もうすぐクリスマス!
ムギちゃんとスズちゃん姉妹も、あたたかなおうちの中でしあわせなクリスマスを迎えます。
保護されていなかったら、元気でいたかどうかわからない、空き地生まれの2匹です。
保護されてもらわれてきたのは、自動車関係のお仕事をするかすみさんご夫妻のおうち。
すぐに、おうちに馴れて、すくすく大きくなりました。
おもちゃがいっぱいの写真に、おふたりから注がれる愛情がよくわかります。
かすみさんは、私が車の整備をお願いしているデイ―ラーにお勤めのかたです。
スーツのピシッと似合うキャリアウーマンですが、ひょんなことから、お互い猫好きとわかり、愛猫2匹の猫アルバム3冊を見せていただくことに。
お聞きした猫話が楽しくて、取材をさせていただきました。(今回アップの写真は、すべてかすみさん撮影のものです)
かすみさんの話は、5年前にさかのぼります。
年の離れた夫が、60歳で最初の定年を迎え、週に2日の勤務になりました。
「無趣味で、何にもしない人なんです。常勤でなくなって、とにかく体を動かさない。これでは、すぐにボケてしまう。猫を迎えよう、と」
声をかけていた後輩スタッフが住む地域で、毎年空き地で子猫を産んでいた母猫がいました。手術をしようにもなかなか捕まらなかったのですが、この出産を最後にして絶対に手術!という最後の子が生まれたという知らせ。
「4匹いるので、2匹をもらってくれたら、全部決まります」というので、「じゃあ2匹」と、すんなり夫と決めました。
やってきた姉妹は、キジ白は「ムギ」、グレーっぽい子は「スズ」という名に。
真菌騒動で3か月人に会わせなかったので、夫婦以外の人は誰も受け付けないビビリさんになってしまいました。
劇的だったのは、夫の変化。
縦のものを横にもしなかった人が、遊んでやったり、トイレ掃除をしたり、こまめに動くので、たちまち3キロのダイエットが自然にできてしまったとか。
そのおかげで、2匹は、すくすくと成長。
一緒に雨粒の観察をしたり、
お父さんのお膝の上をシェアしたり、
抱き合って眠ったり。
当時、かすみさんは、ショールームの店長をしてたので、スタッフには看取りなどの「犬休」や「猫休」はOKとしたそうです。
その後、本社に移動。
意外に猫好きがいろんな部署にいて、「猫部」的な繋がりを楽しんだそうです。
壁から子猫の鳴き声が聞こえたときは、総務部長が「壁を壊して助ける」と英断。かすみさんが開いた穴から2匹を取り出し、無事もらわれていきました。
現在の仕事場のショールームでも、猫アルバムが顧客とのコミュニケーションに役立っているそうです。
「2匹もらって正解でした!」
5歳の今も大の仲良し。お父さんの猫愛も、いや増すばかり。
お父さんが、酔っ払って、床の上で寝てしまったときの2匹は、ちょっと心配そうな顔で、そばを離れません。
今年、完全定年を迎えたお父さんの日々は、朝のウォーキングのほかは猫を軸にしたルーティンで回っています。
ご飯やおやつ、遊び相手、トイレの掃除、獣医さん行きも、お父さんの係。まったく苦にせず、よく動きます。
「『見られたら、恥ずかしいよ』と言いながら、猫たちとラブシーンを繰り広げています。猫がいなかったら、彼の定年生活はどんなにか退屈で、不健康だったでしょうね」と、かすみさん。
さて、2匹の個性はと言うと......。
やや小柄なスズちゃんの方が、要領よく可愛がられる性格だとか。
ムギちゃんはと言えば、スズちゃんより不器用なたちですが、ご飯と寝場所の執着はすごいらしい。スズちゃんが小さな箱にすっぽり入っているのを見ていて、スズちゃんがいなくなった後に無理くりお尻から入り込み、「よかったねー」と言われるムギちゃんなのでした。
「ふたりとも、冷蔵庫の上なんかに上って、下ろしてほしい時なんか、流し目で『フニャッ』とか弱々しい声で鳴くんです。テレビや本を見て私が泣いていると、黙ってそばに来てくれるのはムギ。お父さんに甘えすぎて噛んだりして、『噛んじゃダメでしょ!』とムギが叱られると、スズが飛んでくる。猫って、ホント、よくできてますよね~」
そういうかすみさんは、ご自分のお父様が猫に「変えられてしまった」不思議も目の当たりにしています。
独身時代、弟がゴミ捨て場のビニール袋に入っていた子猫をポケットに入れて持ち帰り、両親に内緒で、、こっそり一緒に育てたことがありました。お母さまにはすぐにバレ、譲渡先を探すことに。でも、ひと月後に子猫を見つけたお父様は、子猫の可愛さに瞬殺。「チャップ」という名で、かすみさん姉弟が家を出た後も、ご両親に大切にされ、18歳まで生きました。
「猫にまるで関心のなかった父が、道で出逢った猫にも話しかけるようになったんです。猫って、確実に何かを変えてしまうチカラを持っていますね」
ムギちゃんとスズちゃんは、保護され迎えられて、たくさんのしあわせをお返ししています。
猫はみんな人を幸せにするチカラを持っています。
すべての猫たちが、あたたかなおうちと家族を持てますように。
メリークリスマス!
