猫を譲渡先が見つかるまで育てるたびに、2匹はやきもちを焼いて、どんどん甘えん坊になっていきました。

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「子猫を保護するとき、わたし、いつも迷うんです。でも、迷ってはいられない。そのままではカラスの餌食になるか、病気や事故で短命に終わるか。外猫の命は、ほんとうに儚いから」

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この取材は、5月半ばでしたが、その次の日、郁美さんはオトナ猫と生まれたて子猫の2匹を保護しています。
知人の迷い猫の捜索をした帰り道で、雨の中、あとをついてきたオトナ猫は、家で飼われていたにもかかわらず、引っ越しで置き去りにされた推定10歳過ぎの猫でした。
続いて、帰宅時に駐車場近くの草むらで、鳴き声を頼りに生まれたての子猫も保護。

新入りを迎えたよもぎ・しおちゃんが、葛藤の末に、少しづつ折り合いをつけ、思いやりを見せていく様子が、最近の郁美さんのインスタグラムに綴られています。https://www.instagram.com/fuku_babies/

猫に人生を変えられてしまった郁美さん。
その微笑みには、後悔の影などまったくありません。

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「小さな命のことを、もっとみんなで考えられる世の中になれば」と、今日もTNRに子猫保護に、奮闘は続きます。
保護・譲渡した子猫の数は、もう20数頭になるそうです。

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郁美さんのインスタを見ると、しおちゃんにこんな言葉を語らせています。
「おかあちゃん、思いもしないことが起きるのが人生よ」
「おかあちゃん、しってる? あいは、受けとるにも、あい、がいることを」

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しおちゃん、ほんとうにその通りだね!


南房総で保護活動を続ける女性たちの物語、来週も続きます。



「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。

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しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。

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写真

道ばた猫日記ライター紹介

佐竹 茉莉子(さたけまりこ)

フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。

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カテゴリ: 道ばた猫日記
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みにゃさまのコメント

猫は確実に人生変えますね。郁美さんほどじゃないけど、私も変えられました。
幸福感やお金の使い方、人付き合いなどなど、変えられたことに後悔ありません!

by ひじきママ 2021-06-01 16:44

厳しい環境の下でクシャクシャだった子猫が、見違えるような気品のある子に。しおちゃん、だいふくちゃん、よもぎちゃん等々に、愛を受け入れる素直さがあったことは幸いとしても、それにも増して郁美さんの愛情の深さが偲ばれる。ネコって人生や人間そのものまでも変えてしまう魔法の持ち主なのかな?

by Y.M 2021-06-01 17:13

猫によって人生を変えられても、幸せを感じられるなら結果オーライですね。猫の保護活動をされている方々の努力には頭が下がります。保護された猫達が幸せをつかめますように!

by シーマン 2021-06-01 23:50

しおちゃん、とーーっても美人さん!よもぎくんもまたいい模様で郁美さんの愛情たっぷりもらっているお顔ですね!マスカット色の目のだいふくちゃんもこれまた美人さん。郁美さんのおかげで小さな命がたくさん繋がっていますね。
しおちゃんに語らせている言葉、いいですね、心にスンとはいりました(*^-^*)郁美さんのことも応援します!

by とも 2021-06-02 07:32

>ひじきママさん

確かに、猫は幸福の価値観を思い切り変えてくれますね!
人づきあいについても、同感です。生き物に優しくない人はアウト!

by 道ばた猫 2021-06-02 22:58

>Y.Mさん

ほんとに、ぐしゃぐしゃ → 美猫への変貌は、愛があってこそ。
与える愛と、受け止める愛と。そして、今は、支えあい寄り添う愛。

by 道ばた猫 2021-06-02 23:09

>シーマンさん

こうして、津々浦々で、路頭に迷う小さな命を救ってくださる方がいらっしゃるのですよね。心から尊敬し、勇気をもらいます。

by 道ばた猫 2021-06-02 23:12

>ともさん
猫って、あの時はどうだったこうだったとか、ごめんねありがとうみたいなことではなく、こういう哲学的なことを毎日思ってそうな気がします(笑)。

by 道ばた猫 2021-06-02 23:16

郁美さんの活動頭がさがります。みんな幸せになって本当に良かった。うちの来た子達はみんな健康状態が良くてあまり苦労はありませんでした。ただ人間と同じ、年とともにあちこち体に故障が出てくるものですね。ケアして良くなると一層愛おしさが増してきます。ぺったんも肝臓の薬を飲みながら頑張っていますが、ついつい甘やかしてわがままにしてしまします。(笑)
しおちゃん、美猫ですね!よもぎちゃんの柄、一度見たら忘れられない!!大好きです♡

by ぺったんの母 2021-06-03 12:10

>ぺったんのお母さま

持病のある子や、保護までのワケアリの子には、いじらしさいとおしさが一層ですよね。
ナマよもぎ君、見たかったけど、押し入れの奥の奥(笑)。それでも、忘れえぬお顔でした。

by 道ばた猫 2021-06-05 00:45