9月初めのこと。
「またまた子猫が2匹やってきました~」とメールをいただいたのは、
7月の道ばた猫日記で、
通い猫の虹丸くんをご紹介したあの「猫の味方」の美容室jamさんからです。
すぐに会いに行きました。
1匹は、マスターが車で走行中に見つけた、車道ぎわでぼーっと座っていたキジトラくん。右の眼球は白濁して飛び出し、左もよく見えていないような状況で、急遽保護しました。
拾われたのは8月の暑い盛りで、私が会いに行った9月初めには、目の状態がだいぶ落ち着いていましたが、白濁して視力はどのくらいあるのかおぼつかない感じでした。
キジトラくんを拾ったその後すぐに、またまたやってきたのは、生まれて間もない黒白くん。
その子も道ばたに2匹でおちていたのを、あるかたが見つけ、保護したのですが、1匹はすでに息がありませんでした。
黒白くんはすぐに獣医さんへ。
でも、手当はなし、診察料金もなしで戻されました。
「もう助からない」との診断でした。
保護した方は、それでも何とか助けたいと必死で温めたりミルクを飲ませたり。
そのかいあって、黒白くんは命を取り戻しました。でも、保護した方は猫を飼う環境ではなかったので、またまた必死に預かり先を探し、人づてにjam美容室にたどり着いたのでした。
2匹は、マスター夫妻のご自宅から、営業日には店に連れてきて、譲渡先を探すということでした。
そして、4日前の土曜日、jamを訪ねてみると・・・・・。
虹丸くんはその日は出勤していませんでしたが、あの2匹がすっかり大きくなって走り回っていました!
キジトラくんは「政宗」というカッコいい独眼流の武将の名をつけてもらっていました。
右目は視力がないようですが、左目は手当の甲斐あって、澄んだきれいな目に。
そして、黒白くんはといえば、愛らしさ満開。
「元之介」という、これまたカッコいい名前に。
2匹は兄弟のように大の仲良し。やんちゃな元之介くんを、温厚な政宗くんが可愛がります。
そんな2匹を、さらに見守っているのが、猫店長のトゥエルブくん。
もう何十匹の保護猫の面倒を見てここから送り出してきたのですから、慣れたもの。
政宗くんは、幼いながら長幼の序がわかってきたようで、先輩に敬意をもって接しています。
一方、怖いものなしの元之介くんが飛びついてもかみついても、おうようなトゥエルブ店長。さすがです。
最長老の小梅姉さんは、いつもの席でまったり。
「また、こうるさいちびっこいのがやってきたわ」と、クールな姐さん。
ですが、あれ、子猫がやってきて、なんだか若返ったような・・・・・。
元之介くんは、すでに譲渡先が決まっているそうです。
きっと、家族のアイドルになることでしょう。亡くなったきょうだいの分まで、しあわせに。
「政宗くんは募集継続中ですよね」と尋ねると・・・・・。
「この子は、目の心配なんかですっかり情が移っちゃったから、もう、うちの子かな」だそうです。
というわけで、近々元之介くんは卒業しますが、jam美容室は店猫5匹、通い猫2匹(虹丸と政宗)の大ファミリーに。
「譲渡するに忍びないワケアリばかりが手元に残りました」とマスターは言いますが、
皆それぞれ、個性的でチャーミングな面々(店猫2匹はバックヤードに引きこもり)。
猫好きにはたまらない、猫の話が尽きないお店なのです。
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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偶然保護されて立派な名前をもらった政宗、元之介くん、優しい思いやりの心を持ったjamさんに出会えて本当に良かった。トゥエルブ店長などにも愛され、大きな耳と、綺麗な白黒の顔立ちも整って元気に育ったこれからがニャン生本番、幸せに生きてほしい。
by Y.M 2021-10-19 18:37
取材活動再開おめでとうございます。
ホント動いてなんぼの仕事だと
コロナウイルス・・・厄介ですよね
元之介くんのひと言
「助かってみせたぜ!」てところでしょうか?