「道ばた猫日記」から書籍が生まれました。
『
猫との約束』
猫は人生にドラマを運んでくる。ささやかでも、至福のドラマを
『
寄りそう猫』
しあわせは猫の隣り。心温まる17の実話。
『
猫だって......。』
ふつうの猫たちが語る、22の愛情物語。
『
里山の子、さっちゃん』
動物たちはやさしく、気高い。助け合い、ともに生きる猫たちの物語。
『
しあわせになった猫 しあわせをくれた猫』
フェリシモ猫部の心温まるブログ、完全版として待望の書籍化!
写真
道ばた猫日記ライター紹介
佐竹 茉莉子(さたけまりこ)
フリーランスのライター。路地や漁村歩きが好き。町々で出会った猫たちと寄り添う人たちとの物語を文と写真で発信している。写真は自己流。著書に『猫との約束』『寄りそう猫』『猫だって……。』『里山の子、さっちゃん』など。朝日新聞WEBサイトsippoにて「猫のいる風景」、辰巳出版WEBサイト「コレカラ」にて「保護犬たちの物語」を連載中。
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酔っ払ったお父さん、ほんとに娘たちに心配されてますね~w。
膝の上に2匹来たら、もう動けないですよね、可愛い!
by ひじきママ 2021-12-21 18:15
茉莉子さん、少し早いクリスマスプレゼントありがとうございます。幸せな猫さんと幸せな飼い主さんのお話、幸せをおすそ分けしていただきました。
ここ数日、凄く寒くなり、うちの猫さん達も私の布団の上に中にで、私は寝返りもデキません。あ〜幸せ!
by ちぃ 2021-12-21 20:40
猫を家に迎える事でお父さんの毎日の生活に張り合いが出て良かったです!愛猫とのラブシーン、羨ましい💕
by シーマン 2021-12-21 20:55
人間と猫とおもちゃのコラボ、素晴らしい! かすみさんの写真にはみな、たっぷりの愛情があふれ出ている。人間も猫も本当に幸せに暮らしているからこそ、こんな雰囲気が自然に出てくるのだろう。羨ましい限り。ご家族揃って良い年をお迎えください。
by Y.M 2021-12-21 21:31
ムギちゃん、スズちゃん幸せになれましたね。
かすみさんの職場は、「猫アルバム」で顧客とのコミュニケーションを取ったり、「犬休」、「猫休」取得など素晴らしい環境だと思います。
全国的に広がるといいですね。
by ヤンヤン 2021-12-22 05:16
ムギちゃん、スズちゃん、そっくり姉妹!いつも一緒ですね、とーっても可愛いなぁ。2匹飼いっていいですねぇ。旦那さまとムギちゃん、スズちゃんの写真、たまらなくいいですね♪たっぷりの愛情を注がれて可愛さがもう溢れています!ほんとうに猫ってみんな人を幸せにするチカラを持っていますよね♪保護猫活動をしている芸人さんも最近大喜利アイドルと言われている可愛いアイドルさんも猫さんのおかげもあってお仕事たくさん、のように感じます。猫は偉大です!
by とも 2021-12-22 07:09
>ひじきママさん
介抱まではしてくれなくとも、心配してくれたらうれしいですね~。寝てるご本人は全く記憶がなく、かすみさんが証拠に撮ったんですって(笑)。
by 道ばた猫 2021-12-22 10:59
>ちぃさん
わかります! 寝返りの打てないしあわせって、猫飼いの特権ですよね(笑)。
我が猫は太ももを枕にするので、ホント、寝返り打てません!
by 道ばた猫 2021-12-22 11:01
>シーマンさん
オトコの人は、往々にして、猫好きを通り越して猫バ〇に走りますから、猫にとってはちょろいもんですね~(笑)。
by 道ばた猫 2021-12-22 11:19
>Y.Mさん
そうなんです! かすみさんのどの写真にも、猫たちへの愛があふれていますよね~。
ご主人への愛も感じました!
by 道ばた猫 2021-12-22 11:21
>ヤンヤンさん
お互い猫好きってわかった後の、会話って弾みますね~。
いろんな職種が「猫」をキーワードの一つにしてほしいな。
by 道ばた猫 2021-12-22 11:30
>ともさん
猫でブレイクのタレントさんって、つまりは、保護猫を愛する人は親しみやすく人柄もいいってことなんでしょうね~。
by 道ばた猫 2021-12-22 11:33