あ~ 私のひと言でした。(笑)
PS・猫の不思議シリーズ勉強になりました!
by ミンディー 2021-10-19 19:14
正宗くんも元之介くんも優しい方に救ってもらって良かったですね。
元之介くんを最初に拾われた方、ご自分では飼えないのに、生まれて間もない仔猫を拾い、動物病院に連れて行き、看病をして、預かってもらえる所を探すなんて簡単に出来ることではありません。
jam美容室様も、すでに猫を飼ってらっしゃるのに、手のかかる子を二匹も引き受けるなんて。
お二方には本当に感謝です。🐹🐱🙇
正宗くん、元之介くん、お幸せにね🎵
by hiroーRX7 2021-10-19 19:43
政宗くん、元之介くん、元気になって本当に良かった!政宗という名前は、いつかまた猫と暮らせる機会があって、男の子だったら付けたいなぁと思っていた名前でした。格好良いですよね。
猫のいる美容室、近くに住んでいたら是非行ってみたいな。
by シーマン 2021-10-19 19:56
「もう、うちの子かな」って言葉に、思わずホロリしちゃいました。
jam美容室様、ありがとうございます‼
ああ、近くだったら通うのですが。
by ひじきママ 2021-10-19 21:37
うちにも、片目が白濁してしまった三毛猫さんがいます。見えているのかいないのか?他の仔と同じように動いています。本当に猫さんは、無いものには、こだわらず、あるもので精一杯生きているのですね。
政宗君、これから楽しい事沢山あるよ。元之介君、新しい家族に可愛がってもらってね。
茉莉子さん、カードが届きました!ありがとうございます。毎日、眺めて、幸せな気持ちでいっぱいです。
by ちぃ 2021-10-19 21:49
2匹共とーっても可愛いですね!政宗くん、賢そう~!元之介くんは天真爛漫でほんとアイドルですね。トゥエルブ店長はたくさんの保護猫の面倒をみられ見送られその大きな心、さすがですね(^_^)保護してくださった方、jam美容室のマスターご夫妻さんが小さな拾い物を愛情たっぷりに面倒を見てくださり2匹ともとっても可愛くキラキラしていますね。素敵な美容室、私も行きたいなぁ。
by とも 2021-10-19 23:53
猫の不思議シリーズも楽しかったですが、やはり道ばた猫と言ったらこちらが本流かと。(笑)
政宗くん、元之介くん、幸せになってね。
by ヤンヤン 2021-10-20 08:34
>Y.Mさん
本当だ、今気づきました。政宗君、耳が大きいですね!犬っぽいくらい。片方のお目目が見えない分、よく耳を澄ましているのかな。
by 道ばた猫 2021-10-21 01:54
>ミンディーさん
はい、やっぱり、実際に猫を見ながらの取材は楽しいです!(笑)。
ぼちぼち、出歩き始めます。
by 道ばた猫 2021-10-21 01:58
>シーマンさん
政宗って名前、いいですよね、シャキッとして、カッコいい!
元之介の元は、元気の元なんですって。こっちもカッコかわいいですね~。
by 道ばた猫 2021-10-21 02:02
>ひじきママさん
猫は片目が見えないなんてへっちゃらですけどね、譲渡は、ちょっとハードルが高くなってしまうようです。政宗君、めちゃくちゃ性格よろしそう。
by 道ばた猫 2021-10-21 02:08
>hiro-RX7さん
すみません、順番間違えました。
元君を保護した方、片っ端から連絡して、保護猫カフェにjamさんを紹介してもらったそう。どちらも、頭が下がります!
by 道ばた猫 2021-10-21 02:13
>ちぃさん
ないものを比較したり嘆いたりするのは、人間だけ。動物界の生き方はつつましく爽やかですね~。人が不幸を与えない限り。
by 道ばた猫 2021-10-21 02:16
>ともさん
周辺のノラをなくした後も、こうやって出くわしたり持ちこまれたりの猫を救うって、心から感謝。
ご夫妻やスタッフの息があっているのもこの店の魅力です。
by 道ばた猫 2021-10-21 02:20
>ヤンヤンさん
はい! 猫取材に戻れてうれしいです。
コロナが収まったら、と取材の約束をしている猫さんを、次々ご紹介していきます!
by 道ばた猫 2021-10-21 02:24
生きものは飼うものではなく、まして買うものではありませんね。寄り添いあうものだとつくづく思います。
by ムヨク 2021-10-23 06:34
>ムヨクさん
同感です!
「買うもの」「飼ってやるもの」という意識が、簡単に手放したりする温床になっているのだと思います。
by 道ばた猫 2021-10-24 20:51